横山 1379m  

2007.01.20(土)   


  晴れ時々曇り  単独  新雪ラッセル    行動時間:10H24M


登り
@除雪終点4:09→(10M)→A林道分岐4:19→(9M)→Bゲート4:28→(43M)→・堰堤(行き過ぎ)5:11→(44M)→C大赤

沢下降点6:55→(216M)→・E138°40′が登山道と交わる点10:31→(55M)→D横山山頂11:26

下り
D横山12:05→(69M)→・林道に降立つ13:14→(30M)→C大赤沢下降点13:44→(33M)→E小屋14:17→(13M)→F

林道分岐14:30→(3M)→G除雪終点14:33


start.jpg bunki.jpg  geto.jpg kakouten.jpg 
@除雪終点からスタート。この左に作業舎がある。 A林道分岐。登山道を示す標識がこれのみ確認。 Bゲート C大赤沢下降点の標柱。
syamen.jpg naeba.jpg yokoyamaryousen.jpg ski.jpg
標高1260m付近の斜面。なだらかな所もある。 途中から苗場山方面を望む。霧ノ塔の稜線が良く見える。 横山への尾根。この先から狭くなる。 D横山山頂。標識は何も無い。リボン設置。
yokoyamasarutura.jpg yokoyamahinoki.jpg setugen.jpg koya.jpg
山頂から猿面山。残念、とどかなかった。 檜ノ塔側。いつかあの高みも行かねば・・・。  帰りの気持ちの良い雪原。ここから下ると杉の植樹林に入る。 E小屋の様子。横にキュービクルもある。だが配線は・・・。
hashi.jpg bunkikaeri.jpg  toucyaku.jpg   
小屋から見る橋(中央、杉の幹の左) 林道分岐帰り。遠くの峰が綺麗である。 G到着。作業舎では働いている人が居た。  


 今期はまだ滑っておらず、ただただスキーをしたかった。雪が少ない年であり、場所を選ばないとまだブッシュもある場所もあるだろう。それならと問答無用にある地域に行けばよい。新潟の豪雪地帯を行き先に決めた。これも決まったのは19日の21時であった。


 深夜1:05出発。関越自動車道を飛ばし塩沢石打で下りる。最初のコンビニのローソンで買い物をするも、スキーヤーでごった返していた。レジのおじさんの手際の悪さも、客を溜めている原因にもなっていた。17号に出て少し行くとセブンイレブンがあった。なんだ、ここに寄ればよかった・・・。私はセブンのヤキソバパンとコロッケパンを山の常食としているのであった。おにぎりは凍ってしまうので、この時期は買わないことにしている。353号で清津峡を経て117号に乗り、津南から405号で秋山郷に向かう。津南の街中だったか、途中に自衛隊の車両が2台あった。昨年のこの時期は大きな雪崩で秋山郷が孤立したはずである。そのために配置されているのか、などと思いつつ見ていた。路面は少し凍っている所があったが、急な坂は、大量の水が流されて凍らないような配慮がされていた。山水なのだろうが、量によっては凍ってしまうであろうから、良く凍らずに管理できるものと感心していた。それこそ川のように流れていた。マイナス8度であった。


 雪がやはり少ない。大赤沢地区を登山口としたのだが、この辺りで積雪は1mほどであった。主道の除雪はしっかりされていて、山手に入る道も先ほどと同じように水が流されていて、舗装路面が出ていた。適当な駐車余地が無いので大赤沢新道に向かう道を車で詰めて行く。奥に入ると路面が少しアイスバーンになっていて、傾斜もあるので帰りに注意が必要な場所であった。除雪最奥は、作業場のような施設があり、そこまでで途切れていた。車はその一番除雪の先に突っ込んだ。4:00到着。


 装備をして4:09歩き出す。スキーを履いて潜る量は300mmほど。まさしくふかふかであった。“これは股関節が痛くなるなー”などと思いながら足を前に出す。4:19最初の分岐があった。ここには「苗場山 大赤沢新道」を示す文字が書かれていた。右側を選び先に行くと雪面にゲートの上部が見えていた4:28。雪が無ければここまでは車が入れるようである。積雪期だと20分ほどのアルバイトとなる。

 ルートが良く判らぬまま林道を行く。欄干が赤茶色の橋を渡ると、正面の山腹にある小屋が、ヘッドライトに映し出される。そのまま林道を突き進むと、幅1.5mほどの流れが雪を切っていた。ジャブジャブと入り通過、するとスキーに雪が・・・。片足に2キロくらいの負荷になった感じで、酷いものだった。歩きはじめなので勢いがあり歩けているが、これが山行の途中だったり、後半だったら歩けない。歩いて行くと正面に堰堤が現れた5:11。これで場所が判った。夏道は少し戻った所から上にあがっているはずで、それを探す。再び水路を渡るが、先ほどに増して雪が付く。限界に達し、板を外して大きな塊は除去するが、水がシールに浸透していてシャーベッド状になり、既に凍り付いている場所もあった。ここでの教訓。「水路は板を外して通過すべし」である。


