ニセ烏帽子 2605m 烏帽子岳 2628m 南沢岳 2625m
不動岳 2601m 船窪岳 2300m 七倉岳 2509m 北葛岳 2551m
2007.8.13(月)
快晴 単独 烏帽子小屋より七倉岳、七倉岳から北葛岳をピストンして船窪小屋まで
行動時間:12H54M(気胸発症中につき、超ゆっくり)
・幕営地出発3:40→(8M
)→@烏帽子小屋3:48→(16M)→Aニセ烏帽子4:04〜10→(8M)→B烏帽子岳分岐4:18→(16M)→C烏帽子岳4:34〜49→(18M)→B烏帽子岳分岐5:07→(47M)→D南沢岳5:54〜6:08→(79M)→E不動岳7:27〜8:06→(96M)→F船窪岳第2高点9:42〜56→(48M)→G船窪岳10:44〜52→(9M)→H船窪乗越11:01→(42M)→I船窪テン場11:43→(7M)→J水場11:50〜55→(9M)→Iテン場12:04〜17→(19M)→K七倉岳への分岐12:36→(7M)→L七倉岳12:43〜48→(82M)→M北葛岳14:10〜 32→(45M)→・七倉乗越15:17→(34M)→L七倉岳帰り15:51〜16:21→(13M)→N船窪小屋16:34
@烏帽子小屋通過 | Aニセ烏帽子山頂。 | B烏帽子岳分岐。 | C烏帽子岳山頂。 |
C烏帽子岳最高点。 | 鎖場1 | 鎖場2 | 烏帽子岳側からニセ烏帽子。 |
烏帽子岳側から南沢岳。 | 烏帽子岳のモルゲンロート。 | 烏帽子田圃付近の池塘。 | 南沢岳付近のコマクサの群落。 |
D南沢岳三角点。 | D南沢岳表示。 | D南沢岳から南側。 | D南沢岳から唐沢岳。 |
南沢岳付近のトリカブト。 | 不動岳直下。 | E不動岳最高点。 | 不動岳最高点への取付き箇所。 |
不動岳の行政の標識。山頂とは少し位置が違う。 | 不動岳から南沢岳。 | 不動岳から読売新道の尾根。 | 不動岳から立山方面。 |
F船窪第2高点。 | 長いザレの下り。 | やや危険なコル。ワイヤーが蔓延る。 | コルの場所の岩壁にミヤマムラサキが咲く。 |
ダイモンジソウも咲いていた。 | G通過点のような船窪岳山頂。 | 乗越へ向けての長い階段。 | H船窪乗越。 |
Iテン場から水場への下降点。 | J水場側から梯子を撮影。 | J水場。冷たく美味しい水が出ている。 | J水場の下。上側も同じような状況。 |
K七倉岳直下の分岐。 | L七倉岳。 | L山名事典の山頂から標柱のある場所を見る。 | 北葛岳直下に雷鳥の家族が居た。 |
もうすぐ北葛岳。 | M北葛岳。 | M北葛岳の北峰から南峰を望む。 | ミネウスユキソウが咲く。 |
七倉乗越を間に挟み、七倉岳側の稜線。 | 七倉岳から船窪岳側。 | N船窪小屋。 | N小屋内部。 |
3日目、3:40に幕営地を出発。烏帽子小屋前を通過し烏帽子岳に向かう。登山道はロープで導かれている場所が多く、安心して歩ける道になっていた。最初にニセ烏帽子に登りあげるのだが、山頂にはトタンで宝剣を模った物が供えられていた。烏帽子岳を目の前にして、その中腹辺りの遠くに明かりが見えた。かなり強い明かりであり、高度からも、おそらく大観峰の明かりであろうと思った。足を進め、烏帽子岳の分岐にザックを置いて烏帽子岳に向かう。こんな時間なので鎖場の混雑の心配は無く、すいすいと上がってゆく。黄色い標柱のある側の最高点の岩に上がると、さすがに足が震えた。次に南にある大きな一枚岩の上に上がり風に当たる。ここは非常に気持ちの良い場所であった。しばし来光を待ったが、30分ほど掛かりそうなで下山し、分岐から南沢岳側へ足を進める。途中で来光を向かえると、烏帽子岳が赤く染まった。ここから先は烏帽子田圃と呼ばれる池塘の多い場所である。その中の一つの池を覗き込むと運良く逆さ烏帽子が見られた。今日も滑り出し好調である。鼻呼吸を決め込んでのんびりと足を進めてゆく。この先はだんだんと高度を下げる行程になるのだが、大きなアップダウンがいくつも待っている。
5:54南沢岳到着。一抱えほどの岩に赤ペンキで山名が記されていた。相変わらず展望は良い。そろそろこの辺りで赤牛岳も見納めか。高瀬川の谷を挟んで唐沢山が手の届きそうな所にあった。さてここから核心部に入る。一気に南沢乗越に向けて下って行く。朝露がズボンを濡らす。たぶん私が先頭ではないだろうから誰か露払いが居るはずなのだが・・・。この辺りは紫色のトリカブトが見事に咲いていた。トリカブトとは本当に的を得た良いネーミングである。南沢乗越には特に表示は無く、不動岳への登りに転じる。少し崩落が進行したようで、登山道が北側に新しく切られていた。どんどんと崩落が北側に進行しているようであった。きつい登りに、ゆっくりと体を持ち上げて行く。本当はめいっぱい息を吸いたいところであるが、それを押し殺すように呼吸量を絞る。
