大金山     1310m       

 
   2017.1.7(土)    


   晴れ     単独    戸屋地区ゲート前より   行動時間:3H45M 

                 


@戸屋集落9:49→(2M)→Aゲート9:51→(79M)→B林道終点地11:10→(41M)→C大金山11:51〜12:07→(23M)→D旧林道の寸断点12:30→(65M)→E戸屋集落13:35


     
雨畑湖に向かう途中、進路右手に戸屋集落へ向かう道が出てくる。入口にはごみステーションと連絡簿が置かれている。 @林道がゲートされており、住民に許可を得て集落内に車を停めスタートする。 Aゲート。昨年の12月9日に閉じたよう。冬季封鎖とあるが、工事封鎖でもあるよう。南京錠がかかっている。 A期限は未定とされている。今後は、ゲートは開いてないと思って出向いた方がいいだろう。開いていたらラッキーくらいに。
       
舗装路も多く、ダートの方が心地よかったりする。 996.8高点南の林道最高所からの下りこみ。 北側の水線からの源頭位置で、林道は全面通行止めにされている。工事がされている状況下では、入れてここまで。この先から九十九折。 工事事務所の先にのり面がが右に見られるが、以前は黒く見えるあたりに上に向かう道形があった。現在は寸断(帰りに確認)。
   
B林道終点地。1125高点のある西側に向けて作道途中であった。 林道終点からは、よく踏まれていると感じる杣道があり、東側へ進む道を選んで進む。 杣道の途中、右俣と左俣に判れている、その出合の場所で道形が途切れる。左岸(東)側に渡り、斜上してゆくと道形が現れる(右の写真)。 途中の這い上がる場所に、青ペンキも見られた。道形に乗ってしまえばこれまでの杣道な感じで判りやすい。
          
林道に飛び出す。 林道から伝ってきた道形を見下ろす。 林道に出た場所にされた青ペンキの矢印。このペンキが経路の途中にも一か所見られた。矢印は下側からしか判らない。※注意1:上から降りてきた場合、現在はここで林道を離れるべき。 C大金山。林道は山頂を乗越して北に降りて行っていた。
       
C大金山最高所。常緑樹林の中。 C林道を挟んだ東側の高み。こちらの方が心地いい。東側斜面の崖にはピンクのリボンが沢山見られた。 C大黒山側。手前の植生の際あたりで標高点であるが、付近は林道開削により削られたよう。 C笊ヶ岳側。笊ヶ岳は見えないので手前峰。
       
下山は林道の道形を追う。その途中から富士山。 林道は廃林道で、こんな状態。 D新しい林道に難なく乗るのかと思ったら、寸断されていた。工事用のロープを借りて懸垂下降。※注意1はこの為。工事が終わればロープも無くなり、ザイルが無い限りここで行動ができなくなる。 途中から大金山を振り返る。山頂から南西に降りる尾根を登る事とした方が迷わないかもしれない。
       
林道途中から、雨畑湖のバックウオーター側。 ゲート帰り。 E戸屋地区の駐車余地。  




 森山から降りたら、次は雨畑湖の北に位置する大金山に向かう。

 雨畑大島線からの戸屋地区への分岐点はバス停になっており、大きな表示があるので分かり易かった。ここからの細い舗装林道を登ってゆく。茶畑のある最初の一軒は住まいしていないようで、その上の二軒にはマイカーがあり住まいしているようであった。住宅を右に見上げるように進んでゆくのだが、この先で予期せぬゲートがされていた。てっきり開いていると思い楽な気持ちで出向いてきているので、なんとも悩ましい状態に陥ってしまった。

