雨降山  (大天莫ノ頭)  1026.1m  
                                             
                                      

   2017.4.8(土)


  小雨   単独     東沢より林道大天莫線を使う   行動時間:2H28M


@東沢770m地点(林道が沢を跨ぐ場所)9:58→(12M)→A現工事していない側林道終点地10:10→(39M)→B1070m峰北西分岐10:49→(21M)→Cルートミスして再び1070m峰北西分岐11:10→(10M)→D雨降山11:20〜22→(17M)→E西進林道終点11:39→(36M)→F東沢渡渉12:15→(11M)→G戻る12:26


   
@東沢を林道が跨ぐすぐ下流から東側に林道が入っている。2017年4月現在は工事中。作業員に入山と林道利用の許可を得て入ってゆく。 最初の分岐を左に進むと工事個所で、戻って右の道を選ぶ。写真は再び分岐に戻ってきた場面。 Aしかし大岩の場所で行き止まり。 かなり急峻斜面を這い上がってゆく。
       
南側から進んできていた道に乗る。おそらく東沢の実線路からの道であろう。 崩落個所が多く車は入ってこれない。 この分岐は上側への道を選ぶ。 この分岐は左(北)に。
     
1092高点よりの西尾根を乗越場所で初めて標柱を見る。 この林道は、林道大天莫線と言うらしい。 山側が崩れ押し出し B1070m峰北西の分岐。コンクリート舗装が一部されている。間違って上(北東)側へと進んでしまう。
       
1070m付近。尾根上の林道。ここから折り返すように北に進む(ルートミス途中) 尾根上は快適(ルートミス途中) 見事な大岩が現れる。下からの高さは20mはありそうな丸岩。ここから北東に尾根に入ってしまった。(ルートミス途中)。 間違いに気づき尾根を戻り、途中で西に振ると林道終点地が現れた。
       
C Bの時点で上側に進んでしまった場所は下側へと進むのが正解。 林道がやや広くなった場所から東へと登る。 雨降山直下 D雨降山は雨の日が似合うのかも。
     
D三等点 D判読不能になった標識 D南側 林道に戻り南に進む
     
往路は左から来たが、復路は右へ進んでみる。しかし右への道は進まない方がいい。 岩を削って作った場所が目立つ。 私の体重でも崩れるほどに林道の地盤は弱い。見える右側の先で終点。 E林道終点になってしまった。
     
終点地からの尾根には2本ほど黄色いこれらが見られたが、続いては居ない。 と言うのも、途中までは伝えるが、尾根が急峻になりザイルが無いと降りられなくなる。やむなく谷の中へと進む。 途中に居たカモシカの若雄 東沢への最後はかなり危険で時間をかけた。落ち葉の下は濡れた岩壁。
     
F東沢渡渉。釣り解禁となり、この日も2名ほど入っていた。 F左岸側の銘板 F降りてきた斜面を見上げる。 往路入山した場所。林道工事の砕石置き場になっている。
       
G林道が東沢を跨ぐ場所に駐車する。




 今年の1月、西上州オーガニック農園に間伐した原木をいただきに伺った時に、鎮爺氏がなにか聞き慣れない山名を言った。最初は呪文でも言われたのかと思ったほど。そして2回目になんとか聞き取れ「ダイテンマクノカシラ」と言っているのが判った。聞いたことのない名前に加え、その場所は上野村だと言うから、西上州フリークとしては知らない状況を恥じた。それよりも、なにせ耳心地いい山名である。マンガで言えばジャンプに掲載された「リングにかけろ」に出てきた「ギャラクティカ・マグナム」のようでもあり、工業界で言えば「ベルビルスプリング」のようでもあり、サッカー選手で言えば「カール・ハインツ・ルンメニゲ」の響きのように感じられた。この時はその場所に年始に行こうと思って予定していたが行けずにと言う話を聞き、その後、初志貫徹で氏は踏んでいる

 
 日本山名事典では雨降山として掲載されている。奥多野の入り口とも言える旧鬼石町にも雨降山があり、同じエリアに同名座が2座存在し、私の記憶と記録が混同していたのが家に戻って判り、鎮爺氏が登った場所が未踏座であることも判った。氏の山行記録からは、山旅を味気なく感じさせる林道が存在すると書かれている。すぐに衛星画像で確認すると、どうつながっているのか判らないほどに西側山腹に道形が沢山見える。正統派は北からの入山であろうが、林道に出会ってがっかりしないよう、最初から林道を伝ってみようと考えた。

