鎌ヶ峰 2121.1m
2007.2.17(土)
快晴(無風) 単独 スキー 行動時間:4H49M(青木牧場経由)
@赤田沢堰堤(赤田沢)は、左にある。 | A青木牧場。この向かい側に5台ほどの駐車スペースはある。 | B樹林帯から牧場に出る。中央には1880m峰が黒く見える。(ピンボケ) | C牧場最上部。中央辺りを進んでゆく。ルートやや左には小谷が沢山ある。 |
途中のダケカンバ林 | 振り返ると鉢盛山が見える | 登ってきた斜面。この付近までは割となだらかで、この先から格闘が始まる。 | D稜線に出る。右手の高みが鎌ヶ峰。 |
頂上直下。 | 振り返ると白く輝く乗鞍岳がある。 | E鎌ヶ峰山頂。昨年の残雪期に取り付けた新しい標識。 | E山頂から鉢盛山 |
E山頂から南南東側。安平路山辺りが見えているのかも。 | E山頂の北側。 | 山頂を南に進むと白いリボンが降りていた。(右手前の木、下から200mmくらいの場所) | 山頂南から御岳遠望。 |
E今日もオフリミッツ | 無積雪期にがんばったようである。 | F牧場最上部から。緩斜面で膝に優しい。 | G林道の分岐。矢印側から降りてきた。往路に使った場合、左に行ってしまうと赤田沢を遡上してしまうようだ。 |
林道の看板群 | H青木牧場直下の林道分岐。往路は本来ここを真っ直ぐ進むのが正しいのかも。 | Hから牧場の施設が見える。 | I下山。山頂からここまで登り返しは皆無。 |
10日に登頂した飛騨高山のスーパードクターS先生の山行報告を見て、一度その強靭なトレールを拝みたいと思っていた。同じルートを辿る事は体力的に無理なので、取付きは山に対して東側とした。この山も岐阜百名山に名が上がり、いづれ道が開かれるのだろう。岐阜では、分県別に載った錫杖岳の例もあるから、入山者が増える事に対する登山道の存在は、自然保護のためにも必要だろう。
1:10家を出る。いつもの定番コースで三才山トンネルに潜り込み松本に出る。R158を行くと新島々の辺りでマイナス13度だった。今日は例年通りの冷え込みようであった。先週に下見は済んでいるので、アプローチはかなり楽であった。26号線から別れ39号に入る。「川浦歴史の里」の所のゲートは閉まっているものと思ったが、前回同様に半面は開放してあった。ここから歩く覚悟は出来ていたのでかなり助かる。中に入って行くと奈川を渡った先で野麦峠側は進行不能。左に赤田川に沿うように付けられている林道は、かなり踏まれた感じで轍が続いていた。
いつもながら優柔不断で、まだこの時点では野麦峠を経由しようか、牧場から行こうか決断はされていなかった。斥候に牧場側に入ってゆく。踏まれて融けて、7割方がアイスバーンであった。ソロリソロリと車を進ませると、行き着いた先は青木牧場内であった。施設内に誰かが居るようで各部屋の黄色い灯が外の雪を照らしていた。一応ここまで来れた事で、アプローチはこちらからと決めた。あとは駐車スペースだが、牧場を利用するわけではないので、場内の駐車スペースを使っては申し訳ないので、再び来た道を戻り、赤田川堰堤(ダム)前の余地に路肩駐車をした4:20。
今日はすぐに歩く元気が無かった。実は、前日に就職コンサルティング会社主催の会社説明があった。そこで大学生と向かい合ってしゃべくりまくっていたのであった。真剣な学生には真剣に向かってやらねばとの思いからだったのだが、人相手はとても疲れるのであった。そんなこんなで疲労困憊のまま現地入りなのだった。エンジンを切るや、後ろに移動しシュラフに潜り込んだ。
1時間ほど熟睡し、5:20起き出す。無理やりバナナ3本を胃に詰め込み、林道をスキーを持って出発する(青木牧場直下が一部コンクリートが出ていた為)。牧場では左に施設を見るように右側の轍を進んでいく。奥の厩舎では人影が動いていた。毎日の早朝作業なのであろうから頭が下がる。ルートは適当に厩舎前の右手の樹林帯の中を行く。真っ暗い中をヘッドライトを頼りに進んでゆく。途中には驚くほど大きな大木もある。出来れば明るい時に写真に納めたかったが・・・。左側にはシルバーのフェンスがあるが、このまま進んでも有刺鉄線にぶつかる事は無かった。樹林帯の中は、スキー板が100mmくらい沈む感じの雪であった。
右の斜面がきつくなる辺りで、左側にずれる。小さな沢があるが、水没しないように気をつけながらスノーブリッジを渡る。すると目の前は広大な牧場の敷地が広がる。雪の様子は、締まった雪とフカフカの雪は五分五分であった。でも5割締まっていれば御の字で、かなり楽であった。目の前に県境の稜線が朝日に照らされ、振り向くと、先週の鉢盛方面が良く見える。今日は快晴無風。不思議なくらいに風が無かった。
牧場内は終始なだらかで快調に飛ばす。そして牧場最上部に到着。特に疲労も無く、ここまでで歩き出しから50分。快調すぎるくらいに速い。距離はスタート地点から鎌ヶ峰までの半分以上過ぎている。山頂まで6時間ほどを予定していたが、この分でいくと3時間ほどで・・・などと甘い皮算用なども頭に浮かぶ。さてここから少し斜度を増しながら樹林帯の中を行く。左側に大きな谷があるのが判り、下山滑降時には要注意であった。途中、ダケカンバの美しい密集林もある。朝日が当たり、付近が金色に輝き、自然の造形美としては一級品であった。
