2018
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12月23日
原宏一
22
ヤッさんV
築地の門出
シリーズ3作品目。築地の豊洲移転に伴い、かなりタイムリーな内容で、今回も楽しませてもらった。日本橋から築地に市場が移った時があり、その時の色々が教科書になるよう。作者が市場に精通しているので、それが文字並べとなると、ノンフィクションのように感じてしまう。
最後、タカオとミサキの店に、過去の登場人物が勢ぞろいしている。ここからは、シリーズ完結とも思えた。食においてのプロが集う場所、築地の場内と場外。場外が残り、場内は豊洲へ。次作を楽しみにしたいが、しばらく先か・・・もう出てこないのかも。
12月10日
樋口明雄
21
風に吹かれて
何か重松清さんの作品を読んでいるかのようで、すぐに作品内に引き込まれた。樋口さんの故郷の岩国が舞台。今昔が判るような表記もあり、一度出向いたことがあるので少し土地勘があり判る部分もあった。登場人物の名前こそフィクションなのだろうが、内容はノンフィクションのよう。
喧嘩やいじめは普通にあった昔。今もあるだろうけど昔ほどではなく、昔は至極陰湿だったりした。結果、マイナス側に振る昨今であるが、この作品はプラス側に振っている。珍しい方なのかもしれないが、現代にも照らし合わせヒントがあるんじゃないだろうか。
この手のスタンドバイミー的な作品は好みであり、読んでいて至極楽しい。ただしこの作品は楽しい後に・・・。
11月28日
串田孫一
20
若き日の山
昭和初期の登山ブームをけん引してきた人とは、こんな人なのだろう。いろんな伝記や記述を読んだが、本髄に至ることは無かったが、串田さんの作品に出会い、「これだ」と思えた。
作品前半は、特異な人のように読めたが、後半は氏の内面がよく出ていて繊細さが判る。ちょっと過ぎると精神を病んでいるようだが、紙一重のところもあり、かなりセンシティブに行動していたって事にもなろう。訪れた土地への配慮や、そこから五感で得る感受性の部分は、かなり長けていて、それをしっかり活字として表現している。特異でありながら能力の高いバランスのいい人と思えた。
一見無謀のような行動も、しっかりと分析し対処方法を判っての行動でもあったろう。そして興味を惹かれるのは、単独行。一人だからこそ、ここまで磨かれたのかもしれない。登山においても人間においても。とても興味深い人になった。
昔の人は、みなバイタリティーがあったのか・・・いやあったにはあっただろうけど、ここまでの人は一握りであろう。
11月14日
井伏鱒二
19
荻窪風土記
なんと言う記憶力なのだろう。これだけ詳細に過去が残せる人の頭の中はどうなっているのだろう。日記を書いたとしても、よほど詳細に記録していないとここまで明細には残せない。人と物と時間が正確に記述されているようだが、この才能に驚かされる。
戦前戦後の東京は荻久保近隣の様子が書かれており、今住んでいる方、住んでいた方には、現代の様子も交え書いてあるので、より理解しやすいだろう。発刊からやや時間が経っているが、それでも。
柳田國男さんの記述を読んでいるかのようで、濃く深い。そして観察眼が長けている。この手の内容だと、覚えたいと思って読んでしまうのだが、知らない要素が多すぎて覚えねばならないことが多く、かなり飽和状態になってしまう。活字量も多く、珍しくちょっと読むのを中座する。
11月11日
樋口明雄
18
炎の岳
久しぶりに樋口さんの作品を読む。単行本は幅をとるし、kindleは目を悪くしそうなので避けており、文庫本が出てくるのをいつも待っているのだった。
K-9シリーズを全部読んでいるわけではないが、やはり面白い。展開がスピーディーで、ハードボイルド作品まで書く作者なので、ハラハラ感が絶妙。そして山を嗜む作者であり、表現方法が心地よく、フィクションがノンフィクションに感じリアリティーがある。
御嶽の噴火に大きく影響を受けている作品であり、パーティー行動のありかたや、後半には首相に対する吠え方も半端なく樋口さんがこの作品を通してシャウトしたように読めた。前作は、川上村の農家の外国人雇用状況に対し問題提起した作品だった。歯に衣着せぬ感じがいい。
