白石山(毘沙門山)   997.0m         
                                             
                                      

   2017.2.11(土)


  晴れ    単独     大指集落上チェーンゲートより   行動時間:2H16M


@チェーンゲート6:07→(29M)→A採石場下6:36→(18M)→B稜線下降点6:54→(23M)→C白石山7:17〜22→(20M)→D下降点7:42→(15M)→E採石場下帰り7:57→(26M)→Fチェーンゲート8:23


   
@採石場に通じる林道のチェーンゲート。 @謹告。火事があったので閉じたと書いてある。 二つ目のゲート。チェーン無し。 3つ目のゲート。チェーン無し。
       
フェンス。踏み跡は麓側の尾根にある。獣道? A採石場下の広み。 A広みから白石山を見上げる。 廃林道の様子。
     
モルゲンロート。岩山が焼けると綺麗。 岩肌を砕いて作った道を行く。 山頂側(左)に対しオベリスクのような岩峰発見。 オベリスク!?
       
B稜線に乗る。(下降点) B東側の様子。道形はフェンスで塞がれている。 クローラードリルが残置してある。 途中で来光。
       
西へと向かってゆく。岩山なので高度感がある。 フェンス脇を抜ける。 西側が切り立った岩峰の上。コンクリートの杭が埋まる。コーラの瓶が残る。ここはザイルを垂らして通過した方がいい。 南巻き開始。岩峰の南はこのような岩場が続く。
     
巻き終えるあたりの様子。 巻いてきた場所を振り返る。一番の危険個所は見える向こう側。 白石山直下。 C白石山到着
     
C三角点と標識が見える。後ろは両神山塊。 C等級が判らないほどに割られている。付けられて2ヶ月ほどしか経過していない標識(右)。 C東側 C南南東側
     
C西南西側。両神の山塊。 C西側。中央に二子山。 C北西側。父不見山側。 C北東側
     
C二子山 C両神山 C北尾根側へはリボンがベタ打ちになっていた。 C山頂から大指集落俯瞰。
       
CSK氏の絶縁テープが残る。 往路は南を巻いた岩峰。帰りは北を巻いてみる。中央のチムニーは岩慣れしていたら登れる。 コルから北に入るが、この先がかなりヤバイ。北は巻かない方がいい。 往路に松が一本生える岩峰はザイルを垂らして西へと下った方がいい。撮影は、東側から西を見ている。
       
鉄塔が面白いように並ぶ。 砕石場最高所から見下ろす。 オベリスクと思った場所へと行く。 そのオベリスクの上。鉄の杭が残る。
       
オベリスクの上から白石山側。 クローラードリルの場所 D下降点帰り E採石場下再び
       
林道途中には巡視の入口あり。  Fゲートに戻る。 大指集落には3軒ほどが住まいしているように見えた。 表毘沙門白石の水 。冬季は足場が凍っているので注意。




満月に絡む土曜日。夜歩きに最適な日であったが、そう頑張るような山旅は少なくなり、まだ頸椎の病を引きずった形で、少しかんばり過ぎると病む状態が続いている。うまく押したり引いたりしながら、以前の状態に戻したいとは思っている。


 小鹿野町の白石山を目指す。毘沙門山と言った方が知られている場所かもしれない。WEBに見られる記録は北東の池原地区のものが多い。北西の茅ノ坂峠からの記録も見られ、以北のルートは詳らかに開示されている。そんな中、SK氏は南の林道を使っている。地形図から行動計画を立てる場合、私も間違いなく南からアプローチしたくなる。林道で高度を稼げるからであるが、その稼いだ先のゲジゲジマークは大問題となる。地図にも見えるように石灰の採石場であるからのゲジゲジと読むと、危険地帯と言う事と作業道があると読める。そこを明るくしてくれたのがSK氏であり、南麓の様子がよく判る。今は操業してない跡地のようで、自己責任で南から入山することにした。


