シシバナ峰    1410m          
                         
   2017.9.30(土)


  晴れ    単独    砂子平より大白沢から魚止沢を伝い往復   行動時間:6H34M


@砂子平釣り客用駐車スペース5:33→(11M)→A只見川モッコ渡し場5:44〜6:03→(40M)→B魚止沢出合6:43→(42M)→C魚止沢1050m枝沢へ7:25→(71M)→D沢の源頭付近8:36→(9M)→Eシシバナ峰8:45〜59→(5M)→F池9:04〜05→(11M)→Gシシバナ峰再び9:16→(13M)→H1370m峰9:29→(61M)→I1050m枝沢出合帰り10:30→(42M)→J魚止沢出合924高点上11:12→(42M)→K只見川モッコ渡し場11:54〜57 →(10M)→L駐車スペースに戻る12:07


 
@砂子平南の釣り師用駐車場からスタート。 只見川に向かってゆく切り開き。北側の駐車場からと、2ルート在る。 白い家の前を通過。北側の道が本道のようで、途中で合流する。 泥濘地を通過。登山靴だとちと・・・。
       
浅い渡渉をして、この先は笹原の中の道で判っていないと進路を間違えてしまう。南側に進みたい。 ゴーロの河原に出るとケルンがあり下流側に導いている。釣り師のケルンのようで反対側に進んでしまう。ここに出る手前で南に進む踏み跡に進まねばならない。 大白沢と只見川の出合付近から見る只見川上流。下流側からはモッコは目視できない。 A只見川のモッコ渡しの場所。モッコは川中央部にあり、タイガーロープを引いて手繰り寄せる。乗り込むのが一苦労。モッコを固定させるのに工夫が必要。
   
A勢いよく飛び出したが、川の中央で停まってしまう。ここから20度ほどの勾配を腕力と握力でワイヤーを手繰る。かなりきつい。 A停まった場所から対岸まで13mほどある。 Aモッコの上から下流。 A残り5mまで手繰ったが、腕力も握力も絶え、ザイルで川岸に腕がらみで下降した。高低差は3mほど。飛び降りられない微妙な高さ。
       
大白沢右岸を進む。最初は右岸のブナ林の中を進み、途中で川岸に出る。ここはカラ沢出合から300mほど上流。 再びブナ林の中へ。道形の濃さはこの程度。 魚止沢東200m付近にも小沢がある。魚止沢に着いたのかと思ってしまった。 右岸の樹林帯の中の道が無くなり川岸を進む。時折リボンが見られた。
       
ちょっとヘツルような場所もある。足許は滑る。 B魚止沢出合。 B魚止沢出合から見る大白沢上流。 B魚止沢出合から大白沢下流。渡渉するのにちょうどいい倒木がある。
     
魚止沢の最初の滝。それこそ魚止の滝で、8匹ほど魚影があり、1尺5寸ほどの大物が見られた。左岸をヘツリながら進む。 二つ目の滝。右岸から巻く。 3つ目の滝は沢を進めず左岸をやや大きく巻く。巻き終えた先の平坦地。 沢にはこれらが沢山見られる。倒木にほとんどあり、ツキヨタケか?
     
樋の場所は手足を突っ張るようにして進む。 右岸の平坦な場所。 1030m付近のナメ。 C標高1050m。魚止沢支流との出合。本流を右にして支流へ。
     
流れは途絶えず滑る場所が続く。 流れは1350m付近まで見られた。水は持たずともよかったよう。 D1360m鞍部の西側、1370m付近で沢登りが終了する。山頂まで僅か。 Eシシバナ峰北側
     
Eシシバナ峰南側 E人工物は皆無。北側の樹洞(うろ)のようになった中に絶縁テープを小さく残す。 Eシシバナ峰でヤキソバパンが撮影された最初であろう。 Eシシバナ峰から南東の池へと降りてゆく。薮だが濃くはない。
       
F池。水を湛えていると思ったが湿地状態。 F池から登り返す。 Gシシバナ峰再び。 シシバナ峰と1370m峰との鞍部。
       
H1370m峰。昔の道形があるかと思ったが、見えてこず、往路を戻ることにした。 H1370m峰の北側。獣道か踏み跡が見える。 途中伐採痕があった。人が入っていた時期もあった様子。 1280m付近で沢に戻る。
       
