風越山 1698.5m 天狗山 2118m 蕎麦粒岳 2338.7m 中三ノ沢岳 2485m
2007.6.23(土)
晴れ 単独 風越山登山口(寝覚の床側)より 行動時間:11H39M
@登山口4:49→(46M)→Aカヤト境5:35→(11M)→Bカヤトの丘5:46→(5M)→C風越の頭5:51→(13M)→D風越山6:04→(6M)→E展望台6:10→(109M)→F天狗山7:59→(55M)→G蕎麦粒岳8:54〜9:18→(15M)→H二ノ沢下降点9:33→(76M)→I中三ノ沢岳10:49〜11:17→(97M)→J蕎麦粒岳帰り12:54〜13:03→(51M)→K天狗山帰り13:54〜14:00→(97M)→E風越山展望台15:37〜46→(42M)→L登山口16:28
駐車スペースに居たヒグラシ | 駐車スペースから登山口を見る。 | @登山口。各方面への詳細が掲示してある。 | 登山道の九十九折を縫うようにワイヤーが通っている。 |
Aカヤト境。ここから立派な標識が続く。 | Bカヤトの丘。この標柱の後ろに右の石柱がある。 | B御料局の三角点。 | C風越の頭 |
風越の頭から風越山への登山道。朝日が左から射している。 | 途中に敬神へ降りる分岐が2ヶ所ある。 | D風越山。通過点のような場所。 | D風越山三角点。 |
E展望台。 | E北側の一部のみ視界が開ける。 | 1805高点付近の様子。足元の状態が見えない。 | ギンリョウソウ |
マイヅルソウ | 途中に直径25mmほどのワイヤーが架かっていた。 | 笹の稜線。藪漕ぎを終えた先の辺り。 | 鞍部から天狗山側を見る。 |
天狗山の南側の様子。この先少しガレた場所を通過する。 | 大きな岩が積み重なった場所。北側を巻くように上がってゆく。 | F天狗山山頂。左の木にはMLQとKumo。正面の木には「05.10.29」と書かれた赤布がある。 | FMLQの山名表示とKUMO |
途中から蕎麦粒岳を見上げているのだが、これは手前の偽ピーク。 | 振り返るとすばらしい眺望がある。正面は御嶽山。 | 蕎麦粒岳直前。 | G蕎麦粒岳山頂三角点。岐阜歯科大学ワンゲル部の標識がある。 |
G蕎麦粒岳から三ノ沢岳。中心に見えるピークが中三ノ沢岳。 | G蕎麦粒岳から御嶽山。 | G蕎麦粒岳から乗鞍岳。 | G山頂の大岩の下にあったビン。中には作業記録と登山記録が入っていた。 |
蕎麦粒岳からも、途中にはこのような道が付いていた。 | H二ノ沢への下降路。道には青いビニール紐が続いていた。 | 途中の斜面。倒木帯の写真を忘れてしまい・・・。 | もうすぐ中三ノ沢岳。右側に見えている。 |
残雪がまだ残っていた。 | I中三ノ沢岳到着。MLQの表記。 | IKUMOも縛ってあった。 | I中三ノ沢岳から三ノ沢岳を見る。 |
I中三ノ沢岳から東側。 | J蕎麦粒岳帰り。中央の三角点の左の低木にKUMOがあった。ビンは左側の岩の下。 | J蕎麦粒岳から木曽川を望む。 | K天狗山帰り。右の木にKUMOとMLQのテープがある。 |
カヤトの丘にはたくさんのアヤメが咲く。 | カヤトの丘にあった白旗。 | 風越山登山道の中腹辺りにニッコウキスゲが咲きだしていた。 | L登山口から駐車スペースを見る。 |
梅雨に入った。金曜日の雨の中、次ぐ日の天気予報を見ると好天予報。こうなると高みに上がらない手は無い。こんな日は空気が洗われ、思いも寄らぬ大展望がある事が多い。いろんな高みを模索しながら地図を見ていると、気になっていた尾根が目に入った。少しロングコースだが、たまには足の鍛錬に良いだろう。最近は、行きたい所のほとんどをMLQが踏んでいるので、WEB上でつらつら読んでから足跡探しに行けば良いので楽チンである。
家を1:00出発。今回も杖突峠と権兵衛トンネルを使って木曽路に入る。19号を南下して「寝覚の床」交差点を左折する。木曽古道と書かれた道標に従い、右へ左へと分岐を曲がって行く。途中で滑川を渡り、民家の中を抜けると山道になるのだが、よく判らぬまま進んだら、畑の中の細いダートとなった。軽トラ御用達の道を突き進むと、作業舎が現れ行き止まりかと思ったが、さらに先に道は続き、目の前に舗装林道が現れた。どちらに行けばよいのか判らず、安易に高い方へハンドルを切ると、道はどんどん高度を上げ、上手い具合に登山口に到達した。登山口の前には4台ほどの駐車スペースがあり、その北側には、寝覚の床へ続く登山道が降りていた。
今日は自分への負荷の為に、水は750mlのみで食料はヤキソバパン1個とした。ただし、起動食としていなり寿司を3つ食べた。着替えをしているとすぐ脇の草むらにヒグラシがとまっていた。もう夏なのである。