 
 前週末、樫などの比重の重い原木の薪割りをしての翌日から腰痛が酷くなってしまった。雪山はほぼ無理。山自体も無理そうで、いつもなら出かける深夜は痛みに耐えつつ横になっていた。夜が明け、このままなにもせず一日が終わってしまうのかと思ったら、なんとも不甲斐ない日に思え、”山に入って腰痛を治そう”と言う、いつも通りの思考となった。無理をして治しているのか、無理をして壊しているのか・・・。

 
 雨の中、南牧村を経て上野村に入って行く。下仁田インターからのアクセスをよくするためだろう、塩の沢トンネルからの道は拡張やトンネル工事が始まっていた。神流町側より南牧・下仁田重視になってきたのだろう事が見える。国道299に出て東に向かい、乙父橋手前から乙父沢沿いの道へと入って行く。最初に左側に数件の民家が見え、その先で右側に乙父沢の集落が現れる。ここで川向うに行く橋が分岐しており、西沢を右に見て東沢に入って行く。入り口には4月末までの期限付きで通行止めとの表示があるが、特に塞いでいる感じでもなかった。経路には車が停まり釣り糸を垂れている姿もあった。通行止めにしているのは伐採作業のためであり、その様子が伐木の様子から伺えた。

 
 どんどん進んでゆくと、東沢を跨ぎ左岸側へと登って行く。このまま天丸山側へも行ってしまいそうで、途中で引き返し東沢を跨いだ場所に車を停めた。すぐ下には分岐する枝林道があり、そこから入山しようと考えた。わずか1時間半ほどの運転のみだが、足が踏み出せないほどの腰痛状態であった。よってここから靴下を履くのが一苦労で、小雨の中、今日はやめておこうかとも思うのだった。でも何とか履く(笑)。そこに枝林道からクローラ運搬車が下りてきた。準備ができたのでへっぴり腰でひよこのような歩行で近づいてゆくと、作業員がにこやかに挨拶してくれる。そこで、「この林道を使って上に登っていいですか」と尋ねると、「いいよ」と許可を得る。そして「釣れるかい」と言葉を添えられる。いつものことだが、なぜか釣り師に間違えられる。そんな人しか入ってこない場所なのかもしれない。

 
 キャタピラーの跡が続く林道を登って行く。歩幅は300mmほどだろうか、なんとも情けない姿だが、じきになじみ広くなってゆく。入り口から300mほどの場所で分岐となる。右に見える道には作業者の車が2台停まり道を塞いでいる。その様子から入らないで欲しい雰囲気があったので、反対側の左の道を選ぶ。進んで行くと、小尾根を乗越した先で工事されているのが見下ろせた。下りでもあり工事もあり、先ほどの車が停まっていた側へ入ろうと引き返す。

 
 車の脇を通過して、その先へと伝ってゆく。やや南側へと進み、向かう先と反対方向になるので気になるのだが、南に一辺倒の道ではなく北へもくねくねとしているので、こんな感じで上に行くのかと思っていた。しかし、気分よく北に向いた先で、大岩にぶち当たりそこで道形は終わっていた。戻っても他に選ぶような道もなかったので、終点地から大岩に沿うようにして上を目指してゆく。結構な勾配があり、靴のエッジを利かせながらの登り。雪はないが雪山のようでもあった。

 
 急斜面が終わると、目の前に見えたのは横切る林道であった。標高や位置取りからして、実線で書かれている林道の延長路か、またはそこから派生している道だろうと想像できる。やや水平に北に向かってゆくのだが、結構に崩落しており軽トラでも伝えない。もっと言うとカブでも走れないほどに荒れていた。そう古くない道だと思うが、せっかく造ったのにもったいないとも思えた。

 
 麓から上がってきた道が合流する分岐点。迷うことなく上側の道を選ぶ。この頃になると腰痛も攻撃の手を諦めたのか、幾分緩和し歩幅は500mmくらいに広がっていた。1092高点峰よりの西尾根を乗越す場所で、入山し始めて行政の標識を見る。今伝っている林道は、平成25年に出来たようだ。まだ出来立てと言っていい。がしかし新しい割には破損個所が多い。もっと気になったのは、この林道を指して「大天莫線」と表記してある。てっきり「大天幕」なのかと思ったら、「幕」ではなく「莫」なのであった。辛うじてネットに繋がったので上野村のサイトに入ると、ユーチューブに大天莫からの景色がアップされ、漢字表記もそうなっていた。現地現称に基づき「莫」が正式だと判った。なお、ユーチューブのアドレスからは、読みは「だいてんばく」になるよう。