1280m付近から下台倉山側。 途中の小滝で滑落。3mほど。振り返り撮影。 樋を下ってゆく。 I魚止沢の支流と本流との出合に戻る。明るい場所。
   
帰りは右岸通過を多用してみる。 緩やかで快適な場所。 山ぶどうを啄みながら・・・。 魚止沢出合南100m付近からは、右岸に入る。往路は左岸。
       
右岸には道形が残っていた。伝ってゆくと出合の上で東側に進んでゆく。 J924高点南の高巻きから魚止沢出合付近を見下ろす。 道形が大白沢に出た場所。 振り返る。出てきた道形は中央にある。往路は右の川岸を進んだ。出合まで行かずに左の山道に入ってしまった方が魚止沢を伝うのは楽。その代わりイワナは見られない(笑)。
       
大白沢の緩やかな流れ。かなり心地いい。 ブナの樹林帯の中にはトチの木も多い。 カラ沢出合南西400m付近。 カラ沢出合南西180m付近にもワイヤーが残っていた。道形の場所から追うと、ここにもモッコ渡しが在ったのかも。
       
K只見川のモッコ渡し帰り。帰りは勾配が下りで、自重で対岸へと行ける。ただし最後にロープかワイヤーを掴んでいないと戻ってしまう。 Kモッコ渡しの右岸側の様子。 K手を離すと川の中央部の定位置にモッコは戻ってしまった。往路の場合は渡渉した方が楽。これと同じものが小白沢出合の場所にもあり、幻の大池へのルートであったよう(現存はしない)。 白い小屋前に戻る。
       
北側の入口の釣り師の車。3台分。 L南の駐車余地は3台〜4台分。やや泥濘の草地。山旅終了。

早朝に準備していると遊漁料の徴収する方がやってきた。山に行く説明をして逃れる。写真は拾ったもの。

 




 今年の5月の残雪期に尾瀬に入った時に、地図(エアリア)を穴が開くほどにテント内で眺めていた。その時にシシバナ峰を見つけ、小沢平より渋沢温泉へのルート途中から、シシバナ峰山頂を経由して幻の大池まで続いている破線が目に入った。それ以降で気になって仕方がなく狙うタイミングを見計らっていた。只見川を渡らねばならなく、融雪期は厳しいと判断していた。適期は秋以降か。その昔は小白川出合付近にモッコ渡しがあったようだが、現在は撤去されているとも知った。足では渡れないほどの流れがあるってことになる。

 
 そうこうしていたら越後藪山情報ネットワークに、6月での登頂の報告が上がった。猛者の記録はヤマレコにもアップされ詳細が見られるのだが、国道352がまだ冬季封鎖中での行動であり最初はアプローチが理解できなかった。しかしよく読むと奥只見の遊覧船利用で可能となると書いてある。そんな手があるのかと知ることになった。そしてまた、ずっと小白沢側から検討していた中では、御仁の魚止沢よりのアプローチはとても参考になった。

 
 7月8日に大中子山を踏んだ後に、それでもと渋沢温泉への道を偵察した。釣師が入山口に居り話を聞くと、登山道上の渡渉点も木橋が流されたままで結構荒れていると言う。渋沢小屋が崩壊したのでルートの管理がされなくなったようであった。幻の大池分岐まで行ってみようと思っていたが、その話を聞いて、やはりこちらからのアプローチは只見川大きく立ちはだかると理解した。枝沢でもそんな状況なら・・・。東側からの入山は諦める。

 
 渡れる場所となると、只見川と大白沢出合の南のモッコ渡し。冬季は外してあるようだが、春以降で設置するようであり、なんとか濡れずに渡れるよう。流れの状態が判らない中では、濡れない設備は有益であり実施に背中を押してくれる。一応何があるか判らないので20mのザイルを持つことにした。

