上俵山  2076.9m     
   
2007.3.17(土)   


  晴れ  単独   スキー   行動時間:5H28M


往路 
@少年自然の家前8:32→(41M)→A1回目の渡渉点9:13〜20→(15M)→B兵衛谷(2回目の渡渉点)9:35〜42→(48M)→・上部稜線に乗る10:30→(47M)→C上俵山南側展望所11:17

復路
C上俵山南側11:52→(2M)→D三角点付近11:54〜12:05→(49M)→E兵衛谷12:54〜13:02→(40M)→F林道のカーブの所13:42→(18M)→G少年自然の家前14:00



ge-to.jpg  norikura.jpg  shizennoie.jpg  ontakegawa.jpg 
県道御嶽山朝日線のチャオスキー場のところのゲート。6:00まだゲートされている。 左の場所から見る乗鞍岳。 @少年自然の家の敷地へ続く道。脇の余地に駐車した。 @左の場所から振り返る。御嶽山が神々しい。右の車は三間山へのパーティーのもの。林道の入口に停まっている。
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林道の途中から。林道は左下に下って行く。上俵山は右側の稜線の奥。 A1番目の渡渉点。ピンポイントでスキーを履いたまま越えられた。 兵衛谷手前の中洲的平原。かなり気持ちの良い場所。 B兵衛谷渡渉中。ザックと板をスノーテーブルに放り投げた所。
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B対岸側から撮影。 兵衛谷を渡ってすぐの左岸付近。まだこの辺りはなだらか。 C上俵山南側。一箇所のみ展望が利く場所がある。 C木々の間から御嶽山方面。
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C三浦山を望む。継母山からはなかなか長い。でも上から攻めるしかないだろう。  今日の板。トラーブ フリーランドー。フカフカ今日の雪では丁度良かった。 D三角点ポイント?中央の木にリボンを縛っておいた。  山頂付近の様子。ほぼ平坦地。 
tani.jpg  te-buru.jpg  iwaya.jpg  kyuusyun.jpg 
兵衛谷までの斜面。樹木も多く、狭いバーンが続く。 E兵衛谷。往路に飛び越えた場所。  E対岸(右岸)から撮影。中央に岩があり、基部に人が入れるほどの岩穴がある。帰りはここの少し下流を渡った。 平坦地側から兵衛谷側。8mほどガクンと落ちている。
mark.jpg  rindouka-bu.jpg  taigan.jpg  rindouiriguchi.jpg 
平坦地の兵衛谷側。中央やや右にピンクのリボンがある。 F林道カーブの所から来た道を振り返る。朽ちた大木が左側にある。 F左の場所から林道を見る。奥には対岸(兵衛谷左岸)の林道も見える。往路のトレール。 G林道入口。除雪で塞がれている。

  

 胸が痛い。先週の滑落時の強打が原因だろう。だが、季節の変わり目は必ず肺が痛む。肺が痛いというのは場所的におかしいが、背中や肩や胸が痛む。毎年必ず痛むのであり、まー今回の痛みもそれに含めてしまってもいいのであった。私にとって春と秋の登行は特に難しい。肺のキャパに対して80パーセントくらいの使用率にして吸気と排気をしなければならない。気を抜いてめいっぱい使い、数度パンクした事がある。この部分は気胸持ちの因果な悩みでもある。パンクした時の処置に関してはいずれ書いておく事にする。

 

 さて上俵山。地図で山を見ると濁河温泉からのアプローチが妥当だろう。三浦山も見てしまうと悩んでしまうが、前者の1座だけなら間違いなく北側からが近い。あとはこの時期、道路状況がどうであるかである。今回は、高山土木事務所と下呂土木事務所に問い合わせをして状況を把握した。現在は463号(朝日高根線)が使えると言う。ただし時間規制があり、チャオスキー場から濁河スキー場間の通行可能時間が8:30〜17:00までである。あとは41号線を使った高山や下呂の方から入るのだが、自宅からのアプローチとして遠すぎて辛い。時間の制約はあるが、山頂への距離も4キロほどであり、9:00をスタートとしても十分だろうと最短ルートで現地に入る事にした。

 

 家を1:50スタート。珍しく峠越えは全くトラックが居なかった。小海通過時には毎回行き会うのだが、深夜にパトカーが流している。毎回行き会うのだからよほどの頻度で彼らも走っている事になる。警官も“あいつ、よく通るなー”なんて気が付づいているかもしれない。八ヶ岳の南面を通り、杖突峠を越えて高遠に出る。そして権兵衛トンネルに潜り木曽路に出る。トラックの流れに乗ってしばらく南下し、木曽大橋の所から19号を別れ361号に入る。開田高原を経て長峰峠に登り上げ、900mほど先から463号に左折する。日和田高原通過。ここはシラカバがヘッドライトに白く浮かび上がり、少しガスもかかり荘厳な雰囲気であった。道は太く除雪もしっかりされているので、安心して走れる道であった。道標に従いながら435に左折し、ほどなくしてチャオスキー場に到着。スキー場の駐車場を左右に見ながら行くと、道路上に紅白のゲートがされていた6:05。すでに夜も開け、雲海の向こうに乗鞍岳の白い頂が見える。ゲート開聞まであと2.5時間。後ろに移動しシュラフに包まる。

