富士見        2373m      両門ノ頭        2263m         東梓        2271.8m                    
         
                                  
                                 
                                                                                                      
  2022.10.1(土)


  秋晴れ     単独    常落院平南の配水施設から唐松久保沢経由      行動時間:6H49M


@配水施設分岐1510m地点3:41→(34M)→A廃小屋1690m4:15→(19M)→B梓久保林道分岐(本道は右。今回は左に進む。)4:34→(23M)→C大堰堤4:57→(98M)→D富士見6:35〜38→(25M)→E両門ノ頭7:03〜12→(41M)→F東梓7:53〜8:02 →(9M)→G2240峰8:11 →(63M)→H林道に降り立つ9:14 →(6M)→I東沢で引き返す9:20 →(18M)→Jゲート9:38 →(3M)→K唐松久保沢渡渉点9:41 →(49M)→L配水施設10:30 
                                      


 
@常落院平南の配水施設まで車を入れスタート。 梓二号橋 A半壊したプレハブ小屋 B林道分岐。梓久保林道の本道は右。唐沢久保沢沿への左に進む。
       
ここも関東山地 林道が流れに侵食され、この付近から先は道形が消失している場所が増える。 マーキングがこまめに縛られていた。 1879高点北付近に、タイガーロープが流してあった。踏跡が続く。
   
C1879高点東の大堰堤。 C堰堤の右岸にアルミはしごが設置してある。垂直ではなく75度くらいの勾配。 1910m付近にもタイガーロープの補助が。この付近の唐松久保沢は滑床で美的だった。 2130m付近。2050m付近でマーキングは見えなくなった。
       
唐沢久保沢の湧出点は2250m付近。 谷の源頭部は大崩落斜面。足場が緩く大岩も動き神経を使う。 上から見下ろす。 尾根に乗り上げる手前、2350m付近に南北に走る道形が見られた。少し伝ってみたが明瞭に続く。途中で離れる。
       
富士見の北西側は倒木帯で進み辛い。 D富士見到着。展望は全閉。
D標識はこれのみ。スッキリしていていい。 E両門ノ頭展望場
     
E標識は樹林の中。 E両門ノ頭から南側。手前に塩山尾根。 E秋映で水分補給。 F東梓到着。展望は南に僅か。
       
F南東側に2枚の標識 Fコロッケパンと 奥秩父らしく心地いい稜線歩き。 G2240m峰再び。ここから2209高点経由で降りてゆく。
       
G縦走路から逸れないようロープがされている場所から潜って・・・。 倒木はあるが下草は無く快適。道形が在るような感じ。 主尾根上に防火帯のような幅があり、道が在ったような形跡。 境界の杭も見られる。
       
マーキングは杭の場所に見られた。 2209高点峰付近。この辺りまで尾根上に道形が見られる。この先は密な場所や露岩が現れる。シャクナゲやシラビソも。 2160m付近に、8畳ほど伐採した跡があった。 2160m付近から下側。
       
見出し標は上からは一切見えないが、振り返り見上げると見える場所があった。 H林道に降り立つ。 I東沢手前まで進んで引き返す。 林道上は幼木が密生し、その中に獣道が一本走る。
       
厄介な押し出し。通過後に撮影。 Jゲート Jゲート脇のこれらは退色がほとんどなく綺麗。 K唐松久保沢渡渉点の左岸側。一部にコンクリート構造が見られる。道の在った場所はほぼ判らない。
       
K唐松久保沢の右岸側。今は右岸に流れがある。向こうに草付きの林道幅が見えている。 往路のBの分岐。振り返り撮影。往路は左に進み。復路は右から出てきた。 プレハブ小屋帰り 梓二号橋南の、梓川の魚道。
       
8月以降の大雨でけっこう掘れてしまった林道。 L配水施設前に戻る。




 奥秩父の甲武信岳と国師ヶ岳間が迷犬にとっての未踏になっていた。当の本人にとっては、未踏だろうが踏んでいようが関係なく、欲と言えば食欲が全て。それでも自然の中は開放的で楽しいようで、喜んで山歩きをしている。そんな様子を見ていると、喜びそうな場所に連れて行ってあげたいと思ってしまう。