 2:00家を出る。よく冷えた日で、出掛けでマイナス6℃を示していた。雪か雨でも降って後なら、ツルツルテカテカの路面になるだろう気温であった。秩父市を経由して小鹿野町に入ってゆく。国道299号を赤平川に沿って進み、三ヶ原地区の大指集落への分岐点で停車する(3:45)。広みがあり10台ほど停められるスペースがある。大指地区へと登る道が凍っているような気がし、深夜で突っ込んでゆくのは避けた。途中に白石の水と言う場所があり、路面に水が出ている気がしたのだった。


 5時になり動き出す。予想が当たり、白石の水の下側は路面を水が覆っており、ドキドキしながら通過して行く。大指集落には車が数台見え、住まいしている人が居ることが判る。集落内には分岐があるが右側の道を選んでゆく。上に採石場があるにしては狭いと思える道を行くと、途中でチェーンゲートされていた。SK氏の地図通りの場所であった。ゲート前の膨らんだ地形に駐車し夜明けを持つ。


 6:00集落に朝の音楽が流れる。ゲート前には「謹告」が掲げられ、そこにここで火事があったために塞いでいる旨が書かれていた。特に入山に関し禁止しているようではなく、車での通行を制限している記述であった。舗装路に足を添わせてゆく。林道周辺ではシカやヤマドリが私を察知してガサゴソと動いている。


 チェーンゲートから7分ほどで、門柱のみ残るゲートが現れる。ここには「鉱山関係者以外立ち入り禁止」とある。とりあえずダメもとでその鉱山までは行ってみたい。先に進むのだが、路面状態はすこぶるいい。2つ目のゲートから16分ほどで3つ目のゲート跡が現れる。ここも門柱のみ残っていた。そしてその先で林道はカーブするのだが、そこで林道を遮るようにフェンスが張られていた。ここは獣道なのか人のモノなのか、カーブの中州に踏み跡がありフェンスを越えている道形がある。それを伝い再びフェンス先の道形に乗る。広みになっており、以前はこの場所まで車を上げられたのだろう。


 出発から30分で採石場の下の広みに到達する。見上げる白石山は妙義山でも見上げているような岩山であった。登り上げた位置から鋭角に上がっている廃林道を追ってゆく。かなりの落石と、自然に帰りつつある植生と、樹木の幹径から考察すると稼働を止めてから10年以上は経過しているのが見える。廃林道は何カ所か枝道も派生しているが、上に向かう道を選びながら行く。


 廃林道にはシカなのだろう道が一筋できていた。途中岩壁が朝日に染まる。岩肌が赤く染まる美しさに見とれつついると、稜線に突起した岩峰があるのを見つけた。まるでオベリスクのように見え、それをしっかり見たいと速足で上がり、九十九折のターンを急いで、高度を上げてまだ望んだりした。そのオベリスクに見える突起峰も赤く焼け眩いばかりであった。白石山だけと思って来ていたが、あの岩峰も登りたいと思えた。


 稜線のコルのような場所で林道幅は西側に進んでゆく。登りあげた場所から東側へも道は在ったがフェンスで閉ざされている。西に進んでゆくと、錆びたフェンスが大量に残置された場所があり、その西側にクローラードリルが置かれたままになっていた。鉄パイプが山積みになっている上を通過し、その先がオベリスク(と思っている)の場所だが、現地に着いて拍子抜け、東側は岩峰仕様だが、西側はとても緩い勾配で稜線に繋がっていた。そのさらに西側に岩肌を見せた岩峰があり、そこにフェンスが続いている。フェンスの北側を伝って行くと、岩峰の直下で通せんぼするようにフェンスが張られていた。誰が最初なのか、山側を捲るようにフェンスが捻じ曲げられ人ひとり通れる幅が出来ていた。ここは岩肌への鉄の骨組みが浮いており動くので知らずにドキッとした。