1880m峰を右に見ながら緩やかな斜面を狙いながら上がってゆく。それがよくなかったのか、鎌ヶ峰に東から突き上げる尾根に乗ろうかと思って居たものの、実際は鎌ヶ峰の北にあるピークに向けて突き上げていた。直下に来て、1m高度を上げるのに2〜3分くらいかかってしまっていた。斜度がきつくなり、板を脱ぐも、潜って歩きにならない。カンジキも装備しているのだが、装着できるような安定した斜面でない。全身に雪を被りながら少しづつ進んでゆく。ある高度から、表層の雪が流れるようになりだした。細心の注意をしながら行く。
8:33稜線に出る。一つ小さなピークを挟んで向こう側に鎌ヶ峰が見える。でも残念ながら目の前にはドクターのトレールは無かった。1週間の間に雪も降ったであろうし、風が雪を運んで埋めてしまっているだろう。その証拠に風の為の波打った雪が尾根上に続いていた。少し西側に足を進めると、今度はクラストしていた。シールがグリップしている時はいいが、一旦滑り出したら、行くところまでまで滑ってしまいそうなほどに硬かった。途中振り向くと白く輝く乗鞍岳が見えた。直下は、東斜面を雪まみれになりながらスキーを履いて上がったが、ここはアイゼンを着けて西側を歩くのが正解なのだろう。
9:08鎌ヶ峰到着。前年度の残雪期に取り付けた標識がそこにあった。木々の間から御岳が見えるのだが、木に邪魔されて今ひとつ。稜線を南に進むとやや開けた所があり、ここからは各方面の展望が良かった。こちらの尾根には白いビニールのマーキングが下っていた。これが噂の月夜沢峠へのマーキングなのか。一通り撮影が終わり、山頂へ戻る。三角点探索は流石に初めから諦めていた。カンジキを座布団にしてのんびりと日差しを浴びる。山頂でもほとんど風が無いに等しくポカポカとしていた。パンをかじりながら滑走コースを検討する。
9:39山頂から滑り出す。かなり気持ちの良いパウダーであり、今日のオフリミッツに最適なバーンが続く。高度を下げてゆくと小さな谷がいくつも見えてきて、何度も地図を見ながら修正して行く。ほとんどの谷は、雪が乗った状態で深さが2mほどある。深いところは5mほどあった。下り過ぎないうちに北東に進路をとってゆく。緩斜面になり全ての谷が右に見えるようになったら、もう牧場も近い。樹木をポールに見立ててシュプールを刻んでゆく。
10:16牧場に出る。ここからの滑走も気持ちが良い。広い台地を一本のシュプールを残して降りてゆく。往路は樹林帯に入ったが、牧場を最後まで滑り降りてみた。すると小さな橋を境に林道が続いていた。雪があるので判らないが、牧場内にも林道が入っていたのかもしれないが・・・。滑り降りてゆくと古い崩壊したトタン小屋のところで分岐になった。もしこの林道を往路に使った場合、ここは右(滑ってきた側)が正解。左に入ってしまうと牧場との間に尾根を挟んでしまい修正が利かないだろう。進路を左に滑り降りると1箇所林道を水路が横断しており、雪が1mの幅で切れている。スピードで降りれば飛べるのかもしれないが、揺るい斜面なので、要注意箇所であった。そして行き着いた先は、青木牧場直下の分岐箇所に出た。
これらを踏まえると、私の往路で青木牧場に行ってしまったのは間違えだったようである。でも、林道も途中に分岐箇所があったり、少しクネクネしていて明瞭ではない。歩いた(滑り降りた)感じでは、牧場施設の前を通って樹林帯を進んだ方が直線的で歩きやすい。次回も行く機会があるならば、今回と同じコースを間違いなく辿るだろう。
踏まれた林道を滑り降り、堰堤前に10:29到着。予想外にあっけなく踏んで来れた。もし野麦峠経由だったら今回のコースの倍は時間がかかったかもしれない。計画の段階では12時か13時に登頂出来ればと思っていたのであった。車を走らせ橋のところまで下ると、松本市のバスとワゴン車が数台止まっていた。運転手が待機していたので話しかけてみると、野麦峠までのスノーシュートレッキングだそうだ。かなりの人数が上がったらしかった。
帰りは奈川温泉の野麦荘に寄る。最初「富貴の湯」に行くが、話しかけてもツッケンドンな対応で「野麦荘」になった。丁度、足の不自由な方が入湯しており貸切風呂だった為、したたか待つことになった。でも、ストーブを前にして館主の昔話も聞けて有益であった。昔は、薮原からバス路線があり、それが廃止になった後は今度は松本からのバスが出来、そして現在はバスも何も通っていないとの事であった。不便にはなったが秘湯というネームバリューが付いた事だろう。お湯もかなり良く、通常なら10分くらいのカラスの行水が、20分ほどのんびりと浸かっていた。帰りに女将から待たせた迷惑料として200円の返金があり、拒み続けたが、最後は申し訳なく受け取ってしまった。
松本トンネル、三才山トンネルと経て鹿教湯出て、先週に続き奈賀井に寄り蕎麦を食べて、家には3:30到着。山と温泉と蕎麦を楽しみ大満足の一日であった。
赤:往路
青:復路
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