 
 1092高点の北西側も荒れていた。地層が緩く弱い地盤のようであった。1070m峰の北西で分岐となる。この時はその場所にいるとは思っておらず、迷わず高い側の道を選び上へ行く道を伝って進む。ここのみコンクリート舗装されていた。進む先左側に間伐材が積まれており、ここから林道を離れ北に向かう。この時はこの進路で間違いないと思っていた。尾根上は歩きやすく、そこが正解の道と思える要素もあったりする。しかしなだらか地形があるはずなのに、いやに急峻。その先には大きな丸岩の場所となった。そこからさらに下る。下れども平らにならない。やっと間違えていることに気づき踵を返す。

 
 丸岩は下から20mほどある大きな岩で、上に登ろうとすれば登れるような場所であった。その場所からトラバースするように獣道に伝って西側にズレてゆく。するとコンクリート舗装された林道終点地が現れた。伝い降りてゆくと、往路に見た分岐の場所に戻った。上(南東)側ではなく下(北)側に行かねばならなかった・・・。地形図通りの地形となり、そこに進む林道を進んでゆくと、やや袋になった場所があり、そこから林道を逸れ山頂側へと登って行く。

 
 主尾根に乗り進んでゆくとこんもりした場所に乗り上げた。そこが雨降山であった。三等点が眠り、南側にフジオカTK氏の特異な荷紐が縛られていた。東側を見ると、木の根元に標識が縛られていた。もっと高い位置に縛られていたのが落ちたようであった。残念ながら年数の経過で、雨降山と書かれていたのか大天莫ノ頭とあったのかは判らなかった。おかげさまで雨の降る中で雨降山を踏ませてもらえた。展望もなく周囲はガス、長居する場所ではなかった。

 
 戻るのだが、ガスに巻かれどこを歩いてきたか判らなくなってしまった。西に降りて行けは林道に乗るので心配はないものの、わずか数分前の軌跡が判らないのはちょっと怖かったりする。林道に戻り南に戻って行く。最初の分岐は往路は左(東)側の道であったが、復路は右(西)の道を選んでみる。岩を削ったような場所も見られ、作道した本気度が伺える道であった。しかし、その先では私の65kgの体重でも崩れるような足場となり、既にぐずぐずに崩れた場所が広がっていた。山側からの崩落も多い。まあここを抜ければと思って進むと、完全に予想外、道形は終わっていた。

 
 西を望むと、乙父沢の集落も見えていた。引き返すのも面倒なので、終点地からそのまま行動する。尾根側の藪に入ると黄色いリボンが縛られている場所もあったので、少しは人が歩いているのかと期待したものの、そこからの尾根にはマーキング類はなく、伝っているのは獣くらいであった。途中で崖地形となり尾根が進めなくなり、南にトラバースして谷に入って行く。さらにトラバースして南の尾根に乗ろうと試みたのだが、岸壁が待っていたのだった。

 
 谷を降りてゆくと、前方に黒い動物が動いた。おっとりとしたその動きにカモシカとすぐに分別できた。若い雄であった。私の出現に進路を絶たれ困っているようにも見えた。そのカモシカの居た場所まで降りると、そこから下の斜面は岩壁混じりであった。カモシカが進路を困っていたのが頷けた。それはそれとしてどう降りようか。東沢の流れは見えているのでもうすぐなのだが、そのもうすぐの距離が至極危なくなった。

 ザイルが欲しい。少し前の私では泣き言を言っていたが、最近は言わないで済むほどにはなったが、それでも「ヤバイ」場所に入ってきてしまった。慎重に三点確保状態で降りてゆく。落ち葉で埋もれた場所はふかふかの滑り台かと思ったら、その落ち葉の下は濡れた岩盤だった。一気になだれ落ちるのではないかとドキドキしながら足を出してゆく。こんな時は腰痛など忘れているのだからおかしいもので、川岸に降り立って痛いことに気づく。

 東沢を渡渉して左岸の林道に登ると、ちょうどそこには林道作業の銘板が見られた。降りてきた岩壁を見るが、降りてきてしまったものの、見上げた後であれば絶対に伝わないような場所であった。ゆっくりと林道を登ってゆく。到着した時には釣り師の姿があった場所には、もう見えなくなっていた。雨は小雨のまま推移していた。

 往路の入山口を左に見て、その先の駐車余地に戻る。雨の中の雨降山、迷った分の面白さはあった。

 振り返る。林道を伝う場合、各分岐に道標などは無いので注意したい。東沢を林道で跨いで、大きく南に登ってから歩き出す方が迷わないのかもしれない。山腹の林道は荒れ、車で入れる林道ではないので、そこまで楽できるルートではなく歩いて入る前提で出向いた方がいいだろう。作道している一方で日々どんどん崩れているよう。





 

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