血なまぐささの一方で、人と犬との温かみが表現され、読んでいての心地よさは、これらのバランスからなのだろう。
10月24日
井伏鱒二
17
山椒魚
独特の作風で、どの作品も読み初めに違和感を抱くものの、読み進めると自然と作品の中に取り込まれるように順応してしまい、作品に引き寄せられる感じであった。抵抗を抱く者を惹きつける作文力、これが作者なのだろう。そして見事な観察眼。人間観察もそうだが自然観察においても同じ。12編あるが、全く関連性のない異分野の話が書かれ、広角にモノを知っていることが判る、
朴訥さが漂う中、時々フムフムと感心させられる言葉並べがされている。読み易く、読んでいて楽しい微妙な不思議感。
10月 6日
さくらももこ
16
さるのこしかけ
「もものかんづめ」ほどに破壊力は無かったが、こちらはこちらで驚かされる。飲尿もあっけらかんと書かれており、嫌悪より興味を抱くほどに引き込まれる。作者の言葉遣い、活字遣いの魔法にかかっている感じがする。インドも、最大に卑下しながら再び訪れている。このウイットが溜まらない。彼女自身が最高に面白い人なんだろう。こんなことに今気づく残念。「女性自身」の敵対視ようもたまらなく面白い。
10月 4日
さくらももこ
15
もものかんづめ
作者がお亡くなりになられた。こんな事でもないと手にしなかったのが情けないのだが、読んでみて、もっと早くに読めばよかったと後悔する。
あの有名漫画のウイットはどこから来るものなのかと思っていたが、作者の洞察力や探求心、観察眼や興味がこの本から判る。そして歯に衣着せぬ作風で、爆笑を誘う。作文だけなら男が書いたような内容にも思えるほどエッジが立っている。
不思議と自分の幼少期と被るのは、同じ時代を生きてきたからだろうか。私も小さなころから盆栽をしていた・・・。
大笑いさせてもらった。
9月26日
小泉武夫
14
不味い!
美味しいものを判るには不味いものも覚えねばならない。美食家ほど不味いものを知っているのかもしれない。それを気づかされた一冊。不味いものばかりが書かれているが、不思議と美味しそうな雰囲気もある。食欲の中に、結果現れる勝ち負けが、不味いか美味いかになるが、個人差も多いはずである。
私などは、詳細が判らず美味い不味いと口にするが、作者は理由を理解して、解釈してそれを口にする。こうだからこうなっている。大事なことだろう。理解しているから、対応力もあるようだ。納豆の行で、それが読める。発酵が進んだ臭い納豆は乾かして食べるとか・・・。
食に係る本は、なんて楽しいのだろうか。不味いもののオンパレードでもそう思う。
9月16日
井伏鱒二
13
黒い雨
名作を読む。以前に山の本に読めた紀行文で、初めて井伏さんの作品に触れた。その時の柔軟な思考に出会い読みたくなったと言うのが本音。硬い作風なのかと思ったら、とても読み易い。読み易いように工夫されていると言った方がいいか。
原爆についての本を読んだことが無かったが、この作品が最初でよかった。回顧録のようにあり、本来ストレートに受けねばならないところを、ワンクッション置いた位置取りとなり、目を伏せたくなるような惨状が目を開いて通過できる感じであった。
原爆の被害がここまでとは・・・原爆ドームに出向いたが、やや目を逸らして見ていたが、本作によりやっと本当が判った感じがする。戦争文学の傑作と言う書評家に賛同。
少し時間を置いてまた読んでみよう。そんな気になる一冊であった。読み落としが無いよう時間をかけて読み、ひと月かかってしまった。
8月16日
工藤隆雄
12
マタギに学ぶ登山技術
自然と対峙するマタギのノウハウを登山に役立てよう、登山に取り入れ安全行動しようと言う内容。一人のマタギからではなく3人のマタギをリサーチしているのが本書のいいところ。一人だったら個人的な偏った内容になっただろう。そこは三人のノウハウが併記され、読み手側が選ぶ形となっているのはいい。
これ以上に内容が濃くなると、おそらく読み難いものとなったろう。このページ数でちょうどよく、それでも必要十分にノウハウが書かれ、薬草などの使い方は有益であった。そして雨天時などでもクロモジの使い方は知らなかったので、読んでよかったと思える。これからリキュールができる事も知らなかった。植林地で、キハダやクロモジが倒されずに残される意味を理解することとなった。
