茅ヶ岳  1703.5m        金ヶ岳    1764m       
      
    2005.1.22  


   晴れ   同行者あり   南面の林道を利用し周回   行動時間 :不明



  登山記録・写真ともに紛失、記憶に頼る。(2008.2.2 再作文)


   
 二百名山の茅ヶ岳ではあるのだが、深田久弥さんの終焉の地でもあり、違う意味での百名山の山であるような気もしていた。加賀の錦城山に登ったのはかなり以前になるが、その時に深田さんの生家を拝見させていただいた。当時も普通に生活しており、あまり見せ物的になってしまっては申し訳ないので軽く見た感じであるが、今でも続く百名山ブームに大聖寺を訪れる登山家は多いと聞く。この茅ヶ岳も深田さんを偲ぶ意味で訪れる方も多いだろう。私は特に百名山信者ではないのだが、名山としての茅ヶ岳は踏んでおかねばならなかった。

 珍しく今回は息子が同行となった。深田公園の駐車場脇から、さらに奥まで車を突っ込み駐車をする。積雪量は30センチほどであった。既に1台停まっており、丁度準備を終えた男性がスタートするところであった。急いで準備し後を追う。右手に廃車を見ながら行くと一度林道を跨ぐ。地形図と見合わせて、いまひとつこの林道の正体が判らなかった。登山道はしっかりしており迷う部分は無いのだが、つぼ足状態で、膝くらいまで踏み抜きながら進んでゆく。先を行っていた男性に追いつき追い抜いたのだが、ここは我慢して後続が正解だったようだ。それでも一人分のトレースが先に進んでおり、少しは労力軽減されるが、やはりこの時期に訪れる人は限られるようであった。尾根に乗りしばしで深田さんの終焉地がある。そこには御影石で作られた墓標に値する標柱が立っていた。静かに頭を下げて通過。思った以上に雪まみれになりながら上がってゆく。

 茅ヶ岳に到着し小休止。御団子形状の標柱があり、黒いゴマ団子に砂糖をふり掛けたように雪が乗っていた。トレースの主はここに居るのかと思ったが、金ヶ岳の方に進んでおり、これは願ったり適ったりであった。先に行く人はどんな人だろうと思いつつ後を追ってゆく。石門を潜り、相変わらずのつぼ足が続く。後ろから着いて来る息子も私のハイペースに歯を食いしばっているようであった。特に今日のコースを伝えていないので、訳も判らず歩かされている格好であり、心中察するところである。

 南峰を経て金ヶ岳に上がると、そこにも人影は無かった。トレースの主は何処に・・・。再びここで小休止とし地図を眺める。車まで戻る方法として、往路を辿る方法と明野側に降りて林道を戻る方法とがある。一応息子に相談すると、予想した通り「早く戻れる方」と言う。答えからして、やはり連れて来たのは無理強いだったか・・・。さてどちらが短いのか。下り勾配なので明野側に降りる方が労力の軽減と思い、南西に下りて行く事にした。

 少し下ると、そこには20代と思しき女性が居た。しきりに雪の表情をカメラに収めていた。トレールの主は予想外にもこの若い単独行の女性なのであった。風体からはかなり山慣れしている様子が窺えた。ここまでのトレールのお礼を言いたかったが、寡黙な方のようでそんな空気が読み取れた。軽く会釈をして無言で追い越してゆく。夏道は全く判らない状況で、やや不安になるような所もあったが、高度を下げて行けば自ずと林道にぶつかるだろうと降りて行く。そして林道に降り立つと明野町の道標が立っていた(山を示す物だったか記憶なし)。

 林道は日差しの当たる所は地面が出ている所もあったが、大半が雪の覆われていた。林道に出れば楽に歩けるだろうなどと簡単に思っていたが、そう甘くは無かった。東に進んで行くとしばらくして分岐があり、その分岐には何も表示が無い。どちらへ行けば・・・。適当に水平道の方へ行く。そしてその先にも再び分岐があり、左の方を辿ると「千本桜」の場所に登りあげた。無駄足になったがこれでおおよその場所は把握できた。と言うのは、私の持つエアリアマップと地形図とで、林道表記が微妙に違っているのであった。現地に居ても林道が実際にどのようになっているのか判らないのであった。ただたた東側に向けて歩くのみであった。だんだんとゴールに近づいていることは判るのだが、そこそこのアップダウンがあり、林道だからと言って楽ではなかった。楽なのは往路を戻る事だと途中で確信した。もうここまで来て判っても遅いのだが・・・。一人なら別段思うことは無いのだが、同行者の「早く戻れる方」と言う投げかけに完全に逆を行った格好になり、なんとも肩身の狭い思いであった。

 そして林道は、往路に登山道が林道を跨いだ場所に行き着いた。ここへ来るのかと、周回して付近の様子が大分掴めた格好になった。既に何パーティーも入っているようで、登山道はしっかりしたトレールが出来ていた。快適な踏み跡を伝って下ってゆく。車に到着すると、下山を終えたご夫妻がそこに居り、満足そうに身支度を整えていた。私の登りの時はやや辛いと感じたが、私らを含め朝からの4人が通過した後なら、大分楽に登れたであろう。この時期のトレールの有る無しは、登山に対しての負荷もかなり違ってくる。少しスロースタートをして他人のトレースを期待するのも、この時期の登り方の一つの方法であると、この時思ったのだった。


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