鷹ノ巣山     1030m      

 
   2017.3.25(土)    


   曇りのち晴れ    単独    川古温泉より    行動時間:4H41M 

                 


@川古温泉P5:40→(91M)→A赤谷川橋7:11→(7M)→B林道を離れる7:18→(64M)→C鷹ノ巣山8:22〜33→(24M)→D林道に戻る8:57→(3M)→E赤谷川橋帰り9:00→(81M)→F川古温泉P10:21


     
@川古温泉浜屋さんの駐車場からスタート。 浜屋さん脇のゲート フェンスゲートの場所でスノーシュー装着 以前崩落していた堰堤上の林道は綺麗に修復されていた。
       
大岩の場所からは大木が倒れ林道を塞いでいた。 途中から見る鷹ノ巣山 林道を雪が覆いつくし結構な斜度になっている。 A赤谷川橋を渡る。
   
B林道を逸れて谷部へと向かってゆく。 B分岐した場所に見えた赤ペンキ。林道沿いには同じものがたくさん見られる。 沢の右岸側の急峻を登ってゆく。ブリッジが乏しく左岸に渡れる場所はピンポイントだった。 山頂直下に幹直径1mほどの大きなブナ(右)がある。
          
C鷹ノ巣山 C西側の様子 Cヤキソバパンが入手できずコロッケパン。 C人工物は皆無だった。珍しく無記名の絶縁テープを残す。
       
南東尾根を降りてゆく。 南東尾根は途中で急峻になり南に逃げ往路のトレースに乗る。 沢を渡ったブリッジの場所。 急峻が終わりなだらかになった右岸を降りる。
       
D林道に戻る E赤谷川橋帰り 斜度のきつい場所を戻ってゆく。 倒木の場所帰り
       
フェンスゲート帰り 浜屋さん前は既に雪解けしていた。 F駐車場に戻る。現在は赤谷川で工事中。  




 平標山の南、大源太山の東尾根上の突端に鷹ノ巣山が存在する。”なぜにこんな肩のような場所に名付けたのか”と思いたいほどに目立たないマイナーな位置取り。林道が麓を通っているので、それを使って無積雪期で狙えばわずかな藪漕ぎで狙える場所。しかし、しかしなのだが、このエリアの蛭の存在を知っている私としては、ここで藪漕ぎを楽しむ気にはなれない。よって鷹ノ巣山は積雪期の山の位置づけであり、周囲の等高線の混みようからは雪が落ちるのも早そうで、残雪期の早いタイミングで狙いたいと思っていた。

 

 山ランの雄であるSJJ氏は無積雪期に仲間と北側の深い沢を伝って登頂している。地形図から得られる情報をよくよく吟味して出したコース取りと想像する。報告からはけっこう大変だったようだ。私の今回は、赤谷川橋の延長線上の小沢を詰める計画。雪があればこそだが、若干の勾配のきつさは気になるところ。北の沢が一番緩やかにアプローチできるが、右俣を徒渉せねばならないのでこの時期は使いづらい。

 

 1:30家を出る。犯罪があったようで覆面パトカーが赤色灯を光らせ2台すれ違う。17号を赤谷湖まで走り、川古温泉側へと右折してゆく。路面には2センチほどの雪が乗っている。富士新田大橋を渡った先のT字路からの下りは、ややドキドキしながらゆっくりと降りてゆく。浜屋の駐車場の南側には工事のプレハブが置かれ、付近で工事がされているよう。それがための除雪スペースとなっているようで、迷いつつも浜屋側のスペースに入れる。下山後に温泉を利用するのなら気にしないのだが、今日は浜屋さんの予定はしていないから。外気温はマイナス3℃。深夜便を聴きながら夜明けを待つ。

 

 季節柄スキーヤーが来るかと思ったが、白み始めても誰も到着しなかった。周囲の雪を確認すると、ふわふわの新雪が乗っている。久しぶりにスキーを持ってきたのだが、迷いに迷ってスノーシューで行くことにした。結果としてこれは大正解であった。正解はいいとしても一度もスキーを履かずにシーズンを終えそうでもあった。滑走の衝撃が首に行かないよう気遣っているのですが、さりとて一度も滑らないのもなんとも寂しいし、板が埃を被りつつあった。

 

 スノーシューを手に持ってスタートする。浜屋さん前の坂を凍っていないか確かめるように登り最初のゲートを通過する。積雪は次のフェンスゲートの場所から多くなり、ここでスノーシューを履く。前回訪れた時には崩落していた堰堤上の林道はきれいに修復されていた。だがしかし、細かい落石や大きな倒木があったりし、雪が解けたらそれなりにメンテが必要な様子も見られた。

 

 進む先に小出俣山西側の岩峰が望める。周囲はモノトーンの色合いであり、より荒々しく見えていた。ヘヤピンカーブの場所は、後半を端折りショートカットしてゆく。その先の林道は雪に埋もれ赤谷川へと強い勾配を作っていた。川に落ちることも想定しつつ、当然のように落ちないよう踏ん張りながら、さらには帰りに利用できるトレースにしながら進んでゆく。この間だけはアルミワカンで通過したい場所であった。危険個所は距離にして40mほど。もう少し遅ければアイゼンでいいのだろうが、降った後でふかふかの斜面であった。雪崩れそうな雪質を踏み固めながらトラバースしてゆく。