8月 8日
小泉武夫
11
猟師の肉は腐らない
フィクションなんだろうが、本当にノンフィクションに思えるほどに仕上げられている。作者が足で稼ぎ方々へ出向いているからこその、各方面をよく知った表現だからだろうと思う。旅好き、食通、そして民俗学にも長けている作者、読ませる作文能力もピカイチである。なんてテンポのいい面白さなのだろう。人間の三大欲求の食がたくさん書かれているってこともあろうけど、知らない事を知る楽しさ、ここでは昔の人の知恵なのだが、次々と開示されるノウハウが至極楽しい。
作者自身が主人公にみえ、義っしゃんもまた実在しているように思える。人間味ある関係、そしてお互いの配慮、そこに義っしゃんの飼い犬である猟犬のクマが加わり、より人間と動物との心を感じさせてくれる。
おそらく、もう一度読んでも、もう二度読んでも同じように楽しさを感じるだろう。山に生きるノウハウが多く、読み返したい部分が多い。
あとは、お酒が飲めての繋がりであり、二人が酌み交わす場面の表現がほんわかしており楽しかったりする。読んでいると、そこに入り参加しているような気分になるから不思議。
感心するのは、義っしゃんの言葉が全て方言で書かれていること。これでもかとあり、普通は読みずらいはずだが、それが全くない。話し言葉を文字にすると伝わりにくいものだが、全く負担でなく読めてしまう。
いい作品であった。
7月24日
浅田次郎
10
神坐す山の物語
浅田さんの怪談。いつもながら見事としか言いようのない言葉並べに活字使いで高級な作品に仕上がっている。
奥多摩入口のその場所は、まだ私には空白地であるが、有名地であることからおぼろげながら現地も判る。ある部分ではリアリティーさを出し、そして昭和初期を感じさせる部分では今でなく少し離れた時代の造られた風の内容に読めた。
よくある山の怪談とは異質で、作者の意図は巻末のインタビューで読める。今まで浸透水の様に読めた作品が多い中、ちょっと今回は、私には波長がうまく合わず、閊え閊え読んだ感じであった。本当を交えてあり、読ませる作り話との真偽が巧妙すぎる作品だからかもしれない。
6月30日
志田忠儀
9
山人として生きる
マタギの方の作品であり、読みづらい方言が沢山混じるのかと思ったら、それは無く逆に読み易い。そして猟だけにとらわれず、自然保護や登山にも注力したり、バランスのいい方であった。ちょっと驚いたのは、植物にも長け、いろんなものに興味を持ち覚える能力を持つのだろう。
戦時中の話も書かれている。志田さんだからこその表現だと思うが、生きるか死ぬか、やるかやられるかの中ではあるが、生きてきた過程として飾りなく朴訥と表現されている感じがいい。
広角に広範囲に守備範疇があり、多彩であり魅力のある人で間違いないだろう。遭難救助の部分も、猟の部分も、大変さをほとんど書かず普通にしている。生活する場を特別な場所とせず、生きるために必要な場所として受け入れている感じがする。
頭のいい人で間違いないだろう。この記録を自分で残そうとしたのであるから。軍曹までになったのだから間違いないだろう。
朝日山塊の書かれているこのエリアに入ってみたくなる。
6月22日
近藤信行編
8
山の旅
大正昭和編
じっくり各作家の作品を読まさせていただいた。明治大正編は、かなり読みづらい言葉運びがあったが、こちらは緩和されていた。それでも、こだわりを持った方々の作品であり、読み難い部分も無いわけではなく、一冊にここまで時間をかけているのはそれが原因でもあった。
最後に、明治大正昭和と通した解説がされているが、最後だからいい面もあるが、私は最初に書いてあった方が、好みに合わせて作品を注視できるようにも思えた。まあここは気になったのなら再度読み直せばいいだけの事であり、「最後」で位置は合っているだろう。書評のような事であるから。
先達の歩いた遠い昔のような内容に思うが、そう昔の話ではない事ではない。今に通じることが多いが、装備の違いを思うと、同じことをするにも先達の足跡は凄いと言えるだろう。
八ヶ岳の岩屋には一度行ってみたいと思う。これまで井伏さんに触れることは無かったが、今回を機にもっと読んでみたいと思えた。
5月17日
浅田次郎
7
オー・マイ・ガアッ!
