小笠 2830m   クリヤノ頭  2440m     

2006.10.21(土)   


  晴れ時々曇り(ガス)   単独   降雪の1週後入山  行動時間:11H21M


 
・旧町営無料4:59→(60M)→@笠新道登山口5:59→(121M)→A抜戸岳南尾根乗越8:29〜9:03→(28M)→B稜線9:3

1→(75M)→C笠ヶ岳山荘10:46→(4M)→D小笠10:50〜54→(17M)→E笠ヶ岳11:11〜20→(91M)→Fクリヤノ頭1

3:01〜15→(37M)→・水場13:52→(64M)→G錫杖谷出合14:56→(50M)→Hクリヤ道登山口15:46→(5M)→Iバス

停15:51→(29M)→・駐車場16:20



kasashindoukuchi.jpg syakushibunki.jpg ryousenkasa.jpg  kasacyoxtuka.jpg
@画像が悪いですが・・・。
ここの水が出ていなかった。
A南尾根乗越から穴毛槍方面。見えるピークまでなのか、道がある。もっともクライマーの道も出来ているのかも。 B稜線に上がり笠ヶ岳を望む。稜線はアイスバーン。 笠ヶ岳直下
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C笠ヶ岳山荘。標識も外され冬篭りに入っていた。管理人は1週前に下ったようであった。 D小笠山頂。ケルンが林立する。よくも倒れないものと感心する。 冬季小屋のみ開放。 E笠ヶ岳。今回で3度目。
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E笠ヶ岳から南の下山路方向。 雷鳥岩付近からクリヤの頭を見る。 Fクリヤノ頭ケルン Fクリヤノ頭から穴毛槍方向遠望。
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G錫杖谷出合。この錫杖は、攻略するのに4年を要した。 渡渉点。こんなに水が少ないのは5度目の通過で初めてであった。 Hクリヤ道登山口。 I中尾高原口バス停。駐車場へラストスパート。


 家を1:20出発。久しぶりに北ア方面に車を向ける。三才山(500円)を経て松本トンネル(100円)を無料で通り、いつもの通りに158号線をひた走る。安房トンネル(750円)で通過し平湯に入ると、広い道が通行止めになっており、旧の地内に迂回路が作られていた。トンネル手前のところで大崩落があったようである。4:30久しぶりの新穂高に入る。深山荘の駐車場の明かりの下で靴を履き、歩ける準備をして、無料駐車場の一番手前に車を止めた。帰りに一番近くなるようにとの考えからであった。駐車台数は少なく、全部で20台ほどであった。季節が季節だからだろう。


 4:59歩き出す。硫黄の臭いをかぎながらバスターミナル通過。なぜかいつもほっとさせてくれる場所である。左俣沢をズンズン詰める。熊の出没情報もあったので、少し慎重になりながら歩いた。見慣れた景色が左右を過ぎてゆく。歩く事ちょうど1時間。笠新道の登山口到着。なんと水が出ていない。こんな事なら手前の中崎橋で汲んでおけばよかったと後悔するもあとの祭り。500mlのお湯があるのとゼリー飲料があるので、それで歩ききれると判断。さらには降雪もあるだろうと計算する。2分ほど悩み登りだす。

 間隔の短い歩きやすい階段状の道が続く。どんどん足が進む感じで気持ちが良い。すると前の方で鈴の音が鳴った。下山者かと思ったら、二人のパーティーが先行していたのであった。途中で追い抜き、話を聞くとターミナルを4:20に出たそうだ。駐車場までの距離があるので、おおよそ50分ほどの遅れをつめた事になる。しかし、追い抜いてからは彼らはしっかり着いてきていた。歩けるのか歩けないのか、ここらへんは後になり判る。林道から見上げる紅葉は良かったが登山道に入ってしまうと既に茶色く変色しているものが多かった。ガスの中に入ってしまい、いつになったらそれらを抜けるのかを期待した。2200mほどで後の穂高方面の展望が開けた。一瞬ではあるが、鋭利な槍や穂高連山が手に取るように見える。雲の気まぐれに合わせてシャッターを切る。

 8:29杓子平の手前、抜戸岳南尾根乗越到着。目の前に大きな杓子平のカールが広がる。穴毛槍のほうへ続く尾根に踏み跡が続いていたが、多分最初のピークまでだろう。持ち上げたみかんがとても美味しかった。5分ほどの休憩で再び歩き出す。一気にガスに巻かれ、何も見えない。稜線までどのくらいあるのか、なかなか到達できずに焦る。旧ルートは閉鎖された様子で通行止めになっていた。ひたすらマーキングを追いながら足も持ち上げる。


