保利沢山(上の切) 2379.3m 天上小屋岳(天上小屋山) 2420m 黒桂岳(生木割山) 2539.3m 這松尾(偃松尾山) 2545m (保利沢山) 2155m
2007.4.28(土)
雨のち雪 単独 田代から入山、伝付峠経由 行動時間:12H
@田代発電所上登山口4:50→(106M)→A保利沢取水場6:36→(109M)→B水場8:25〜30→(12M)→C伝付峠8:42→(39M)→D保利沢山2155m9:21〜26→(87M)→E保利沢山(上の切)10:53〜11:10→(83M)→F天上小屋岳12:33〜39→(98M)→G黒桂岳(生木割山)14:17〜25→(41M)→H這松尾15:06〜17→(93M)→I幕営地点16:50
現在の登山口の様子。だいぶ以前とは様子が変わってしまっている。林道が完成すればこの道を歩く事になるだろう。 | @迂回用登山口。この表示の少し上から道が切られている。 | ヒトリシズカが咲き出していた。 | 高巻きを終えて林道に降り立つ。登山口側を見ている。 |
林道から下に登山道(橋)が見える。 | へつり橋も整備されたようだった。 | 橋 | 滝 |
滝2 | A保利沢取水場 | 伝付峠が近くなるとカラマツ林になる。 | B最初の水場。この後にもう一つ水場あり。 |
C伝付峠 | 二軒小屋への下降点。 | トイレ | 林道の様子。 |
D保利沢山2155m。樹林であるが明るいピーク。 | E保利沢山(上の切)2379m。やや密生した縦長のピーク | 稜線の様子。ここら辺はカンジキ無しで通過。 | F天上小屋岳。南側を撮影 |
F天上小屋岳。北側を撮影。 | 峠から歩いてきて初めて標識を目にする。 | G黒桂岳(生木割山)。標柱は雪面から50センチほど出ていた。かなり天気が悪くなってきている。 | G生木割山と書かれた標識 黒桂岳:つづらだけ |
H這松尾山頂。横殴りの雪。 | H少し風が弱まると静かな山頂がある。 | I幕営の様子。尾根に対して東側に設営。 | 。 |
ゴールデンウィーク前半の3連休である。3日使って適当に遊べる所を模索していた。3000m付近まで行ってしまうと夜のテント泊が厳しいし、かといって2000m付近では、今年に入ってからの日帰り山行でかなり踏んできているので面白くない。結果、2500〜2600m付近の山を選ぶ事にした。計画では田代から伝付峠まで上がり、県境稜線を山伏まで行き、林道「井川雨畑線」で戻って来ようと思い描いてみた。食料は3日+1日分を詰め装備をした。さてどうなるか。
1:00家を出る。野辺山を越え須玉に下りて国道52号経由で県道37号に入る。早川町地内では5月3日からの「山菜祭り」の緑の看板がかなり目に付く。明川トンネルの手前から広河原へ向け山道を行く。前回はトンネル脇に車を置いたが、今回は登山口まで上げてしまう事にした。林道を詰め登山口がある場所に着くと、付近の様子に唖然とした。登山道があるべき場所には林道を作っていた。付近には作業員の飯場と思しき小屋も数棟あり、以前の薄暗い場所とは大違いになっていた。訳が判らぬが行くしかなく車の駐車場所を探すが、工事となると付近には停められない。やむなく林道を300mほど登り林道脇の余地に停めた。
4:50林道を下り、登山口と書かれたところから樹林の中に付けられた仮設歩道を行く、途中上に行く道があるのだが、ここを上がると先ほど車を停めた林道の先に出た。従い、登山口から入らずとも、林道を先に進めばここに入れたわけである。ただし何も表示は無いのだが・・・。林道から下り、再び仮設の道を行く、作業員はこんなところは通らないのであろうから、ほぼ100パーセントは登山者のみの利用だろう。高巻きを終え新しい林道(工事中)に降り立つのだが、ここまで登山者に対して道を切っている割には、登山道を示す表示が少ない。先に向けて歩いて行くのだが、昔の道にどこから入れば良いのか全く表示が無い。結局、林道終点まで行き、ガレ場を下って登山道に下りた。ここまででロスタイムは結構にある。前回歩いているからなんとなく判るが、初めての人は間違いなく迷うだろう。
橋番号6番付近から登山道を行くことになった。前回は夜明け前の雨の中を歩き、付近の様子が全く判らなかったが、今日は夜明後であり気持ちの良い沢沿いの景色が見る事が出来た。ただ今日も雨であった。滝が次々にお出ましになり、観賞しながら足を進める。どうも昨年の10月には無かったような橋もあり、この半年の間に保守管理されたようであった。ほぼ2時間を経過して保利沢の取水施設に到着。ここから吊橋を越えて行く道と登山道とが分かれる。雨はいまだ止まず、雨具の中はサウナ状態であった。背中のザックは何キロになっているのだろうか3日分の装備は次第に肩に食い込んでくる。コツコツとピッチ歩行を決め込んでゆっくり登ってゆく。
カラマツの落ち葉を踏むようになると、もう峠も近い事が判る。8:42水場到着。雪も上のあるだろうと、ザックの中はお湯だけ250mlを持ち水はゼロであった。しょうがない事だが、ここで2kg追加となった。水場は2箇所あり、峠寄りの方が水は太い。半年前の事も忘れてしまい手前の水場で汲んでいた。5分ほど水汲み休憩の後、歩き出す。