 
 2021年5月、甲武信岳に抱き合わせて、水師まで踏んで降りてきた。富士見まで行きたかったが、迷犬への負担を考慮した。ラブラドールは、長い距離を歩かせると股関節が病むと聞いている。距離なのか時間なのか線引きは難しいが、そこは飼い主判断で決めている。この東に対して西の方は、今年の7月に国師岳まで踏んだ。結果、東梓と両門ノ頭と富士見が残った。一番楽なアプローチは大弛峠からだろう。その次は上州からだと毛木平から。でも毛木平からでは長い距離になってしまうので不可。大弛峠も、大弛小屋の過去の犬禁の関係で気が進まない。そんなこんなでしばらくは諦めていた場所だった。

 
 諦めていたと言っても、諦めが悪いのが私であり、地形図とエアリアマップを何度も見返していた。甲州側はダメだが信州側の唐松久保沢を使えば、効率よく登れるんじゃないかと思えた。この背景には、9月の南沢を詰め登頂に至った経験から、このエリアの沢は伝い易いんじゃ無いかと予想し、唐松久保沢も使えると思えた。

 
 天気の方は、この土日は秋らしい快晴予報。しかし擦り剝いた足の状態は悪く患部は腫れたまま。迷犬はと言えば、刺された足の治療にステロイドと抗生物質を投薬したら、今度はそれが為に下痢となり下血が続いていた。体調万全ではなく天気がいい割に気持ちが乗ってこないが、下調べで終わってもいいと思い決行とした。

 
 1:10家を出る。R141号を南下して行き、いつものように南牧村のセブンに立ち寄る。ヤキソバパンは無くコロッケパンを仕入れ、コーヒーを啜りながら川上村に入って行く。前回は常楽院平の余地に停めたが、この日はもう少し南まで進み配水施設のある分岐まで車を入れる。ここは余地が広く日影も出来るので日差しの強い日は適地であった。釣り師の車もまだなく、停車しヘッドライトを消すと星が奇麗でしばし星空観察をしていた。外気温は5だった。

 
 3:41配水所前をスタートし、山手(西)側の道へと進んで行く。15分ほど進むと梓二号橋で梓川を跨ぐ。ここを歩くのは2001年に雨降山を狙った時以来。それから21年経過しているが、林道周囲の様子はあまり変わっていなかった。まあ途中のプレハブ小屋はさらに壊れ半壊状態だったが・・・。林道上はクモの巣が多く、ストックはそれらを払う事にしばらく使われていた。南進から自然と東進になるが、ヘッドライトで行動しているので進路方角が変わったことなど気づかないまま進んで行く。それでも梓川の瀬音が下側に遠くなり、再び林道近くから聞こえてきたので唐松久保沢側に進んでいることが耳から判った。

 
 進んで行くとY字分岐が現れる。21年前は右を選んだが、この日は左に進んで行く。この辺りまでは四駆なら入って来れそうだったが、分岐から先は荒れ道形は崩壊していた。それでも、何となくそれらしいところを伝うと再び道幅が現れる。そして何のためかマーキングがこまめに続いていた。驚いたのは、1879高点北側にはタイガーロープが流してあった。そして薄い踏み跡が右岸に続いていた。足許には杭も見られ、沢筋が林班の境のようでもあった。

 
 1879高点東には、進路を塞ぐ大堰堤が立ちはだかっていた。ここまでかと思ったが、ここも予想外で右岸にアルミ梯子が設置されていた。通常の使い方だと迷犬が使えないが、垂直ではなく勾配のあるコンクリート壁面に設置してあり、補助なしで自力で抜けて行った。この先8分ほどの1910m付近にもロープが設置されていた。ロープが見られたのはここまでだった。相変わらすマーキングが続く。ピンクのものが退色しているので、目に飛び込んでくるものではなく探さないと見えてこないものであった。まあ昼間であれば次々に見えるのだろう。この付近の唐沢久保沢には白く波立った流れが見える。踏み跡と流れとの距離があり暗すぎて撮影に至らなかったが、陽の下で見たら奇麗なナメ地形のようだった。

