御巣鷹山 1639.4m
2005.12.31(土)
快晴 単独 少々残雪 行動時間 :4H14M
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@又尾山側からの林道と、葡萄沢を基点に始まる林道とがぶつかる場所から南側500mに、このような作業用のトンネルがある。このトンネルの先の道を行くと通気口に通じる。 | 取付きの壁。見た目以上に垂直である。 | A稜線に上がるとこのような状態の尾根になる。切り開いた感じは無いが、良く踏まれた感じはしている。 | 途中にあったダンダラ棒。通過点のマーキング代わりに使われているようである。 |
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B1747ピーク。この付近はやや植生が濃く、藪ではないが、居心地は良くない。 | B1747ピークから県境側。1815ピークを見ている。 | C御巣鷹山山頂。西から登ってくると、円錐形の山のように感じる。 | C三角点の測量台。 |
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C南側(大蛇尾根側)。 | C達筆標識。この山には似合い過ぎる。 | C早速いたずら書きを残す。 | D1747ピーク帰り。 |
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尾根は植生の薄い場所もあり、全体の2割ぐらいは歩きやすい場所もある。 | 途中から県境側。 | 途中の岩峰にもダンダラ棒(中央)が立っていた。 | 途中から1606ピークを望む。往路、これが御巣鷹山かと間違えていた。 |
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E寄り道をして1594ピークに上がる。下の工事現場を望む。このピークにも踏み痕はあり、残留ゴミも確認できた。 | 1495ピークへの登り。 | 稜線からの下降点。雪があり判りずらいが、下に向かって道が降りている。 | 雪の下には、古い木製の階段があった。トンネル設置に関る作業のために造ったのかもしれない。 |
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かなり急な滑りやすい所を下りてくる。滑れば車道まで30mほどはあり、緊張する場所であった。 | F階段下降中。このあたりはドキドキの最中。撮影している場合じゃなかった。 | 葡萄沢からの林道入り口のゲート。帰りも開いていたので閉めておいた。 | ゲート横の山の神。 |
あの大惨事以来この山の名前は有名になった。ただ2.5キロほど離れている事故現場とこことは、全く違う場所を言って良いと思う。事故現場を中腹に持つ山なら、鎮魂とか慰霊とかを加味して登るつもりはあったが、今回はその部分とは完全に切り離して考える事にした。
2005年の集大成に、ここはうってつけの山である。TEPCOから最新のパンフレットを貰って、付近の様子を熟読した。何度もシュミレーションをして決行を決めた。と言ってもいつも臨機応変で、どんな場面に出くわしても登る方法。即ち、沢ルート、尾根ルート、などなどいろんなルートを地図から見出したくらいで、「ここ」と決めたところがあるわけではなかった。
朝起きると風が強い。今日もまた鈍い出足である。やる事をやり、洗濯を干してから出かけたのが8:05であった。全くのスローペースである。山間部へ向かう車の流れも遅く、いらいらしながらハンドルを握る。昨晩雪が降ったらしく、湯ノ沢トンネル付近から道が白くなっていた。浜平鉱泉側に入り、昨日下見をした通りに現地に入る。雪が降った事で、日影より日向と思い、大蛇倉沢から攻めようと思ったのだが、林道入り口のゲートを前にしばし悩む。ここに来る前に、大蛇尾根の基部から道が上がっていたのを見ていた。とりあえずそこも見ておこうと行ってみる。林道に入るとなんとゲートは開いていた。猟師の仕業か。正月に作業をするわけが無いのでTEPCO関係者ではないのだろう。
悪意はゼロのまま中に入った。この林道は地形図上では途中で止まっている。だが、TEPCOの地図では中ノ沢林道と繋がっている。行ってみる価値はある。ナビを動かしながら行くと、御巣鷹山のすぐそばを道が通っているように示した。こうなるとアプローチはもうこちら側しか頭になくなった。山に対して最短地点から取り付こうかとも思ったが、標高を重視し、最高所から入る事とした。品塩山からの林道が合流した地点から少し中ノ沢側に下った所に封鎖されたトンネルがある。この脇に階段が取り付けられ、稜線に上がれるようである。ここから入る事にした。駐車スペースは十分である。
