幕岩 890m
2017.12.9(土)
晴れ 単独 黒滝山不動寺より往復 行動時間:2H55M
@不動寺駐車場7:56→(6M)→A不動寺登山口8:02→(44M)→B観音岩(五老峰)8:46〜49→(17M)→C幕岩(東側ピーク)9:06〜21→(19M)→D北側の崖上9:40→(35M)→E観音岩下に戻る10:15→(46M)→F駐車場10:51
@駐車場から。現在(2017年12月)は斜面の工事中。工事関係者と話したが、急傾斜のために結構に厄介な作業とのこと。 | A不動寺社務所前から幕岩側 | A鐘堂から東側 | A不動寺への入口は8時から開門だが、まだ閉まっていた。社務所前を通過してゆく。 |
A荒船山登山口 | 最初の分岐 | 二つ目の分岐から | 最初の梯子場 |
馬ノ背へと入って行く。 | 獣が先行している。梯子場を過ぎてもさらに先に続いていた。恐るべき登坂力。 | 鎖場 | 名物の垂直梯子 |
「発射」ができそうである。 | ここがヤバかった。通過して振り返る。ツルツルで足掛かりもなく腕力頼み。 | 馬ノ背の最後。 | 観音岩側へ |
祠に挨拶しながら | 観音岩下には13体の表情のいい石仏が見える。 | 東側にもある。実際は14体。一体は首が無くなっていた。 | B観音岩に上がる |
B西側の降雪した上信県境。 | 観音岩下からタイガーロープの先へと進む。 | 最初は快適な尾根。 | 最初のピナクルのような岩峰。南巻き。 |
2番目も南巻き。 | 3番目は北巻きで雪が乗り緊張する。 | 幕岩の東端峰直下。 | C幕岩の東端峰 |
C南側 | C幕岩から不動寺 | C東端峰から観音岩側 | C幕岩から鹿岳 |
Cヤキソバパンと北側の景色 | 北東側に明瞭な踏み跡があり帰路として進んでみる。 | 黒滝地区が見えた場所で崖となりザイルが無いと下降は無理。 | 崖となる突端。見える向こう側が切り立っている。 |
D北側に下りゲジゲジマークの上で動けなくなり、再び登り返す。 | 登り返す斜面。 | 尾根に戻る。 | 幕岩としてはこの場所が最高所のよう。 |
観音岩からの北尾根を下ろうとしたが、最初の一歩をズルっとやって嫌な予感がしたので止める。 | E観音岩下に戻る。 | 馬ノ背に入って行く。 | 梯子場下降中 |
すれ違ったハイカー | 登山口に戻る。薪割り中であった。 | F駐車場に戻る。 |
金曜日の飲み会はずっと避けてきたこれまで。しかしこの度はただの飲み会ではなく忘年会、礼節を常々言いながら参加しないのは大人気ないと判断し嫌々参加することとした。だからと言って土曜日に山に行かないわけではないので、アルコール抜きでの参加となった。
そして金曜日夜は、上信地方は雪模様となった。平地でも冷たい雨が降っており、山には間違いなく雪が降っていると感じられた。降り始めの時期はとても行き先に迷う。山もそうだが現地へのアプローチに気を使う。完全に降ってしまっている時期ならいいが、タイヤを替えていない人も居てノロノロだったり事故だったり。山の安全もそうだが、経路の安全にも気を使うのだった。本当に安全を思うなら、家でじっとしているのがいいのですが、そんな安全は糞食らえ(笑)。
前夜の21時に忘年会から帰宅し小屋づくりのDIYを始めたら、終わったのが23時半になってしまった。山に向かう気持ちが感じられないのだが、山も行きたいしDIYもしたいのだから二兎を追う場合はしょうがない。ここ最近はスイーツの様な山を楽しんでばかりいたので、ここらでピリ辛の山を計画しようと思っていた。こんな時の近場の西上州。気になっていた幕岩に向かうことにする。間違いなく馬ノ背には雪が乗っているだろう。抜けられるのか撤退か、力試しもしてみたかった。
