大滝槍見台   2364.5m      

 2008.7.26(土)   


   曇りのち晴れ    単独     上高地より        行動時間:8H9M


@町営岩見平駐車場5:10→(15M)→A上高地バスターミナル5:25〜28→(40M)→B明神徳本峠入り口6:08→(87M )→C徳本峠7:35〜41→(28M)→D2246.5三角点峰8:09→(73M)→E大滝槍見台9:22〜39→(62M)→・2246.5三角点峰帰り10:41→(22M)→F徳本峠帰り11:03→(61M)→G明神12:04→(39M)→H上高地バスターミナル12:43〜53→(26M)→I岩見平13:19


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@町営岩見平駐車場からタクシーに乗る。 A上高地バスターミナル。 まだ静かな河童橋。 明神。登山者はまばら。
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少しガスが晴れ、山腹が見えるようになった。 B徳本峠入口。 黒沢は荒れている所が目立った。 最後の水場の標識は割れてしまっていた。
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C徳本峠到着。 C徳本峠小屋は、ビニールを多用した防風対策がされていた。 D2246.5m高点。三等三角点。 D山頂東側の様子。
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「明神見晴し」残念ながら展望なし。 登山道の様子。 E大滝槍見台の立派な櫓。 E山頂の東側。
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E櫓から東に10mほど進むと三等三角点がある。 E三角点側から見る櫓。 E櫓の上にあがると標識が置いてある。 E梯子の上から。
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Eこの日の展望。 E非常に良く滑った梯子。要注意。 徳本峠近くからジャンクションピーク。 徳本峠近くから小嵩沢山。
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F徳本峠に戻る。屋根には石でなく丸太が乗せてある。 F峠からの下降点に張ってあったテント。 登山路に咲いていたオトギリソウ。 クルマユリ
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センジュガンピ  タマガワホトトギス  途中の橋。  徳本峠入口に戻る。 
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G明神帰り。  だいぶガスが晴れ、明神岳が姿を現す。  途中でサルとすれ違う。子連れ。  河童橋帰り。賑やかであるが、ハイシーズンにしては静か。 
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H上高地バスターミナル。  I岩見平に戻る。まだまだ沢山駐車スペースが空いている。     

  

 海の日の三連休も終わり、今週は少し山が静かになる。これは今までの経験則なのだが、往々にして大きな連休の後は静かな場合が多い。こんな時を狙って賑やかな場所を選ぶようにしている。今回はその最たる場所、上高地に入ることにした。しかしこれだけ暑いと、登山者でなくとも上高地に避暑に行きたくなるだろう。さて経験則が合っているか否か・・・。


 1:15家を出る。前夜の豪雨から尾を引いているのか、フロントガラスを雨粒が叩く。三才山トンネルを越える頃、路面も乾いてきて空を見ると星が瞬いていた。国道158号に乗り、途中の「道の駅 風穴の里」にトイレに入るが、駐車場の4割ぐらいが埋まるくらいで、見た感じはガラガラであった。そして沢渡の各駐車場を見るが、やはりまばら。いつも停めている町営岩見平駐車場には、20台ほどしか置いていなかった。常々ならこの時間でも次々にハイカーがやってきて、駐車場は埋め尽くされていくのだが、予想は当たっていたようであった。4:00到着、しばし後ろに移り仮眠を取る。


 なぜかこの日はしっかり仮眠が取れた。いつもなら次々現れる車のエンジン音で寝ているような寝ていないような感じなのだが、この日は違っていた。ただ時間になると、バス停の東側にあるタクシーの連絡用のスピーカーから音がしだし、これによりもぞもぞと準備をしだす。5:00になっても駐車場はガラガラだった。バスの券売所に行くと、この日の一番バスは5:30以降だと言う。すぐにタクシーのところに行くと、この日の運転手は客集めをしてくれていた。集客行為は禁止となったと聞いていたので、自分で集めねばならないと思ったのだが、これはありがたかった。いくら約束事が決まっても、ここら辺は臨機応変な対処でいいだろう。あまり酷い客引きは拙いとは思うが・・・。運転手の腕もよく、私を含め5名集まった。沢渡から上高地まで4000円だから、頭割りで800円。時間的にも早く、なおかつ割安で行ける。


 同乗の方が準備している間に運転手と話をするのだが、昨今は大型バスでの入山者が殆どになってしまい、タクシーは上がったりだと言っていた。日本人固有の「ツアー好き」という部分がそうさせているのか判らぬが、自発的な登山と言うよりは連れて行ってもらうという受け身な登山なのであろう。中高年の事故が多いのは、年齢による部分と、この基本的な姿勢からなのではと思ったりもする。あとは昨今の燃料費の高騰も後押ししているだろう。間違いなく団体で行ったほうが安上がりである。タクシー運転手の嘆きもあるが、環境に優しいのは団体で出向く事の方か・・・。ただバスの排気量を考えるとどっちもどっちの様でもある。昔の登山者は、ここで手を上げて挙ってタクシーを待ったものなのだが・・・と懐かしむように言っていた。“でも先週の3連休は忙しかったでしょ”と言うと表情が一変しにこやかになり、“そりぁ忙しかったよ 地獄のようだった”などと嬉しそうに話していた。


