雨降山        2156m                  
         
                                  
                                 
                                                                                                      
  2022.8.12(金)


  雨のち晴れ    単独    西麓1651高点よりから     行動時間:3H7M


@1651高点4:52→(10M)→Aわごの橋(ゴノ沢出合)5:02→(10M)→B二つ目の堰堤で沢を離れる5:12→(68M)→C2140m峰6:20→(12M)→D雨降山6:32〜38→(44M)→Eゴノ沢1870m付近に降り立つ7:22→(26M)→Fわごの橋帰り7:48 →(11M)→G戻る7:59      
                                        


 
@川上牧丘林道の1651高点付近からスタート。携帯電話を忘れ一度取りに戻る。 東股沢に架かる無名橋通過。 この地図にも雨降山が記載されている。 Aわごの橋からゴノ沢に入って行く。林道はコンクリート舗装。
       
現在の林道幅終点地。 ナメ状の沢の中を進む。非常に滑る。 B二つ目の堰堤の先で沢を離れる。 伐倒木が夥しい斜面。
   
折り重なる場所を避けながら登って行く。 上部の主稜が近くなると大岩が現れだす。 C手前峰となる2140m峰。 C境界標柱が埋まる。
       
鞍部 D雨降山。シャクナゲの中に4名分ほどの空間がある。 Dここにも境界の杭 Dコロッケパンと
       
D21年前に見た杭(角柱)は、シャクナゲの中に転がっていた。 Dダンダラ棒に今は針金だけ。 帰路は2140峰から南に下る。 途中から、明瞭な谷を使う。
       
谷の中にこのリボンが続いていた。 Eゴノ沢の1870m付近に降り立つ。 E左俣側は砂岩風味。水が美味しい。 E1870m地点の右俣と左俣。
       
苔むした沢の中を伝ってゆく。 1840mの枝沢 沢の中にもリボンが見られる。 この沢の核心部。大量の倒木が折り重なる。
       
崩れた北側斜面。地滑り。 沢の中を濡れながら伝うと倒木を避けられた。 流れの落ち口から下流。ここしか犬が降りられる場所が無く・・・。足場は湿気を吸って緩く動くものばかりで危険。 急峻を降りきると、硫化水素の匂いがし、流れの色はこの通り。触っても温かくは無かった。鉱泉が出ているよう。 
       
右岸の道形。 林道終点地帰り Fわごの橋帰り 無名橋帰り
       
G1651高点付近に戻る。    2001年12月の雨降山   




 長峰に登ったら雨降山に登りたくなる。21年前もそうだった。同じ尾根筋上にあり、まず小手調べと長峰に挑むのだが、無事登頂となると次は雨降山も狙えるだろうと思ってしまう。2001年は人間様が登頂できるかどうかと気にしたが、今回はお犬様が登頂できるかどうかと気を使う違いはある。

 
 21年前は、梓川沿いを進んでの東側からのアプローチだった。シャクナゲにけっこう難儀した記憶があり、今回は西麓から狙ってみることにした。西麓の方が、川上牧丘線が使えるので、距離を短くできる利点があった。先駆者の記録を漁りコースを決めるのだが、楽に登っている人はいないようだった。そこそこの負荷がある場所に大型犬が挑む。

 
 2時に家を出る。毎度不愛想なスタッフの南牧村のセブンに立ち寄る。ヤキソバパンが陳列棚に無かった。長峰の時もそう。この地域の人はヤキソバパンを好まないのかもしれないと思うことにした。コーヒーを飲み飲み川上村に入って行く。農地のあちこちで投光器が燈り、収穫作業をしている風景があった。お盆最中の廻目平の賑わいを見ておきたかったが、その手前から左に折れて行く。狭い舗装路をしばらく進む。主流を跨ぐ橋の先からダートになる。ゴノ沢の入渓点はすぐ先であるが、オンロードタイヤであまりグリップしないので空転が多い。リスクを考え1651高点付近の余地まで戻った。前回はこのタイヤで大弛峠まで上がって行った。もうあの辛い運転は懲り懲りであった。

 
 川上村と北杜市は、朝は曇り予報の日であったが、現地はしっかりと雨が降っていた。少々なら雨具を着ずにとも思ったが、着ないと拙いほどに降り続いていた。まあ雨降山に向かうのに、おあつらえ向きの天気とも言える。そう思うことにした。降っていれば蚋も少ないだろう。日々プラス思考なのだった。

 
 4:44出発する。本流を無名橋で渡ったところで、携帯電話を持ってきていないことに気が付く。一度取りに戻り、4:52にリスタート。余計なアルバイトになってしまった。無名橋から3分ほど登ると、災害危険地区の地図が立っている。その地図の中には雨降山の記載があり、ちょっと嬉しかったりする。マイナーピークであるのに書いてあることが・・・。

 
 林道を20分ほど進むと、ゴノ沢出合いとなり、ここが入渓点。ゴノ沢に架かる橋には「わごの橋」と読める銘板が付いていた。沢の右岸を進んで行くのだが、この場所にしてコンクリート舗装されていた。ただしだいぶくたびれており、足の裏に名残の硬さが確認できる感じであった。右岸を進んで6分、道形の終点地となっていた。地形図の実線はまだ先に進んでいるので、荒れて途絶えていると言うのが正解だった。その先の沢はナメ状で、北側斜面にはスラブ状の一枚岩が見られて圧巻。