 

 出発して1.5時間で赤谷川橋を渡る。4kmをこの時間となると、浮力のあるスノーシューのおかげで間違いないだろう。西に向かいつつ取付き場所を見定めながら行く。登る予定していた小沢の流れを跨ぐと、その先で鋭角に折れ小沢に向かってゆくような道形が存在した。その分岐箇所には二本線に外と書かれている赤ペンキが見える。これはここだけでなく林道沿いにいくつも散見できた。地形図には建物の表示があるので、以前は何か立っていた場所なのだろうと思える。

 

 小沢の右岸を伝ってゆく。面当たりではなく蹴りこみ登らねばならないような勾配が待っていた。硬すぎても緩すぎても困るようなそんな場所で、この日はスノーシューで進むにはちょうどいいと感じる状態であった。右岸が詰まり気味になり左岸に逃げたいが、流れが出ているので簡単には移れない。スノーブリッジを期待しつつ這い上がってゆくと、ピンポイントで一か所あった。左岸に渡り、そこからの上流を見ながら歩いたが渡れそうな場所は無く、タイミングが遅いと伝いにくくなる沢になるだろう。沢地形の北側に小尾根があり、そのさらに北側の地形が緩やかで歩き易い。900mの等高線が凸形状しているのが流れのある沢で、950mが凸形状している側は流れがない。

 杉の樹林帯を行くと左右(南北)が詰まってくる。ここで進路を北に変えて登ってゆくと、植生は杉からブナの幼木と変わる。南にこんもりとした高みがあり、その北側に最高所の尾根筋がある。山頂の南には幼木の中で一際太いブナが立っている。幹直径は1mほどあるだろう。その先が山頂であった。周囲を高い山で囲まれた谷の出合の場所。ちょっと登頂感の薄い場所でもあった。

 鷹ノ巣山には人工物は一切なかった。植生が弱いので陽射しのよく入る山頂であった。東側の6畳ほどに開けた場所で休憩とする。地形図を見ながら下山路を考える。東尾根を伝ってみよう。尾根末端はゲジゲジマークだが、それ以西までなら伝えるだろう。久しぶりに絶縁テープを残して山頂を後にする。

 東尾根は快適に伝えたが、下り始めはその尾根より、北側の斜面が広く快適であった。尾根を拾いながら進み850m付近から少し勾配が強くなったので南に振る。そして往路のトレースに乗る。小沢のブリッジを右岸に渡り、そこからの斜面は滑落に注意しながら降りてゆく。繰り返すが、雪質によっては嫌な通過点となろう。平坦な場所まで降りれば、僅かに進み林道に乗る。モノトーンの景色であった早朝だが、この時間には綺麗な青空になっていた。

 赤谷川橋を渡って戻ってゆく。トラバース地点はゆっくりと足場を確かめるようにして戻ってゆく。ヘヤピンカーブを帰りもショートカットして進むと、単独後者のトレースがヘヤピンカーブの上側入口の場所で南西に降りて行っていた。このルートどりをすると言う事は、この場所をよく知っていると読める。そう言えばヘヤピンカーブの途中で人工的な断続音がしていた。お互いがショートカットしている中で見えない位置ですれ違っていたようだ。小さな足形が見え、小柄の人が入山しているとも予想した。

 林道を戻ってゆくのだが、この短時間にかなり雪解けしている。
スキーでなくてよかったと思ったのはこの時。スキーなら持って通過せねばならない場所が多くなり、流れが出ている場所や水たまりをスノーシューのままバシャバシャと通過してゆく。うららかな春の陽気の中、赤谷川を見下ろしながら戻ってゆく。

 駐車場に戻ると、フロントタイヤにチェーンを巻いた上州ナンバーの車が置かれていた。間違いなくすれ違った人だろう。助手席には小出俣山のヤマレコのハードコピーしたものが見える。あの時間で狙ったのか・・・。翌日は天気が荒れる。日帰りで狙うにはちとスタートが遅いようにも思えた。駐車場から赤谷川を見下ろすと、そこで護岸工事がされていた。帰りは広河原温泉を利用してゆく。

 振り返る。残雪を利用する適期は3月中旬から4月上旬となろう。早過ぎてももがき、遅過ぎたらそう高くはないので雪のつながりが心許なくなるだろう。小沢のスノーブリッジが不確かなので、赤谷川橋を渡ったら林道を進んで小沢の流れを跨ぐところからその小沢の左岸を這い上がってしまえばブリッジの有無は関係無くなるだろう。小沢に流れがあるので無積雪期には水を持たずにいい場所となるが、蠢く彼らがうじゃうじゃ居るのだろうとも予想する。雪がある時がいい。

 

         

                        戻る