金山岩   2532m       
      
    2005.3.2   


   雪   同行者あり    行動時間 :不明



 登山記録・写真ともに紛失、記憶に頼る。(2008.1.10 再作文)



 2004年の4月の時点で、コンサイス山名辞典に掲載される乗鞍岳の未踏峰は無くなっていた。それがコンサイス直系の日本山名事典が2004年の5月に発刊され、この金山岩も含めて再び登らねばならない山がいくつか増えた。以前に十石山を硫黄岳側から狙おうかと思った時があり、それが実行されていれば踏んでいたが、十石岩は白骨温泉側からのすばらしいスキーコースを楽しんで踏んでしまった。こうなると金山岩のみを狙う場合は、平湯温泉スキー場(現ひらゆの森)からのアプローチが最短となる。スキーを履いて狙うことにした。

 ここも北陸エリアと言っても良い範囲で、越中のEAS氏に声をかけると二つ返事で同行を約束してくれた。さらには丸黒山に同行していただいたT氏とその友人のK氏も参加との事であった。いつも単独行である中で、久しぶりに賑やかな登行が出来そうであった。三才山トンネルに潜り松本に出て、158号に伝って安房トンネルに潜って平湯に到着。スキー場の駐車場に着くと、かなりの暴風雪であった。EASを無線で呼ぶと返答があり、この天候下での行動を話し合う。中止か決行かの選択であるが、お互いにせっかくここまで来ているので、天気の回復をしばし待つ事にした。少し遅れてT氏とK氏も到着。横殴りの雪、そして車が左右に5センチほど揺れているのが判る。どうなる事か。

 スキー場始動時間になっても当然のように動かない。何度も管理室に出向いて状況を聞くが、自分への慰めでしかなかった。このまま下から登りあげてしまおうかと思ったが、状況が状況だけに微妙な選択でもあった。それでも車を揺らす風の間隔が広がっているのはあからさまに判った。「回復に向いている」と確信していた。駐車場を訪れるスキーヤーはまばらで、現状を見て帰って行く人もちらほらと見られた。始動時間から1時間ほど経過しただろうか、風の弱まりに準じてリフト作業員が動き出した。管理室に行くと動かすと言う。すぐさま準備をして片道のチケットを購入。そして動き出したリフトにしがみつき上に・・・。途中凄い揺れであった。これはまずいだろうと言うような風の強さであった。それでもワンチャンスでもいいので動いてくれたことはありがたい。なんとか頂上駅に到着し、アプローチ最初の部分はクリアーした。少し歩いてから振り向くとリフトは止まっていた。そんなことは無いとは思うが、五月蝿い我々に対して配慮してくれたのかも。

 三角点峰まで登ると、そこから木の林立する平湯尾根を上がってゆく。時折マーキングもあり、あまり視界が無い中でも安心して歩ける場所であった。シールに物を言わせながらがつがつと上がってゆく。もう最近はEASは完全に山スキーヤーになってしまい、私との力量の差は歴然であった。EASをトップに、引っ張っていってもらっている状況でもあった。平湯尾根から金山尾根に乗ったあたりで、付近が開けた場所になる。あまり視界が無いのでマーキングをしながらの登行であった。尾根上のシラビソ帯付近は雪穴が多く、気をつけながら行ったのだが、一度沈没。T氏も頭まで潜るほどに落ちていた。スキーを履いていても落ちるところは落ちるのである。樹林帯は要注意なのであった。

 2300Mを越えると雪質が変わり、凍てついてガリガリになっていた。右前方には目立つ突起した高みが見える。地図上にも記される場所で良い目印であった。さらに進み2400M付近でEASが足を止めた。もうスキーでは無理なようだ。EASは私ほどにピークに拘りが無いので、ここから滑降でも良かったようだが、少しお願いしてアイゼンに切り替えて上を狙うことにした。目立つ立ち木の脇にスキーをデポする。風は20〜25mほど吹いており、体を立てているのがやっとの状況である。時折吹く暴風に何度も耐風姿勢をとりながら進んでゆく。山頂部に上がると会話もままならないほどの状況で、目出帽越しに互いにジェスチャーをして行動の連絡をしていた。下山もほんの数分前のトレースが辿れず、少し北側に膨らむようなルート取りをしてしまう。この時EASはしっかりしたルート取りが出来ていたようなのだが、ガーミンのGPSで、画面上に地形図が表示できる物を使用していた。この時を境に同じように表示できるGPSを購入しようと思ったのであった。

 立ち木の場所に4人が揃い、いざここからスキー滑降となった。本来なら広い幅を自由に滑れるはずであろうが、リボンを追うように直線的に滑り降りてゆく。往路に尾根を通ったところは無理をして狭い尾根を通過し、それがこの時の天候下で安全に戻る方法でありしょうがなかった。EAS氏とK氏が先行し、T氏と私がのんびりと降りて行く。登りでほとんど体力を消耗しているので、足に踏ん張りが利かず、ほとんどスキーにならない。常々スキーには向いていないのではないかと思うのであった。登はん具としてのスキー利用が主で、滑降の部分は従なのであった。

 三角点峰まで戻ると、後はスキー場内を行く。夕方ではあるが、また終業時間には早いのにスキーヤーの姿は無かった。やはり今日はリフトを動かしたのはあの時だけだったのかも。右寄りに進み、林間コースのような所を行く。スキー場内であるが、ふかふかの雪が堆積し、これまでの斜面と変わりないような状態であった。各々のシュプールを描きながら下へ下へ。そして駐車場に到着。少し強行ではあったが無事踏んで来られ大満足であった。

 平湯インター口で越中組みと別れ、158号を松本に向け帰路につく。

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