裏金山  2122m    

 2007.10.28(日)   


  雨(20号台風)      単独     杉野沢橋より入山      行動時間:6H40M



@杉野沢橋付近駐車ペース8:39→(8M)→A真川に下りる8:47→(12M)→・ルートミス→B滝沢8:59→(29M)→C金山谷9:28→(15M)→D裏金山谷9:43→(12M)→E地獄谷9:55→(114M)→F富士見峠11:49〜51→(32M)→G裏金山12:23〜29→(22M)→H富士見峠帰り12:51→(70M)→I地獄谷帰り14:01→(10M)→J裏金山谷帰り14:11→(18M)→K金山谷帰り14:29→(35M)→L滝沢帰り15:04→(4M)→M真川と鍋倉谷の出合15:08→(11M)→N駐車スペース15:19


cyuusyasupe-su.jpg  shinkawaugannnotozandou.jpg  shinkawaniorirubasyo.jpg  bini-ru.jpg 
@真川右岸の登山口。駐車は10台ほど。 真川右岸の登山道の様子。夏場は生い茂っているだろう。 Aルートが真川に降りる場所。3mほどを滑りやすい岩部を下る。タイガーロープあり。 ルート上は白いビニール紐が流してある。
cyuuibunnki.jpg  takizawa.jpg  akapenki.jpg  mukashinohyoushiki.jpg 
この奇形の木が目に入ったら「右」に進む。左側にもロープが続いているので要注意。 B滝沢渡渉。ここでビニールロープは途絶える。 ルート上はこのようなマーキングがある。ブナ林の場所。 富士見峠までの間で、唯一文字表示のある標識。
kanayamadani.jpg  urakanayamanurui.jpg  urakanayamadanisojyou.jpg  jigokudanima-kingu.jpg 
C金山谷渡渉。川底はナメ岩状。 裏金山谷とヌルイ沢の出合。ここは左側の裏金山谷側に。 D裏金山谷渡渉。出合から50mほど遡上したらケルンに従い右岸から左岸に移る。 E地獄谷を渡渉すると左岸側にピンクのリボンがこまめに続く。
ma-kingu.jpg  hamonoato.jpg  humeiryou.jpg hujimitouge.jpg
黄色と赤の昔の標識も見られる。(これは木に取り込まれている) 最近の刃物痕。地獄谷から上部で見られた。 谷形状の迷いやすい場所。周囲を良く見ながら詰めてゆく。この先左側にルートが見出せる。 F富士見峠。小さいが立派な標識が残る。
yakeyamagawa.jpg  tougekarasuginosawagawa.jpg  sekicyuu.jpg  sancyounonishi.jpg 
F富士見峠から焼山への切り開き。 F富士見峠から杉野沢橋への道(歩いて来た方向) G裏金山山頂の石柱(三角点ではない)  G裏金山の西側。
sancyounokitagawa.jpg  kitagawakarasancyou.jpg  hujimigawakarakanayama.jpg  hujimitougekaeri.jpg 
G裏金山から富士見峠側。東側は草が生えていない地形が多い。  少し下った所から山頂を見上げる。  富士見峠付近から裏金山への尾根。(少し視界が良くなってきた)  H富士見峠帰り。 
yakeyama.jpg  sasaniboxtusuru.jpg  jigokudani.jpg  tocyuukaraurakanayama.jpg 
富士見峠の少し下から焼山。(レンズに雨粒)  富士見峠の東側の藪漕ぎ地帯。見えるピンクのリボンを追うと笹を漕ぐ形になる。  上から地獄谷の様子。  途中から裏金山。その奥は天狗原山か? 
kigan.jpg  tozandou.jpg  kigaoou.jpg  jigokudanijyoubu.jpg 
2003高点付近の奇岩。  登山道はしっかりとした道形が在る。(上から撮影)  地獄谷から上の登山道は、木が覆い被さっている場所が多い。  地獄谷上部で、一箇所急峻の滑りやすい場所がある。ここは補助ロープが無いので注意。(下から撮影) 
jigokudanikaeri.jpg  urakanayamadanikaeri.jpg  deainokaryuu.jpg  kanayamadanikaeri.jpg 
I地獄谷渡渉。  J裏金山谷帰り。かなり水量が増している。濡れずに渡渉は不可能。Dとほぼ同じ場所。  J裏金山谷とヌルイ沢出合の下流の様子。  K金山谷帰り。Cと見比べると水量の違いが判る。 
buna.jpg  takizawakaeri.jpg  shinkawatokabekuradanideai.jpg  shinkawaugannoyousu.jpg 
気持ちよいブナ林の中の道。  L滝沢帰り。  M真川と鍋倉谷の出合付近。写真右の壁に進むのだが、水深は膝くらい。Aの写真の上流側からの絵。  真川右岸の様子。かなり広い地形。小川に沿うように道がある。 
gogannnomichi.jpg  entei.jpg  cyuusyajyougezan.jpg  rindoukarabunki.jpg 
駐車場間近。護岸の上を行く。  堰堤。かなりの水量。  N登山口の駐車スペース到着。  杉野沢橋西側の登山口へ向かう分岐。 



