西大星 1012m
2007.5.20(日)
快晴 単独 鍵沢口(横川)より 行動時間:3H46M
@駐車場5:43→(2M)→A登山口5:45→(36M)→B第二不動の滝6:21→(20M)→C登山道を離れる6:41→(12M)→D小尾根に乗る6:53→(30M)→E西大星手前の稜線7:23→(6M)→Fチムニー7:29→(12M)→G直下7:41→(4M)→H西大星山頂7:45〜8:00→(10M)→・懸垂下降でもたつく8:10〜30→(23M)→I登山道に出る8:53→(8M)→J第二不動の滝9:01→(27M)→K登山口9:28→(1M)→L駐車場9:29
@駐車場から登山口を見る。建物は釣堀の管理舎。 | A鍵沢登山道入口。 | 滑りやすい所は鎖が流してある。 | B第二不動の滝。落差2.5mほど。 |
お札には那智山の文字がある。 | C登山道上のこの場所から離れたのだが、ちと登りすぎていた。 | D小尾根の北側 | D小尾根の南側 |
見難いが、小さい丁須岩。尾根上に二つあった。 | E西大星南側の稜線(北側を向いて撮影) | Eかなり気持ちの良い場所であった。 | Fチムニーを登る。 |
チムニーを登り、振り向くとこんな絵に。 | 左の絵の左側の壁に赤ペンキの矢印があった。矢印は赤岩の方を指している。 | 途中の岩の上から旧松井田方面。 | 岩の上から浅間方面。正面の黒い高みが浅間山。 |
G直下の岩壁。フリーハンドで登れる。 | H山頂から見る赤岩。 | H少し南に進むと展望が良くなる。(赤岩と烏帽子岩) | H下を見ているのだが、あまり高度感は無いか・・・。 |
H木々の間から丁須の頭。 | Hリボンを縛っておいた。 | 一段下がった所から山頂。 | 左の場所から南側。 |
ザイルを垂らして下ってきた。 | 谷の様子。このようななだらかな場所もある。 | I登山道に出る。往路はここから右の谷に入るのが正解である。 | I左の場所から対岸の左岸を見ると、大きな岩屋がある。 |
J第二不動の滝帰り。 | K登山口帰り。 | L対岸に停めた車が見える。 |
「西上州は面白い」。好事家から良く聞かれる言葉だが、中でも妙義山系はその中心的存在であろう。その中にあって、ひっそりとあまり踏まれずに鎮座しているのがこの西大星である。“面白いとは如何に”であるが、要するにスリルなのだと思う。遊園地のジェットコースターに求めている面白さがそうであるように、山屋にとっても面白いとされるのはそういう事なのではないかと私は思う。とかく星の名の付く山にはなにか魅力のあるものである。近くにある星穴岳の方は、北陸の猛者I氏のザイルサポートにより一足早くに踏ませていただいた。西大星は単独で踏めるのか・・・。
連休に山口の大星山に登って、ふと西大星を踏んでいない事を思い出した。アイスクライムをする技量は無いので、谷が溶け出す適期を見計らっていたのだが、もう十分だろう。気になりだすと踏まないと気が済まない性質なので、早速出向くことにした。
国道17号を碓氷峠旧道に入り、麻買m滝(第一不動滝)の表示に従い左に入る。滝の駐車場には入らずに、丁須の頭への鍵沢の登山口を目指す。登山口側の駐車場も第二不動を目指す滝マニアの方が使うようで、大きなカメラを持った3人が準備をしていた。入山川を渡って対岸へも行ける様だが、カメラ隊に倣って左岸に駐車し準備をした。
5:43アイゼンとザイルを装備し歩き出す。白い欄干の橋を渡ると登山口で、鍵沢ルートを行く。「熊出没注意」の表示を見ながら最初から急峻である。見ると新しい作道がされているようであり、昔の道は崩落したか、廃道にしたようであった。濡れた足場の悪いところは鎖も流してあり、破線ルート(私の持っている地図)とは思えない管理のされた良い道であった。適宜、黄色いペンキでルートが示され、全く心配要素は無い。新緑の中、沢の音を聞きながら気持ち良く歩けるルートである。これからの夏場に良いのであろうが、ヒルが出てくるようである。一番良い時を歩いているのかも。
6:21第二不動滝通過。滝の左岸側の壁に御札が貼り付けてあったのだが、岩にどうやって接着してあるのかが不思議であった。自然界の物ほど人工物を拒絶するものである。渡渉して対岸に渡り、右岸を行くのだが、足を置く場所は全て流れがあり濡れている。滑らないように注意しながら行くのだが、その前に今日はソールを張り替えた靴で挑んでいる。見違えるグリップ力である。こういう事を体感すると、道具のメンテは大事なことがよく判る。さて、登山道を行っては丁須の頭に行ってしまう。上に行ってから尾根通しで狙ってもいいのだが、今回は谷を詰めて直下に出ようと目論んでいた。適当に登山道を離れ、右側に逸れねばならないのだが、なかなか適当なタイミングを見出せずに居た。注意して右を見ていたのだが、岩と新緑で良く見えないのであった。やはりこうなると適期は秋となるのか。