 9:31稜線に到着。幾分ガスが晴れてきた。被写体側の展望がいまいちだが、それでもシャッターを切るチャンスは多々あった。残雪が凍り、かなり滑る。西からの風が非常に冷たく、ウールのシャツを羽織る。10:14抜戸岩通過。後もう少し、手に取るように目の前に笠が鎮座している。ゴーロの中のテントサイトの中を縫うように進み、10:46笠ヶ岳山荘到着。すっかり冬支度が済んでおり、表札も何も無くなっていた。ザックをデポして、小笠に這い上がる。大岩にハーケンが打ってあったり、道が示してあるペンキも確認できた。一応登山対象の山のようである。10:50山頂には驚くほど大きなケルンが立っていた。展望良好で儀式も手早く済んだ。小屋まで戻り、避難小屋を覗き込み、笠へ向かう。最後の登りは辛いような記憶があったが、今回はなだらかな歩きやすい道であった。11:11山頂到着。穂高方面は濃いガスの中、西側の展望はまーまーであった。焼岳側はくっきりと見えた。三角点のところでお湯を飲み、地図を広げ下山方向を再確認する。さて途中で行き会った方々はどうかと言うと、はるか後ろの稜線に居た。山頂まで30分はかかるだろうと思われた。私のせいで途中のペースを狂わせてしまったのかもしれない。途中で私に付いてきたのはオーバーペースだったように思うのであった。私は速度こそ遅いがワンピッチが長い、ワンピッチは2時間から3時間。根性と気力で歩いているのであった。


 11:26下り出す。平たい岩が積み重なったルートを経て尾根歩きとなる。最初のピークは右に尾根が続くのだが、左の斜面を行く。きっちり白丸マークがあるので迷う事は無い。左側には荒々しい景色、右側は優しい景色が広がっていた。穴毛槍の情報を持ちたいので見るもガスの中。途中から岩峰の右側をトラバースするルートが多くなる。日が当たらない場所も多いらしく、雪が多く残っていた。それと谷からの吹き上げの風のせいか、風が非常に冷たい。最初、雷鳥岩がクリヤノ頭だと思っていたのだが、地図でよく確認すると違う事が判る。“これが新田二郎の作品中にも出てくる雷鳥岩か”などと思いつつ見上げる。

 クリヤノ頭は南側に登山道を辿り、登り返すように這い上がる。さほどハイマツは濃くなく、少しのがんばりで上がれる。大岩にぶつかるも左に巻いてゆけば上に上がれるルートが見出せる。13:01山頂到着。ケルンが積まれそこに棒が一本立っていた。展望を楽しむには絶好の場所であった。何も標識が無く、棒にピンクのマーキングを縛り下る。

 そろそろ水が欲しくなってきていた。冷たい水無しで既に8時間経過していた。九十九折が始まり、周りの笹の量も増えてきていた。眼下の紅葉が茶色から綺麗に発色した色に変わってきた。そして風の音かと耳を疑ったが、沢の流れであった。13:52水場到着。沢に水飲み用の赤いカップが置かれていた。一気に飲む。上手い。お湯を捨て、そこに冷たい水を汲む。かなり美味しい水であった。それこそ水を得た魚で下りだす。非常に歩きやすいルートである。紅葉した樹林帯の中に入ると右側に岩場が見えてきた。壁に白ペンキで「岩山」と書かれていた。どんどん進むと沢を2回ほど渡る。そして目の前に久々の人の気配が現れた。錫杖谷の出合であった。錫杖岳を登ろうと、ここに4年間通ったのであった。テントが2張あり、沢で休んでいるクライマーも居た。後はもう歩き慣れた道を下るのみ。渡渉点では非常に水量が少なかった。水が少ないのはこの山全体に言えるのだと判断した。笠ヶ岳の入り口の水もそうなのだろう(取水口からパイプを外したのかとも考えたが)。


 途中でカモシカが現れた。樹林の中に逃げ込みジッとこちらを見ているようであったが、視線がどこからかは判らなかった。木々の間から川面の光り輝く光線が目に入ってきた。もう下も近い。車の往来の音も聞こえる。15:46クリヤ道登山口到着。辺りは観光客がタオルを片手に露天風呂へ行く風景があった。15:51バス停通過。最後の登りであるが、車道脇は熊以上に車の往来が怖い。神経をすり減らしながら深山荘へ舗装路を行く。

 16:20駐車場に戻り、すぐに明日の予定を考える。どのように西穂側を周回しようかということであった。鍋平から中尾の方を偵察して、山荘富貴に入る(700円)。とても綺麗な風呂であった。ややオイルの臭いがするのが気になった。ボイラーで加温しているのか、はたまた何か別の理由からか。この露天風呂からの錫杖の展望も良い。風呂を出て鍋平の駐車場で一人車中泊を決めた。周辺のキャンピングカーからはカラオケや笑い声が聞こえる。一人寂しく(実際は寂しくない、楽しいのである)スパゲティーとラーメン、ビールにウィスキーを楽しんで車の中に潜り込んだ。寒くなく快適であった。
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