 
 1:00家を出る。関越道を新潟に進んでゆくと、途中雨がフロントガラスを濡らしていた。小出で降りて、真ん前のセブンでヤキソバパンを仕入れる。そしてシルバーラインへと入って行く。銀山平や雨池橋、恋ノ岐橋の所ではすでに釣師が準備している風景があった。鷹ノ巣の平ヶ岳の登山口はまだまばらで5台ほどが停まっているだけであった。今日は好天なので賑わうだろう。金泉橋を渡り砂子平に入ると、予定していた駐車スペースは既に3台埋まっていて満車。南側も埋まっていたらどうしようと思ったが、南側はだれも停めておらずそこに突っ込む。しばし仮眠。

 
 5時を過ぎ薄明るくなったので準備をしだすと、そこに軽トラがやってきて釣券は持っているかと聞いてきた。「シシバナ峰です」と言っても伝わらず、「幻の大池です」と言ったら、「あー山か」と理解してくれたようで徴収をせがむことは無かった。北側の駐車スペースでも釣師が準備しているのが見える。先に入渓され糸を垂れている傍を通るのは憚れるので、先に出ようと思ってみていたが向こうが早く鈴の音が動き出した。

 
 5:33スタートする。白い家に向かってゆくのだが、家まではいいがその先が知っていないと少し進路を迷う。西に進んでゆくと綺麗に刈り払った道に出合う。北側の駐車場からの道が本道だったよう。伝ってすぐに泥濘地があり、木っ端が敷かれていたが通過には長靴がいい場所であった。この先に小さな沢の渡渉がある。そして胸丈の笹の中の道を追って進む。先に進んでいる釣師の鈴の音が聞こえており、その方向を追うように進んでいた。


 途中にケルンがありオレンジ色のリボンがマーキングされていた。ゴーロの中をケルンを追うように進むと大白沢の出合側で只見川に出る。ここで本日の日付が入った釣券を拾う。既に釣師は対岸に居りモッコを使わずに渡渉したようであった。彼の券かもしれないが、既に対岸に居ていろいろが面倒であり声はかけなかった。モッコの場所が判らず上流側へと右岸を進んでゆく。すると出合から250m付近にワイヤーの張った場所が見え、川面の上にモッコも在った。右岸から左岸を見ると高低差が2.5mほどあるように見える。後半は登りになるのが判る。果たして乗って渡れるのかと不安にもなった。でも乗ることも楽しみにしていた山旅なので、ここは乗っての通過とする。

 
 モッコ渡しを乗るのは、南アルプスの大沢岳の下り以来であり久しぶりであった。タイガーロープを手繰り寄せモッコを右岸に呼ぶ。ただし固定する物が無いので川側に戻ろうとしてしまう。モッコの金具にタイガーロープを殺すように巻き付け保持し、急いで飛び乗る。タイガーロープを解き滑るように動き出すのだが、動いたのは川の中央までで、その先は頭の上のワイヤーを掴みながら、握力と腕力で進まねばならなかった。頭の上で力を出さねばならないので、そう力が出るものではない。さりとて頑張らないと対岸へは着かないので必死であった。しかし残り5mほどの場所でもう力が出なくなった。再びタイガーロープを殺すように巻き付け動かないようにして力を蓄える。再びチャレンジするのだが、左岸の離発着駅にはどうしても届かなかった。こんなところでこんなピンチになるとは・・・。モッコの下は3mほどあり、飛び降りるにも微妙な高さ。しょうがないのでザックからザイルを出して懸垂とした。ただし狭い場所で肩がらみが困難で、腕がらみと足がらみの併用でするすると左岸に降り立つ。当然だが腕は大きな裂傷となった。ここの通過に20分ほど要してしまった。渡れるなら渡渉の方が速いし楽。

 
 左岸に行くと、細い踏み跡があり、伝うとその先の平たん地で道形は有耶無耶になっていた。適当に進んでゆくと斜上する道形が見えてきて、そこへと進むと大白沢右岸の樹林帯の中へと入って行った。杣道であったのか、それを今は釣師が利用しているだけなのだろう、かなり薄い印象の道で、それには釣師の軽い荷物ってことも理解できた。重荷の登山者の通過だったら、もっとクッキリと踏まれた跡になるだろうとも思えた。ブナ林の中を進んでゆくと途中にラジオゾンデが落ちていた。久しぶりに見るものであった。