 フェンスを抜けた先は斜上するようにして尾根に戻る。進む先に一本のアカマツが生えている。その先が岩峰の高みでコンクリートの標柱があり、コカ・コーラの瓶が残されていた。進む先は切れ落ちており安全に下れる場所ではなかった。ザックには20mのザイルを持ってきたので、懸垂すれば一番安全なのだが、持つ長さに見合う支点となるような木や岩が見いだせなかった。SK氏が南を巻いたようなので、倣うように向かってゆく。


 石灰の山らしい雨により浸食された風化した岩肌が残る。それらしい適当なバンドが見えてこず、あまり選り好みせず山腹を横切ってゆく。岩肌を握力で掴んで進むようなややこしい場所もあり、少しドキドキしながら進む。危険箇所は3mほどの範囲だったが、帰りは北側を通過してみようと思った。主稜に戻り次のピークへと登ってゆく。目的地到着。


 白石山には、無残に割られた等級が読み取れない三角点と、年末に登頂した新ハイ浦和支部設置の標識が掲げられていた。360度の大展望の場所で、ここまでいいのは久しぶり、経路が岩山風味だったために、気持ち北アルプスの2000m級の稜線に居るような気持にもなった。ただし見える景色は西上州や奥秩父の山。両神山の山塊が鎧のように聳えている。西側に目立つは二子山の顕著な双耳形。東には武甲山。父不見山の向こうには御荷鉾山らしき山容も見える。風があるときはこの山頂は吹き曝しであろうが、この日は穏やかで眺望を満喫できていた。ふと北を見下ろすと、ピンクのリボンが見えた。さらに西側に目を追うと、15m間隔ほどにベタ打ちに続いていた。これを見て、北側から登らなくてよかったと思えた。リボンを回収しない人が増えているのは残念な事である。


 往路を戻ってゆく。東に降りたら、次の岩峰は北を巻く。直登で岩壁のチムニーを這い上がって行けそうであったが、初志貫徹で北に行ってみる。やや下り込み、途中から横ずれするのだが、南を巻いたとき以上にこちらはヤバい。この足場の地形が抜けたら奈落の底へと思わせる場所もあり、かなり慎重に足を進めた。地形図をよく見ればゲジゲジマークの場所でもあった。よく見ていたら、北側に行こうとは思わなかったかもしれない。アカマツの生える場所に戻り、あとは安心して歩ける場所となる。ただし、フェンス脇をすり抜けた先は、敷設したナイロン製のフェンスが柔らかく心許ない。在って文句を言うつもりはないが、だいぶ疲れてきているのでそっと触れるぐらいで頼りにすると危ない。


 さて次はオベリスク。拍子抜けだが一応最高所を踏んでゆく。ここは長次郎の頭や劔岳北方稜線に見るような、カラカラと音のする石畳のような場所となっていた。北アと違うのは石灰石がほとんどと言う事だろうが、雰囲気はよく似ていた。オベリスクの最高所には鉄の丸棒が打ち込まれていた。西側は白石山に塞がれているが、他方面に対しては展望のいい場所であった。一度西側に戻り、古い道形跡を再び東に進む。


 下降点から採石場へと降りて行く。何カ所かある分岐では、“あれっどっちから登ってきたっけ”と思ってしまう場所もあった。たぶん、どれを伝っても下に行くのでいいのであろう。注意したいのは脆い石の上からの落下。ヘルメットを被って通過したいような場所であり、足元を注意しつつ、併せて上側も注意して歩いていた。まあ注意のしようがないと言えばそれまでですが、それでも・・・。


 採石場の広みに降り立つ。ここまで降りればあとは林道歩き。それも舗装路の。少し雪が残る場所もあるが、それが負荷になるような場所は無かった。途中に巡視路が見えるが、使われないのか荒れている様子が伺えた。歩いてゆく林道の周囲に石積みが見える。植林地の石積みも見えるが、棕櫚の木などが残り、高い位置に民家が在っただろうことも伺えた。


 ゲートに到着し、次の観音山へと向かう。”せっかくなので白石の水を飲んでみよう”と近づくのだが、危険なほどに周囲は凍っており、危なく足を取られるところであった。水の味は独特でやや青臭い印象を持った。

  



 

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