八方台        1840m          枯尾の峰        1970m(1979m)                                                                                                                                                                                                
  2022.7.18(月)


  くもりのち晴れ    同行者あり   唐沢北1770mゲートより周回風       行動時間:2H40M


@ゲート入口7:38→(15M)→A八方台7:53〜54→(43M)→Bパノラマコース分岐8:37〜41→(18M)→C唐沢鉱泉8:59〜9:05→(2M)→D枯尾の峰入口9:07→(30M)→E枯尾の峰9:37〜41→(25M)→F枯尾の峰入口帰り10:06〜09→(9M)→Gゲート前10:18  
                                                                                                                                           


 
@唐沢鉱泉への林道途中、1770m付近よりの枝林道入口(ゲート)。 林道の様子。 八方台東の広み A八方台
       
A東南東側 A南西側 緩やかな歩き易い登山道が続く。 山名事典の、八方台の標高を拾っている三角点ポイント。三等点。
   
渋・辰野館よりの道は廃道風味。 相変わらず緩やか。そして苔が美しい。周囲にシカの糞がほぼ見えない。 Bパノラマコース分岐 B道標
       
C唐沢鉱泉。連休で賑わっていた。 D枯尾の峰入山口 唐沢の流れ 木橋で唐沢を跨ぐ
       
道幅は細いが道標はハッキリ 手前の分岐道標 E枯尾の峰。最高所ではなく、南の尾根の途中に標柱が建つ。 Eガスがあり主稜線側が見えず。
       
F帰り F唐沢で水浴び G戻る。駐車余地は4台分。この時で、アブが20匹ほど纏わりついていた。車には黒だかりで、100匹ほど居たと思われる。  




 「海の日」だからって、海に行くこともなく山に向かう。三連休は雨で始まり、二日目も午後は豪雨。三日目が一番の安定日だった。当初は北陸に行く予定を組んでいたが、家族の帰省希望が伝えられ、近隣の皆で登れる場所を見繕った。がしかし新型コロナ感染により帰省は無くなり、予定はご破算になった。

 

 最近は老眼の進んだ目で、地図を穴が開くほど見ている。どこかに落穂が無いかと・・・。もう八ヶ岳には落穂が無いものと思い込んでいたが、唐沢鉱泉の南に「枯尾の峰」という場所を見つけた。主稜に対し麓側にあるのだが、登山口となる唐沢鉱泉から主稜への最短路上にはない為に踏んでいる人はあまりいないようであった。そのまま尾根を登り詰めれば天狗岳となるが、西尾根の後半は、大型犬にはやや負担があるので却下。何処と抱き合わせにしようかと考えると、北の八方台との周回が散歩にちょうどいいと思えた。

 

 451家を出て白樺湖経由で茅野に下りてゆく。唐沢鉱泉に続くダート道を進み、出発地点と考えたゲート前には広い余地が4台分あった。谷側にやや傾斜のある余地なので、2駆の場合は少し勇気が必要かもしれない。あとは、通過する車からの石跳ねは避けられず、その覚悟も必要だった。

 

 7:38ゲートを出発する。程よく草が生え、芝生のような中を進んでゆく。あまり車の通過は無いようで、草が踏まれている様子はなかった。15分ほどで八方台東の広みに出る。ここには八方台の白い解説板がある。戦時中には、燃料用だろう強い伐採がされたとあった。南西の高みが向かう高み。一筋の道形が続いている。迷犬を先頭に駆け上がる。

 

 八方台登頂。初登は2002年なので、20年ぶりにこの高みに立った。展望が得られるよう周囲の立木は伐採してある。それが為もあり隠れる場所が無い。夏は暑いが、それ以外の季節は居心地のいい場所だろう。東に戻り分岐道標がある場所から山道に入ってゆく。緩やかな道で障害物も転がっておらずとても歩きやすい。進む先に三角点ポイントがあるが、その北側を巻くように進んで主尾根に乗る。三角点標高で山名事典は標高を拾っているので、西に戻るようにして三角点を拝んでゆく。さすがにこちらに八方台を示すものは無かった。

 

東に進む。笹の中の登山道だったこれまでだが、八ヶ岳らしい苔の中の道となる。その苔の状態がよく、シカなどに蹴られたような場所が少なく見栄えする。発色がいいのは、前日に雨が降ったせいもあるかもしれない。周囲の苔の緑、その中に登山道の赤土の道が続く。途中に、渋・辰野館への分岐道標が立つが、北西に向かうその道は笹に覆われ廃道化しているように見えた。見通しのいい直線的な道が続く。児童生徒の修学登山にいい場所と思える。余り踏まれておらず、八ヶ岳のルートにしては道が掘れていない一級路だった。景色が一辺倒なので、その点では詰まらなさに通じるが、一方で苔好きにはたまらないルートとなろう。展望はゼロに等しく、若干ガスが垂れ込めていたせいもある。外気温は16℃で登山最適温度。夏の日差しもなく、ここまでは快適に足を進めていた。