 
 樹林帯の中の平たん地が無くなり、カラ沢の出合から300m付近で川岸に出る。5分ほど流れを横に歩き、棚地形が見えたので再び樹林帯の中に入って進む。この辺りはハッキリと道形を追うことができた。流れを見下ろすような位置で進んでゆくのだが、途中でもう一層上の棚に乗り上げる場所もある。そして沢を跨ぐのだが、ここで踏み跡はややあやふやとなり渡った先で途切れるが、歩き易い場所が続くので道の有無は関係が無くなる感じだった。この沢は魚止沢出合から200m東側の沢であった。これに対し、もう一つ沢が現れる所で、再び川岸に出てしまった。砂淵でそこに往復した釣師の足跡が残っていた。少しへつるような場所があり気を使う通過点もあるが、自然の岩溝があり、ちょうどいいステップになっていた。ここが924高点付近で、このへつりの手前に山側に上がっていく踏み跡も見ていた。

 
 魚止沢出合に到着。大白沢は出合に前後して倒木があり、渡渉に使えるものであった。ここまで1時間ちょっと、予定通りで進めている。さて魚止沢の遡上開始。最初に小滝がある。こんな連続なのかと、二番目の滝も見上げられていた。この1番目の滝の下には魚影が多く、傷ついては居たが45センチほどのお化けのようなイワナが見られた。そして彼と目が合う。2、3度翻りながら最後は岩陰に身を潜めた。一つ目の小滝は左岸を伝い。二つ目も左岸。三つめは沢の中が通れず、左岸を高巻きをしてその先の平たん地に出る。難しくはないが、滑れば痛いだけでは済まされないような場所であった。打ち所が悪ければ、そのまま・・・。

 
 ブナだろう倒木が多く、そこにツキヨダケと思われるキノコが生えている。食べられそうに見えてしまうが、ここがキノコの危ない面。狭く樋になった場所は、両手両足を突っ張るように使いながら抜けてゆく。この樋の先は、この沢に入って初めて右岸側を伝う。右岸の方が伝いやすい印象もあった。沢の中は滑りやすい岩が続き、足先に力を入れ続けて歩かねばならなく、右岸や左岸が歩ける場所はその方が楽ではあった。

 
 1050m地点で本流からの枝沢があり、東に入って行く沢の方がシシバナ峰に近くアプローチできるので東に入って行く。大きな滝などは無く2m以内の小滝はちらほらとあり、難なく通過できる沢であった。涸れるのかと思ったが、意外や上の方まで流れが続いていた。そして1360mの鞍部に突き上げるのかと思ったが、沢伝いに進むと、シシバナ峰東側山腹の1380m付近が源頭となっていた。よって左に鞍部を見るようにして主尾根に乗った形となった。山頂はもう僅か。植生は弱くブナ主体の場所で漕ぐことなく登って行く。

 
 シシバナ峰山頂。人工物は何もなかった。そしてシャクナゲが蔓延りわずかな距離を進むにも時間がかかる。5mほど離れた位置で南北に高みがあり、どちらが高いだろうと行き来するにもササっと動けない。北側の大木にはウロの様な部分があり、その中の割けた場所に絶縁テープを縛った。最初の目標達成。次は南東の池を見ることも予定に入れている。高低差は60m。ヤキソバパンを撮影した後に下って行く。南東斜面も場所を選ぶとそう悪くない斜面で軽く漕ぐ程度で降りて行けた。5分ほどで池に到着する。到着する前から、上側から見えていたのだが、池の体をなしておらず水が見えない。湿地な感じで、ぬた場のような感じでもあった。それでも見られたことで満足。見なかったら水を湛えた池と思いこんだまま人生を送ることになる。あとは、この時期だからこの状態だが、残雪期以降では水があるのかもしれない。その点では「幻の小池」とも言えるのかもしれない。降りてきた場所を再び登り返す。

 
 シシバナ峰に戻ったら、東側鞍部へと下って行く。往時の道形でも見えてくれば尾根伝いで北に戻ろうとも考えていた。しかし東に進み1370m峰に乗り上げても、そこに道形は見えてこなかった。これでは沢の方が進度が速い。やや危険が伴うが、時間的なことを考慮すると藪尾根より沢の選択となる。1370m峰から北に降りると、なんとなくそこに踏み跡がある。獣だろうか。そして大きな切り株が残っていた。林業作業の手がここまで入っていたようだ。切った木材をどう搬出したのだろう。その方が気になる場所もであった。

