宮ノ頭 2165m ツヅミ 1720m
2007.12.15(土)
晴れのち曇り時々雪 単独 大武川林道ゲートより 行動時間:8H08M
@大武川林道ゲート6:31→(3M)→A切り開き6:34→(16M)→B湿地6:50→(32M)→C1140m付近稜線7:22→(60M)→D危険箇所8:22→(38M)→Eツヅミ9:00〜07→(123M)→F宮ノ頭11:10〜40→(70M)→Gツヅミ帰り12:50〜13:11→(69M)→H1067高点14:20→(19M)→Iゲート14:39
@大武川林道ゲート | A人面ダムへ左にカーブする場所の右に切り開きがある。 | 道形を追って行くと、このような木橋もある。 | B湿地。意外と居心地が良い。 |
C1140m付近の北東側。 | Cスコップの柄が木に引っ掛けてある。 | よく踏まれた道形がある。 | 途中から宮ノ頭(左)と黒戸山。 |
やせ尾根箇所。 | D危険箇所。ザイルが鞍部を経て向こう側まで伸びている。足許は雪。 | 1520m付近。この付近はかなり滑った。 | Eツヅミ |
Eツヅミから宮ノ頭。 | ツヅミの西側。 | 最初の砂礫の場所から摩利支天。 | 早川尾根の頭も雪雲の下。 |
日が当たって締っている所は沈ます歩きやすい | 日陰はフカフカ。 | 岩部も雪の下になり、注意していないと滑る。 | 2番目の砂礫の場所から宮ノ頭。もう近い。 |
F宮ノ頭山頂 | 山頂から少し西に進んだ所から甲斐駒。山頂は雲の中。 | F山頂部の広さ。 ザックと比較 | FMLQの落書き。 |
F下に見える黄色いビニール紐がこの稜線のメインのマーキング材のようであった。 | 山頂直下の様子。 | 急な下りが続く。 | 砂礫の場所。西から東。晴れていれば正面に離山が見える。 |
刃物の痕が残る。 | Gツヅミの人工物は、木の間に挟まった空き缶。2ヶ所あった | 危険箇所の下から上を見る。フィックスを掴み腕力で這い上がる。 | 1140mスコップポイント帰り。北東側を見ている。 |
猪の糞が沢山有る。 | H1067高点。東側から西を撮影。 | Iゲート帰り。先のほうに白く見えるのが篠沢橋。 |
先月離山を狙った時に、大武川林道の人面ダム手前のカーブから、西側に広い切開きが入っていたのを見ていた。入口には赤い絶縁テープが巻かれ登山用であるように思えた。となると「ツヅミ」や「宮ノ頭」へ通じる道なのではないかと勘繰ってしまい気になっていた。そろそろ正月も近くなり、あまりガツガツせずに高度を落として遊ばねばならないところであるが、もうひとがんばりすることにした。今年も残すところ登れてあと3回、折角登るなら達成感のあるところに上がりたいと言う気持ちもあるのであった。
週中は酷く忙しく金曜日は22時頃の帰宅となった。風呂に入り準備をし、軽く仮眠をとって2時10分出発となった。141号線を南下して須玉町(すたまと濁らないのが正式らしい)から武川町に出て大武川を遡って行く。そして大武川林道入口のゲートに4時50分到着。地図を見ると、切り開きの先の方の1067高点の東側が広い地形であり複雑に見えた。ここは夜明けを待っての出発とし、後ろに移り仮眠をとる。
6:31ゲート出発。林道を少し辿り、ゲートから数えて2つ目の左カーブの右手(西)に、今回の取付き点となる切開きが入っている。ここを入ってゆく。林道から7mほど入ったところの左の木に赤い絶縁テープが巻かれている。数十メートルの間、軽四輪の古い轍があり、それが消えるころ谷に入り込むようなルートとなる。谷をそのまま詰めるのかと思ったら、目の前に大岩があるところから左(東)に鋭角に立派な道が上がっていた。落ち葉で埋もれてはいるが、しっかりした道形であった。これに伝ってゆくと、先ほどの下からの谷の延長線上の右岸を歩くルートとなり、行き着いた先は広い湿地帯であった。ここで一度道形は消えるが、湿地を右から適当に巻き込むと、湿地の南側から再び道が伸びていた。そこを登ると969高点の東側には広い平地が有るのだが、道はここに吸い込まれて不明になった。驚いたことにこの平地にはアカマツが植えられていた。平地に植林とはあまり見慣れないので異様な光景にも思えた。道の存在はどうやら登山用ではなく造林用の道であったようであった。
さて取付きなのだが、969高点の西に一本尾根があり、さらにその南側にも尾根が上がっている。比べると後者の方が、尾根形状が持続してそうなので、後者を行くことにした。植林地の中を適当に進み、明瞭な尾根に取付く。明らかに人が歩いている痕がある。尾根上部にはマーキングも残っているのを確認出来た。辺りからはイノシシの警戒音が聞こえる。甲高い短い鳴き声なので、それとすぐに判る。凄い頭数が居るようで、鈴を出して注意しながら上がって行く。そして主稜線に登りあげた所が1140m付近の小ピークであった。このピークの西端にはラッセル用スコップの柄が木に掛けられていた。この事から冬季の登坂ルートで間違いないようである。ここからの稜線は非常に状態が良く、登山道があると表記してもいいくらいに明瞭であった。右側を見ると黒戸山と目指す宮ノ頭が見え、双方とも白く雪化粧をしていた。天気予報は晴れのようであったが、さすがに高所は雪雲が垂れ込めていた。
