赤谷山 2260m     白萩山 2269m   赤ハゲ 2330m    白ハゲ   2387.5m
     
 2007.9.8(日)   


  雨のち曇り   単独  馬場島からブナクラ谷経由で大窓まで進む   行動時間:13H27M


@馬場島野営場出発3:48→(44M)→A池ノ谷取付き偵察4:32→(24M)→・大猫山登山口4:56→(22M)→B小ブナクラ谷5:18→(63M)→C岩屋6:21→(112M)→Dブナクラ乗越8:13〜25→(151M)→E赤谷山10:56〜11:22→(12M)→F赤谷山の岩屋11:34→(64M)→G白萩山12:38〜47→(22M)→H池13:09〜20→(54M)→I赤ハゲ14:14〜33→(75M)→J白ハゲ15:48〜55→(80M)→K大窓17:15


banbajima.jpg  ikenotan.jpg  kobunakuradani.jpg  bunakuraiwaya.jpg 
@馬場島野営場出発 A池の谷の取付き箇所を偵察。 B小ブナクラ谷渡渉。 Cブナクラ谷の岩屋。
tocyuukarabunakura.jpg  bunakuranoxtukoshi.jpg  bunakuraakatan.jpg  bunakurakaranekomata.jpg 
途中からブナクラ乗越方面。雨が降り出している。 Dブナクラ乗越。立派な標識が出来ている。 D赤谷山への登山道。 途中から猫又山側を望む。
akatan.jpg  akatansaikouten.jpg  akatanraicyou.jpg  akataniwaya.jpg 
E赤谷山 E赤谷山最高点。踏み跡がある。 E赤谷山の雷鳥。 F赤谷山の岩屋。かなり大きな岩屋である。ここまでの道はやや不明瞭。
shirohagi.jpg  aruitekita.jpg  ru-to.jpg kinugasasou.jpg
G白萩山山頂。白いビニール紐が縛ってある。 G白萩山の北側。写真中央を漕いできた。 道として判り易い地形もある。 キヌガサソウの群落があった。
ike.jpg  ikekarashirahagi.jpg  akahage.jpg  akahagekarashirohage.jpg 
H池。手前に綺麗なコケが生える。この水をテルモスに汲む。 H池付近から白萩山側 I赤ハゲ山頂。踏み跡はなんとなくある。たたハイマツにより視界は無い。 赤ハゲ側から白ハゲ側。
shirohagehenoturione.jpg  iwa.jpg  shirohage.jpg  shirohageraicyou.jpg 
白ハゲへの吊尾根。 奇岩のピークを3つほど通過する。 J白ハゲ山頂。草原の気持ちよい場所。 J雷鳥も居た。
oomadohenoone.jpg  tento.jpg     
白ハゲから大窓への稜線。尾根が東に曲がる辺りから右手のガリーを下る。 K大窓のテン場。やや斜めであるがここしかない。お地蔵さんに見守られる。  


 計画をしていながらもう2年も行けずに足踏みをしているのが北方稜線であった。残雪期に入る技量はないし、雷のある夏期も辛い。となると少し安定する9月が適期である。がしかし9月でも遅くなると雪が降る。キケン地帯も多く雨も避けたい。心と体もそうだが、運も味方に付けないと完結しない計画であった。


 9月に入りソワソワと計画をし出す。地形図にはいつも以上にルートの詳細を書き込む。単独であるので過剰でも出来る限りの準備はしておく必要はあった。ピッケルとアイゼンは不要かとも思ったが、何かが生じ雪渓を降りる羽目になるかもしれない。ザイルと共に装備に入れた。ヘルメットを最後にザックに括りつけ準備万端。天候の方は、台風9号が通過し一過狙いであった。


 21:30出発。台風の通過により関東から出る各方面への主要道路が寸断されていた。唯一高速のみが外部エリアとの行き来のルートとなり、他の選択の余地は無かった。上信越道から北陸道へ入り滑川
ICで降りる。東福寺野自然公園の東を通る県道67号線で馬場島を目指すが、中村発電所の先でゲートされていた。ゲートの東側にはダート林道があり、ここを本当は進めばよかったようなのだが、深夜であり全く判らなかった(上市町の方、しっかりした表示を強く乞う)。再び滑川IC方面に戻り、極楽寺経由の県道46号線から回りこんで剱岳公園線に入った。ロスタイムは30分以上。なんとも前途多難な出だしであった。伊折地区を過ぎ、発電所の狭い道を過ぎると馬場島野営場であった2:08。今回で4度目になるが、かれこれ何年ぶりだろうか。後ろに移動ししばし仮眠。今回は3日間の予定で来ているので焦ることはなくスロースタートを決め込んでいた。ただ3日目の天候が悪いようで、なるべくなら2日で歩ききりたいとは思っていた。


