筆頭岩 826m
2007.12.31(月)
曇り時々雪 単独 一本杉より 行動時間:3H40M
@ゲート10:44→(2M)→A一本杉10:46→(10M)→B西側岩壁直下10:56〜11:04→(9M)→C南側尾根乗越11:13→(3M)→D東側岩壁11:16〜13:04→(2M)→E南側尾根13:06〜08→(15M)→F一本杉14:23→(1M)→Gゲート14:24
@一本杉へ向かう道。ゲート前に駐車。 | A一本杉の脇から道が降りている。 | A「筆頭岩は登山はできません」と書いてある。 | A一本杉から見る筆頭岩。なんとなくマッターホルンのようにも見える。 |
尾根途中から筆頭岩 | よく踏まれた尾根。 | ルートを示す矢印もある。 | 西側岩壁の下。 |
B西側の岩壁直下には朽ちたハシゴが2つあった。 | B西側の壁の様子。一見登れそうだが、かなり危険。 | 青ペンキマーク | C南側尾根乗越のマーキング。正規ルートはここから尾根を伝う。 |
東側の岩壁の下。 | 金鶏山への尾根道。非常に状態が良い。 | D長時間格闘した東側岩壁。 | D最上部。あと2m登れれば上に上がれたのだが・・・。 |
上から下を眺める。着地地点まで30m強ある。 |
下降中。支点のボルトが心許無いので補助用に2本垂らしてアプザイレン。 | 残念ならら攻略できず・・・。 | 少し南側の壁も挑んだが、ザイルの基点になっている木の場所(テラス)から上に上がれず。 |
E南側の尾根。ここが正解ルート。Cの写真の南側からの絵。 | E歩きやすいゴツゴツとした岩。 | E風が強く、途中で断念。ゴジラの背中の先に筆頭岩が聳える。 | E南側尾根から金洞山を見る。雪が降っているので、霞んで見えている。 |
F「一本杉さん」と呼ばれる東崎さんのお宅。 | G駐車風景 |
妙義山塊において筆頭岩(ひっとういわ)は一目で判る名勝である。以前は下から見上げている事しか出来なかったが、少し狙ってみようと思えるほどになってきた。完全に岩登りの山でもあり、何処まで行けるか判らぬが下見も兼ねて出向くことにした。前日は、石川の白山瀬女高原スキー場の北にある高倉山を狙ったのだが、あまりの暴風にそそくさと諦めた。事実上2007年のラストハイクとなる。
妙義神社から紅葉ラインを上がってゆくと、1台のポルシェ911が暴走をしていた。筆頭岩はスカイラインの上に位置し、この爆音を聞きながら登らねばならないのかと、とても嫌な気分であった。残念ながら妙義の路面は暴走防止の細工がされておらず、我が物顔で爆走をしているのであった。さくらの里への道を左に見て、150mほど行くと右側に一本杉への舗装路が入っている。入口にはゲートがされており、その前に車を停める。相変わらずポルシェは汚い音を振りまきながら登下行を繰り返していた。
岩のフル装備を持っていざ出発。東崎さん宅を左に見てその先に一本杉がスクンと立っている。ここから見る筆頭岩は、あのマッターホルンに見えるようでもあった。一本杉の脇に筆頭岩への道が下りており、そこには「筆頭岩は登山はできません」との注意書きがある。階段を下りて行くと、尾根上の良く踏まれた道があり、スカイラインのすぐ脇を歩く感じ進んで行く。そして筆頭岩側にも立派な踏み跡が続いていた。途中には赤ペンキの矢印や、青ペンキの丸印もある。じつのところどこを登れば良いのか判らずに来ているので、青印の場所(西側斜面)から適当に踏み跡に従い這い上がってゆく。あまりまともな道でなく、下りにはザイルを出したいような道であった。上の方へ行くと壁があり、その下には朽ちた鉄製のはしごが2ヶ落ちていた。このはしごは元来何処にあったものなのか。落ちていたはしごの距離でクリアーできそうな岩壁を探すが、到底ハシゴの距離でカバーできるような壁はない。踏み跡がここで途切れており、ルートとしてはここから壁に取り付けばいいようだが、ソロでここを行くにはセルフビレイできる箇所が無く、我が力量では登れないと判断した。それでも左右に振ってみて可能性を探ったが、やはり無理。下りに利用される場所なのかもしれない。一度青印のところまで戻り明瞭な道を伝ってゆくと、南側の主尾根を乗越す場所の木に赤ペンキで丸が書かれていた。この先にもまだ道は続き、数箇所絶縁テープが付けられて居る。今度は筆頭岩の東側となり、壁の直下を通るようにしてルートは金鶏山の方へ続いていた。ここから見る金鶏山も見事であった。