9:34コンクリートの擁壁を階段を恐々登って行く。階段が無くなる先からすぐ雪で、とても危険であった。笹を掴みながら万全の注意をしながら這い上がる。進行ルートは赤ペンキで示してあり、途中から木の階段も設置してあった。何のためなのかよく判らない。9:42稜線に上がる。意外に良い道が通っている。人の踏み分けた道かどうかは判らないが、品塩山からの道とすれば少しは納得がいく。稜線を外さないように歩いて行くとすぐに岩峰越えとなり、慎重に一つ越すと、少し歩きやすいルートを経て次に急峻が待っている。雪で滑りやすく、靴をハの字に開きグリップさせながら這い上がる。一端下り再び登り上げ、ここは恐らく1594ピークである(ルートファインディグに困った場合しかナビを見ないことにしている)。踏み跡は左を巻いており、山頂は通って居なかった。そのまま獣道のような踏み跡に従う。次に危険な岩峰がお出ましになった。雪の上の足跡から鹿が通っているのが判るのだが、鹿は左側(東)を通っているようでそれに従うが、結構にやばい。躊躇しながら上に行こうとするが、これもやばそう。結局、鹿に続いた。ここを過ぎると目の前にこんもりとした高みが見える。1747峰なのかと思い駆け上がるが、そこは手前のニセピークで、さらに先に高みが待っていた。だんだんと笹も濃くなり、顔を打つようになる。目に刺さらぬよう注意しながら歩いてゆく。歩きやすい所もあるが、全く反対で両手でかき分ける所もある。結局の所はあまり歩かれていないのだろう。
1747ピーク到着11:04。ここまでで1時間半。出るのが早ければ何も問題ないのだが、もうこんな時間かというような感じもあった。辺りは樹木に遮られ、視界が無い。辛うじて県境側の山々は見える。さてここから嫌な事に、高度を下げねばならない。覚悟してきているものの下るのは嫌なものである。ここも鹿が通っていた。最初はなだらかな地形で、途中から一気に下りだす。尾根上に大きな木が進行方向に真っ直ぐに倒れていた。そこの上を歩こうとしたら見事に転倒。完全に自然に遊ばれている。だんだんと目指す山が見えてきた。すばらしい岩峰の様相である。「御巣鷹山」その名にふさわしい山容であった。鞍部からは岩と木を掴みながら這い上がる。
11:25山頂到着。三角点はあるが、あるべき達筆標識が無いので、どうしたものかと探すと、登って来た側の木に付けられており、気が付かなかったのであった。しばし余韻に浸りながら休憩をする。この山はスクンと立っているものの展望が無い。まーしょうがないだろう。ここに立てているだけで十分満足である。トランシーバーを握り儀式をする。こちらは登頂の喜びでいっぱいで、御巣鷹山の名前を言ってしまうのだが、相手局の人はピンと来ていない模様であった。まー知らない人も居て良いだろう。
11:55下山。往路をを自分のトレースを拾いながら歩く。登り上げはなかなか辛く、足が滑るので両手がだいぶ活躍した。1747ピークは、帰りはトラバースして端折ろうかとも思ったが、方向を決めるのにもう一度登りなおした12:26。ここでアイゼンを着けようと、ザックを探したが入っていなかった。かなりショックであった。あるべきものが無いのは辛い。この先の雪の乗った難ルートをどうしようか、少しブルーになる。それでも無いものは無い。我慢して歩き出す。最初の鞍部に来ると、右側に人工物が見えてきた。丸く口をあけ、どうやらトンネルの換気口であるようだ。とすると、林道を走りながら見えていた山腹に付けられた道は、この管理用道路だったと言う事だ。入り口にトンネルさえなければアプローチに適当で利用したのだが、トンネルだとは予想していなかった。
トレースを追うものの何度も外してしまう。これが無積雪時だったら、もっと神経を使うだろう。ダンダラ棒があったピークはしっかり岩尾根を通過。そして次のピークが1594ピークで、ここは西側の展望は良い。途中に栄養ドリンクの空き瓶が落ちていた事から、こんなところにも好事家は訪れるようだ。左側に大きなプラントも見えてきた。察するに、このあたりに南相木に抜けるトンネルがあるのだろう。途中尾根を外してしまい修正する。要注意の箇所が1箇所ある。1594と1496の中間ピークである。自然と歩く方向が北西に行ってしまう。修正して痩せ尾根の方へ行かねばならない。1495に上がるともう車も近い。がしかし今回は最後まで気を抜けない。最後の最後まで神経を集中せねばならない。
13:29稜線の下降点から下る。思ったより歩きやすく、階段が上手くブレーキになった。階段が無くなると両手で笹を掴み確保する。黄色い階段が見え出したら神経を最大限集中させる。落ちれば間違いなく重症を負う事になる。流石に滑りやすく気を抜けない。アイゼンが欲しい場所だった。階段に足がかかり、足を3段目まで下ろすと1段目がやっと手で握れる。それまでが恐怖であった。上からカメラで写そうと思ったがリスクが大きく。一度下まで下ってから、ザックを下ろしてもう一度撮影しに登ってみた。
13:45下山完了。正月のこの時期に限っての特別山行かもしれない。工事関係者が居れば、まず入れないだろう。たまたま大蛇倉沢のゲートで躊躇した事が幸いしたのだが、運が良かったとしか言いようがない。又尾山側への林道もゲートされていた。ここからアプローチすれば近いのだが、まーまたあとで出直すことにしよう。
14:00車に乗り下る。ゲートまで下ると、まだ開錠されたままであった。雪に付けられた轍から、自分の他にも数台入ったようであった。帰路、中ノ沢林道を調査するも、品塩山方面の道には繋がっていないようであった。あの幅の道はどこから始まっているのだろうか。次回のお楽しみである。
念願だった御巣鷹山を踏めて最高の大晦日であった。今日で連続登山3日目、明日は天気が悪いらしい。初日の出山行はおあずけかも・・・。
今回私が使った林道は、工事が終われば南相木村への連絡道路として利用できるような噂も聞いております。ゲートから取付きの擁壁までは、11キロほどです。擁壁に付けられた階段は作業用であり登山用ではありません事、ご了承願います。