三引山  1938.7m            

 2008.5.18(日)   


   曇り     単独     残雪    野反湖バス停から     行動時間:3H9M


@野反湖バス停8:47→(9M)→A三壁山登山口8:56→(51M)→B三壁山北側尾根に乗る9:47→(30M )→C三引山10:17〜43→(34M)→D三壁山11:17→(29M)→E登山口11:46→(10M)→Fバス停11:56


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野反湖東側車道から見る三引山(右端)と三壁山(左) @野反湖バス停から先は通行止めだった。 バス停から下ってすぐに残雪が道を覆っていた。 野反湖キャンプ場のロッジ前。
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A三壁山登山口。 登山道上から離れトラバース。三壁山北側の尾根を目指す。 B三壁山から北側に派生する尾根に乗る。三引山遠望。 1920m峰へ続くたおやかな尾根。
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1920m峰の東側はやや急峻。 三引山の南側の笹原。草原のようでもある。 目線ではこのように。 三引山の南端から見る山頂側。
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C三引山。南から北側を見る。 C三引山から見る三壁山。 C三壁山から見る野反湖。 C山頂から大倉山側。
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C何も標識が無く、山名を記したリボンを残す。 山頂側から笹原を見下ろす。 雪が乗っていれば快適。 グリーセードの痕。帰りの為に滑らずにステップを刻んだほうがいいかも。
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三壁山への尾根雪。 D三壁山山頂。 D1995年作。達筆であり、彫刻も上手い。 樹林帯の中はリボンが導いてくれる。
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途中から野反湖。 E登山口に降り立つ。 キャンプ場のロッジ前。 F野反湖バス停駐車場。


  

 土曜日は出勤であった。15時に仕事を終え、その後は久しぶりに農作業となる。春の種まき植え付けシーズンであり、その前の土作り。そしてその夜は飲み会が入りアルコールをたらふく摂取してしまった。帰宅は23時。そんなこんなで久しぶりに日曜日は休養日としようか、などとのんびり5時に起きた。5時起きは私にとってはのんびりなのである。コーヒーを飲みながら、雨上がりの外を眺める。快晴では無さそうだが天気は良いようだ。残雪期の大事な1日。家に居ていいものか・・・。いいはずが無い。すぐに行き先を探すのだが、ふと野反湖の辺りに登り残しがある事を思い出した。志賀高原の地図を出し、野反湖付近を見る。それは三引山(みつひきやま)であった。途中まで三壁山への登山道が利用でき、残りは残雪が使えるだろうと読んだ。現地は我が家から160キロ、飛ばせば2時間。この日は16時から小用があり、それまでに戻ってくるには適当な場所でもあった。


 6:40家を出る。406号で大戸の関所を抜けてゆく。須賀尾峠を越えて弁天橋に降り立つ手前で一時停止が有るのだが、東側30m離れた場所で、警察が監視していた。しっかり一時停止したつもりだが、すぐに後からパトカーが追ってきた。やられたか・・・と思いドキドキしながらハンドルを握っていたが、声を掛けられる事は無かった。警察も人が悪い。まーたまには自分の運転の戒めには良いか。須川橋の所から292号線に入り、野反湖を目指す。白砂大橋を過ぎると、付近に山菜採りの姿がちらほらと見られた。車道周辺には全く雪が無く、運転の部分では嬉しいのだが、山を狙うに際し残雪が辿れるだろうかと不安になる。野反湖のバス停に着くと、その先キャンプ場へ続く道は通行止めであった。売店に行き詳細情報を聞くと、来週22日に開通するのだそうだ。途中にはまだ残雪があり、ここから歩いてゆくしかないとの事であった。すぐに準備をする。


 8:47 キャンプ場に向け歩き出す。60mほど進むと確かに残雪が道を覆っていた。コバルトブルーの湖面を左に見ながら堰堤を渡りキャンプ場内に入る。以前は道標が無くやや迷ったのだが、今はしっかり付いていた。道標に導かれ大きな標柱の立つ登山口から山道に入る。前夜の雨のせいと言うより、残雪の雪解けのせいでぬかるんだ路面であった。カモシカ平付近はネマガリダケが顔を出していたが、まだ採るほどの大きさではなかった。この先の水場の水はか細くチョロチョロと流れていた。ちなみに下のキャンプ場内の水場は、まだ水が出ていなかった。ルート上にちらほらと雪が出だすのだが、1850m付近まで上がると完全に繋がった。


 目指す三引山はバス停の辺りからもずっと見えていたのだが、高度を上げると尾根の様子がしっかり見えてきた。しかし稜線上には雪が乗っていない所が多い。ここは志賀高原エリアと言えよう場所である。一旦藪が出ると、その手ごわさは並ではない。雪に繋がり登頂できると予定してきたのだが、その緑緑した斜面に、かなり精神的負担を覚えてしまった。気持ち足が重くなったような気さえした。早くに近寄りたいのだが、登路側と三引山側との間には深い谷がある。我慢して三壁山側に登ってゆく。それでも傾斜が緩むとトラバースするように狙ってみた。がしかし、三壁山からの尾根には雪庇が東側に張り出し、乗り上げる最後がやや難儀した。ここは我慢して三壁山側にしっかり登りあげてから、北に進む方が無難である。