 3:48馬場島を出発する。剱岳への分岐から左に入りブナクラ谷へ向かう。この林道はいつ来ても工事をしている。自然相手なのでたぶん終わりが無いのであろう。白萩川の流れの音は大きく、この先のブナクラ谷の渡渉点が気になりつつ足を進める。木を敷いた橋を渡った先から、池ノ谷の取付きの偵察に右に進路をとった。400
mほど進んだ先のよう壁に「池の谷←」と赤ペンキで書かれていた。ここが取付きのようであり、確認終了。再び橋まで戻りブナクラ谷の取水口を目指す。林道には濡れたタイヤの跡があり、どなたかが登山口まで車を乗り入れているようであった。


 4:52大猫山の登山口ともなった取水口に到着。やはり1台の車があった。話をするとこれから大猫山を目指すらしい。道が開かれ北陸では人気になっているルートのようである。昔を思い起こせば、赤谷山ルートを水口さんが開いた当初もワッと押しかけた記憶がある。新しい所を歩きたいとの思いは昔も今も変わらないだろう。話をしていくと、知人の
I氏の知り合いであった。世間は狭いものである。余談はさておき歩き出す。昔は梯子で堰堤を越えたが、現在はその横の斜面を駆け上がるように道が付いている。懐かしい道を思い出すように足を進めてゆく。小ブナクラ谷の渡渉は難無く通過、次の大ブナクラ谷も問題なし。流れは多いものの、台風による雨の影響はさほど無いようであった。最初が肝心なので、稜線歩きもさることながらこの渡渉の部分が一番気になっていたところであった。ここで750mlを汲む。


 日が上がり辺りが明るくなると雨が降り出してきた。今日は天気が良くなるのではないのか・・・。深夜のうちに天気の状態が変わったのか。まー天気予報を恨んでも現実がこうなのだからしょうがない。ただこの先の北方稜線に対しての雨は多大なリスクとなる。ガスも垂れ込め暗い気持ちで足を上げてゆく。このルートは蛇が多い印象がある。この日も1
mほどのマムシが2匹お出ましになった。ブナクラ乗越を手前にして、いつもの所に草刈機がデポしてあった。管理している人があって、楽に歩けている事に感謝する。


 8:13ブナクラ乗越到着。さすがに重い荷物だとこのくらいかかってしまう。目の前のお地蔵様は前回も居たようなのだが、その後ろに猫又山と赤谷山を示す立派な標識が立てられていた。腰を下ろししばし休憩。それにしても天候が悪い。後ろ向きだが、赤谷山だけ登って下ってしまおうかなどと頭を過ぎる。バナナで朝食とし赤谷山へ足を向ける。ここは最初に訪れてから8年ぶりである。全てが懐かしいのだが、確か前回もこんな悪天だったような。外気温は12度まで下がっていた。視界も15mほどになり、疲労と共に足取りが重くなる。今は道があるから良いが、この先を思うと完全に意気消沈であった。


 赤谷山山頂到着。完全に迷っていた。道でなくこの先の行動に対してである。時間は十分であるが、この雨でこの先のルートで支障はないものか。一番は視界が無いことである。携帯で地元の
EAS氏に連絡を入れ天気情報を貰うと、この後から晴れてくるらしい。さらには岩屋があるからそこで休憩がいいだろうと言うことであった。山頂部を右往左往していると砂礫の所に雷鳥が現れた。ここでは3羽確認。30分ほど休憩し、岩屋を探しに行く。白萩への道は稜線の東側にあるようであるが、もう一つ、最高点から稜線に沿って南東に一本切開きが降りていた。それに伝ってほとんど勘で下って行くと、かなりの藪の先に大岩があり、そこに岩屋があった。ここは山頂とは高低差がややあり、休憩のためだけに訪れるのは大変かもしれない。ただ泊るにはかなりの好適地である。この先の道は不明瞭になり、東側へ藪を漕いで行くと草地に出て、そこに微かな踏み跡が確認できた。行ける所まで行ってみようと、足を進める。確かにこの辺りは道形があり、「道が有る」と表記されている意味が判る。時折朽ちた布も有るが、目新しいマーキングが無いのがかえって嬉しい部分でもあった。既に全身ずぶ濡れ状態で、微かな道形を追って藪を掻き分けてゆく。

