離山        1256.0m         (隠れ里洞窟)        
         
                                  
                                 
                                                                                                      
  2022.3.26(土)


  くもり    単独    南口登山道から     行動時間:4H23M


@歴史民俗資料館駐車場(臨時休館中)5:47→(48M)→A離山6:35〜42→(166M:洞窟捜索時間)→B隠れ里洞窟9:28〜33→(37M)→C駐車場10:10  
                                        


 
@臨時休業中の為、歴史民俗資料館の駐車場を使わせていただく。 @近衛文麿邸側へと進む。 @古い道標に貼り付けられ示されている。 近衛文麿邸前分岐
       
途中の石塔。忠霊塔のよう。 西面は雪が多く残る。 ここから木道 滑り止めがされた木道
   
木道を登り上げ林道幅に出る。 最後160m A離山 A三等点
       
A浅間側 A八ヶ岳側 Aヤキソバパンと A同定盤
       
岩壁はフェンスがされ、その周囲に作業道がつくられていた。 見つけられず一度東展望台に行く。 東展望台の南南西斜面に岩穴を見つける。ここではない。 カモシカ
       
1230ピークにも上がる。 再び東展望台に 2時間かけても見つけられず、諦め木道下を下って行く。その途中ジモティに会う。 洞窟を案内していただく。
       
B洞窟入口 B洞窟内部。とても温かく、面積は16畳ほど。高さもあり居心地がいい B屈まずに立っていられる。 Bたくさんのコウモリが居た。
       
B入口の様子 B本当に寒い日は、ここから湯気が出ていると言う。 岩壁途中のバンド。東側は工事のフェンスが邪魔で、岩慣れしていないと伝えなくなっている。 C駐車場に戻る。 
       
離山にして18805歩も歩いた(笑)。  




 山と渓谷社発行の本を読んでいたら、現在の天皇陛下の文章があった。まだ皇太子だった頃の文章であったが、そこに離山の文字が見えた。初めて登った山だそうだ。避暑と保養の時だったのだろう。

 離山と言えば、私にとっての課題が残っていた。南麓に在るとされる隠れ里の洞窟をまだ見ていなかった。あえて隠されているのか、ここは見事なほどにWEB上で場所が紹介されていない。一人くらいと思ってしつこく探すも、現地の絵が見られても、経路がよく判らなかった。今回は、その洞窟を探すことを目的に登る。その前に・・・。

 南八ヶ岳に入ろうと思ったら、西低東高の天気図となり南風の日、それも2000m以上では27m/sなどとも出ていた。昼からは雨で午前中に山行を終えればと決行を思ったが、朝から既に10m以上の風予報で、折角行くにしては条件が悪いので高みを目指すより洞穴探し計画が勝った。

 セブンでコーヒーとヤキソバパンを仕入て現地入りする。今回は初めて南口から入山する。過去2回は全て東口からアプローチしている。南口の今は、歴史民俗資料館が臨時休業をしており、その駐車場を利用させてもらった。民俗館側の通路に絵図があり登山道の場所が描かれている。駐車場からは、南側の通路を利用して西に行くようだ。その場所には、道標に後付けされた形で「離山登山道」と書かれていた。

 5:47スタートする。近衛文麿邸北で分岐し西進から北進に変わる。進んで行くと東の図書館からの道が合流する。幾重にも道が存在するようだ。西進してゆくと左側に岩の堆積したような場所があり、上に人工物が乗っている。その上に登って行けるようであるが先を急ぐ。忠霊塔のようなものに見えた。その先で北進に変わる。送電線鉄塔下を潜り、鉄塔下側にも監視道が分岐していた。この先も枝道が多く、その枝道もよく踏まれていた。それでも道標がこまめにあるので迷うことはない。

 山体の西側に行くと、まだ雪が多く残っていた。ここも西からの枝道が登ってきており、頂上まで残り900m道標の場所で合流していた。残り450m道標の場所から木道が始まる。サンドペーパーのような滑り止めが施してあり伝い易い。冬季のここはアイゼンを使う人も少ないのか、刃先でやられている場所も無かった。登り上げ林道幅の道に出る。左折して残り160m。汗をかかぬようにと意識して歩調を進めてきたが、さすがにじわっと背中に感じるようになってきていた。

 離山登頂。くもりなので浅間山はガスの中かと思ったら、白い姿を見せていた。八ヶ岳方面もハッキリ見え、予報ほどに向こうも荒れていない様子だった。迷犬とヤキソバパンで朝食としたら、さて本題の洞窟探しに向かう。狙いをつけていた東展望台側へと進み、地形図に読める等高線のきつい場所に入って行く。するとそこには護岸工事のような崩落防止工事がされていた。この工事は、東口からのルート途中からモノレールで荷を運んでやっていたのを2020年に見ている。工事現場がここだったのかと判った。たしか工事表示に「かくれ里なんとか」と書いてあり、その時は新たな遊歩道でも切るのかと思った。