 さて林道を離れるが、夏道が判らないので適当に斜面に取付きもがく。世の中には雪が少ないといえ、ここには十分過ぎるほどある。杉の樹林の中に入ると道形があるのが判った。ただ林業用のものなのか登山道なのかは不明であった。そこを辿る。登りあげると道形はその先で下に降りていた。高度を落とすのは嫌なので左の高みを狙う。ここはこんもりとした無植生の気持ちの良いところで、そこを登りあげると林道に出た。相変わらずラッセルが続く。なにか杭が顔を出しているので掘り出すと、それが大赤沢下降点を示すものだった6:55。夏道がこの先からあるはずだが、スキーでは夏道は無理である。東経138度40分の線に沿うようにあがろうと考えた。地図には道が無いのだが、現地にはしっかりとした道がある。途中大きなデブリがあるが、硬い雪を乗り越えると再びフカフカの雪が続く。


 右手の傾斜が緩む辺りから林道は左下に下っていた。沢を見ると先の方に堰堤があったので、その作業林道だったのかもしれない。この辺りから取付く。スキーの機動力を発揮するには、やや酷な傾斜であり。それこそくじけそうな自分との戦いが始まる。途中何度も撤退の文字が頭に浮かんだ。斜度が強くなりカンジキに切り替えるも、足の回転はよくなるものの進度は落ちた。地図を見て状況把握をするのだが、猿面峰はもう諦めねばならなかった。これじゃー横山さえも届かないとも思いつつ、それでも足を上げる。そんなもがいている途中も、クロモジなどの植物があると、鼻を寄せにおいをかぐ。大自然で五感を刺激するのが、私の行動のコンセプトなのであった。時計は10時半を回った。もう6.5時間経過している。横山もダメか・・・。でもゼロで帰るのは寂しい。1か0か、二進数ではないが1は大事である。最後の根性を搾り出し、足を上げる。


 ここで地図の見間違えに気が付いた。と言うか思い込みでもあった。猿面山から尾根が一本通っていて、それが横山の方へ下っていると思い込んでいた。現地で行けども行けども稜線に乗らないし、斜面は続くし、その現状に萎えていた。地図を見て判るように、現地はそんな斜面なのであった。準備期間があまりにも少なすぎる歪が出た。ここでおおよその地形が判り、横山に向かう。横山が近づくと明瞭な稜線歩きとなる。南側はスパンと切れ落ちた地形で、足を踏み外さぬように雪の様子を見ながら進む。途中から素晴らしい形の鳥甲山が見えるのだが、そのポイントは1箇所であった。他で見ようと思ったが、全て樹林が邪魔をしていた。

 11:26山頂到着。7時間強経過。バテバテではないが、股関節は悲鳴を上げていた。思わず腰を下ろし大休止。山頂からは檜ノ塔側が開け、吸い込まれそうな斜面の景色が広がる。食事をしながら帰路を考える。滑り降りるにはどこが良いのか。おおよそは登りの斜面を降りればいいのだが、等高線のきつい所がある。上手く避けながら最短距離で林道に出ようと企てた。


 儀式が長引き、12:05下山。急斜面をスキーの先を上げて下ってゆく。一段下の斜面は、夏道が通っている所であるが、この時期は全く判らない。東にずれるように滑ってゆくと、どんどん斜度が増してきた。地形図では表せない崖などもあり、そこで動きが取れなくなった。それこそ「等高線の狭間から」である。板を外し、安全地帯まで登る。そしてまた滑る。しかし、今日の板が滑らない、シール内蔵タイプなのでそのせいだろう。道具は道具、選択は難しい。登りでの不満は無かったので良しとする。一気に滑り降りる頭でいたのだが、かなりの時間ロス。林道に降り立ったのは13;14だった。


 あとは自分のトレールに乗って戻る。トレール上は良く滑る。やはり少し硬い雪の方が使い勝手はいいのだろう。植生の無い高みを通過すると、樹林帯の中にカンジキの踏み跡があった。かなり踏み固められ5〜6人の跡と思える。どこへ行くのか、ん?この辺りに夏道があるのか、トレースを追って滑り降りると、往路で見た小屋に降り立った。夏道の入り口は、おそらくここなのであろう。橋を渡ったらすぐに山に取付くので正解のようである。眩しい日差しを浴びながらスケート滑走しながら、14:33駐車場所に着く。
 

さて次は風呂である。ここを選んだのには訳があり、小赤沢温泉に入りたかった。事前にネットで見るとやっているようなのであった。2キロほど切明の方に走り、小赤沢温泉に向かう林道入り口を見ると、休館のお知らせがあった。3月までだそうだ。ここまできてトホホであった。このこともネットに書いておけば・・・。書いてあったのか? さて次はと逆巻温泉に照準を定めた。本道から離れると、ここも路面が凍てついていて怖いアプローチであった。玄関を入ると休館のお知らせも無く、すたすたと入っていくと“すみません 休んでいるんです”と呼び止められた。秋山郷エリアは通常なら雪に閉ざされるので、あまり人が来ないのであろう。冬場は閉めて居ると思った方がいいようだ。で、最後は、竜ヶ窪温泉に行きついた。ここは木の香りがとても感じよく。サウナ施設も野外にあり本格的であった。内湯から露天への通路が、内湯の湯船から直接行くように出来ており、面白い造りであった。寒さを考慮した事なのだろう。終わり良ければ全て良しであった。


 家には18:15到着。車の塩カルを洗い落とし、一人寂しく夕飯をし、ビールと日本酒を煽ると流石にバタンと寝入ってしまった。

chizu.jpg

:登路 
:下山路
:林道(半仮想)         
                         戻る