雲雀沢ノ頭        1449m          鬼ヶ城        1220m                 
         
                                  
                                 
                                                                                                      
  2022.10.29(土)


   くもり    単独    雲雀沢を詰めて雲雀沢ノ頭へ      行動時間:3H34M


@松尾城址駐車場6:22→(38M)→A林道終点地7:00→(65M)→B雲雀沢ノ頭8:05〜13→(17M)→Cジャンクションピーク8:30→(23M)→D鬼ヶ城8:53〜59→(24M)→E登山口9:23→(33M)→F駐車場9:56
                                      


 
@松尾城址の駐車場を利用。雲雀沢に入るのにちょうどいい場所。 不二見窯側へと進んで行く。 地形図に描かれている実線路は沢沿いを進むが、林道幅を進んだ方が負荷は少ないよう。沢沿いに入る。 お墓の前で渡渉して左岸に。荒れてはいるが道形は判る。
       
左岸が途中で広くなる。 930m地点で林道に出合う。沢沿いにさらに道が進んでいる。林道を進む。 林道の進む先に達磨山が望める。 林道に対し、雲雀沢右岸にも林道幅(写真:雪の乗った場所)が続く。
   
達磨山東側には少なかったが、尾根の西側にはシカが多かった。 A林道終点地(右岸) A左岸から先に道形が続いていた。 A東側への谷筋も使えそうだが野草が多く、尾根に取り付く。
       
1085m付近。植林地の名残の石積が見られる。 1170m付近。主尾根に乗った形。尾根上には獣の踏み跡が濃い。 基部の痩せた奇岩が見られる。 1260m付近。ルートが在ったような雰囲気がある。
       
1350m付近。尾根からの延長線上の斜面に植生が無く道が在るかのよう。 クマの糞が多い場所だった。
露岩が多くなると、大小の岩屋が見られる。 1420m付近。露岩が続く。
     
B雲雀沢ノ頭 B唯一の標識 B雲雀沢ノ頭から見る烏帽子岳。 Bヤキソバパンと
       
雲雀沢ノ頭東端の道標。 1370m付近。ロープが流してある場所も多く急斜面が続く。 振り返る。 Cジャンクションピーク南の道標
       
Cジャンクションピーク C標識 ジャンクションピーク北斜面もロープ場が続く。 1290m付近
       
1250m付近。マーキングが道の場所を示す。無かったら不明瞭。 1264mの高み。最初ここが鬼ヶ城かと思った。 道幅の狭いトラバース 途中から鬼ヶ城の岩塔が見えるようになる。
       
分岐道標。 ロープ場の直登斜面を這い上がり、次は右への鎖場。 D大型犬においての鬼ヶ城はここまで、標識までの2mほどは登れても下れないので諦める。 D鎖場の、斜上終了点からの最初の岩場を1mほど這い上がって、彼においての鬼ヶ城とした。
       
D終了点から見る岩塔。 岩塔の西側下にも鎖場があり周回できるようだった。バンドが細く大型犬は無理だった。 道形が不明瞭でマーキングが頼り。 1200m付近。ゴーロ帯。
       
ルート上の標識。 1035m付近でやっと道形が濃くなる感じ。 E登山口に降り立つ。 E一っぱい清水
       
E登山口から見る岩間館 各所で修繕跡が見られた。 男石大明神 山神宮。地形図では左岸に在るように読めるが、右岸にある。
       
F松尾城址の駐車場に戻る。      




 前週は霧隠西峰位置を思い違いをして行動してしまった。ミスは出来るだけ早く修正する方であり、ミスを抱えたまま年越しするのも嫌なので、今週もまた真田町に入ることにした。雲雀(ひばり)と言う、その耳心地いい響きの場所に登っておきたいと言う欲求もあった。先達の記録は、霧隠西峰からと鬼ヶ城からのアプローチがほとんど、天邪鬼なので雲雀沢から雲雀沢ノ頭に突き上げようと計画した。