4:49風越山の登山口から歩き出す。入り口には山頂まで1.28kmと書いてある。いきなりの急登であり、さらに前日の雨でかなり滑る。湿度が高く肺が重い。最初から我慢の登りであった。それでも300mほど歩くと、細かい九十九折のやや歩き易い傾斜に変わる。よく判らないのだが、バン線が登山道を縫うように真っ直ぐ山頂に向けて延びていた。途中から同軸コードのような線が抱き合わせになっている場所もあった。道標がこまめに付けられており、残り距離が判るのがありがたい。カヤトの境から上は、草地になっており、ワラビが沢山出ていた。昔はこの辺りで屋根用の萱を取ったのだろうか。その先にカヤトの丘と名づけられた場所があり、標柱の後ろには御料局の三角点があった。登山道脇にはアヤメが生え、雨に当たり綺麗に潤っていた。道はかなり緩やかになり、風越の頭から北側に進路を取る。途中に敬神への分岐が2ヵ所あり、道が北側に下りていた。この付近は、樹林の中に朝日が差し込み、荘厳な雰囲気を醸し出していた。
6:04風越山三角点ポイント到着。視界はほとんど無い。それこそ通過点のような場所であった。道は先に伸びており、5分ほど進むと「展望台」と書かれた場所に着く。ここからは東側に駒ヶ岳方面が見える。さてここから先が公式な登山道が無い事となる。最初は植生が少ないが、次第にシダ類が繁茂し、足元の様子が見えなくなった。途端にスピードダウンである。倒木もあるのでずり足も出来ず、探るように足を出してゆく。こうなるとこの夏期にここに入るのは適当ではないようである。途中ワイヤーロープがあり、その線径が25mmほどあった。付近のブナは状態が良く、ワイヤーの残置の様子からも昔は林業作業が良くされていたようである。1880高点には残置されたトタンもあった。さてこの先がこのコースの核心部と言える笹薮漕ぎである。前日の雨を纏ったササは、瞬時に私を濡れ鼠にしてくれた。本当に濃い部分は5分ほどで、その他はササの中に道が切られ、そこを辿るように分けて行けばいいようであった。ルートには赤布と赤テープがマーキングとして縛られていた。かなり頻繁に付いていたので、それを拾いながら推奨?コースを辿って行く。だんだんと天狗山が近づくと、手前にガレた鞍部がある。ここはかなり崩壊が進み、足を置く部分もほとんど落ちてしまっていた。この先の斜面も石が脆く、浮石に足を置いてしまい、大きな落石を起こしてしまった。今回のコースで危険箇所と言えばここを上げておこう。この先は大きな岩場が一部あるが、赤布が導いて問題なく通過できる。この辺りはイワカガミが多く、ルート上にも群落を作っていた。
7:59天狗山到着。ここも通過点のようなピークであった。それでも南側は展望が良く、木曽谷側が遠望できる。山頂にはMLQの山名を書いた絶縁テープとその上にkumoが縛られていた。休憩せずに先を急ぐ。樹林の間から蕎麦粒岳の顕著なピークが見える。でも実際は、見えているのはニセピークで、本当の山頂(独標)はその奥なのであった。この付近も尾根上にしっかり切開きがあり、悪天候であっても心配要素は無いであろう。
8:59蕎麦粒岳山頂。三角点があり、岐阜歯科大学の標識が置かれていた。日本山名事典に従いここを山頂としたが、本当の山頂は南の峰の方と言う方も居るようである。大岩があり、その基部を覗き込むと緑色のビンが出てきた。振るように中の紙を出して見ると、作業記録と登頂記録が残されていた。風越山の開削整備をした登山会のものであった。2003年の作業記録には5合目金剛水と書いてあった。このルートのどこかに水場もあるのか。もう一つは2005年の山行記録であった。もう一件書いてあるのだが、薄れて判読不能であった。さてこの先のルートであるが、中三ノ沢岳に行くには、二ノ沢のコル(下降点)まで大きく下ってからの登り上げである。ここに来てのこの高度差は辛い。でも、ここまで来て帰ることは後々もっと辛く行くしかなかった。
少し下ると大きな岩が積み重なるようにあるのだが、そこにケルンが作ってあった。鞍部まではやや不明瞭な場所もあるが、尾根を違えて他の方向に行くような場所ではない。鞍部まで降りると、立ち木に赤テープとブルーのリボンがあり、ブルーのリボンは二ノ沢の方へ降りていた。さてここから最後の登りの開始である。泣いても笑っても1時間以内には到着するだろう。稜線は通らずにトラバースルートを選んだ。適当な踏み跡があり、そこを伝ってゆく。倒木があるのだが、全て南風にやられているので、間違いなく台風の影響で倒れたのだろう。適当に左右に振りながら越えて行く。倒木の中にも道はあるようで、倒木は開削の後に倒れたようである。木もかなり古いので、それらから道の古さも見て取れた。樹林の中に入ると、少し残雪も残っていた。過剰装備だが、どこで雪が出てくるのかわからないので6本爪は装備していた。でもこの量では出番は無い。