 5:10タクシーに乗り上高地を目指す。本来なら5時少し前に準備が出来、中の湯のゲート開門(5:00)にあわせて入れればベストとなる。それでもタクシーは早く、15分ほどで上高地のバス停に到着した。ちなみに私以外の同乗者は、登山者でなく観光客だった。登山者の姿はまだまばらで、この時間だと全ての方がタクシーで入ったの方のようであった。5人以内のこじんまりとしたパーティーが数えるほどあるのみだった。


 靴を縛りいざスタート5:28。散策道を歩いて行くと、岩屋の方が二人自転車で追い越して行った。オイオイ自転車乗車は禁止なのでは・・・。早朝は無礼講なのか。入山者が少ない場合は誰にも迷惑はかけないが、一度規則を緩めてしまうと大量に自転車の入山があった場合に事故やらが起きて困るのであろう。今の措置は妥当な所だと思う。静かな河童橋を横目に見ながら明神を目指す。ガスが垂れ込め、見上げたい明神岳はその中に・・・。


 30分ほどで明神を通過し、徳本峠への分岐となる。南沢が通れなくなって
3年ほど経過するが、流石にもう修復できたようで、ここに長い間掲げられていた峠から先の「通行止め」の表示は無くなっていた。白沢の流れを右に見ながら一級の道を登ってゆく。登ると言うよりはほぼ水平に散策しているような感じである。途中で車道幅が絞られ登山道になるが、相変わらずいい道である。白沢支流の黒沢沿いの道になると、この黒沢はやや荒れた様子となっていた。以前は沢の中を通った場所は、東側を高巻きする道が切られていた。ちと残念なのは、ここは山に対して北側に位置するためか、いまひとつ花の数が少ない。よく見ればそれなりに数はあるのだが、見栄えの良い花が少ないのであった。そんな中でもセンジュガンピの白花が目立っていた。

 
 最後の水場を過ぎ、快調に足を上げてゆくと、上の方でゴソゴソと笹を漕ぐ音がした。音からしてあまり大きな動物ではないようであり、人間の存在があるのに逃げようとしない。不思議に思って注意してみていると、それはサルであった。距離にして2mほどになっても平気でそこにいた。まるでこちらの存在は意に関せずと言った状態で、笹をむしっては口に放り込んでいた。その先、小屋と霞沢岳への分岐の所に単独の女性のハイカーが居た。やや大きなザックを背負い、だいぶお疲れの様子で真っ赤な顔をしていた。この時間だと本日入山ではないようであり、どこかで幕営して今日上がってきた様子であった。二言三言言葉を交わし背を向ける。

 
 徳本峠に着くと、そこにはひと張りのテントがあった。残念ながらまだ展望は無く、殆どガスの中であった。小屋の方を見ると小屋主が作業をしているのが見えた。小屋の方へ足を進めると、小屋主はトイレ掃除の最中であった。「ご苦労様」と声をかける。小屋主はありとあらゆる事を一人でせねばならない、大工であったり、調理人であったり、掃除人であったり、時に救助もある。南アの小屋番のY
氏が言っていたが、小屋番は万能でなければ勤まらないと聞いている。ここ徳本峠小屋の小屋番は、物腰の優しい方であった。6分ほど休憩し、大滝山側へ足を進める。

 
 中村新道に入ると、登山道脇の草が見事にズボンを濡らしていった。すぐに雨具を履く。気温15度。最初はたおやかな稜線歩きで、非常に気持ちがいい。視界が無いので、展望がある気持ちよさではないのだが、樹林の中でも閉鎖感は無く歩いてゆける。2246.5三角点を過ぎると、ややアップダウンが増してくる。さらには泥濘地形も多くなり、ここは先ほどの徳本峠でスパッツを付けて入った方が無難の場所であった。時既に遅し、靴をドロドロにしながら進んでゆく。


 「明神見晴し」でも当然のように展望は無い。もう少し早くに天気が回復すると思っていたのだが、人出の予測は出来たが自然の予測は出来なかった。この明神見晴しから下った辺りに大きな池があるように地図には書いてあるが、現地では全くその姿は拝めなかった。池を見るには登山道を離れ登り上げないとならないようであった。周囲は低い笹なので、行こうと思えは容易に行けるであろう。相変わらずの一級の道が続き、泥濘地さえなければルンルンと歩ける道であった。