 
 登頂後の行動だが、ピストンではつまらないので周回をしたい。ただし鬼ヶ城側はロープや梯子の連続で犬はどうかと言う場所、降雪もあり危険リスクが高まった感じであり、ここは現地の積雪量を見て判断しようと思った。鬼ヶ城と言えば喬木村の方が知られている場所かもしれないが、現地地形が鬼の名に相応しいのは間違いなく真田の方だろう。

 
 4:15家を出る。軽井沢はマイナス2で、いつも通り浅間サンラインを伝い真田に入る。駐車場所は都合がよく、松尾城址の駐車所が雲雀沢に入るのにも最適の場所であった。林道歩きなので暗い中スタートしても良かったが、林道の経路に一軒の陶芸家が住まいしており、一軒家であり飼い犬が吠えるかもしれないとかリスクを思って夜明けを待った。

 
 6:00スタート。20mほど東進すると、林道に入る分岐点があり「不二見窯 右」と看板がある。田んぼの中の道を進むと、その陶芸家宅前となる。芸術家らしい建屋で、マイカーが置かれ住まいしているのが判る。静かに通過、この先には民家はない。地形図の実線路は、この先で左岸側から鋭角に折れて進む道が在る。もう一つ沢沿いの道も在るが、途中で止っている。現地のどちらも細い山道風で、西を巻く林道幅を進もうか迷ったが、斥候にと沢沿いを進んでみることにした。ここの西側にはワンボックスの廃車が置かれていた。

 
 雲雀沢の右岸をしばらく進む。進んだ先には、こんな場所にお墓があり、地形図はお墓への道を示していたのだった。右岸に道は無くなり、渡渉して左岸へ行くと地形図に見えない道が続いていた。ただここも大水で荒れたのだろう形跡があった。細い踏み跡を進むと、途中で広い平らな場所が現れる。対岸を見ると向こうにも道が在るような雰囲気だった。左岸のまましばらく進むと、右上に林道が見えだす。林道に出会う場所が930m地点で、上流へはさらに道形は続いて行っていた。ここからは林道を伝って行く。ここまでの経路の感想は、沢沿いではなく林道をずっと伝って来た方が楽だったとも思えた。

 
 東進し途中で送電線を潜ると、その先で南進に変る。この付近には送電線鉄塔への巡視路入口が北側に見られた。直線的に進む林道で見通しがよく、前週の達磨山にずっと監視されているように望むことが出来た。この現地地形らは、本来の雲雀沢ノ頭としたいのは、達磨山の高みか、もしくは霧隠西峰の高みとなるだろう。1449高点峰は、沢の本流源頭ではない北に位置している。だから間違えたんだと言いたいわけではないが、沢基準で追うと間違いやすいと思える。実線路の林道を伝っているが、右側眼下の雲雀沢右岸にも林道幅の道が沿っていた。

 
 地形図通りの位置で林道終点となっていた。ただ、林道幅は終わったが、山道のような幅で左岸側に続いていた。辺りからはシカの警戒音が聞こえる。降雪の上にも沢山の足跡があり、前週の尾根東側に対し、西側の一帯にはシカが多いように思えた。沢でアプローチと思っていたので、終点地から1449高点峰に突き上げる谷を使おうかと思い見ると、広く伝い易そうだが野草がけっこう茂っていた。残雪期には使いやすいだろうが、今は尾根を選んだ方がよさそうで、その真東に突き上げる谷の南側の尾根に取り付いた。

 
 林道終点地からの右岸には、以前は植林がされていたようで、その棚地形の石積みが残っている場所が彼方此方に見られた。やや急な斜面を、適当に這い上がって行く。鹿が多いように思えたが、ハッキリしたシカ道は無かった。その理由には、斜面が緩いので歩いてはいるが土が流れやすいようだった。道案内するように迷犬が先行し、何も考えずにその後を追ってゆく。こんな場合は動物の方が最適なルートを選ぶ場合がある。遅い私を、もどかしそうに何度も停まっては振り向いて待ってくれていた。