不動岳は、山頂を登山道は通らず避けている。大岩のところからハイマツの中を行くと最高点に行く。この時、ボッとしていて三角点のあることを忘れていた。不甲斐無く、探すことも見る事もせず山頂を後にしてしまった。ここから下り一辺倒となる。思いのほかすれ違うハイカーが多い。話を聞くと大多数が針ノ木側から入山しているようであった。何か裏銀座縦走と言うステータスがそこにあるような気がした。全ての行き着く先は自己満足であろうが・・・。船窪第2高点から下ると長いザレた場所もある。ワイヤーが張られた通過箇所も多くなる。ただ、緊張感を保つ上では、こんな場所が多いほどありがたい。いつになったら船窪岳の本峰が現れるのかと、アップダウンをこなしていると、船窪岳は思いも寄らぬ通過点のような場所であった。山頂に人が集うような場所とは程遠い地形。そしてここからひと下りすると船窪乗越で、道標が針ノ木出合の方向を示していた。
さてここから登り返し。ここまでのアップダウンを経てくると、この先、いくつあろうが関係なく感じるようになった。いつもよりのんびり歩いているのだが、その遅さ分、より自然を堪能しているように思える。テン場が近くなり、先のほうに休んでいる丸坊主の青年が居た。傍を通過する時見たのだが、鉛筆を持って筆記しているようであった。そしてその先にテン場があり、そこには信州大学のワンゲルのテントが張られていた。見るからに上級生がここに居て、先ほどの青年は下級生だと判る。絞られて強くなるのだが、如何せん下級生らしき姿は一人しか居ない。絞るほうも絞られるほうも大変であろう。
ザックを置いて水場に降りる。10分ほど降りると聞いていたが、7分ほどで到着。降り着いた水場は、谷の中でかなり崩落の多い場所であった。最後の所は崩落が進み、補助用のアルミ梯子をかけてあるのだが、この用途も危なくなるほどにどんどんザレ落ちていっていた。ただ、この水を飲んだ瞬間、ここまで来たことに大満足する。付近は石灰質の岩が多く、水の感じとして南アルプスの白州の水に近い味わいであった。非常に冷たく、1分と触っていられないような状況であった。こんなにおいしい水ならばと、ここの水で2リッターのタンクを満タンにした。タオルを湿らせ体を拭う。ここが今日の終点なら言うことはないのだが・・・。再び登り返す。テン場で軽い昼食として、地図を見ながら北葛岳をどうしようか思案していた。今日踏むか、明日踏むかであるが、まだ昼の最中で十分時間はある。塒を小屋にするかテン場にするかの選択もあるので、とりあえずザックは七倉岳まで上げてデポすることにした。目の前には信州大学の学生が居るのだが、ワンゲルと言えど現代っ子である。年相応の他愛も無い話をしていた。かえって最初に会話した下級生の方が、社会性のある応対が出来ていた。まーどうでも良い事として・・・。長い急な階段を上がると水平道がしばらく続く。地形図とは少し違う位置に分岐点が設けられていた。ここをひと登りすると標識の立つポイントに着く。山名事典の示すポイントはここのさらに北の峰になり、さすがにこちらは標識も何も無いので静かであった。
ザックは夕立に備えてザックカバーをし、山頂部にデポしておいた。最低限の装備で北葛岳を目指す。行き会う人のほとんどから“この時間から針ノ木ですか”と声を掛けられる。大変な思いをして歩いて来たから、この先辛いと言うことを意味しているのだろう。確かにこのルートも崩落が進み、危険な場所が多い。普通に足を置いた岩が、崩れるような場所が多々ある。事故が無いのだろうか。七倉乗越からは登り一辺倒となる。こちらは特に厳しい所は無く快調に足が上がる。山頂をもう少しとした所で、目の前に雷鳥が現れた。近付いても逃げないのでどうしたものかと寄って行くと、今年生まれたばかりの幼鳥が砂浴びをしていた。要するに親が見張り番をしていたのであった。これを見られただけでも、本日こちらに足を進めてよかった。明日なら見られなかったかもしれない。
14:10北葛岳山頂。山頂部は二コブのようになっており、互いの山に立つと、相対する山の方が高く見える。ここで地形図を見ると黒塗り三角マークが付いている。このために三角点を探したのだが、これはカシミールでの仕様の為に付いた記号で、地理院の地図に載るものではなかった。現地ではそれに気がつかず、しばらく探し回ってしまった。
一応これで予定していた山は全部踏めたことになった。ミッションコンプリートである。肺も悪い方には向かず、何とかなっている。戻りながら今日の塒を決めねばならなくなった。判断は一つ、ビールがあるか無いかであるが、考えるまもなく有る方を選ぶのであるから、必然的に小屋の方になる。せっかくの幕営装備も1回しか使わないのでは、重荷になっただけでもあるが、精神力の弱い私には、ビールに負けてしまった。七倉岳まで戻ると、もうこの時間は誰も居なくなっていた。着替えをここで済ませてしまい、いざ船窪小屋へ。
小屋へは5分ほどで到着。外のベンチでは楽しそうな歓談が続いていた。早速600円でビールを買い、すぐさま喉に流し込む。“あ〜美味い”言葉にこそ出さないが、体が叫んでいたようである。6100円を払い素泊まりを申し込む。ここも綺麗な小屋であった。なんと言っても家族経営の様子でスタッフは4人居り、アットホームな感じが伝わってくる。丁度夕食も始まり、口々に“ここおいしいね”と言いながら外に出てきていた。そんなにおいしいのなら・・・。時既に遅し。夜は19時からバター茶で持て成してくれていたようであるが、中高年の小母様方にその場を託した。夜は半そで半ズボンでも十分暖かい状態だった。
戻る