 尾根に乗ったら、しばらくはたおやかな尾根で快適であった。西側には志賀高原の烏帽子岳や岩菅山が良く見える。この先中間点として1920m峰が有るのだが、この南側はやや細い雪庇を伝わり、頂部から北東側の下りはかなりの急峻が待っていた。踵を入れながらグリップ歩行をしながら下り、中間部から下はグリセードで快適に滑り降りる。そしてこの先から雪が途切れ藪漕ぎが始まる。あまり密生してはいないが、しっかりした太さのある笹がある。ここの通過は、尾根の最高部を辿るのがいい。最初やや東側を漕いでいたのだが、数メートルずれただけで雲泥の差で楽であった。再び少し雪に繋がり、最後のササの斜面に入る。どのくらいの植生なのか、足を踏み入れるまではその深さが判らない。覚悟して入ってゆく。


 快適。笹薮の高さは1mほどで、案外楽に進むことが出来た。もっともっと酷い藪漕ぎを想定していたのだが、さほど負担にはならない。南アルプスの丸盆岳周辺のササの植生のようであった。とは言え上に進み斜度が増すと、それなりに視界を遮るようになり、倒れた笹で滑り足あげもきつくなる。まーまーここらへんは何処も一緒であろう。笹の斜面を過ぎると、ちょっとした樹林があり、この付近から山頂部の南端になる。先を望むと150mほど先にこんもりとした山頂が見える。ここから先も特に酷い藪漕ぎはない。


 三引山山頂到着。何も標識は無く、久しぶりにリボンを縛った。北側以外の展望はあり、ことに白砂山側は良く見える。手前に八十三山や大倉山が見えるのだが、ここを見て思い出すのは2000年の達筆登山家による「惑わしのトレール」である。この時期のトレールはほとんどが白砂山を目指すものであろう。そんな中、達筆登山家は純粋に大倉山を狙い、それにより立派なトレールが付いた。翌日、ここに白砂山を目指すパーティーが乗ってしまったのである。現地でその場面を目の当たりにしたのだが、そこに居たメンバーのリーダーを見る表情は今でも忘れられない。なにせ気が付いたのが大倉山の手前、その場のシュールさたるや、笑ってはいけないのだが、笑わずには居れない状況であった(その場が寒すぎて和ます意味合いもあり)。だいぶ脱線したが、山頂に到着後トランシーバーを握ると、大宮から美声の才媛に声を掛けていただく。さらに北アの一ノ沢ノ頭に居るKUMO氏からも声がかかった。この時期、向こうも藪漕ぎだったらしい。交信しながらも足許では三角点をずっと探していたのだが、滞在時間中探したが、結局見つかることは無かった。東側が切り立っており、落ちてしまったのかもと言うのが一つと、あとはササが繁茂し、根が蔓延ったり葉が堆積したりで、完全に埋もれているようでもあった。


 下山。帰りはやや西寄りに樹林の中を進んでみたが、ササの斜面に降りる手前が急峻であり、気持ち東側を通るようにした方が無難のようであった。最低鞍部から1920m峰の雪の斜面は、帰りを考えて上の方はステップを刻んだのだが、下の方はグリセードを楽しんでしまった。普通に足を置いたのでは、ズリズリと滑って高度が上がらない。雪を蹴りこみながら上がって行く。気温や雪の様子ではアイゼンが必要になる斜面である。1920m峰は樹林の山頂で、雪の乗ったこの時期でも展望は無い。南にたおやかな雪の尾根を登り返してゆく。


 帰りは折角なので三壁山に寄って行く。約8年ぶりの訪問であったが、以前にあった小さな標識は未だに健在であった。この標識は達筆でありながら、見事な彫刻で作られている。冬用のコースガイドのロープなのか、雪にだいぶ埋もれてしまっていた。30秒ほどの滞在で踵を返す。


 下りのほとんどはグリセードを楽しむ。少し雪が腐ってきているのが好都合であった。途中の水場で喉を潤し、キャンプ場まで下る。湖畔ではルアーフィッシングを楽しむ方の姿があるのだが、釣果は無いようで、空を切るロッドの音ばかりが聞こえていた。バス停まで戻ると、大型バスの姿もあり、ここ野反湖もシーズンインと言った様子であった。


 さて三引山を振り返る。適期が今だと思いたいのだが、既に広範囲に藪が出ている。雪が繋がっているのは4月前半くらいまでであろうか。となると405号線の春の開通を待っての入山では必然的に藪漕ぎは付きものになる。他のルートがあれば良いが、今回のルートしか見出せない。やはり藪漕ぎの山となるであろうか。


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