ルートは特に問題となる箇所は無いが1450m付近から雪が付きだし、その雪が半ば凍っており、蹴り込みながら上がって行く。帰りはアイゼンが無ければ降りられないほどに凍てついている斜面もあった。ここはもうピッケルとアイゼンの世界のようである。1500m付近で一箇所危険箇所があるが、危険箇所の全行程をカバーするようにフィックスドロープが流してあった。さらには一番力が要る箇所には、別に赤い帯状のフィックスがされていた。危険箇所用に残置してもいいザイルを持ち上げてきたのだが、心配御無用の状況であった。ただここはそれなりに腕力を必用とし、足場は全て雪が付いており9割9部腕の力で下りて行く。再び安心して歩けるルートになると、体力を使うつぼ足歩きになった。踏み抜くところとそうでないところがあり、足を置かないと判らないので非常に疲れる。そして目の前に笹の原が現れるとツヅミも近い。我慢して登っていたが、途中でカンジキを着ける。道具は道具、あからさまに歩行状態が改善された。
ツヅミの三角点ポイントは、探してみたものの全く判らなかった。雪が覆っていることもそうなのだが、地形に起伏が多く、らしい場所が有るのだがピンポイントで掘るような作業を出来る場所ではなかった。ここから少し進むと4mほど高い最高点に着く。樹林の間から目指す宮ノ頭が見えている。南から吹き上げる風が冷たく、山頂部の掘れたところに入り込みしばし休憩。ここで積雪量は15センチほど。宮ノ頭との標高差は450mほどあるから、向こうは倍ほどを想定していてもいいだろう。お気楽モードで予定していたのだが、少し気を引き締めて出発する。
ツヅミからは一度50mほど高度を落とし、鞍部からはいきなり急な斜面になる。足を進めると、途中左側に砂礫の場所があり(2ヶ所)、ここは少し雪が融け好展望の場所であった。ただ吹き上げの風がキツイ。だんだんと雪の量は増し、深い所では膝くらいまでのラッセルを強いられる。今日のツヅミから先はアイゼンで無くカンジキの世界であった。なかなか進めずいらいらする斜面もあった。そんな中、樹林の密生した場所には刃物を入れた痕もあり、人の気配を強く感じる場所もあった。下から見ていた通りに上部は雪雲があり、天候は晴れから曇り、曇りから雪となっていった。
11:10やっとのことで山頂に到達。5時間まではかからなかったが、雪によるブレーキは大きい。山頂にはMLQの絶縁テープがあり、そこに書かれた落書きのみが山名を示していた。甲斐駒側に40mほど降りて行ってみると、やや展望の良い場所がある。しかし甲斐駒はそのほとんどを雪雲に覆われていた。1140mの峰から続いてきたマーキング材料の黄色いビニール紐は、宮ノ頭を過ぎこちらに続いてきていたので、八合目までこの調子で続いているのだろう。それから黒い絶縁テープも数箇所あったが、色としての「黒」をマーキングに使うのは初めて見るものであった。遠くからは判らないが、意外や目に付くのであった。この黒い絶縁テープは冬季の物のようで高い所に縛られていた。反対に黄色のビニール紐は設置高さが低い。おそらくは無積雪期の通過時に取り付けたのであろう。山頂に戻り雪を踏み固めしばし休憩。山頂の積雪量は30〜40センチほど。少し風が収まり、ゆらゆらと雪が落ちてきていた。絶縁テープにいたずら書きを加えようとペンを探すが無い。前週の登山で落としてしまったようであった。残念!!
下山は自分のトレールに従い下りて行く。ツヅミまではふかふかの雪なのでカンジキにものを言わせて高度を下げてゆく。それでも慎重に降りねばならないところも多く、気の抜けない下りであった。ツヅミに到着し、再度三角点を探すが、やはりこの時期では無理のようであった。さてここからの下りで凍った場所がある。アイゼンに切り替えようか迷ったのだが、金属ワカンなので出っ歯に強度はある。少しこのまま降りてみることにした。凍った場所に足を下ろして行くといい感じで突き刺さりグリップしてくれた。そして凍った箇所を通過して雪も無くなり1450m付近でワカンを外す。この先は明瞭な踏み跡があるので登山道を歩いているようなもの。1140m峰からは往路は辿らずそのまま主尾根を下る事にした。この付近の尾根上にはおびただしいイノシシの糞があった。鳴き声と糞からしてかなりの生息が確認出来た。途中まではたおやかな尾根だが、1067高点を過ぎた先から主尾根を離れ右側の急峻尾根を下る。登りには使いたくないような場所を潅木を掴みながら下りて行く。1067高点とゲートとを直線で結ぶルートを選んだわけなのだが、ここは主尾根を忠実に辿った方が正解であろう。そしてゲート前に降り立つ。ゲート付近でもちらほらと雪が舞ってきていた。
振り返っての考察となるが、黄色いビニール紐のマーキングは、経年変化で見えずらい物になりつつあった。私は、1450m付近からの下りで枝尾根に入り込んでしまった所があった。往復の場合は適当に自分なりのマーキングを付けながら上がるのがいいかもしれない。全体的に良く踏まれた場所が目立ったので、昭和30年代の登山ブームの時にはよく登られていたのかもしれない。それとも重量動物が多いと言うことかも。いずれにせよその道が使える無積雪期に出向いた方が断然楽に登れるだろう。