 
 2080m付近には残置されたワイヤーが見られた。この先でマーキングが見えなくなった。対岸へ行っていたのか、もしくは北側の尾根に登って行ったのかもしれない。当初から沢登りの頭で来ているので、そのまま流れを詰めて行く。これまで概ね右岸歩きだったが、2130mで完全に沢の中に入る。大きな段差の場所は無く、さほど腿上げせずとも伝える場所であった。既に流れはちょろちょろで、湧出点は2250m付近であった。主稜線の位置を思うと、よほどでない限り縦走者の水場には使えない場所だった。

 
 突き上げて行く先が明るくなる。鞍部に向かっているので、その明るさなら良いが、そうではなく無毛の大崩落斜面が待っていた。南の樹林帯の中に逃げられないことも無かったが、やや密生していたので、そのまま谷筋を上がって行く。崩落斜面であり地盤は緩く、岩の多くが動くもので神経を使う。先を行く迷犬は、本人も必至に踏んばりながら登っている。飼い主のことなど考慮する余裕はないので、こちらは落石の危険に対し頻繁に顔を上げて登らねばならなかった。それこそ雪崩れやすい雪面に居るかのようで、この土砂全体が流れ出したらどうしようかと心配でもあった。迷犬も最初は土砂の中を登っていたが、すぐに右の樹林帯を伝っていた。グリップしない場所は苦手のようだった。人間も同じなのだが、我慢して登って行く。

 
 崩落地を登り切り振り返る。降りるにはやや勇気のいる勾配に見えていた。そして谷を挟んだ向こう側には、先だって登った雨降山が見えていた。鞍部を目指して東側へと登って行く途中、2350m付近に南北に走る踏み跡が見られた。少し南に伝うも明瞭に続いていた。ただ2373高点に向いておらず、途中で南東へと離れる。この付近は倒木が多く歩き辛い。もう少しで富士見山頂であるが、崩落地で疲れた足には辛い通過点だった。先ほどの道形は何だろう。天竺平側からの道が在ったのだろうか・・・沢の右岸の道の延長線上なのか・・・。。

 
 富士見到着。2005年が最後なので17年ぶりの登頂だった。相変わらずの展望の無さであるが、標識は木製のものから新しいプラ仕様のものに変っていた。経路3時間かからなかったので富士見への最短路と言えるだろう。途中まで見たマーキングとどこかで会うかと思っていたが、見ることは無かった。さてここからは一級路であり不安箇所は無い。南西に進んで行く。

 
 奥秩父らしい心地いい尾根歩き。天気がいいこともあるが、暑くもなく寒くもなく気温も最適だった。迷犬も疲れ知らずで、現れる倒木をピョンピョンと飛び越えて進む。だらだらとした稜線でも、アップダウンの登りでは、先ほどの崩落地での脹脛の酷使が響いてくる。両門への最後は、直接尾根筋を行く。斥候を迷犬が務めていた。

 
 両門ノ頭に着くと迷犬が戻ってきた。こんな時は誰かいる時。山頂ではソロの男性が休んでいた。犬で驚かせたことを詫び、経路を聞くと瑞牆山からと言う。距離が長すぎるので夜行してきているのかと思ったが、大弛峠に泊まったと言う。合点がいったがそれでも韋駄天であろう。足はローカットシューズだった。男性と別れ展望を楽しむ。本日唯一の展望ピーク。雲海はあったので雲一つないとは言い切れないが、下界側を切り離すと雲一つない秋晴れの展望だった。眼下には塩山尾根が見えている。ここからシャクナゲが見えていれば行かなかったのだが、見えないばかりに伝ってしまった(笑)。秋映で水分補給しながら西進してゆく。

 
 倒木は相変わらず多く、チェーンソーが入れられている場所もあるが、そのままにしてある場所も多い。2240m峰で西進が南進になるが、以前ここにあった標識は無くなり、割れたものが僅かに見えるだけであった。今日の帰路はここから北進してゆく予定であった。その伝う尾根をよく下見してから南に進む。

