燕山  2004m      古礼山   2112.1m      水晶山     2158m         
      
    2004.12.11 


   晴れ    単独    新地平を基点に反時計回り周回        行動時間 :不明



  登山記録・写真ともに紛失、記憶に頼る。(2008.3.12 再作文)



 今回は雁坂峠と雁峠の稜線を歩く事にした。都合の良い事に三富村からアプローチすると、無駄なく綺麗に周回ができる。あとは時計回りか反時計周りなのだが、日本三大峠の雁坂峠である。美味しい物は後回しと、最終目的地にし反時計回りの予定とした。そして基点をどこにするかが問題だが、これは現地で判断する事にした。有名ルートであるのであえて現地情報は要らないだろう。回想文となる。

 雁坂トンネルを越えて山梨側に出る。料金所ブースの東側が駐車場であり、ここに置こうかと思ったが、この先も下りであり、帰りに負担にはならないだろうと、もう少し先に車を進める。しかし広瀬湖の左岸側の新地平は、売店や一般民家もあり、適当な駐車余地が無かった。再び先ほどの料金所脇まで戻ろうかと思ったが、国道140号を伝った3.3キロほどが結構に長く感じ、戻るのが億劫になり
付近で探す。丁度地域の消防の小屋があり、その脇辺りに余地があった。忍びないがここに駐車し準備をする。

 亀田林業林道を伝い雁峠に向かう。数分進んだ所にゲートがあり、車はこの先への侵入は不可。付近には適当な余地は無い。林道が広川と絡むような場所になると、プレハブ小屋や重機が置かれ、林道工事中の状態であった。左側に杉の植林帯を見ながら森林浴を楽しみながら歩いて行く。いつしか気がつくと杉がカラマツに交代し、広川支流の沢道になる。よく歩かれている道であり不安要素は皆無。どんどん高度を上げ峠が近くなると、カヤの金色と空の青とが視覚を支配する。

 雁峠に到着する。当初は空荷で雁峠小屋を見てこようと思ったのだが、先を急ぎ小屋側には背を向ける。途中で振り返ると、雁峠を見下ろすのだが、なんとも高度感がある。この先、地形図では燕山の北側に登路が書かれているが、稜線も良く踏まれて山頂には標識も付いていた。休憩がてらにトランシーバーを握り儀式に入る。肺が達者でない私には、この話すと言う行為は結構に負担になる。あまり展望は無いのだが、高みに立っている感じは実感できる。少し呼吸が落ち着いたところで先を目指す。

 稜線を歩きながら右を見ると、滝川の深い谷を挟んで和名倉山が見える。前年度に歩いた稜線を見て山座同定をするのだが、私はこの同定がどうにも苦手なのである。いつも雰囲気で山を眺めている。次に向かう古礼山も地形図では登路が北側を巻いている。しかし先ほどの燕山の様子を踏まえると、間違いなく登路があると思えた。足を進めると案の定、北を巻くトラバース道とは別に山頂に向ける道が付いていた。

 古礼山の山頂部には三角点を前にして立派な標柱が立っていた。その標柱の大きさに、持ち上げた人の苦労が偲ばれる。次に思うのは、山梨静岡での標柱の諍いである。山梨と埼玉では起こらないであろうが、二の舞にならないことを願うのだった。標識を付ける人に取り去る人、建てる人に抜き去る人、いろんな人が居るものである。ここでもトランシーバーを握り儀式となる。丁度標柱の上が良い置き場になり、それに凭れ掛かりながらハンディーマイクで交信となった。あまり展望は無いが、閉所感が無く居心地は良かった。ここで少し腹に物を詰め、長居となった。

 古礼山から水晶山まではあっという間であった。この水晶山にも先ほどの古礼山同様に立派な標柱が待っていた。今日はハイキングにふさわしい歩き方をしているような気がする。おそらくこの稜線の景色や起伏がそう思わせているのだろうが、それより何より足許は一級の道であり、それが一番の安心材料になっているようであった。今日最後の儀式をここで追え、最終目的地の雁坂峠に向かう。ここまでまだ行き交う人が居なかった。もっともスタートが早かったので、どこかの小屋発でないと擦れ違わないとは思っていたが、そろそろ下から登り上げてくる人も居る時間であった。

 雁坂峠到着。大きな標柱の向こうには甲武信岳側の山波が続いている。雁峠もすばらしい場所であったが、ここは流石に三大峠と呼ばれるにふさわしい場所であった。少し北側に進み、腰を下ろし山梨側を望む。こんなときはどうしても太陽のある南側を見てしまうものである。秩父側にある雁坂小屋はKUMO氏が電気配線をしたと聞く、少し覗いていこうかとも思ったが、体は山梨側を向いたままだった。到着から10分ほどした頃か、峠沢から単独行の方が登り上げてきた。軽く会釈をしてお互いの時間を楽しむ。あとは下るだけ。

 下降開始。九十九折を辿りクネクネと降りてゆく。思いのほか長い下りで、林道に降り立ったときにはホッとした。ここから林道を辿るのだが、途中に数箇所分岐があった。そこには特に道標が無かったので、登りの場合は注意せねばならない。次第に車の音が大きくなると、朝に訪れた料金所ブースも近い。既に日が落ちて付近は薄くらい場所になっていた。国道140号に対し縫うように歩いてゆくと、高架下辺りにやや大きなプレハブ小屋がある。なぜか今回の山行で一番に記憶に残っているのはこのプレハブ小屋であった。オウムの事件が終わったと思ったら、次にパナウェーブが話題になりだした時期である。そんなこんなで怪しそうなプレハブ小屋に対して警戒心を抱いたのだと思う。

 広瀬地区の駐車場所に戻る。なにか駐車禁止の張り紙でもされているのではないかとドキドキしたが、それは無かった。勝手な言い分だが、ここ新地平に公的な駐車スペースがあると嬉しいのだが・・・。今回はとても静かな山歩きが出来た。峠で男性に行き逢った以外に、歩行中に擦れ違う人は居なかった。メジャールートを歩く場合に気になるのは、一番に人の多さである。人嫌いではないのだが、なるべくなら人に逢わずに自然と対峙していたいと思うのであった。

chizu1.jpg

chizu2.jpg

                                     戻る