水晶岳 2985m 温泉沢ノ頭 2870m 赤牛岳 2864.2m
野口五郎岳 2924m 三ッ岳 2844.6m
2007.8.12(日)
快晴 単独 水晶小屋より赤牛岳をピストンして烏帽子小屋まで 行動時間:13H45M(気胸発症中につき、超ゆっくり)
@水晶小屋22:43→(38M)→A水晶岳23:21→(55M)→B温泉沢ノ頭0:16→(111M)→C赤牛岳2:07〜27→(125M)→B温泉沢ノ頭帰り4:32〜45→(49M)→D水晶岳帰り5:34→(26M)→E水晶小屋帰り6:00〜28→(139M)→F野口五郎岳8:47〜9:15→(98M)→G三ッ岳10:53〜11:27→(61M)→H烏帽子小屋12:28
@水晶小屋出発。 | A水晶岳通過。 | A水晶岳の道標。 | B温泉沢ノ頭。 |
B温泉沢ノ頭道標。 | C赤牛岳。 | C赤牛岳道標。 | C赤牛岳三角点。 |
C赤牛岳のケルン。 | 赤牛岳からの帰り。中央の高みが赤牛岳。 | 薬師岳のモルゲンロート。 | 水晶岳も輝きだす。 |
D水晶岳の三角点は崩落一歩手前。 | D水晶岳最高地点。 | D水晶岳から槍ヶ岳方面。 | D水晶岳から笠ヶ岳方面。 |
D水晶岳から北側。 | 付近に咲いていたタカネシオガマ。 | 梯子場 | E水晶小屋に戻る(赤岳から撮影) |
水晶小屋側から野口五郎岳。 | 真砂岳下分岐から水晶方面。 | 野口五郎岳への長いトラバース道。 | F野口五郎岳。 |
F野口五郎岳から水晶岳。 | F野口五郎岳から赤牛岳。その後ろは薬師岳。 | F野口五郎岳の北端にある山の神。 | 稜線から野口五郎小屋を見下ろす。 |
三ッ岳手前の雪渓。ここで水が得られる。 | 三ッ岳周辺のコマクサの群落。 | G三ッ岳の三角点。 | G三ッ岳最高点。 |
下降点のところの「主三角点」。読み違えか? | 途中からエメラルドグリーンの高瀬ダムを見下ろす。 | H烏帽子小屋外観。 | H烏帽子小屋入口。 |
ひょうたん池 | 今回はツェルト仕様。 | ひょうたん池側からテン場を見る。一番右に我がテントが。 |
22:43第二日目の始まりである。現在は植生回復の関係で、小屋の裏の赤岳を経由して水晶岳へ行くルートになっている。視界は5mほど、ヘッドライトに写しだされる微かな道形を拾うように進んで行く。稜線が狭くなり岩が出てくると、かえってこちらの方が歩きやすくなった。途中からガスが晴れた。すると今度は満天の星である。下を見ているのに、何か光が動くのがわかる。流れ星であった。やけに多いなーなどと思いつつ見ていた。
23:21水晶岳到着。昼間なら大展望があるのだろうが、帰りに楽しむことにして読売新道を北上して行く。この水晶岳周辺がやや厳しい岩部で、ここさえ抜けてしまったらあとはそんなに酷い場所は無かった。ただ、最初の温泉沢ノ頭までで十分遠く感じてしまった。時計を見ると大して時間の経過はしていない。と言うことは精神の弱さが現れてきているようである。この温泉沢ノ頭は、山頂というより本当に通過点であり、顕著なピークではない。もう少し上にそれらしい高みがあるが、座標はそことは違う。下って行くと登山道脇に雪渓が多々見られるようになる。少し寄り道をして足で削って口に放り込む。この行為はあまり良くないとされているようだが、涼を得るには一番手っ取り早い。終始岩に付けられたペンキマークを拾いながら行くのだが、なだらかな場所になるとそれらも無くなりルートファインディングが辛くなる。そんなときはケルンがありがたかった。闇世の中に突起のシルエットが見え、ヘッドライトでケルンを拾うように歩いてゆく。一箇所2803高点を西側に巻かねばならない所を直登してしまい、数分のロスタイム。他は特にミスらしいミスは無く、足を進めた。
2:07赤牛岳登頂。風が強く、ハイマツに隠れるように腰を下ろす。トランシーバーを握り儀式をし、しばし目をつぶって仮眠とした。本来ならここからの大展望を写真に収めたい所であるが、見えるのは目の前のケルンと標柱だけであった。20分ほどの滞在で踵を返す。1時間ほど戻った辺りで、どうにも流れ星が気になり、せっかくだから自然のプラネタリュームを楽しむことにした。斜面の岩にもたれかかり、良い角度で頭を空に向けて、全て(私は2つ点燈させる)のヘッドライトを消した。すると今まで見えていなかった細かい星までが、本当に塵をちりばめたように良く見えた。その中をビュンビュンと流れ星が飛んでいた。この時は、これは自然の営みで、特に変わった現象ではないと思っていた。帰ってから情報を得ると、これが「ペルセウス座流星群」であったようだ。運良く、一番の特等席で見られたことになった。外気温は14度とちょっと寒かったが・・・。流れ星に願うことは「無事下山できますように」であった。星空鑑賞を終え、再び歩き出す。温泉沢の頭へ戻り、4時半を過ぎると夜も白み始め、周囲の山々が良く見えるようになる。西側にでんとした薬師岳も見える。この薬師は、こちらから見るとすばらしい重厚感を感じさせる。5:03水晶岳が赤く輝き出し、同じく薬師岳もモルゲンロートになった。荘厳かつ神聖な時間帯であった。こうなると写真の枚数も増えてくる。闇夜で我慢していた糸が切れた状態で、バシャバシャと写す。上手い人なら少ない枚数でいいのだろうが、下手なので数打たないと当たらないのである。もっとも当てようとは思っていないのだが・・・。