カジノに縁のある人、好きな人が世の中にはいるようだが、作者もその一人であり、ノウハウや情報に長けているようだ。大きなお金が関わるので当然の情報量とも言えるが、知らない者にしてみると、初めて知ることばかりで新鮮であった。
そしてギャンブルをよく判って賭け事をしている。人生観も安定したものを持ち、作者のような人がギャンブルに染まらない人でもあろう。趣味の範疇までで・・・。
さて、本場ラスベガスが舞台。「当たり」が巻き起こすドタバタ様が、作品を読んでいる感があり、作られもの感があり楽しい。しかし一方で作者の本音が織り込まれ、人生をギャンブルとオーバーラップしたような形で語られている巧妙さ。この辺りは絶妙で、また言葉まわしが上手で感心させられる。
同じハッピーエンドにしても、通常と少し違う印象のラストで、ふり幅の大きさと情報量(作者の知識)の多さを楽しませてもらった。
4月10日
須藤元気
6
幸福論
クリエイティブな須藤氏の発想力をまたまた知ることになる。機転と言うか、勘所の良さ。トリッキーと言われた戦術は、けっして浮足立っておらず地に足がついていたことが判る。
そしてそしてウイットに富んでいて、作品を読んでいて全く疲れない。いろんなものに長けている人は、作文にもたけていると言えるのだろう。
作者は気づきを促してくれる事が多く、自分の読んだ本や知識を広めてくれる。バイタリティーもあり、肉体的な強さもあり、精神も強い。文武に長けているとは彼の事を言うのだろう。
幸福になるための意識。読めばすぐに判る。
4月5日
近藤信行編
5
山の旅
明治大正篇
23作品が詰まっており、先に読んだ抜萃のつゞりのような編成内容。ずっしりと重く、びっしりと書いてあるので、しっかり読んでいたら時間がかかってしまった。あと、昔の作文なので読み難い言葉遣いが多く、そこに引っかかっていたってこともある。巻頭からの数作品には、面白いながらもどかしさも感じた。
各人の個性が旅の内容に現れ、それを文章にし、この時の各人の多様性がいい勉強になった。上から目線で書く人も居れば、あくまでも謙虚に自然に向き合っている人も居る。違う人がこちらの作品の場所を歩いたら、どんな作文になっただろう。そんな事までも思ってしまう。
牧野さんの利尻山。高頭さんの平ヶ岳。この作品が特に面白く読めた。最後の小島さんの作品は、とても読み易かった。性格や文章力の比較をしてしまったり・・・。ともあれ、昔の山旅は「案内」ありきで、荷物も人夫が持つ。平民の遊びではなく裕福な人の遊びだったことが強く感じられた。そして齷齪とせずゆったりと山旅をしている。
2月19日
クマヒラ
4
抜萃のつゞり
今年も届く。各界の有名人の作文が抜き取られている。なかでも、水谷謹人さんの、「不平不満を言っている暇はない」はドスンと重く、グッと心に入り込んできた。
甲乙つけがたいと言うのが本音であるが、全て読むととても幸せになる感じがする。作品内に本を否定するくだりもあるが、これが本の良さで、クマヒラさんはいいとこ取りをしてくれているわけで・・・。
2月 9日
重松 清
3
一人っ子同盟
涙腺を刺激する第一人者である重松さん。今回は涙腺の個々の許容量を試すような作品か、徐々に、貯めに貯めるようにして最後に・・・。