8:42伝付峠到着。そのまま稜線の林道を南下する。途中右(西)に二軒小屋への下降点があり、その先にトイレもあった。この場所のトイレだが、利用する人が居るのだろうか。ここまで考える事はないのだろうが、溜まったブツはどうするのだろうか。林道はこの先で雪が覆い出した。踏み抜くほどではないが、50mmほどは沈む。林道と稜線が近くなった所から尾根歩きに切り替えた。目の前の林道にはこんもりと雪が乗り、アップダウンの多さが目立っていた。この後におそらくは斜面のトラバースとなるだろうから稜線の方がましだとの判断からだった。
稜線には雪が消えている所には踏み跡があった。昔の道なのか、冬季の道なのかは判らない。この時期特有の雪が溶け出して氷が張った斜面も多く、足を取られる箇所に難儀する。自分にまだ余裕があり、アイゼンもカンジキも付けなかったが、4本か6本くらいは付けたほうが良いだろう。このあたりで、雨は丸い粒の雪に変わった。雨具に纏わり付かないだけ良いのだが、標高が上がって行くに連れて気温も下がってきている。2000m付近を境に冬山歩きの様相になる。
9:21エアリアマップの保利沢山に到着。保利沢を見ると太い水腺は途中で分岐しており2155ピークと2379ピークを源流としている。コンサイスから続き日本山名事典も後者を保利沢山としている。ここの山頂はカラマツとダケカンバの樹林で、太いカラマツが倒れているのが目をひく。山名表示は何も無い。南に進み、林道からの登山道が合わさる部分も何も判らぬまま尾根を伝って行った。
10:53エアリアマップの上の切に到着。ここをコンサイスは保利沢山としている。ここら辺の部分からか2155ピークと2379ピークの両山には山名表示が無い。私自身もこの部分は引っかかり、何も付けずに通過となった。カンジキを付け忠実に県境を辿りながら樹林を分けてゆく。南アルプスの主峰群の方では稲光と雷鳴がしている。こちらに来ない事を祈りつつ居るのだが、気にしていると寄って来るもので、頭上で鳴り出した。幸い稜線に落ちる事は無かったが、不気味な時間が流れていた。夏道の存在は全く判らぬまま尾根を辿ってゆく。
12:33天上小屋山到着。この山頂にはどのくらいの積雪があるのだろうか、夏道標識がどこかに出ているだろうと思ったが、気配すらなかった。南側に大きなダケカンバがあるのが目立つのみであった。この辺りから雪の降りが強くなりだしてきた。フリースの厚手の手袋にはみるみる雪が付き、積もっては掃うの作業が繰り返された。少し下ると伝付峠から数えて初めて道標を目にした。ここに夏道があることを示しているのだが、幾分かホッとする。ホッとしたのもつかの間、ナビの電池が切れた。出掛けに充電してきたのでそんな事は無いと思いたかったが、低温による電池機能の低下だろう。軌跡を残すのと的確にピークを踏む為に装備しているのだが、降りた後の楽しみである軌跡を残せなくなるのは辛い部分であった。電池を入れ替えて、二の舞は踏まぬよう適時に電源を入れて使うことにした。雷鳴は相変わらず鳴り響いている。
最低鞍部から登り上げなのだが、西側から雪が叩きつけられる。視界は5m無いほどに状況が悪くなった。足元の雪の量も多く全くスピードが乗らない、今回はMLQの日帰り山行を参考にさせてもらい来ているのだが、3週も違うとこれほどに違うのかと現実を体感していた。MLQの半分の距離でダウンしそうな雰囲気に、我ながらの非力さと自然の厳しさを痛感する。目の前にアンテナ施設が現れ、そこが黒桂山であった14:17。現地標識とエアリアマップでは生木割山と示されている。ナビがなければここで停滞を決め込むほどの天気になり、時間と残り距離を見ながら頭を回転させる。今日の天候と雪の様子により、山伏まで行くのは無理と判断した。再びナビをオンにして進んで行く。髪の毛やまつ毛は重くバリバリになっていた。吹雪で前が見えないのだが、フードで覆わねば痛くてしかたなかった。どちらに転んでも前は見えていない。這松尾に向かうのもやや当てずっぽうで急峻を上がる。雪が飛ばされたハイマツの中には道形が確認出来、数mそれを使うが次第に全ては雪の下になった。
15:06這松尾山頂。山頂付近を歩き回るが標識類はない。風除けになる樹木の陰でしばし休憩する。こうなると持ち上げたお湯のありがたさを痛感する。手袋もバリバリになり、予備の手袋に切り替える。両方凍ってしまえば後が無い。一日目で布引山までと思っていたが、有視界飛行でない状況下で、そろそろ着地点を探さねばならなくなった。ただあまり高度を上げると気温も下がり、風当たりも強くなる。ほどほどに笊ヶ岳に近づき、西風を避けられる適地があれば言う事はない。真正面から風を受けながら這松尾を下って行く。樹林の中に入ると幾分か風が柔らぎ、次第に雪もおさまってきた。ラッセルにもほどほど疲れて、2444ピークの一つ北側の標高2432付近で幕営することにした16:41。ここは稜線の東側に適当な窪地があり、そこを整地してテントを張った。もう少し歩けたのだが、山伏まで行かない事と決めたので、そうがんばらなくとも明日中に下山出来る。携帯で早川町のタクシー乗務員のSさんに連絡をして、明日の送迎の予約を入れた。Sさんの明日は、七面山の坊へのボッカ役らしい、お互い相変わらずであった。ラーメンを作り、ウイスキーをちびちびやりながら一日が終わっていった。夜はかなり風があったが、全てテントの上を通過していった。設営場所は絶好のポイントだったようである。