朝方もDIYをしてから現地へ走る。黒滝山不動寺の駐車場にはコンテナハウスが置かれ、どこか周囲で工事がされているのが判る。靴を履き準備をしていると作業員がエンジン音をうならせながら登ってきた。今日もここで工事がされるようだった。7:56出発する。工事は、参道となる九十九折斜面の崩落防止のための補強工事のようであった。急傾斜であり崩れやすいのだろう。不動寺の社務所兼住宅からはテレビの音が漏れてきていた。時計を見ると既に8時を回っていたが、寺への門は閉じられたままであった。住職も人間である。ここからは幕岩側は谷向かいによく見える。これから歩く尾根筋を眺め、どこに危険個所があるのかと想像したりもした。
荒船山への登山口から入山してゆく。2005年3月に五老峰に登りに来て以来の入山でもある。使われなくなったキャンプ場跡地を見ながら登って行き、荒船山へとの分岐に出る。トヤ山を狙った時もここからアプローチであった。六車側に進み、すぐ先の分岐を九十九谷側へと選ぶ。さてこの先が馬の背である。雪が無くとも少しざわざわした気分にしてくれる場所であり、この降雪はどの程度難易度を上げているのかと気にしつつ進んでゆく。
はしごを触ると手袋がすぐに張り付くようになった。まだ雪は触っていないはずだが、はしごに着いた水分が付着してしまうのであった。尾根上の雪の上には獣が先行している。はしご場もあり抜けられないはずであるが、驚いたことに鎖場やはしご場を抜けてもまだ続いていた。どうやって通過しているのだろうと思うのだが、人間よりはるかに獣の方が踏破能力があることが判る。
垂直はしごを登り切った先の、鎖が流された岩の所が今回のキモであった。ステップ用の彫り込んだ窪みがあるが、一応入れてみたが雪で滑って全く用をなさない。直上するしかなく右も左も巻くことはできないので、鎖を握って腕力で体を持ち上げるしかなかった。岩のどこを触ってもツルツルで、次に持ち上げた体を保持できるかどうかも気になるような様であった。ここを抜けないと今日は結果が出せない。しかしここで落ちたら凄い痛いか生きていないだろうしと天秤にかける。そして運を天に任せ、握力任せで鎖を引き岩の向こう側へとダイブする。何とか越えられた。たぶん、好天なので昼くらいになると溶けるのだろう。その頃には全く難易度が違うであろう。馬ノ背を抜ける。
上底瀬地区への道を右に見て観音岩側へと進んでゆく。次は鷹ノ巣山への道を右に見て観音岩側へと分岐してゆく。ここには祠があり、きちんとお参りしてから通過してゆく。そして観音岩の基部に着く。ここには見事なまでの表情のいい石仏が並ぶ。彫り師の腕が見えるようで、角度により表情を変えるようでもあった。せっかくなので観音岩に上がり周囲展望を楽しむ。日本山名事典では五老峰としている場所である。再び石仏の場所まで下り、タイガーロープで塞がれている側に進む。
観音岩側の最初はたおやかな尾根だが、次第にごつごつとした表情になる。最初の小岩峰は南を巻く。その次も南巻き。それとなく踏み跡になっていて伝える。この辺りが幕岩としての表銀座であろう。南側を覗き込むと、とっても痛そうな高低差が見える。さて3つ目の小岩峰だが、南と続いたので南を歩きたかったが、通過できるような場所ではなく北に狭いバンドがある。当然だが雪が乗っており、しっかり三点確保で通過してゆく。南と北で天国と地獄の差があるように思えた。
幕岩としての最高点が良く判らないまま、東端の突起峰に辿り着く。尾根上には明瞭な幅でさらに北東に続いており、このまま進めば、小塩沢地区の三叉路にすんなり降りられると思えた。15mほど偵察してから突起峰に戻り休憩とした。先日登った鹿岳が独特の形ですぐそばにあった。南の富士浅間山側を見ると、地形図に見えない山腹の道が出来ていた。ヤキソバパンを齧った後に北東に出発する。