 
 1170m付近で主尾根に乗った形となった。今までの場所が主尾根と思っていたが、枝尾根だったようで、主尾根の上は人間か動物かが伝った痕跡があり、薄い尾根道が在るよな場所だった。伝って行くと、1190m付近には、「マラ岩」と名付けたいような根元が風化し細くなった高さ2.5mほどの奇岩があり、これは視覚的に楽しい出迎えでもあった。この岩から4分ほどの場所には境界標柱が見られたが、見たのは後にも先にもこの一個だけであった。

 
 1300m付近からは北進に変る。この辺りからはちらほらとクマの糞を見るようになる。それが・・・高度を上げて行くと、ちらほらどころではなく頻繁に見るようになった。間違いなく生息域のよう。一つ幸いに思ったのは、生々しいものは無く時間が経過したものばかりであった。細かい露岩の急斜面には、そこだけまっすぐに植生の無い場所があり、そこはこれまでの尾根の延長線上だった。1350m付近のこの場所を見ると、道が在ったように思うのだった。

 直線的な場所を登り切ると今度は、大ぶりな露岩が点在し、各大岩には各々大小の岩屋が出来ていた。この中のどこかにクマの巣穴もあるって事だろう。糞の多さからは、熊の住みやすい塒に適当な場所があるのだろう。新しい糞が無いことからは、もう過去形の場所かもしれない。これら露岩を巻いたり乗り越えたりしながら進んで行く。山頂大地に乗って、緩斜面になってからが長い印象だった。経路にマーキング類は無く、林道終点からここまでに見た人工物は、あの標柱一個だけだった。

 
 登り勾配が無くなり最高所となる。雲雀沢ノ頭登頂。標識は当然だが、西に背を向けていた。公になっている2ルートが東にあるからで、東から登頂して標識が見えるよう取り付けてあるのだった。展望は樹木で塞がれているが、季節柄木々の間から各方面を望むことができ、南東の烏帽子岳は、若干頭を北に倒し、真田の方から見て烏帽子と名付けられたのが良く判る。外気温はマイナス3で、青空もあるが気温の上がらない日であった。標識は一つで、「雲雀峰」とあった。大きく違う名前の場所もあるが、近似しているので良しとする。ヤキソバパンで朝食とする。さてここからの進路だが、ここまで来て「鬼」を見ずして帰るのは残念なので、偵察に行ってみることにした。通過できなかったり降りられなかったら、戻るかゲジゲジマークを避けて西の谷を下ってしまおうと考えた。

 
 東進してゆくと、山頂大地の東端に道標が縛られ、雲雀沢側と霧隠側が示されていた。これらは山頂を示すもので沢を示すものではない。おそらくだが「沢に降りられるのか」と間違える人はよほどのバリエーションハイカーだろう。この標識の場所からが急下降で、ロープが長く流してある場所もあった。これまで南斜面で行動していたから無かったが、北斜面に入ると積雪がありアイゼンが欲しいような場所が続いた。そこを元気に駆け下りて行く迷犬。そのスピードについて行けずに「ちょっと待って」を連呼していた飼い主。

 
 緊張から解き放たれる場所までしばらくあり、途中で枯れ木を掴んで久しぶりに3mほど頭を下に滑落しもんどりうった。150mほど一気に下ってきた格好だった。少し登り返し、そこがジャンクションピークだった。休憩適地でJPではなく別の名前が欲しいような場所に思えた。降りて行くと、こちらにもロープが流してあった。急下降した後の進路が判らなくなり右往左往していると、ピンクのマーキングが導いているのを見つけた。雪が乗ったので見出しづらいこともあるが、マーキングが無かったら、もっと進度が落ちていたことだろう。斜面をトラバースしてゆく。

 
 1260mの高みに着く。ここが鬼ヶ城かと当初思ったが、無名岩峰で、ここからの下り進路にいやらしいトラバースがあり神経を使う。後続の迷犬を見ていると、ここの通過は山手寄りに通過していた。危険リスクは判っているようであった。進んで行くと、やっとここで鬼ヶ城の岩塔が見えてきた。そして鬼ヶ城まで4分の分岐道標の縛られた場所に出合う。犬には危険なので登頂は端折ろうかとも思ったが、行けるところまでとトライしてみる。この分岐点からの経路は犬には最初からハードルが高い。