 
 大滝槍見台到着。目の前に櫓が現れたと同時に、そこに一人のハイカーが居た。話をすると、今朝大滝山荘を出てきたようであり、金曜日の宿泊者はこの方一人だったそうだ。すぐにこの方は徳本峠側へ下って行き、山頂を独り占めとなる。独りとは言うものの、大きな櫓があり圧迫感はある。水分を含んだ滑りやすい梯子を登ると、櫓の上に山名表示を書いた看板が置かれていた。残念ながらここから槍を見ることは出来ず。近くの明神岳でさえ姿を現せてはくれなかった。いつものヤキソバパンを齧りながら静かな朝食となった。おそらくこのまま長居をしていたら天気は回復するのであろうが、そこまで待つ余裕は無い。櫓を降り下山となる。下りかけて、ふと三角点を見ていない事に気が付き、再び戻る。櫓の東に10mほど進むと樹林の中に三等三角点があった。これで全て満足。


 下りだして30分ほどして先ほどの方を追い越すことになった。“あれ!”という顔をされたのは当然であり、普通なら大滝山を目指すと思うであろう。“槍見台のピストンなんです”と言うと納得されていた。時間の経過と共に天気は回復しており、南を見ると、木々の間から小嵩沢山が見えていた。日差しが入ると一層気持ちの良い尾根で、快調に闊歩してゆく。


 徳本峠に戻ると、総勢5名ほどのハイカーが休んでいた。軽く挨拶を交わし、明神に向け降りてゆく。降りてゆく道中、意外や登ってくる人が多い。登山の服装をしている人が大半なのだが、軽装の方も多々見受けられた。中には外国の方が何も持たないで登ってきていた。辛そうな表情で、“この先、行けますか”と聞いてきたので、問題箇所は無いので、“はい 行けますよ”と返答したのだが、すれ違ってから、ここまでのコースタイムを聞いてコメントした方が良かったかと思った。外国人の場合、軽装の場合を良く見るのだが、装備や物に頼るに日本人に比べ、バイタリティーがあるようにも見えてしまう。事故に遭えば問題視されてしまうが、人間としての強さは彼らの方が遥かに上であろうと思うのであった。花の写真を撮りながら降りて行く。何回撮っても下手糞なのだが、数打てば当たるだろうか。誰かに教わらないとダメか・・・。


 徳本峠入り口まで戻ると、いつもの通りに賑やかな登山道を行くことになる。登山道上をややすっぱい臭いが漂うのだが、この暑さなら致し方ないだろう。と言う私もそのすっぱさに加担していたのだから・・・。それでも今日は少ない。明神で休憩している人を見ても、いつもの半分ほどであった。河童橋まで1.5キロの表示を過ぎ、辺りが奇声で賑やかになった。ここにもサルが降りてきていたのであった。散策道から離れた樹林の中に彼らは遊んでいたのだが、驚いたことにその中の何匹かは散策道上を悠然と歩いていた。さらに驚いたのは、まるで人間が歩くように普通にすれ違って行ったのである。完全に人間慣れしてしまっているようであり、うまく人間とサルとが穏便に共存できればいいが・・・。でも散策道上には糞が多数転がっており、散策者に踏まれたものも多かった。既に糞害が始まっているようであった。

 
 河童橋も通常に比べると静かなもので、昼時の一番賑わう時間帯でありながら、空いているベンチは多かった。気持ちよさそうに川べりでレジャーシートを広げているグループも多く、この暑い最中の水遊びを恨めしく思ったりもした。朝のここの通過は15度。すでにこの時間は23度。日差しを含めた体感温度は30度近くなっていた。上高地ではあるが暑いのであった。

 
 上高地のバス停に戻ると、台湾からの観光客が沢山そこにいた。1000円で岩見平までのチケットを買い、バスに乗ろうと並んだら、乗ろうとした1台は全て台湾人用とされているらしく、乗車時に、係りの方にその事を告げられた。「それでもいいなら」と言う部分であった。私の後ろに並んでいた日本人は“一緒に乗ったら殺されてしまう”などと言葉にしていた。馬鹿な日本人が居るもので、その方は山屋の姿の方であり、恥ずかしく思えてしまった。来ている台湾の方も日本語は判るであろうに・・・。初老の方であったが、モラルのレベルは最低であり、恥ずかしい限りであった。バスに揺られ沢渡へ向う。

 
 岩見平に到着すると、幾分台数は増えていたが、まだまだ空きスペースが沢山残り、やはりこの日は入山者がだいぶ少なかったようであった。上高地にはあと数回、落穂拾いに入らねばならない。さて次はいつが狙い目か・・・。

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