5:26水晶岳の三角点峰に立つ。ここは三角点のすぐ際まで崩落が進んでいた。あと数年で三角点が落ちてしまうのではないだろうかと見て取れた。もしや既にそれを危惧して場所を移したのか。少し斜めになっていた。最高峰まで進み、思う存分展望撮影。小屋から来光を見に来ている人が居ると思ったが、この日は居ないようで、下の梯子場の辺りで初めてすれ違った。水晶小屋には6:00帰還。アルファ米に水を入れ、ガリガリと歯ごたえの良い朝食をした。このアルファ米なのだが、温度をかけた時とかけない時では、塩分濃度の感じ方がかなり違う。冷たいと非常に塩っぱいのであった。ベンチから手の届く場所にビールが冷やしてあり、かなり刺激される。朝とはいえ既に7時間行動して来たわけである。
6:28水晶小屋を離れる。東沢乗越付近から続々と行き会うハイカーが増えてきた。水晶泊まりなのか三俣まで行くのか判らぬが、いずれにせよ昨日に水晶小屋まで入ってしまったことは正解であろう。真砂分岐までで総勢30名ほどとすれ違った。これが裏銀座のお盆休みの情景なのだろう。分岐から野口五郎岳を望むと、山頂に多くの人が集っている。歩きながらも何度も見てみても、その数は減らない。どんどん入れ代わり立ち代りに訪れる人が居るようである。トラバースしている登山道をノコノコ上がって行くと賑やかな山頂が待っていた。まるでここは乗鞍かと思わせるほどに人が多い。ようは山頂が広いので一度に滞在できる人数も多いわけで、地形的な部分がそうさせているのであろうと思った。北側に進むと名前の元になったゴーロの石がゴロゴロとある。その一つに腰掛けて小休止。眼下には布団の虫干しをしている野口五郎小屋があった。行き会った人に話を聞くと今期は水が出ていないようであった。
山ノ神にお参りをして次の三ッ岳を目指す。足を進めるとコマクサの大群落が見られるようになる。ちらほらあるとコマクサも女王の風格があるのだが、これほどにあると・・・。ただ、やはりコマクサはコマクサ。可憐で綺麗な花である。三ッ岳へは途中から「展望コース」(尾根)と「お花畑コース」(トラバース)の選択があるのだが、後者を選んでみた。確かにお花畑で見事であった。それとここは雪渓から水が取れる。色々を気にしない人であるならば、ここで水を汲むのがいいだろう。雪解け水なので非常に冷たくおいしいものであった。タオルを浸し、しばし涼を得る。さてこの先の三ッ岳であるが、登山道は山腹を巻いているのだが、正面に踏み跡は登って行っている。しかしこれはあまりにも目立ち過ぎる。つい3分ほど前に腕章をつけた監視員も追い越して行った。その後だけに躊躇してしまった。まーどこを登っても見られるときは見られるので一緒なのだが、登山道が山に対して一番高くなった場所から取付いた。山頂部は真ん中が凹んでいる感じで、それを取り巻くように3つの小さな高みがある。その一峰に三角点は置かれていた。全く周囲の岩と同じ模様をした点になっていた。この山頂部もお花畑で見事であった。本来ならどのピークも人が入らなければこの状態が保てるのであろう。目の前の咲き誇る花に、ここに踏み入れている自分を後ろめたく思ってしまった。
登山道に戻り烏帽子小屋を目指す。進路が東に下りる場所には「主三角点」と読める標柱があったのだが、近いのは三ッ岳の点である。あるのは事実なのだが、どういう意味を成しているのかよく判らなかった。ここから下は登山道が遠くまで見下ろせ、登山者が点々と見える。小屋が近くなるとその周囲の人口は増えるものである。ゆっくりと下って行くとヒョウタン池のテン場を経て、登り上げると烏帽子小屋があった12:28。肺がこんな調子でなければ先に足を進めたい所であるが、片肺飛行では、今日の着陸点とせねばならなかった。ここのビールは550円。水が雨水で1リッター/200円であった。テント場は500円。ビールを1本あおってから、ヒョウタン池の畔のテント場まで下りる。そしてテントを張るのだが、ツェルトなので設営が面倒であった。日は高いのにやることが無くなり、ヒョウタン池の水で体を拭う事にした。水はさほど汚れては居らず、普通に使える水であった。飲めるかどうかは知らないが・・・。そのまま泳ぎたいほどの熱さであったが、冷たい視線が受けそうでもあり、自尊心はまだ残っていた。とりあえず行程2日を終えた。肺の調子は良くも無く悪くも無くであった。依然2秒に1回ほどプクプクとエアー漏れをしている。まーこんなもんだろう。ただこんな行動をしている者をバカ者と言い。ふざけた行動とも言うだろう。
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