ノブとハム子、自分に置かれた避けられない現実に向き合う内容。一人っ子と言う共通項を持ちつつ。昭和な作風が呼んでいて心地いい。こんな作風は、平成に対して描けるのだろうかと思ってしまう。昔が心地いいのは昭和以前なのではないだろうか。
障子一枚隔てた向こう側の親の話を聞いている子供の成長記。いいことも悪いことも聞こえ、知っていた昔とも言える。昔の子供は今より大人びていたってのは、そんな情報量もあったのではないだろうか。
オサムの強いキャラクターも、今ではあり得ないが、その昔なら・・・。オサムの境遇を理解してゆく子供・・・。気の強さを持つハム子が居り、角が立っていた途中までだが、最後にしっかりホッコリさせられる。そして小学校時代の、女の子の方が強かったと言う当時の実際が忠実に書かれているってことでもある。「ある、ある」「あった あった」な懐かしさが感じられた。
1月30日
奥田英朗
2
ウランバーナの森
奥田さんのデビュー作とのことで手にする。ファンタジックミステリーな雰囲気。それでいて主人公が間違いない有名人で設定してある。完全にそう思わせ、思わされる。軽井沢の登場する地理も大きくは違えていない。ノンフィクションに見せかけたフィクションのような、フィクションのようなノンフィクション。
便秘をこれほど引っ張るとは予想外であった。心理学を学べるような部分もあり、軽く読めながらも得るものがある。ジョンの取り巻きが多く出てくるので「洋」な雰囲気になりがちだが、タオさんの存在が「和」に引き戻してくれる。
軽井沢の喫茶店でジョン・レノンのサインを見たことがある。彼らが頻繁に寄っていた喫茶店なのだが、事実がある中で、そこを舞台に書かれているフィクション。
1月19日
服部文祥
1
百年前の山を旅する
こだわりと追及。言葉では簡単に片づけられるが、いざ実行しようとすると、そう容易くできるものではなく、自分に負けこだわり切れないところがあったり、追い求められないところが出たりする。しかし作者は強い。決めた目的に対し、その主幹を大きく外さず貫く姿勢がある。併せての追及心が後押ししているようだが、なかなかここまでの人は居ないであろう。人間としての強さがあり、その強さと言うのも体が強いというのではなく、生き物としてのセンシティブな強さ。
そして作者の文章力に、なんども感嘆する。たぶんこだわりがここまでにしているとは思うが、ねじ伏せるようにしても言葉をひねり出し活字で表現している。「そこに山があるから」と簡単に答えるだけも俳句のように風情があるが、なぜ山に登るのかと聞かれたら、きちんと言葉を並べて答えてくれている。ちとそれが掘り下げすぎて難しい側に振っている時もあるが、それでもしっかり言葉にしているのが凄い。
偽者なんていないとは思うが、彼はホンモノであろう。いろいろ外野は言うが、行動と実行を伴う事からも、机上での作り物とは違うホンモノを感じるのだった。
たまにこのような作品に触れると、だらけていた思考に渇を入れてくれる。
黒部奥山廻りのところでは、カシミールを立ち上げながら読み、これが結構楽しかった。詳細に経路が追えるので、読むのも地図を見るのも楽しいのだった。一か所、「1601」標高点を書いた場所があるが、正解は「1610」高点の事だろう。アラさがしをしているわけではないが、そこまでしっかり読み、地図を見ていた。