 パノラマ写真家の
F氏から声がかかり、中アで小屋泊をして連休を楽しもうと言う企画で動いていた。がしかし突然の20号到来であった。2日ほど前からやけに南に雲が沸いてきているなーと衛星画像を見ていたのだが、まさか台風になるとは思わなかった。一般的な判断で同行は中止とさせて頂いた。予定していた所に一人で出向いて遊ぶのも忍びないので、場所を替え、最近出向いていない妙高エリアに行くことにした。焼山と金山の間にある裏金山が未踏のまま残っていたのであった。何せ付近は笹薮と聞く。無難なのは残雪期であるが、アザミ岳の笹原での遠泳で気を良くして、裏金山への笹原も大丈夫であろうなどと安易に思ってしまっていた。さて結果は如何に。


 珍しくスロースタートで4時半に家を出る。あまりにも雨脚が強く、出そびれているうちにこんな時間になってしまった。高速で妙高高原ICまで行ってしまおうかと思ったが、天気も天気だしとのんびり向かう事にした。あとは林道笹ヶ峰小谷線が通行可能であるようで、小谷村から入る事が出来る。1日目は移動日と決め込んで温泉に浸かってのんびり、などとお気楽な企画も頭を過ぎる。いつものように三才山トンネルを経て松本側に出て、明科、大町と経由し白馬に入る。見えるべき山並みは全くのガスの中。やはり今日は温泉か、などと自然とアクセルが弱まる。いつまでも優柔不断ではしょうがないので、8時半までに天狗原山の登山口に着かなければ、明日の日曜日に上がることとした。そう、当初はMLQが辿ったと同じコースを考えていた。ところが現地に8:15に到着した。もう一度地図を見返すと、杉野沢橋からの登路も面白そうに見えた。そのまま林道を進み、乙見山峠下のトンネルをくぐり、笹ヶ峰方面に進む。林道は掘れた場所がほとんど無く快適な林道であった。そして杉野沢橋に8:34に到着した。


 何か登山道を示す道標があるのかと探したが無く、真川の右岸にある林道を100mほど入ると10台ほど駐車可能な駐車スペースがあり、そこに停める。すぐに雨具を着込み、長靴を履き、右岸にある護岸の上を歩いてゆく。鍋倉谷と真川の出合辺りでは、河川内で工事がされており、ユンボなどの重機が轟音を響かせていた。大きな堰堤の上流にもユンボが入り川の中を整地しているようであった。真川の右岸を行くのだが、最初は小さな水の流れに沿うように道形がある。少し泥濘地もあり、その先からくねくねと進むような場所になる。この辺りは平坦地であり少し迷いやすいのだが、それを気遣ってか白いビニール紐が延々と流してある。おおむねこれに従い進めばよい。真川の流れのすぐ脇を2.5mほど岩に伝い降りる場所は、タイガーロープをしっかり掴んで降りてゆく。