さて今度は東側から岩壁を見上げる。なんとなく行けそうであり、完全武装して岩に取付く。10mほど這い上がると古いハーケンが見えた。岩がもろく注意しながら進んで行く。古いシュリンゲが残るハーケンもあり、頼る物はそれしかなく恐々体重をかける。セルフビレイをとりながら万が一の時に備えるのだが、ふとここで思い出した。「小学生がサンダルでも登った」逸話がある筆頭岩である。今自分が居る所は絶対にサンダルでは登れない。ボルトやハーケンが残るが、正解ルートでは無い事に行き着いた。とは言え登ってきてしまっているので行ける所まで頑張る事とする。かなり朽ちたハーケンもあり、触ると金属部分が曲がってしまうものも残っていた。それらを確認しながら強そうな物にシュリンゲを入れ体重をかけて上がって行く。風は15mほど、小雪が頬を打つ。途中で一番ドキッとしたのは、掴んだ古いシュリンゲがボルトにもハーケンにも連結していなかった事である。空中を掴むようにバランスを崩しあわや・・・。付近には新しいシュリンゲもあり、古いものと交換した場所があるようであった。良い勉強であった。下を見ると既に35mほど上がって来ている。この先の登りが腕力のみで上がるような場所で、全く動けなくなった。足がかりがあれば行けそうなのだが、流石にここは無理と判断し、やむなくここで下降を決めた。壁に亀のように張り付きながら40mザイルを出す。そして抜けませんようにと祈りながらボルトにシュリンゲに通しザイルくぐらせる。しかしここでトラブル。こんな所でザイルがお祭りに・・・。あざ笑うかのように下でポルシェが行き来している。”くそー”焦れば焦るほど知恵の輪状態に・・・。気分的には30分くらい格闘していたか、何とか解けた。支点がなんとなく頼りないので、20mザイルを出して別のハーケンを利用し、補助用にもう一本垂らす。そしてアプザイレン。2ピッチで下まで降り立つ。
天気も悪くなる一方であり、ここを最後に帰ろうと思ったのだが、次に南側に進むと、やや緩やかなバンドが上に伸びていた。行ってみよう。相変わらず登頂はしたいのであった。少し伝うも、こちらはかなり岩がもろい。潅木を掴みながら何とか尾根直下のテラスまで上りあげたが、ここでもこの先に進むことが出来ない。ここもサンダルでは無理である。どこにサンダル御用達の場所があるのか、それだけでも確認したいと思ってきた。再びアプザイレン。下に降りてもう帰ろうとした時、尾根を乗越す場所から上がゴジラの背のようになっており、これならサンダルでも容易に上がって行ける。なんてことは無いここが正解だったのだ。絶縁テープに導かれ東側に進んでしまったが、往路でここで上を向いていれば・・・。少し登ると真新しいボルトが打ち込まれている場所もあった。これで間違いない。しかし西からの風が15m〜20m程になり、このゴジラの背を行くには無理な状況になっていた。先ほどまでは東側の壁に居たので、ある程度は風を避けられていたが、尾根上はまともに受けることになった。無理をせず撤退とした。どなたかザイルパートナーでも居たらと言うところであるが、一人で来ている以上致し方ない。次に繋がる下見が出来たとし下山となる。
登路を調べてこなかった事が敗因でもあるが、登頂こそ出来なかったが、西側と東側の壁、そして南側の尾根の調査も出来、筆頭岩全体の様子が掴めた事になった。今回の東側の壁は、私に丁度良い岩の訓練にもなった。どこかの山で必ず今回の経験が生かせるであろう。やはり妙義は面白い。
戻る