 白萩山の最高点には、古いビニール紐が残っていた。周辺はハイマツで視界はない。かなりダラットした通過点のような場所であった。さてここからの下りが、やや掘れた所を行くのだが、樹木に埋没する時間が長い。足元が見えずに慎重に慎重に足を出してゆく。少しルートを外したようで、あまり記述に無い水面に水草が繁茂した池が現れた。周辺は密生した樹木があり、必然的に歩きやすいところに逃げながら東に進む。天気も回復傾向にあり明るくなってきた。さらには樹林帯から抜け出すと、足元にキヌガサソウの群落が現れた。二重山稜の間の草地の中を行くと、目の前に大きな池が広がっていた。ここが皆がよく利用する幕営適地である。時計はまだ13:09。まだまだ先を狙える時間であった。水のストックが少ないので、この池の水を1リッター汲んでおいた。池の周りには鮮やかなコケが生え、とても雰囲気の良い場所であった。さてここから登りに入る。意外やこの辺りも思っていたよりは道形がしっかりしている。ここら辺は個人の感覚なので感じ方は千差万別であろう。次第にハイマツが濃くなり、足と言うより腕で登る感じである。ザックの上部が引っかかり、かなり難儀しながら這い上がる。

 赤ハゲ手前のピークで最高に濃くなって進めない所がある。ここは南に逃げつつ通過した。この間だけで上腕部の筋肉痛になった感じであった。登山をするにも、腕力も鍛えねばならないと強く思った。最後の最後までハイマツとの格闘であった。山頂部にもルートが確認出来、最高点へも微かな踏み跡が登って行っていた。5〜6mルートから逸れて南東に上がる。ガスの切れ間から白ハゲ方面を見ると、途中の岩尾根が見える。だんだんと危険地帯に踏み込んできているようである。吊尾根形状であるが足を進めると草付きの場所が多く、岩部のところも安全なルートが見出せ難無く通過できた。大方右巻きが多かった感じがする。

 白ハゲへ飛び出したのは山頂より東側で、逆からの場合、下降点が判りずらいのではないだろうかと思った。山頂は草付きの広い場所で、ここにも雷鳥がヨチヨチとしていた。そろそろ疲れも出て山頂部で幕営しようかと思ったが、もう少しと大窓を狙うことにした。吹き上げの風が気持ちよく、腰を下ろしたいところであったが、日没まで時間がない。
大窓に向け下って行く。各情報から右手のガリーを下るとあったので白ハゲ直下にあるガリーを下りだしてしまった。どこかからかトラバースルートが有るだろうと思いながら下ったのだが、一向に気配がない。こんな時は戻るが一番。再び白ハゲまで戻り、大窓に向け尾根伝いに下って行く。そして白ハゲと大窓のほぼ中間部から右手(西側)に草付きの中に踏み跡が降りており、それを伝うと踏み跡はガリーに変わる。どうもここか正解のようである。大窓も下に見え、安心して下ることが出来た。ただ足元が悪い。一歩一歩が全て流れる状態であった。最後はやや東にトラバースするようにして大窓に到着。

 大窓には一張り分のテン場があり、そこにはお地蔵様が南を向いて立っていた。黒部側の谷はガスの中、水を得たいがどこまで下ればいいか判らない。大窓谷側は尚更状態が判らず、水は諦める。翌朝見えたのだが、100mほど下ると雪渓の所に水が出ているように見えた。テントを設営し、そそくさと潜り込む。今日は朝のバナナだけでここまで来ている。昼用のおにぎりをほうばり、なんとなくこれで夕食になってしまった。今日は天気が悪いのでカメラを出す機会が乏しかった。なけなしの脳みそから一日の記憶を呼び戻し、記録をつける。運よくここで夕立となった。夜半もかなりの降雨があり、明日もずぶ濡れかと腹を括る。池で汲んだ水を沸かしテルモスに入れ、それをシュラフに入れた。上半身と靴下は着替えられたがズボンの替えはないので、体温とお湯の力を借りて乾かすしかなかった。案外これが効果が出て、翌朝は乾いた状態で寝覚めを迎えられた。

chizu1.jpg

chizu2.jpg

 chizu3.jpg


chizu4.jpg
 
                                       戻る