流してある白いビニール紐には落とし穴が一つあり、滝沢を手前に奇形の木が登山道上にせり出している先で、左(南西)にそのロープが行っており、小さな谷を薬師岳の方へ詰めるようなコース取りになる。150mほど進み、どうも方角がおかしいので一度戻ってみると、先ほどの奇形の木の場所からもう一つ北西にロープが流してあった。ルートはこちらが正解で、ほどなくして滝沢を渡渉してゆく。ここを最後に白いロープは終わる。この先はブナ林の気持ちよいルートで、紅葉を楽しみながら足を進める。林立する登山道脇のブナには赤ペンキで丸が書かれ、ルートを示している。さらには新潟エリアでよく見るところの木に名前を刻む行為も多々見られた。なぜに新潟に多いのだろうか。少し笹の繁茂する場所もあるが道形はしっかりしているので不安要素は無い。


金山谷を手前にして「焼山⇔笹ヶ峰」と書かれた木の標識がブナに釘で留められていた。道中にある文字の判読できる道標はこれのみであった。金山谷はナメ岩状の渡渉であった。この先は地形図の破線から逸れ、かなり西側にルートが付けられていた。1454m高点の辺りで破線と合流し、その先で少しトラバースするように右に谷を見ながら進んで行く。否応無しに裏金山谷とヌルイ沢の出合が眼に入り、そこに向け降りてゆく。ここも危険箇所にはタイガーロープがお助けとなる。


裏金山谷は慎重にルートを見極めたい。付近には小さなケルンがあり、これを結ぶように進むのがいい。出合から50mほど遡上すると左岸側にケルンが移り、そこを渡渉する。渡渉したらピンク色のリボンが導いてくれる。リボンが無ければやや迷う場所であろう。と言うのは、左岸側にある山手側の入口が見極めにくくなっていた。ルートに乗ればしばらくはそのまま伝えばいい。地獄谷を跨いだら左岸をしばらく進む。この辺りは流れを見ながら気持ちよく歩ける場所である。マーキングも点在しており迷うことは無い。しかしながらこの付近から登山道上に覆いかぶさるような木が多く、何度も頭をぶつける。丁度雨具のひさしが視界の邪魔をしていたのであるが、物理的にも背の高い人は何度も腰を屈めねばならないルートとなる。過剰かもしれないがヘルメットを被った方がいいかもしれない。


1700m付近でルート上に赤い地質が目立つ場所があり、この辺りがちと迷った。ここは構わず谷を10mほど詰めると左(東)側に道が折れている。赤ペンキが示しているのだが、見落とすとそのまま谷を詰めてしまう事になる。ここを過ぎると九十九折の落ち葉の道を行く。2000mを越えた辺りで付近から硫黄の匂いがしていた。焼山から吹き降ろしの風に噴気が乗ってきているのか、それとも地獄谷の何処からか今でも噴気が出ている場所があるのか。2003m高点の奇岩ピークを巻く様にルートは切られ、やや広い地形の中をのらりくらりと進んで行く。少し尾根上になると、15mほどの藪漕ぎ区間がある。道形が有るのか無いのか、ピンクのリボンを追うと必然的に藪漕ぎであった。ここは大きく北側(焼山側)を巻いても良いようだが、稜線に戻る場所も藪のようで、視界の無い中ではこの時はギャンブルと、そのまま突進する。再び道形が現れ、少し伝うとそこが富士見峠であった。

 古い道標が倒れ掛かって立っており、付近の背丈ほどの笹の中に、焼山側に道が開かれていた。雨具を着ているものの、既に全身ずぶ濡れであった。寒くて仕方なく、お湯を飲みホッと一息。視界は20mほど。稜線も何も見えず、何処に裏金山が有るのかさえ判らなかった。とりあえず、道標が示す「金山」方面に向かう。すると稜線上には、薄い踏み跡が続いていた。峠から200mほどの場所で一部笹を漕ぐ場所があるが、その他は割りと楽に歩いてゆける。東側が黒い植生の無い地形が多く、そこに微かな踏み跡が続いていた。富士見峠と裏金山の丁度中間点で、ややコースが南西に変わるのだが、道形に従い笹に突っ込むのが正解で、ここを避けて南東に巻くと笹を漕ぐ距離が長くなり面倒であった。
山頂に近付くとルートが裏金山の北側斜面をトラバースするような道形が有る。おそらくこれが正規ルートなのだろうが、私が完全に没してしまうほどに笹が濃い。金山に行くのならこのまま進めばいいのであろうが、かなり厳しい藪漕ぎであろう。山頂の真北辺りまで進んだ所で、途中から尾根に突き上げるように進み山頂を目指す。尾根に乗るとこちらにも踏み跡があったので、金山に行くのでも稜線を伝った方が楽なように見て取れた。