予想外の状態の良さに、もう黒滝地区から不動寺に登り返す道を歩いている自分を想像したりもした。しかし伝えたのは850mの等高線の場所までで、そこからは切れ落ちた崖斜面となっていた。根性を決めればフリーでも降りて行けそうでもあったが、可能性として滑落はある。安全通過にはザイルが必須で、残念ながら今日は持っていない。出掛けに持とうかとも一瞬思ったのだが、結果として持ってきていない事実。この行き詰った場所からは、黒滝地区と小塩沢地区が邪魔するものなく見下ろすことができた。
それでもここまで尾根道が在りながらパタンと消えるのはおかしい。昔は鎖の敷設があったのかと探すも、らしいピトンの痕もない。巻き道を探してみてもどこにも見えてこない。一方この場所から北のゲジゲジマークの場所に向かって降りる尾根は伝い易そうであり、向かう先に岩壁があると判っていても伝ってみたくなった。と言うのも、妙義にしてもあのゲジゲジマークの中に道が在る。ここも、なんとなく抜けられるんじゃないのかと思ってしまった。やや急峻だが、灌木を掴みながら降りてゆくと、そう危険を感じず降りて行ける。そうしながらも東に進めないか見るのだが、尾根へとの間にある小谷は急峻すぎてトラバースは出来ないのだった。どんどん降りてゆく。
785m付近。やはり降りられなかった。医者と地形図は信じたほうがいいのかもしれない。どこへ転進しても二進も三進も行かなくなり、降りてきた尾根を登り返す。でも、こんなことが楽しかったりする。実際、この尾根は下るより登る方が面白かった。主尾根に戻り幕岩の上を西に戻って行く。東突端峰の一つ西側の高みが最高点の様な印象であった。時折不動寺の鐘が撞かれていた。
北を巻き、南を巻いて、さらに南を巻いて岩峰を通過してゆく。そして観音岩が目の前に見えたら、今度はそこから北に降りる尾根を下ってみようと考えた。それには、馬ノ背のあの岩峰を乗り越えるリスクが大きいと判断し、それよりここの北尾根を降りた方がいいんじゃないかと考えた。上から見ると、痩せてはいるが状態は良さそうに見える。地形図を見ても悪そうには見えない。さて降りようかと、一歩踏み出すと、その足がズルっと大きく麓側に流れた。何か嫌な予感がして往路を戻ることにした。
観音岩下に戻る。再び石仏を拝めたので、柔和な笑った表情にこの選択で正解と思えた。馬ノ背へと進んでゆくと一人の寡黙なハイカーがすれ違う。あの岩を抱き越えてきたのだろう。鎖場の多くがそうであるように、登りより下りの方が厄介。ここの今日は雪があるのでなおさらそう思った。慎重に掴めるものは掴み命を大事にする行動をとる。垂直はしごを下り、一番の痩せ尾根に入ると向かいからもう一人やってきた。すれ違いが出来ないので声をかけると、向こう側が待ってくださるということで通過させてもらう。ふと思った、こんな時は譲ったほうがいい。待っている中では幾分か他人のペースになっている。待たせている意識が無いわけではないから。後発であれば自分のペースのみで通過できる。これだけ歩いてきていま気が付いた。
危険個所が無くなり、温かい日差しがより暖かく感じたりした。不動寺に降り立つと、電動薪割り機で薪割り作業がされていた。かなり細かく割っているので暖房機容量がが小さいのだろうことも見えてくる。紅葉のままの落ち葉を踏みしめながら九十九折を降りてゆく。工事がされているのかと覗くも、作業員の姿は無かったのでオヤッと思った。
駐車場に戻ると作業員が二人いた。「今日は作業してるんですよね」と尋ねると、「前日のコンクリート養生して終わりだよ」と返ってきた。