 

パノラマコースの分岐に到達。ここからは北と南の両温泉側に緩やかな道が下りて行っていた。南に下りてゆく。緩やかすぎるほどに九十九を切る道。昔の連絡路であったのだろう。馬とか台車とかが通過した道と思えた。下の方から声が上がってきて、唐沢鉱泉が近いことが分かる。目を凝らすと、たくさんの車両が見える。降りてゆくと、宿泊者用スペースは満車であった。ここから西尾根へと進むルートを行こうと思っていたが、同行者から、鉱泉から見上げる標高差に苦情が出て、林道を西に降りる。

 

鉱泉から2分ほど進んだ場所に、枯尾の峰への入山口があり、唐沢に架けられた木橋もまだ新しいものだった。左岸側から細いルートが続く。雰囲気としては、横岳の北面の登山道な感じだが、最近作道したような荒削り感もあった。地形図に掲載される破線の位置より、350mほど東に存在した。中間地点付近で少し明るくなるので尾根に出たのかと思うが、わずかな露岩帯があり、再び樹林の中を進む。旧道の場所を気にしながら進んだが、もう伝う人もいないのか判らないまま上部の分岐に達した。経路の不明瞭な場所には緑のロープが流してあり、迷う場所はほぼないだろう。

 

枯尾の峰は、普通に標高点ピークの場所と思って登ってきたが、その高みの手前に道標が立ち、うち一つは赤字で強く場所を示していた。それらが指す場所は南の斜面であった。踏み跡を進んでゆくと、南に落ち込む尾根の上に確かに「枯尾の峰」と書かれた標柱があっていた。尾根の肩であるが、肩にしては狭い場所で全く山頂らしくない場所で、これは意外だった。登頂者が少ないのは山頂っぽくないからかもしれないと思えた。展望は東南東側が開け、この日はガスがかかっていたが、晴れていれば硫黄岳辺りが見えるようだった。

 

到達したら休憩をと思ってきたが、ここでアブの襲来を受けてじっとしているわけにはいかなくなり、早々に下山を決める。ゆっくりと西の旧道側を伝おうとも思っていたが、判っている道を伝い早くアブを振り払わねばならなかった。この時で10匹ほどであった。幸い露岩帯の下まで行くとアブの姿はなくなった。唐沢まで降り、迷犬は沢で水浴びをする。すぐ上が鉱泉なので、あまり綺麗ではないと思えたが、見た目からは自然美があった。右岸に渡り入山口に戻る。

 

縦列駐車の続く林道。目立つのは黒い車に群がるアブであった。この時はまだ対岸の火事だと思っていた。登山者用のトイレがあるので、流れもあるのでアブが多いのだろうくらいに思っていた。しかし同行しているのは被毛が黒い犬。あっという間に30匹ほどが迷犬に群がってきた。見ていると、尻尾から尻に捕まろうとしている。アブに虫除けを噴霧してもだめで、ヒル除けのディートも全く効かなかった。打つ手なしでタオルやストックを振り回す。すると今度は、迷犬が怒られていると思って逃げ惑ってしまった。

 

ゲート前の車に到着し唖然とする。車体のあちこちにこってりとアブが着いていた。払っても払っても拭えず、これではドアが開けられない。それでもこれを打開しないと帰れない。リアのハッチを軽く開け、中の箒を取り出して駆除しながら急いでクレートに迷犬を入れる。そして同じような要領で車に乗り込む。本当は汗した服を着替えたいが、そんなことはもうどうでもよかった。エンジンをかけ一目散に下る。ここまで酷いのは初めてで、車には100匹ほど群がっていただろうと思えた。

 

縄文の道を駆け下り、縄文考古館の駐車場に入る。するとそこは、考古館の利用者ではなくアブの被害にあった方があちこちで着替えていた。同じ目に遭い急いで降りてきたのだろう。この日の山中では、かなりの被害者がいたよう。薬を塗りこんでいる姿もあった。皮膚を出して歩きたい夏であるが、いろんな意味で保護は大事。ダニを避けた場所選びをしたが、今度はアブだった。ヒルを気にし、ダニを気にし、夏は刺し虫を気にせねばならない。




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