12:23裏金山到着。ほとんど視界が無い。晴れていればそこそこの展望があるであろうが、雨を判って登ってきているのであり、ある意味自業自得である。何か目印はないかと探すと、山頂の南端にコンクリートの石柱が埋められていた。苔むした側面を良く見ると「山」の文字が判読できた。出発時間も遅いこともあり登頂は無理かとも思ったが、意外に早くに踏むことが出来た。もしブナダテ尾根を伝ったとしたら、おそらく金山からここまでの笹で泣いていた事であろう。今日のルート判断は正解だったようである。これには焼山が登山解禁になった事で、今回のルートも少し整備され、おかげで迷う場所も少なく歩かさせていただいた。焼山の恩恵とも言えよう。私は目標が裏金山であったが、焼山を目指しても4時間はかからず、早い人であれば3.5時間ほどで登頂してしまうであろう。


さて下山。なるべく東側を歩くよう心がけ稜線を拾って行く。時間の経過と共に、次第に視界も開けてきて、富士見峠に戻った時は焼山の山頂が見えるほどになった。この距離ならもう一度踏んでもいいかと思ったが、一分、一秒でも早くに風呂に入りたく下を目指す。広葉樹の堆積した登山道はよく滑り、ストックでバランスを保ちながら下ってゆく。地獄谷の流れが往路の時より大きくなっている。流れの音=水量の多さなのだが、水量は倍ほどに増していた。今日は長靴にものを言わせてジャブジャブと渡渉。次の裏金山谷の渡渉は足をすくわれんばかりの流量になっていて、慎重に通過する。残り2回の渡渉が思いやられる。それでも辺りの紅葉がすばらしく、雨に濡れ発色の良い葉を眺めながら下ってゆく。


そして金山谷に到着。ナメ岩の上を泥水が流れ、ここの通過は長靴でも水没してしまった。こうなると味噌糞一緒である。ちゃぷちゃぷと音をさせながら闊歩して行く。滝沢は良いとして、その先の真川の脇を登り上げる場所の下が、完全に川になっていた。どうやって向こうに行こうか悩んだが、結局膝まで水没してタイガーロープにたどり着いた。これで水に対する危険箇所は全てクリアーする。もし下山が遅くなったり、降りが強くなってでも居たら、状況は大きく変わったであろう。このルートは雨に対してはシビアに反応するルートであり、出向く時の注意は必要であろう。堰堤下では、一日の仕事を終えた作業員が車に乗り込む所であった。川ほど変化が著しい場所は無いのだが、そこを工事しているのだから、ある意味いたちごっこのような気もする。ただ整備はしないと荒れ放題になってしまうので、作業者には感謝せねばならないが・・・。


車に戻り、雨具を脱いでずぶ濡れのままハンドルを握る。暖房をガンガンに焚いてエアコンを効かせる。こんなことで体は乾くはずが無いのだが、しないよりはした方がましであり、体の冷えが幾分か和らいでくる。アクセルをやや強めに踏んで林道を小川温泉に向ける。雨は依然大粒で止みそうに無い。露天風呂前の駐車場に停め、それこそダイブするような勢いで露天風呂に入る。湯船に深く入ってもしばらく震えが止まらず、場違いにぶるぶるとしていた。既に入浴している人からは怪訝そうな眼差しが・・・。次第に湯温が体温を上げてくると“あ〜”と声に出してしまうほどに気持ち良さが感じられる。極楽極楽。山と温泉、私には切っても切れない両者なのである。

 風呂上りに乙見山峠下のトンネル脇まで戻って車中泊。ビールのつまみにと車内でソーセージなどを焼いたら、それこそホワイトアウトになりそうなほどにモクモクに。最後の最後まで視界不良の一日であった。

chizu1.jpg

chizu2.jpg

chizu3.jpg

                                           戻る