 時間的な予定も変わってしまうので、また出直そうと戻るのだが、Uターン場所が乏しくかなり難儀する。戻っている途中、一番西側の家主だろう、90近いようなおじいさんが降りてきたので声をかける。「どこか停めていいですか」と言うと、「ん?」との返事。だいぶ耳が遠いようで大声で話しかける。「今日は林道工事してるのですか」と言うと、「今日はやってないだろう」と。「冬はいつもゲートが閉じるんですか?」と言うと、声に出さずに頷くだけであった。「開いている時にまた来ます」と車に戻り民家下の広い場所まで戻る。ここでよく考える。ゲートには12月9日から冬季の閉鎖とあるのだが、工事もされているようで、括弧付きで開通未定と書いてあった。こうなると冬季云々とは別に工事がされている関係で閉められていたとするならば、この先しばらく開かないことも考慮できた。出直すと言うより、出直してもまた同じ状態も予想できる。ゲートからのアルバイトが追加されるが、今日登ってしまおうとの判断になった。

 10年前のSK氏の記録は、林道終点地からの尾根の往復で綴られている。それ以降でもう一人の記録が読め、山頂まで林道が繋がっていると記録している。往路はSK氏と同じくして、帰路で林道伝いに降りている。よって、あまり負荷のない場所と想定し、大目にみても登り1時間ほどと予定していたが、距離的負荷が加わり、2時間以上は考慮せねばならなく、帰着時刻も相応になると覚悟する。幸いにも天気が良く、戸屋地区からは綺麗な富士山の姿も見えていた。その流麗な姿に後ろ向きな思考がすっ飛んでゆく。この地区の人は毎日この富士が見えるわけでもあった。

 集落をスタートする。ゲート脇は少し空間があり、バイクであればすり抜けられるだろう幅があった。舗装路面がしばらく続き、996.8高点の南まで登ったら、ここから下りこんでゆく。大金不動滝のある沢の、一本北側の沢の源頭部がコルとなり、ここには「全面通行止め」と書かれた看板が出ていた。車で入れても表示に従うとここまでのようであった。すると上の方から人の声が聞こえてきていた。大金山の南西斜面には九十九折にガードレールが白く見え、新しく作道している様子が見える。重機の音もし出し、工事がされているのが判った。集落のおじいちゃんの顔が浮かぶ。”工事やってるじゃん”

 SK氏が取付いただろう尾根を右に見ながら、林道はさらに先に延びている。進んでゆくと工事事務所のプレハブ小屋が見え、そこから100mほど先で工事がされ、そこが現在の林道終点であった。終点はいいとして、どこか上に向かう分岐があるはずであったが、かなり気にしていたが全く見当たらなかった。狐に化かされているのかと思うほどに気配がなかった。そんなはずは無くどこかに在るはずであり、在ったはず。工事現場の各所をよく見てもそれらしい気配がなかった。作業員の姿は5名見られる。一応通行止めの中を歩いてきているわけであり、バツが悪く足早に通り抜ける。ただし挨拶をしたら普通に返してくれた。

 終点の先は西に向いており、その先には杣道のような道形が上に続いていた。分岐もあり、大金山の位置を気にして東側に向かってゆく道形を選んで進む。かなり急峻の場所もあり、緩い林道歩きが長かったせいで、ここでの負荷にかなりスピードが落ちる。しかし、上には向かっているものの、なかなか大金山に寄って行かずにもどかしい道形であった。

 途中、大金山西の大きな谷を跨ぐ場所に行き着く。細い流れがあり、ちょうど左俣と右俣との出合となった場所で道形は消滅した。と言う事は対岸に続いていると予想して斜面を見るが、見えてこない。しばらく立ち止まって付近を眺めると、右俣の20mほど上流にピンクのリボンが数本見えた。ただしそこに行くにはバイルでも欲しい斜度があり、普通には登っていけない。となると中州地形を登るか、右俣の左岸側を登るかになるが、ここまでの道形の良さからして、消滅ではなくどこかに在ると思うと、間違いなく左岸。そう結論付けて左岸に進む。斜度の強い左岸斜面を這い上がってゆくと、出合の場所から5mほど上流付近から北東に上がっている道形が存在した。予想は当たっていた。そのまま斜上する道を直線的に進んでゆくと、上の方に木組みが見えてきた。林道に飛び出す。