6:41登山道を離れる。少し登山道を登りすぎてしまった感じで、予定していた谷は、一つ西側のようであった。しょうがないので、そのまま詰めることにした。かなり急峻で、スパッツ装着をサボったら、靴の中に土が入ってきてしまうほどであった。後半は腕力で上がり小尾根に出ると、尾根上にはかなりしっかりした踏み跡があった。人間のものか、獣のものかは判らない。南に進むと「プチ丁須の頭」と言える岩があった。本当にそっくりの岩であり、さらに先にももう一つあった。地面との接触部が細く、上の方が大きいハンマー形状をしているのであった。踏み跡の状態が良いので、自ずと伝っていってしまうのだが、このままでは丁須の頭と赤岩を結ぶ尾根に上がってしまう。以前、赤岩の東面の通過はかなり急峻であったので、それは避けたい。地図を眺めながらルートを悩む。一か八かだが、尾根に対して北側斜面をトラバースすることとし、西側の谷に下り出した。これが思いのほか歩きやすい谷で、起伏の越える箇所はたくさんあるが、さほど危険な箇所は無く、西大星の一つ南側のピーク手前まで辿り着いた。ここは気持ちの良い広い尾根で、事によってはテントも張れる場所であった7:23。
さてここから本峰に向けて岩の部分になるだろうと、心して上がってゆく。踏み跡は途中まであり、消えた所から左に行くと岩壁があるのみ。右に行くとチムニーがあり、そこが這い上がれそうなので入って行って見る。凝灰角礫岩の風化により、ホールドは適当にありなんとか這い上がる。這い上がったコルから見る赤岩と烏帽子岩は見事であった。ふと右側(東)の岩壁を見ると赤ペンキで矢印がされていた。昔にルートがあったという事なのか。普通ならマーキングくらいで良いであろうから、ペンキで示すほどとなると・・・。だがしかし、この先のルートは不明瞭で、後にも先にも矢印はここにしかなかった。コルから滑りやすい岩を木に掴まりながら下り、左側(西)側の稜線を目指して適当に上がってゆく。ここも堆積した枯葉の下は濡れた岩で、ズリズリしながら通過であった。尾根に上がると、なんとなく踏み跡はある。やはり人は入っている証拠だろう。15mほど北に進むと、北に張り出した岩があり、そこからの浅間側の展望はすばらしい。ここから7mほど進むと山頂直下になる。岩壁が立ちはだかり、数年前の私なら、即座に退却する状況であった。今日はザイル携行でしっかりヘルメットも被っている。上に植生があることは判っているので、下りに対して怖いものは無かった。7:41壁に取り付く。2mほど垂直に上がると、今度は右(南)に1mほどずれる。すると後は危なげなく、妙義らしいグリップの良い岩が続き、その先に最高点があった7:45。
最高点には、クリップバンドが木にかけられていた。新緑が邪魔をしてあまり展望が良くないのだが、少し北側にずれると丁須の頭が良く見えた。南に進めば赤岩と烏帽子岩が緑の矛先を天に突き上げている。トランシーバーで儀式に入るが、間髪入れずに声がかかった。関東一円に届いているようであった。あとは下り。リョウブの木の基部にザイルを通して下に投げる。そして肩がらみのアップザイレンで下る。下に降り、ザイルを引くが動かない。岩がせり出しているために抵抗になっているようであった。再び登り上げ、もう少し下のツツジの基部に再度通して下ってみた。再び引くがビクともしない。三度登り上げ、今度はザイルのラインを岩の滑らかそうな所に通し、肩がらみは止めて、サポート的に使うようにした。すると今度はすんなり引くことが出来た。こういう場合はどうすればいいのだろうか。シュリンゲを使ったからとて同じであろう。岩屋の方はこの文章をせせら笑って読むのであろうが、私はこんなレベルであり、実際動作しながら自分でも笑ってしまった。危険地帯の標高差は6m〜7m。ほんのわずかなのだが、登頂に際しネックになる部分である。
さて下りルートだが、同じ道はつまらないので、直下の谷を下りる事にした。ザイルがあるので、少々の急峻はカバーできるとふんだ。谷に沿って下ってゆくのだが、これが非常に歩きやすい。危険箇所は一つも無く。気がついたら黄色いペンキが塗られた登山道に合流した8:53。往路はここを上手く見出して上がれば良かったようだが、もう踏んで来たから良しとする。場所が明確に示せないのだが、視界に黄色いペンキが3箇所同時に見える場所である。一番奥は「○と→」が書かれている。往路はここを気にして右の谷に入れば良い訳である。ただ、谷の中には枝谷のような小さい谷もあるので、しっかり読図をしながら進まないとあさっての方向に行ってしまう可能性はある。
9:01第二不動滝通過、9:28登山口到着。無事、難関と思っていた西大星を踏め大満足である。駐車場で着替えをしていたら、15名ほどのパーティーが鍵沢登山道を登って行った。
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