 その予想は当たらずも遠からずで、この工事がされた現地を下からぐるっと回れるような丸太での階段路が造られ、散策路のようになっていた。工事するためのモノのようだが、それにしては真新しい丸太を使っておりお金がかかっていた。まだ工事途中で歩道がこの先も利用されるのかどうか判らないが、既に崩落している丸太もあり、倒木もちらほらと道を塞いでいた。何処に連れて行かれるのかと思ったら岩壁の下側を巻いて東側に登り上げた。岩壁全面にフェンスが張られ、当然のように洞窟を探すのだが目に入らなかった。次は少し西側を探す。

 露岩がちらほらあり、検討をつけて降りてゆく。上から見下ろすと、あれもこれもと可能性のありそうな場所があり困った。ただし近づいているなら見過ごすのも残念なので思った場所には足を向けた。その途中に岩穴を見つけた。これかと思って奥を見ると、ヒカリゴケはあったものの、外から700mmくらいの場所でその奥は無かった。洞穴では無かった。この後も南斜面を右往左往する。しかし見つからない。探している場所が全く違うのかと、東展望台から北側も歩いてみた。カモシカが不思議そうにこちらを見下ろし、そのカモシカが居たのが1230m峰で、ここの東側にも大きな露岩があり、可能性があるので上がってみる。洞穴無し。このピークの北側には大量の雪が残っていた。

 一度東展望台に行ってリセットする。展望台の東側を降りてみる。でも南麓にあるとされる中ではこちらは東麓になってしまう。南寄りに戻り岩壁の上に出る。この辺りで間違いないはず。工事により塞がれてしまったのか・・・そんなことも考えてしまう。ただし伝説の場所、塞ぐことは考えられなかった。すぐに見つかると思った中では、もどかしい時間が続いた。もう一度工事現場の歩道を伝ってみる。今度は東から西に抜けてみたが、見えてこない。そのまま北西側に進み山頂に対しての南麓を探って行く。この頃は、もう諦めモードで、机上でもう少し追い込んでから再度アタックしようとも考えていた。

 進んだ先に木道の始まる場所があった。もう降りようと降りてゆくと、左の薮の中に鈴の音が上がってきていた。推奨されている登山道ではなく枝道を伝ってきているようだった。最後の頼みと、ダメもとでそのソロの男性に声をかけてみる。「隠れ里の洞窟の場所を知ってますか?」と訪ねるとにこにこしながら「知ってますよ」と返ってきた。知ってても密かな場所であれば教えてもらえないとも思ったが、「案内しましょうか」と天から蜘蛛の糸が降りて来たような対応をしてくれた。そこに、山頂を踏んで戻ってきた3人が降りてきて、ソロの方が「○○さんも洞窟しってる?今案内するけど行きますか」と知った仲だったようで、総勢5名で洞窟探検となった。

 一応ここからは詳細は伏せます。これまでもそんな場所だった背景から。

 男性の後について行くと、そこは先ほど探し回った場所だった。途中のバンドを水平に横切って行く。「ここだったんですか、工事がされ判らなかったです」と後から言うと、東側を指して「以前は向こうからもこれたのだけど、もう無理ですね」と言われた。確かに工事跡はバンドを伝えないようにしていた。前を行く男性がにこやかに指をさした。「ここです」。

 縦長の開口があり、中から暖かい空気が吹き出してきていた。温かいですねと言うと、「もっと寒い日はここから湯気が出てる時もあります」とも言っていた。男性は何度も来ており、子供の頃から知っている場所とのことであった。用意してきた強力ハンディライトを灯して中に入って行く。思っていたより広く、奥に行くに従い地面が高くなっているが、それに合わせるように奥の天井が高くなっていて、洞内に居て圧迫感が全くない。頭を屈める必要もなく天上高さに余裕があり居心地がいい。なにせ温かく暖房を焚いているかのような空間だった。居心地がいいのだろう、岩壁にはびっしりとコウモリがくっついていた。獣が利用しているかと思ったが、足跡は無かった。たぶん工事のせいもあるだろう。目的達成で未踏峰を登頂したほどに嬉しかった。一度は諦めたが、この男性に会えて運が良かった。

 外に出て、丁重に礼を言い男性と別れる。男性はこのあと山頂へと向かって行った。下山していた3名と同行して戻って行く。半月を軽井沢で過ごす別荘族の方々であった。離山専門に登っているらしく、たくさんのルートをご存じであった。途中で「じゃあ」と行って枝道に入って行った。よく踏まれているのは、こんな離山フリークがいるからだろう。

 忠霊塔に思えた場所は、この日に全てを知って満足してしまうと次の楽しみが無いので、次回のお楽しみの場所として登らずに通過してゆく。先ほどのソロの男性のクマ除けの音が先行していた。西に伝っている途中に、最短路を使って追い越されていたようだった。鈴の音は図書館の方へと向かって行った。近衛邸側に降りて行き駐車場に戻る。着替えていると、先ほどのパーティーが図書館側から車で降りてきて挨拶をしながら過ぎて行った。

 念願の隠れ里洞窟の場所が判った。洞窟としては理想形な構造でいい洞穴であった。離山の山中には、この他にも洞窟があるよう。探し回るのも面白いかもしれない。鹿島槍ヶ岳のカクネ里、離山の隠れ里、カクネとか隠れとかは魅惑の場所で間違いないだろう。



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