社山   1826.6m       
      
    2005.2.6   


   晴れ    単独   立木観音付近より    行動時間 :不明



  登山記録・写真ともに紛失、記憶に頼る。(2008.1.22 再作文)


   
  122号線で日光エリアに入る。いろは坂は圧雪で、脇に積まれている雪の量も多い。今日は社山を目指すのだが、トレールがあればいいが、一人でのラッセルでは、もしかしたら届かないかもしれない。そんな事を思いながら雪煙をあげながら進んでゆく。立木観音の所には、5台ほどの前夜からの停泊者(車中泊)があり、轍はまだ先に進むのでゲートの所まで突っ込むと、ここにも4台の車が停まっていた。そして踏み跡が湖岸側の道に続いていた。“これは楽が出来る”などと思いながら準備をする。降雪後でもあり、スノーシューが良かったが、今日は和カンジキしか持ち合わせが無い、無い物は無く有るもので行くしかない。

 スタートして1分もしないうちに、目の前に人が居た。どうも夜明けの湖の写真を撮りに来ている方であり、トレールは御仁らのものであった。四季を通じて中禅寺湖はカメラマンに好かれているようであり、立木観音の所の車もそうなのであろうと思った。この先の雪を見ると、残念ながらトレール無い。薄っすらと通過している道形はあるものの、ほとんど雪に埋もれている状態であった。一歩一歩、膝ほどまでのつぼ足を強いられた。

 狸窪までは、それなりに雪の下にトレールはあったものの、この先は皆無。気合を入れなおして突っ込んでゆく。何も音のしない、自分の雪を踏みしめる音のみが耳に入ってくる。腿を上げ踏みしめる事の繰り返しで、股関節が痛くなるほどであった。右側の中禅寺湖を見ると湖畔から数十メートルは氷結しており、その先で黒い水を湛えていた。湖岸の植生は割りと大木が多く明るいのだが、なんとも寂しい場所に思えた。夏道がどのようについているのか判らず、適当に足を進めてゆく。

 阿世潟に到着し、ここで小休止。予定以上に時間が掛かっており、少々当惑する。見上げると社山が見えるのだが、ここからの高度差とこれまでの雪の様子を思うと、“届かないのでは”と思うのであった。まーそれでも来たからには最後まで諦めない。諦める勇気も大事だが、最後まで辿り着く精神力も大事である。阿世潟峠に向けて歩いて行く。付近には時折木の杭があり、ロープを流している場所もあり、それらが雪の中から少しづつ見えていた。だんだん斜面が急になり、数歩登っては休み、また歩くと言うようなラッセルが続く。

 阿世潟峠に上がると、半月山の方から歩いているようなトレールが通っていた。数日内に通過したような跡で、この先は少しラッセルが軽減された。男体山側の展望はすばらしく、この景色があるとこれまでの苦労が報われる。

 スタートから3時間、社山山頂に到着。三角点が出迎えてくれた。足尾側はやや明るく、日光側はくすんだ色であった。トランシーバーを握ると上州から次々と声が掛かった。湖岸の深い雪を思うと長居は出来ず、早々に山頂を後にする。

 自分のトレールがあるので、復路はだいぶ楽であった。阿世潟に戻ると、スノーシューのトレースが3人分確認できた。どうもここまで来て引き返した様であった。この日は阿世潟までは4人が訪れた事になり、しっかりとしたトレールが着いた事になる。しかしスノーシューとカンジキの浮力の違いはまざまざと感じ、スノーシューの足跡を踏み抜くように伝ってゆく。関東の軽い雪にはスノーシューが適するのか。北陸だとワカンジキの方が重宝する場合が多いのだが・・・。

 ゲートまでの間に行き会う人は居らず、日光の有名山でありながら静かな山歩きとなった。

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