10:49やっとのことで中三ノ沢岳到着。天狗山同様に、ここにもMLQテープとKumoがあった。腰を下ろしてこの日初めて水を含む。腹は特に減ってはいないが、荷を軽くするためにもヤキソバパンを消化する。少し東に進むと、三ノ沢岳の斜面の様子が克明に見て取れる。でも先の岩尾根のアップダウンはかなり辛いだろう。昨年三ノ沢岳に上がり、上からのルートを模索したが、切開きが見出せなかった。どこかにあるのだろうか。非公式ルートは、往々に入口は少し不明瞭にしてあることが多い。三ノ沢岳の下降点もそうしてあるのかもしれない。蚋が多く、儀式もままならないほどに飛び回っていた。本当は数分でも仮眠をしたかったが、この状態では無理であった。
11:17下山。登りでは倒木帯の中を通ったが、下山は北側を通ってみた。するとそこにも良く踏まれた踏み跡あった。2358高点から先は、往路よりはやや稜線寄りに歩いたが、結局トラバース道を再び辿ることにした。どうもこのトラバース道が一番歩き易い感じがした。蕎麦粒岳からだとコルからすぐに右を気にしていると一本伸びている。さてコルで呼吸を整え、登り返す。少し不明瞭になる場所があるが、上さえ目指してゆけば良いだけであり、楽なものである。そして蕎麦粒岳再び。よく見ると三角点の東側にKumoがあった。往路は完全に見過ごしていたのであった。雨具を干しながら少し休憩をする。大きな平らな岩がちょうど昼寝に適当で、ここでゴロンとなりたかったが、ここでも蚋に攻撃を受けていた。エアリアマップに示される蕎麦粒岳を見ると、山頂部に妙義の大砲岩のような奇岩が見える。
下降開始。切開きがしっかりしているので不安なところは無いし、それに加え赤布と赤リボンが道を示しているので尚更である。一箇所、赤リボンの方は高さ3mほどの場所に付いていた。よほど降雪量のあった年に入ったようである。空木岳側の主稜線はガスがかかりほとんど見る事は出来なくなってきていた。
13:54天狗山帰り。ここで水分補給。残り100mlほど。風越山で飲み干しても残り30分の我慢で下まで降りられるだろう。ただ、この先の藪漕ぎ時に欲しくなるのは間違いなく、欲求にどれほど耐えられるかも自分への試練でもあった。樹林の中の岩場の所は、一見判りずらい感じがするが、ちゃんとそれをカバーするように赤布が下がっていた。岩に付いているコケが水を吸っていて、天気が回復したものの、滑りやすい場所であった。ガレた場所は往路同様に大きな岩を落としてしまった。不可抗力なのだが、こんなことが繰り返されれば、そのうちにロープの補助がないと上がれないような場所になってしまうかも。そして1701高点から次第にササがお出ましになった。復路は完全に乾いており、往路のように濡れることはないが、往路に比べ体力は1/4以下である。かなりの体力の消耗であった。案の定のどが渇く。ササの埃っぽさはよりいっそう喉を刺激している。一度だけ北側に逃げたが、真っ向勝負とばかりに果敢にも稜線上を攻め続けた。ササが切れるとシダ類が地面を覆った場所で、ここもペースが上がらない。ストックでも持ち込めばよかったが、後の祭りである。
1805高点まで戻ればもう安心である。あとはほとんど登り返しは無い。往路はだいぶ南側を通ったが、帰りは忠実に尾根を拾って下って行く。そして目の前にT字の看板が現れた。裏側には何の文字も無く、前に回り覗き込むと、そこが展望台であった。残念ながら駒ケ岳方面はカズに覆われてしまい展望は無し。最後の100mLを一気に飲み干しもうひと頑張り。かやとの丘には、往路では目に入らなかった大きな白旗(1m×1mほど)が掛かっていた。大きさからいって下から見る為に付けているのであろうが、目的は何なのだろうか。下界を見るが、木曽川の流れが遠くに見えるだけで、直下の町は見えない。益々判らなくなった。まーいいか。黒土の滑りやすい登山道をズルズルとしながら降りて行く。だんだんと19号を走るトラックの音が聞こえて来る。距離は結構あるようだが、木曽谷に反響しているのだろうか。樹林の中に乾いたねずみ色の舗装路が見えると、やっと開放された気持ちになった。登山口下山16:28。
風越山からの先は、「道がある」のは確かであるが、地図に記載出来るほどの道ではない。途中途中で不明瞭なポイントがいくつかあり、少々のルートファインディングを必要とする。でも楽しいルートであるのは確かである。展望、花、山菜、全てに満足出来る場所であった。
帰路、棧温泉に寄り冷泉で体を冷やす。途中仮眠も入れて、帰宅は21:40となった。