 
 枝林道に入って二つ目の堰堤の先から、沢を離れて適当に北東に登って行く。斜度は強く手を使いながら登る場所だった。ここは針葉樹林帯で緑濃く、足元は苔が奇麗だった。これが上に行くと様子が一変し、人工的な伐倒木が夥しくなる。厳しい進路になるかと危惧したが、作業者も通路を確保したのだろう、折り重なる場所もあるものの、選ぶとなんとか通過して行ける隙間もあった。なかなか伐採地が終わらず飽き飽きしてきたころ、上が明るく見えた。主稜線が近いことを意味していた。伐採地が終わり、大きな露岩が現れると自然な風景に戻った。出来るだけ斜度の緩い場所を選び、崖となっている場所も避けた。途中で2140ピークに対する南尾根に乗り上げ北進してゆく。上に行くに従いシャクナゲが密になって行く。ここの通過で、21年前を思い出した。

 
 2140峰からは、道があるわけではないが、雨降山に向けて尾根の北側に拓いたような筋がある。獣道なんだろうとは思う。ただしその先の尾根上は密で、尾根の南側に逃げて回避する。そして雨降山を前にして鞍部となる。先ほどの2140峰に在ったのと同じ境界標柱が足元に見られる。さて最後の一手すき状態で、密なシャクナゲが待っている。直線的に突っ込んだが、東寄りに巻き上げる方がシャクナゲ内に空間が多かった。

 
 雨降山登頂。朽ちたダンダラ棒が針金だけを残して立っていた。21年前とほぼ同じ状態で推移していた。東側のシャクナゲの中に、前回に見た角柱が転がっていた。周囲はシャクナゲで景色は全閉状態。そこに雨であるので、それ以上なにも足搔こうとは思わなかった。コロッケパンを迷犬と分かち合う。このピークに大型犬が登った最初かもしれない。さて下山であるが、往路の倒木帯は避けたい。伝家の宝刀ではないが、沢下り・谷下りを選択した。

 
 しゃくなげの空間を拾うように東寄りに下り、砂礫斜面に出たら西進して鞍部に戻る。2140m峰は最高所は通過せず南斜面を横移動してゆく。露岩帯があり、崖地形があるので進む高度によっては危険が伴った。苔むしているのと、露岩の岩穴もあるので、迷犬の通過しやすい場所を選びながら下って行く。7時が近くなると雨も上がり日差しが入るようになってきた。南尾根の東側を降りて行くと、途中からそこに黄色とピンクのマーキングが見えだし続いていた。伝いやすいなだらかな谷で、これであれば往路に使えばよかったと思えた。マーキングは好事家のものと言うより林班の境のようであった。重力に任せるようにグイグイと降りて行く。残雪期の谷を降りるように踵を入れながら降りることが出来た。

 
 1870m付近でゴノ沢に降り立つ。一帯は苔むしていて見栄えのする場所であった。ちょうど二股になっており、左俣側が砂地の谷で、試しにと沢水を飲んだら美味しかった。相対して右俣は苔むした谷であった。陰が右俣で陽が左俣な感じであった。ここからの沢下りは快適も快適、流れがあり苔も奇麗で伝うにも負荷がほとんどなかった。やはりこちらを詰めてくればよかった。と、この時は思った。沢の中には先ほど来のリボンが続いていた。

 
 ゴノ沢に降り立ってから11分。周囲が明るくなり緑の立ち木は無くなった。そこは夥しい倒木で谷が埋まっていた。2140ピーク西側の谷が地滑りを起こしたようで、赤茶けた痛々しい斜面が見上げられていた。そんな景観のことはいいのだが、ここを抜けられるか否かが問題となった。抜けられなければ高巻きせねばならず、左岸右岸を確認した。幸い流れのある中を伝うと、障害となる倒木は無かった。一人と一匹とで、たらたらの流れの中をチャプチャプと進んで行く。今はこんな流れだけど、大雨の場合は濁流が流れるのだろう。だから流れのある上に倒木が無いのだろう。

 
 倒木帯を抜けると、30mほどの落差のある落ち口の上に出た。左岸右岸共に逃げられず、急斜面を下って行くしかなかった。流れを吸って緩い地面に石がゴロゴロしている。動くそれらに注意しながら慎重に足場を選んで降りて行く。自分と言うより迷犬に負担が少ないように。着地点となる最後で、大岩と倒木が邪魔して抜けられず抱きかかえて降ろしてやる。するとそこは、懐かしい匂いのする場所だった。懐かしさは硫化水素臭で言わば硫黄臭でもあった。流れを見ると赤い場所があり手を突っ込んでみる。暖かくは無かったが鉱泉が沸きだしているようだった。川上村は温泉が無い自治体。引泉して利用すれば集客に繋がるだろう。この場所を見ると、この下流では沢水は飲まない方がいいだろうと思えた。

 
 以降で危険な場所は無くなり、ゴノ沢の核心部は倒木のその場所だけだった。なだらかな沢の中を伝って行く。目の前に堰堤が現れ、右岸側から巻くと、その右岸に道形が続いていた。降りて行くと見覚えのあるスラブの場所が右に見えてきた。無事戻ってきた。林道幅を伝いわごの橋に戻る。この頃になるともう、夏の日差しとなり朝方の雨が恋しくなる。

 
 川上牧丘線を降りて行く。通過車が居ると思ったが静かな林道歩きだった。1651高点付近に戻る。着替えていると、若い女性二人の乗ったアウトバックが登って行った。アウトバックだと、間違いなく底を擦るだろう。笑顔の二人だったが、途中で悪路に顔色が変わってくるはずである。車を走らせると、名古屋ナンバーの4台がすれ違った。百名山信者だろうか。

 雨降山に対し、東と西から登ったことになった。楽なのは西側だろう。上手にゴノ沢を詰めれば負荷は少ないよう。


 





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