 

 1時間おきに目を覚ました。しかし、2回目で開いているはずが無いのに8:00で既に開門していた。静かに開けたのか、開ける作業に全く気が付かなかった。もしこの時間のカラクリが判っていたならば、時間を有効利用するために7:30に起きて食事をしながら準備も出来たのに・・・。まー早い開門に文句は言わない方がいいだろう。急いで車を走らせる。道の両側は2mほどの雪が堆積し、プチ立山アルペンルートの様相であった。路面にもしっかり雪があり、凍りつているところもある。外気温はマイナス8度。やや急勾配もあり、グリップ走行で慎重に走らせる。途中、対向車が3台纏まってすれ違った。逆のゲートもおそらくは8:00で開門したのだろう。濁河峠を経て濁河スキー場に出るとそこにゲートがあった。ここは分岐になっており、左の濁河温泉を目指す。スタート地点とした少年自然の家の道標もしっかりある。道の雪の量も益々多くなり、まだまだこの辺りは冬であった。途中で右折して小橋を渡り、ほどなくして少年自然の家に到着した。門扉には駐車に関する文言があり、中には停められないらしい。門扉の前の除雪余地に車を突っ込む。丁度、三間山へ向かう7名ほどのパーティーが歩き出す所であった。

 

 8:32快晴の下スキーを履いて林道を歩き出す。道幅は広い為とても明るかった。ただ5分ほど登った先からはだらだらと下りだす。最初から下りは帰りの事を思うと嫌な部分であった。計画では地形図の破線ルートに従い兵衛谷を越えようと考えていた。しかし林道がある事で、早々に林道歩きに切り替えた。でもその林道も兵衛谷には橋は無い様で、林道は途中で途絶えていた。対岸を見ると道がある。どこかで通じているのかもしれなかったが、この時は見出せなかった。工事中であるのかもしれない。この林道の有無が特に登山には関係しないからよしとする。とは言いつつも、兵衛谷を越えるのはこの山においてのネック部分だから、橋の有る無しは、大事だと言えば大事なのだが。

 

 谷を前にして渡渉点を見つけるように上流を目指す。小さな流れがあり、スノーブリッジの場所を探しながら進んでゆく。この辺りはスキーを履いていて良かったと言えよう。履いていなかったら何度も踏み抜いただろう。くねくねと彷徨いながら進む。川幅は4mほど、どこを見ても流れが出ているのだが、少し上流に行くと一箇所スノーブリッジが繋がっていた。ここも板のおかげで通過出来たような感じであった。実はこの渡渉がメインの渡渉だと思っていて、一回目の通過を難なくこなし楽な気持ちでいた。次に急な斜面を駆け上がると広い平らな台地が広がっていた。実際の兵衛谷はこの先なのであった。なだらかな雪の上を進むと、ピンクのマーキングが繋がっている。これを付けた人はどこを渡渉したのか。私が渡ったより下流であるのは間違いないようであった。この平原の突端にマーキングは二つ付いていた。そこから先を見ると、兵衛谷があり、川幅は10mほどある。水量も多く流れの音も大きい。斜度のきつい所を8mほど降りて、さて最大の核心部となる所の通過である。大げさではないが小滝のようになっている場所もあり、かなり厄介な場所に見えた。マーキング主が渡ったとされる所は、どうにも渡れず、やや上流の大岩が点在する所を選んだ。そこは大岩の上に雪がしっかり乗り、岩と岩の間隔は1.5mほど。そこを義経の八双飛びのように飛び越える事にした。岩屋なら振り子トラバースなどで「飛ぶ」と言う部分があるのだろうが、一般登山において「飛ぶ」部分はあまり無い。滑落、沈没、色んな想定をして、スキー板とザックを飛び渡る先の岩に投げ込む。そして数歩助走をつけジャンプ。無事成功。岩の上の雪も安定している。そしてもう2回。対岸に渡った時は、なぜかここでもう満足した位に嬉しかった。体操競技の終了時のようにY字ポーズをとったかどうかは内緒である。

 

