石仏  1915.9m         
      
    2004.12.18 


   晴れ    単独    栗生川上流ゲートから        行動時間 :不明



  登山記録・写真ともに紛失、記憶に頼る。(2008.3.19 再作文)



 山の名前が石仏とは如何に。地元の人に由来を聞きたい所であるが、外野で判断できるのは視覚的な部分のみ。ある角度から見ると石仏に見えるのではないか、山頂に石仏に見える自然石があるのではないか、そんな事を思いながら地図を眺めていた。 山の南側には上州と信州をつなぐ峠道があるようだ。それを利用するように上野村からアプローチしても良いようだが、カマガ沢源頭付近の取り付き地点までの林道が長い。となると残すは信州側。こちらは県境辺りまで林道が上がっているので、短距離で到達できると読めた。しかし県境稜線の藪の話は以前から耳にしていたので、現地ではそう簡単には歩かせてもらえないだろう。山の名前から信心的な気持ちと、藪に対する気合を入れて挑む事にした。

 南相木村栗生地区には、御座山への登山案内所が造られている。そこを左に見て栗生坂に向かうように進むと、途中で左にダート林道が入っている。これが栗生川支流へ向かう林道である。やや狭いが、路面の状態はよく走っていても上下動は少ない。出かける前に村役場や、営林署にこの林道の通行許可を得ようと電話をした。すると途中にゲートがあり、その先は進めないとも情報を得ていた。それがどこなのか全く判らず、どんどん奥に進む。すると分岐から1.6キロ地点にそのゲートが現れた。ゲート少し手前には3台ほどの駐車余地があり、そこに突っ込む。付近は国有林で、厳密にはこの林道は入ってはいけないらしい。いけないのを判って入るのと、知らないで入るのでは罪の重さが違うのだが、悪意は微塵も無いので入山させてもらう。

 ゲートを越え林道を東に進む。途中左側の山の斜面に山ノ神が見える。その先には朽ちた造林小屋らしき廃屋もあった。右(南)に栗生川の流れを見ながら、左(北)には高さ50mはあろうかという垂直の岩壁が続く。ここの通過はかなり怖い。時折ポロポロと岩が落ちてきていた。林道上にも大小凄い数の落石が残っている。ほとんどが鋭利な角があり、頭上注意の看板も見える。自然と早足になった。しかしここの通過は距離が長い。右手にはこの後に狙っている茶屋ノ平もあるのだが、林道から見上げてもどこが山頂なのか同定できなかった。

 予定では弥次平まで行き、そこから県境に入ろうと思っていた。しかしその弥次平向かう林道がヘヤピンカーブとなった所で、東側の壁が緑色の特異な色で吹き付けてあるよう壁がある。そこにはカーブミラーもあるのだが、良く見るとそこから谷の方へ踏み跡が続いていた。だめなら戻ればいいやくらいに思い、足を踏み入れてゆく。かなり不明瞭だが、谷の中に踏み痕は見え隠れしていた。途中にマーキングもあり、人の気配のする谷であった。草が枯れている時期なので良いが、繁茂している時期だと掻き分けながら進む事になるだろう。上の方に行くと踏み痕もぼやけて、適当に自分でルートを選んでゆく。そしてあっけなく稜線に上がってしまった。ここには藪は無く、歩くのにさほど不自由しない植生であった。

 石仏が近い。山頂に昔から置かれた何かあるのではないかとドキドキしながら足を出してゆく。最低でも祠があったり、石仏があったりして出迎えてくれるだろうなどと思っていた。どんどん高度を上げるとなんだか予想外の展開になってきた。県境稜線上は樹林だが、そこから西の三角点峰に向かうとかなり明るいのである。それは人間の手が加えられ明るくなっているのだが、南側と西側の木が伐採され展望の良い場所になっていた。 少し暗いイメージの山頂を思っていたのだが、全くの予想外であった。南相木ダムがこの時建設中で、それに関わる部分なのかと勘ぐったのだが真相は判らない。まだ作業は進行形の様子で、この先どのくらいはげ山になってしまうのかと思ったのだった。三角点も無造作に置かれている感じで、探すまでも無くすぐに目に入った。そして山頂から南西側へ踏み跡があった。恐らく「ぬくい沢」に通じる峠道に合流するのであろう。人気のしない静かな山を思っていたのだが、全く逆の人工的な感じのする山頂であった。

 少し長居をして往路を戻る。次に赤火岳に向かう。往路の尾根に上り上げた所を通過し西進して行く。だんだんと県境稜線の本領発揮で、笹薮が増えてくる。さほどひどくは無いが、両手で漕ぎながら分けて行く。表現としては、「喉がいがらっぽくなるほどの笹の量」で判るだろうか。弥次平を前に、その奥に会社平側の高みが見える。だんだんと密生する笹の様子に少し萎えてしまったのだが、バリバリと分け入ってゆく。時折マーキングも目に入るが、県境踏破隊の残した物であろう。

 会社平手前の、南相木、北相木、上野村の村界交点の南側の高みに着く。雑木で覆われあまり展望は無い。木々の間からなんとか赤火岳のスクンとした姿が見える。ここで携帯が鳴った。相手はKUMO氏であった。緊急を要する事情でここで山行は中止せねばならなかった。すぐに下山に入る。会社平側に降りれば林道は早いが、距離を優先して弥次平側に下る。途中我慢しきれずショートカットするように進むが、この南斜面一体は酷い藪で、足元に林道が見えた時は、まるでオアシスを見つけたかのようにホッとした。林道を早足で降りて行った。

 石仏を狙うにあたり、今回弥次平とカーブミラーとの2点の取付き点を見てきたが、南相木側からの林道利用のアプローチだと、カーブミラーの取付きから入り、同じ所に下山するのが一番早いであろう。ここを使えば藪に悩まされることは無いからでもある。

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