 
 まずロープの垂れている壁を直登する。迷犬は自力で北側から巻き上げていた。次はバンドを伝う鎖場。ここはバンドの終了点に高低差があり、その根の張る場所から上に行くのが厄介で、迷犬は自力では抜けられず持上げてやる。こんな場所が続くのなら撤退なのだが、ここだけならまだ進める。上に進んだ先はまた岩壁で、ここは700mmほどの段差を這い上がると、もうその上に標識の縛られた場所が見えていた。ただし犬はここまでだった。上げられるが下げられない。この日はザイルを持っておらず、抱き下ろすにしても自分を確保しておきたい足場の良くない場所だった。北を見るとやせ尾根が見え、石塔も見える。行きたいが、先ほどの根の張り出た場所を抱えて降ろさねばならなく、それの方が重要だった。

 戻る。根の張りだした場所は鎖を腕に巻き付け、この状態で33Kgの迷犬を抱き抱えて降ろす。手が緩めば迷犬を崖下に落としてしまうので岩壁側を向きながらフルパワーで降ろして行く。腰が痛いはずなのだが、こんな場合が火事場の馬鹿力ってやつなのだろう。ロープ場の下まで降りたら進路を探す。さらに北に真新しいロープが進んでいた。伝って行くと岩塔の基部に登って行く鎖場になっていた。おかしいので戻って行く。先ほどの分岐まで戻り、もう闇雲に谷を降りようと決めると、そこにピンクのマーキングとペンキが続いて行っていた。踏み跡が薄く道形状をしていない場所がほとんどであった。

 
 道標が途中にあり、散策路であることは間違いないようで、ペンキとマーキングを追うようにして高度を下げて行く。そして1040m付近からは、ここでやっと明瞭な道形となった。しかしぬか喜びで、すぐにまた不明瞭になった。グリーンシーズンだともっと判り易いのだろうか、雪が無ければもっと見えてくるのだろうか、降りてきた斜面を振り返る。季節問わず判り難いように見えた。全てに利用する人が少ないので踏み跡が薄いのだろう。

 
 登山口に降り立つ。東に岩屋館の大きな建物が見える。ここから西側は、19号での被災場所を修繕した真新しい工事跡が続いていた。舗装林道を降りて行く。途中に奇岩があり、その基部には石祠が在った。調べると男石大明神と言う場所だった。確かに中央に岩塔がそそり立ち、その左右を太刀持ち露払いのように二つの岩が従えていた。棒と玉って事なのだろう。男石の名に偽りなし。ここから10分ほど西進すると、木祠が見えてくる。地形図に描かれているもので、地形図では左岸に記されているが、現地は右岸に存在する。山神宮であった。お参りをして角間の集落に入って行く。

 シンと鎮まった集落内を、迷犬の鈴の音を鳴らしながら降りてゆく。住まいしている気配はあるが、人の気配は皆無だった。不思議と、ここでは薪ストーブの煙が上がっているお宅が無かった。周囲に燃料は多く入手も容易なのにと不思議であった。見覚えのある安知羅神社が見え一周してきたのを確認できた。ここで初めてジモティーのおじいさんに会う。迷犬を見て「かっこいいねぇ」と拍手までしていた。そもそも角間地区では犬の声がしなかった。ここでは大型犬が珍しかったのかもしれない。角間橋を渡ったら、もうその先が駐車場。いい感じに周回できた。
 
 振り返る。鬼ヶ城側の急斜面があるので、周回するなら時計回りの方がいいと思う。その急斜面を思うと、雲雀沢ノ頭へのアプローチは、雲雀沢からの方が易しい地形だった。林道にゲートは無く終点地まで車が入れられることからは、リスクを少なく短時間で狙うには雲雀沢経由がいいだろう。でも鬼ヶ城経由の方が自然地形の負荷が楽しい。そして鬼が結界を張っているのか、北側でクマの糞を見ることが無かった。行動するなら北側でいいのだろう。最適期は、間違いなく雲雀が鳴き出す頃だろう。私は歩きながら、美空ひばりさんの顔が何度も浮かび上がった。昭和な人間の証拠だろう。




 
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