 
 1280m付近で沢の中に入って行く。沢の延長線上の空を仰ぐと、そこに下台倉山からの尾根筋が見えていた。10分ほど下った場所に小滝があり、左岸側を伝っていたが、スリップして3m程滑落し小滝の下にドボンとなった。ここは往路で飴玉の袋を落とした場所で、いいやと思って通り過ぎた場所だった。罰が当たったよう。水の中から飴玉の袋を拾ってから降りてゆく。

 
 1050mで主流との出合となり、ここからは右岸寄りを多用して降りてゆく。すると獣道なのか踏み跡が続いていた。右岸が伝えないような地形もあるが、伝える場所には沢から着かず離れずな位置に道形がある場所が見られた。それでも左岸を通過せねばならない場所があり、往路の自分の踏み跡を追い、草の倒れた筋を追って進んでゆく。

 
 魚止沢出合の南100m付近からはずっと右岸を伝う。ここには間違いない杣道が見えて容易に伝う事が出来た。そしてその道は途中で東側に折れ、924高点の南を通過して、その先で河原に出た。往路に見えた踏み跡はこれだった。往路は出合が見たくて西に進んでいったが、それを端折れば、少し省力した形で魚止沢を伝えたようだった。でも、出合まで行ったのでイワナに逢えたこともあるので、往路の判断は間違ってはいない。

 
 陽が上がり大白沢を伝うのもかなり心地いい日になった。往路同様に右岸の棚に道が在る場所は樹林帯を進んでゆく。895高点の400mほど南まで戻ると、右岸の立ち木にワイヤーが食い込んでいるのが見えた。そこからのワイヤーが長く伸びている。状況を察するに、ここにもモッコ渡しが在ったようにも思えた。只見川からのルートの在り方から追っても、ここに在ってちょうどいいとも思えた。再び樹林帯に入って進むと、途中で釣師とすれ違った。只見川へと進む道は、やはりこの辺りは不明瞭で探るように進んでいった。

 
 モッコ渡しの場所に戻る。往路の事もあり、よく考えてから乗ることにした。もし向こう岸に着かない場合は水没してでもザイルで下ってしまおうとの判断である。帰りなのでそれでいい。タイガーロープを引っ張るのだが、左岸にはタイガーロープとは別のクレモナロープがあり、これをモッコにひっかけて殺し、固定してから乗り込み開放する。一気に滑り降り、ワイヤーを手繰ることなく右岸に辿り着いた。ただし川中央に戻ろうとするので、右岸側のタイガーロープは掴んでいた。降りるにちょうどいい起立した岩があり、そこに飛び移る。往路と復路では楽さが大きく違っていた。間違いなく左岸に対し登り勾配のモッコなのであった。

 
 笹原の中の道形を追ってゆく。往路に間違えた場所も良く判った。上流を気にしていなければいけなかったようだ。小さな沢を渡渉して泥濘地を抜け白い建物の場所へと戻る。そして本道となる北側駐車場への道を進んでゆく。出掛けに見た3台はそのまま停まっていた。国道を南に伝い南の駐車スペースに戻ると、2台増えていた。

 振り返る。モッコ渡しの右岸から左岸への移動は、とてつもなく力が必要。プルージックか何かで滑車の回り止めをつくり、ズレ進むように登ってゆく方法もありかと思うが、現地ではその発想が無く、只々筋力任せだった。そこまでするなら濡れての渡渉の方がこの時期は楽かもしれない。魚止沢は右岸寄りで伝ってゆくので正解だろう。もしかしたら、獣道と見えた筋も昔からの杣道だったのかもしれない。流れの中を歩く場合は、より沢靴の方がいいだろう。予想もしない場所で滑りドキッとしたこと何度も。あとは、山頂から5分も下れば水を得られるような場所で、経路は飲み放題であり、沢ルートの往復なら持ち込まずともいいだろう場所。意外と獣の気配も匂いもしない場所であった。

 






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