 これでやっと兵衛谷の左岸に立った。再びスキーを履いて東側の高みに登ってゆく。最初は緩やかだが、だんだんと斜度を増してくる。さらには谷幅も狭く、帰りはあまりスキーにはなりそうに無かった。滑りの事も考えて1725高点付近を通過点として計画していたのだが、滑りより兵衛谷の核心部の通過がこの山のメインであるから、帰りも同じルートの選択となる。シラビソの大木の中を上に上がると緩やかな勾配が続いていた。だらだらとしつつ波打っているので、ここもさほど滑りにはならないだろう。薄暗い樹林の中を日差しを求めるように歩いてゆく。時折木々の間から御嶽のどこかの一峰が見え隠れしている。

 山頂部に到着しているのだが広すぎてどこが山頂だか判らない11:17。雪があるので倒木や岩があるところが極端に高くなっているようであった。三角点ポイントは後にして、展望を楽しみたく南側の一部開けた所に向かった。ここからは、三浦山、継母岳、剣ヶ峰が良く見えた。空も青く、先ほどまで風があったのが運良く収まってポカポカと暖かい。しばし腰を下ろして休憩とした。トランシバーを握るとほとんどがトラッカーだった。

 

 さて、次は三角点ポイントを探す事にした。地面を見るより航空観測の台を探したのだが、それも見当たらない。結局ナビの示すポイントを三角点ポイントとしたのだが、どうにも三角点があるような場所ではないような気がする。らしい場所にリボンを結わえてきたが、もし後から行く人が居てポイントが限定できたら、付け替えるかもしくは廃棄して欲しい。ここでシールを外し滑り降りる。予想通りあまり滑りにはならない。樹林間隔が狭いのと緩斜面過ぎるのであった。まー少しは滑れるのだが・・・。この次に兵衛谷までの下りだが、私の技量ではあの狭い所を下るのは至難の業であった。何度もキックターンを繰り返しながら下って行った。今日の板は、165センチなのだが、130センチや88センチを使うと、どうにも滑りが短い板に倣ってしまい重心位置がおかしくなる。要するにヘタなのであった。

 

 兵衛谷に降り立ち、川を前にする。往路に渡ったテーブルスノーが目の前にある。左岸から見ると飛び移る先はやや上になり、難易度が高くなった。行こうと思ってスキーを放り投げる一歩手前で思いとどまった。探せば他にも・・・。少し下流に行くと少し水没しているが内部は濡れないで渡れそうなところがあり、そこを行く事にした。対岸までスキーは投げられず、ストックのみを投げて、スキーはストック代わりにして進む。水量があり板が持って行かれそうになるのを握力で止める。何とか通過。往路でもここを使っても良かったと思った。左岸の10mほど上流には丁度大岩があり、そこに人一人分の岩屋的空洞があるのが目印である。対岸に渡り急峻を上がれば広い大地であった。ここでシールを付け登り返しの準備。次の渡渉も板のまま無事クリアー。この後は往路のトレースを辿らずに、付近にある赤布を追ってみた。途中で見失ったが、出た先は林道が大きくカーブする場所であった。そこには朽ちた大木があるのだが、どうも道形があるような感じであった。

 

 あとは林道の登り上げ。途中から滑れそうでもあったが、少年自然の家までも結局シールを外さずに行ってしまった。14:00林道入口到着。丁度、三間山を登ってきたパーティーも到着しており、お互いの山の様子を交換し合う。

 今回の考察として、カンジキ歩行の場合は4月以降の締まった時期がいいだろう。ただ渡渉点(2ヶ所)の雪も少なくなるだろうから、準備は必要になる。往路にここで濡れてはそれこそ意気消沈である。足を雪解け水に浸けるのは辛いから、白岩山の時のように長靴&ビニール袋が手っ取り早いか。もしくは厚手のビニールなら2重履きで対応可能かも。飛び越えた大岩が、雪が乗ってなくとも使えるのかも。今回の状態しか見ていないのでなんとも言えないところである。もう一つの制約は林道の時間規制だが、17:00で締まるのだから前日に入るのだって大変であるから当日の時間内に計画してくるのがベストだろう。4月のある時期を過ぎると規制も無くなるようであるので、本当はその頃が適期なのかもしれない。

 

 さて次の楽しみの風呂なのだが、温泉地内は選択肢が多くて困った。町営露天が冬季休館中で残念なのだが、それでも8軒くらいの中から選ばねばならない。ソロリソロリ温泉地内を行き、結局最上部の御嶽山の登山口まで行ってしまった。戻りながら「自家源泉」の文字の目立つ朝日荘に入った。玄関ではおとなしいラブラドルが出向かえてくれた。誰も客がおらず、一人貸切風呂であった。かけ流しの湯は気持ちよく山の疲れが幾分か和らいだ。

 

 帰路は往路を辿る。チャオスキー場からは御嶽側と乗鞍側の展望が素晴らしい。九蔵峠付近から御嶽を見ると山全体が光り輝いており、数人のカメラマンが御嶽にカメラを向けていた。北斜面全体が鏡のようであった。

 

 家には20:10到着。

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