 林道に乗った場所には、下からのみ見えるように青い矢印が大岩に書かれ、伝ってきた道形を示していた。ここは上側から降りてきた場合には気づかないだろう場所であった。そう言えば、出合からの途中にも小さな岩に青ペンキがされていた。矢印を含めマークされているのは2か所のみ見られた。林道を登ってゆくのだが、最近通過している気配のない林道であった。

 大金山到着。林道の道形はそのまま山頂を通過し北へと降りて行っていた。標高点を取っている場所は、この林道の作道のせいか、現地の最高所ではなかった。林道で削られたのか、西と東に高みが分かれ、西の薮化した中をごそごそしたが人工物は無く、東側に行っても同じではあった。その東側高みの東斜面には、いくつものピンクのリボンが縛られていた。工事目的か林業作業の関係であろう。このまま高い方へと登って行けば笊ヶ岳に行くはずであるが、ここからはその高みは見えず前衛峰が見えているだけであった。丸太を木組みして平地を作った場所があり、その丸太に腰かけながら少し休憩とした。一点不可解な跡がある。林道が山頂を通過する東側脇に、一か所深く掘った跡が見られる。もしかしたら、この場所に大金が埋まっていたのか・・・と思うことにした。

 下山は林道の道形を追ってゆく。往路に林道に飛び出した場所から下は、かなりの落石があり、到底車での通過は無理に見えた。九十九折を降りてゆくと、下に新しい林道が見え作業員の姿も見える。ちょうど昼の時間で昼食中に見えた。どこに降ろされるのかと期待しながら進むと、驚いたことに新しい林道の上10mほどの場所で寸断されていた。法面には工事関係者のロープが3本垂らされていた。昼食中の作業員もこちらに気づき、右往左往している様子から、こちらの心情が判っているようでもあった。「このロープ使ってもいいですか?」と叫ぶと、声を出さずに頷いてくれた。ロープが無かったら万事休すであった。無い場合は、林道を登り返して北西尾根を降りねばならなかった。

 手を真っ赤にし、一部流血しながら着地する。肩がらみにしようかと思ったが、直径35mmほどの太いロープで、専用の昇降機でないと都合が悪く、そんなものは持っていないので握力頼みで降りるしかなかった。作業員の方は、許可を出したはいいが滑って怪我でもしたら、工事現場で怪我となってしまうためだろう一挙手一投足をずっと見上げていた。よって気を使わせないように速めに降りたので、摩擦による擦れての流血になったのだった。作業員に礼を言ってから工事現場を離れる。少し前なら左半身に力が入らなかったが、幸いにも力が戻ってきていた。それはともかく、こんな状態になっているのでは往路で気が付かなかった訳である。伝ってきた場所を見上げても林道の存在は判らなかった。それほどに高低差をつけて分断されていた。

 林道を戻ってゆく。降りてゆく先に七面山の山塊が大きく聳えている。その場所との谷間を通過するバイカーのエキゾーストノイズも上がってきていた。外気温は2℃まで上がってきていた。歩きながら、”そうだ帰路途中で宝くじでも買おうか”と閃く。折角大金山に登ったのだから・・・このチャンスを使わない手はない。

 ゲートに戻り、その下の民家の所を通過すると、今度はおばあちゃんの姿があった。野良仕事に出るのか靴を一生懸命に履いていた。何をするにも時間がかかるよう。ただしここではゆっくりと時間が流れているので、老人には適しているのかもしれない。駐車場所まで戻ると、その上側の急傾斜地で50代〜60代と思しき女性が農作業をされていた。チベットのようなこの場所に住んでいる事実。離れずこの場所を守っているようにも見えた。それには、この地区のあちこちに立派なお墓が見えていた。記憶と記録に残るように何枚か写真に残す。この場所にして、立派な家屋と蔵が存在するのだった。

 この日の予定を終えて帰路に。ハンドルを握ったら、これっぽっちも宝くじの事を思い出さずに家に戻ってしまった。チャンスを生かせない男なのだった。帰宅して左の首の付け根が強く病むようになった。半分は自業自得、あと半分は痛みも生きている証拠(笑)。

 山は動かじとは言うものの、この山は林道の変化で大きく動いていると言えるだろう。



 



                           

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