 
 東梓登頂。富士見に在ったのと同じ仕様の標識と、もう一枚は前橋ハイキングのものだった。残念ながら達筆標識はもう無くなっていた。迷犬とコロッケパンで遅い朝食とする。予定の3座を踏み、あとは無事に降りるだけ。西に2224高点まで進んで岩屋林道に下る事も考えたが、尾根が広いのでリスクを考え当初通りとした。

 
 2240峰まで戻りロープを潜って北進してゆく。ロープは縦走者が誤って進まないよう設置したものだった。最初は尾根が広く踏み跡は無いが、進んで行くとそれらしい筋が見えてくる。獣道にも見えるこれらが尾根の中央を伝うようになると、そこには防火帯のような拓いたような植生の無い幅が在った。大昔にはここにも道が在って登下降に使われていたのだろう。これらが見られ気をよくしたものの、高度を下げてゆくとシャクナゲやシラビソの密生帯が現れ楽には進ませてもらえなかった。それでも場所を選べばそれらを回避でき、その点では歩き易い尾根であった。あと、そんな中にオレンジの杭が続いていた。尾根の頂部でなく北側斜面に在る場所も見られた。

 
 標高2160m付近。ここのみ8畳くらい刈払いがされ切り株が残っていた。何のためなのか、刃物痕が見られたのはここだけだった。伐採場所から2分程降りると見出し標が打たれている場所も見られた。倒木も多い尾根であったが、下り一辺倒なためかそれほど疲れは感じなかった。進む先は東沢に対する右岸尾根で、その1850mの場所には崖のようなマークがあり、降りられなければ東沢の中に入ろうと思っていた。少し緊張しながら標高を下げて行くと、下に林道幅が見えた。崖マークはその林道下側の地形を図示しているのだった。

 
 古いエアリアマップには、ここが林道と書いてあるが、最新の地形図には描かれていない。現地では地形図しかなく、予想を立てて南進してゆく。なにか見たことのある景色が・・・と既視感を抱いていた。東沢あたりで林道が梓川左岸の道と繋がっていると思っていたが、東沢の流れを目前にして、帰路方向は北であり、反対に進んでいることが無駄足のように感じ来た道を戻る。林道ではあるがシラビソの幼木が生え分けて進まねばならなかった。釣り師か獣の踏み跡がその中央に続く。途中に押し出しが3箇所あり、一番北側の押し出しは倒木があり高巻きして抜けた。ここを過ぎると林道に植生は無くなる。

 
 標高1800m。見覚えのあるゲートが現れた。林道に乗ってからデジャブな感じがあったのは、21年前に一度歩いているからであった。ここはもう開かずのゲートだろう。開いたところで車は進めない。尾根を巻き込むように林道を進んで行くと、唐沢久保沢に出合う。左岸側にはコンクリート構造が残るのみで、荒れた沢の中には道形があった様子は一切判らない。細かい流れを渡って行くと、右岸側が一番太い流れであった。右岸側の林道の降り口は明瞭で、乗り上げ伝うと往路のY字分岐に戻る。

 
 この先はもう見知った林道なので、少しストライドを広めに進んで行く。四駆が入ったようで、MTタイヤのブロックパターン残っていた。梓二号橋では、このすぐ上流にある魚道の白波が奇麗だった。遡るところを見てみたいが、その前に釣り師に釣られてしまうのだろう。掘れた道の上流にも釣り師の車が入ってきていた。四駆が多い中、プリウスが居たので驚いたのだが、「わ」ナンバーのレンタカーだった。かなり底を擦っただろうと思う。借り物だからいいのか、そこ(底)までは見られないのか・・・。

 
 樹林帯から出ると、夏日のような日差しに晒される。今日はほぼ樹林帯の中に居たので暑さ知らずであったが、展望のいい稜線を伝っていたハイカーは暑かったろうと思う。駐車余地には1台増えていた。

 振り返る。崩落地以外は伝い易い沢筋であった。少し夜行しているが、明るい中で行動すれば、速い人なら2.5時間ほどで富士見に到達するだろう。ハイシーズンの毛木平の混雑回避ルートとして使えるかもしれない。ただし一般向けではないが・・・。






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