美濃戸中山        2387m          
         
                                  
                                 
                                                                                                      
  2022.6.11(日)


  くもり    単独     赤岳山荘より    行動時間:3H37M


@赤岳山荘P4:56→(16M)→A尾根取付き点5:12→(105M)→B美濃戸中山6:57〜7:03→(15M)→C南沢右岸の旧道出合7:18→(66M)→D赤岳山荘P8:34
                                                                                                                                               


 
@赤岳山荘Pより。旧のテニスコース内より、林道脇のスペースの方がゆったりと使える。 @午後から雨予報の日。朝の駐車場はまばらだった。 A北沢側の尾根取付き点。 990mの最初の高み。切り株が目立つ。
       
鉈目かと思ったが、食害だった。 2130m付近。薄い踏み跡が続き、下草は無い。 2200m付近。だんだんと植生が密になり進路を遮るようになる。 密生帯の中にB・Dのストックが落ちていた。
   
尾根頂部が伝えない場所は北を巻いた。 頂上直下の2360m付近。苔でフカフカ。 B美濃戸中山到着。20年ぶりだが、ほとんど変化なし。 B八ヶ岳一帯にある赤標識。
       
B前回も見ている。以前はこれだけだった。 Bロープが巻かれている。 Bヤキソバパンと B東側に火の用心。
       
東北東にピンクのリボンが乱打してあり、避けるように東へと下る。 南沢右岸の旧道に出合う 古い瓶などが苔の中に残る。心地いい苔の中の道。 右岸の道と南沢の出合。入口は塞がれていた。
       
上流側。現在の登山道が沢の中を進む。 南沢ルート入口に戻る。 C赤岳山荘Pに戻る。  




 立場岳のあとは美濃戸中山と決めていた。この2座をどちらを先にと考えている中では、同行者が居る時はより優しい立場岳。そして居ない今回が美濃戸中山の番であった。どちらもバリエーション風味の場所であるが、立場岳の方は道形がハッキリしており、美濃戸中山の方は藪山と言える場所。

 美濃戸中山の初登は2002年で、大同心と小同心に登頂して、帰路に中山乗越から中山展望台を経て、そのまま尾根を伝って西進しアプローチした。今回は美濃戸中山から西に伸びる尾根の西端から登ってみることにした。先駆者の記録からは、薄い道形が在るらしい。尾根上なので、冬季ルートと言えるかもしれない。昼から雨予報の茅野市と原村。降る前に遊んでしまおうと言う魂胆であった。


 2時25分に家を出る。佐久も長和も雨で、白樺湖通過では土砂降りであった。前途多難な感じだったが、いざ茅野に降りると嘘のように路面は乾き天気は曇りだった。外すこともある天気予報であるが、見事であった。雨が無ければ、距離が短いので美濃戸口から歩く予定でいたが、雨予報なので赤岳山荘まで入ってしまう。テニスコートの駐車場には、12台しか停まっていなかった。全ては天候のせいのようであった。準備に入る。


 4:56行動開始。美濃戸山荘側へは、車が進入しないようロープが張られていた。登山者用の駐車場でない場所に入ってしまうので苦肉の策だろう。20年以上前に金沢から現地入りし、初めてここを訪れた時は私もそんな行動をした一人だった。ロープでゲートにしたら、いちいち開閉せねばならなくなり美濃戸山荘スタッフがとても面倒だろう。その美濃戸山荘前を通過し北沢側へと進んで行く。ソロの方が先行しており背中を追うように進み、丁度取付き点のカーブの場所で追いついた。道を譲るような様子であったが、私らが林道を逸れたので拍子抜けな雰囲気だった。


 尾根と林道の合流点からは、ハッキリと判る踏み跡が上がって行っていた。尾根に乗り上げるまでが急峻で、乗ってしまえば登山道を伝っているかのような尾根筋であった。鹿の糞もあり、好事家と獣が利用する道形のようだった。
左下に林道を見ながら進んで行く。最初の高みには目立つ切り株がある。切り株を見たのはここだけなので自然倒木なのかもしれない。下草は無く分けることもない。幾分か苔の植生もあるものの、踏んでしまって忍びないほどではなかった。快適なまま高度を稼いでゆく。


 2200m付近から植生が濃くなりだし、進路を塞ぐ場面が多くなる。迷犬は潜って進み全く障害になっていないようだったが、人間はより広い隙間を狙い進んで行く。このシラビソの密生帯の中にブラックダイヤモンドのストックが落ちていた。ザックに括っていたものが植生に盗られてしまったのだろうと思う。通常は密生の中では休まないであろうから、置き忘れではないだろう。尾根頂部が進みづらいところは、北側が明るかったので北斜面を伝って進む。北沢を挟んだ向こう側に峰の松目の高みが見える。


 手前ピークは南を巻いて鞍部に進む。もうこの辺りから苔の絨毯となり、足を進めるのが本当に忍びない。でも踏まないと登頂は無い。自然界の動物も踏んでいるはずであり、後ろめたさを押し殺して登って行く。迷犬も足許がふかふかで、時折踏み抜いたりして登り辛そうにしていた。ここまで苔の場所は、彼は初体験だったかの知れない。山頂の西端に登り上げ、最高所を探しながら東へとズレてゆく。

 美濃戸中山登頂。20年前もそこにあった四角いおもちゃが見られた。標識は、以前のパイプ型のものに加え、八ヶ岳一帯で見る赤い標識が加わっていた。シラビソ樹林で全方位展望は塞がれている。全閉している感じであるが、それほど居心地は悪くない。しかし東北東側には淫らなピンクのリボンが続いていた。マーキングとしては目立っていて用を成しているが、その人工的な色が自然を楽しむのを邪魔していた。回収してしまおうかとも思ったが、設置者の好意を尊重する。

 帰路は南沢経由の予定なので、白河原に向かって真東に降りてゆく。ちらほらと倒木があるが、とても歩き易い斜面であった。ただし苔があるので、出来る限り踏まないよう配慮した。白河原に降り立つと、その南沢の右岸には明瞭な道が在る。旧道で、伝い西進すると南沢との出合の場所で入口は塞がれている。現在は沢の中を伝うルートとなっている。以前のここは流れがあったと言う事なのかもしれない。

 南沢を跨ぎ左岸側を降りてゆく。すると男女のハイカーが上がってきて、とても犬好きなようで、迷犬は愛でてもらい写真まで撮って貰っていた。まだ八ヶ岳で怒鳴られたことはなく、好意的な人の方が多い。犬連れにとっての八ヶ岳は歩き易い場所との認識になっている。あまり安易に思っていると、どこかで雷を落とされるのだろうと思う。

 左岸歩きから右岸に移り、しばらくすると10名ほどの大所帯が上がってきた。パーティーを引っ張っていた先頭は、玄人の雰囲気はあったが70代ほどの見た目おじいさんで、後続には老齢な方が続いていた。話し言葉は関東圏では無かった。このすれ違ったパーティーが、当日15時に地蔵の頭で事故してしまったパーティーではないかと思っている。すれ違い時刻は8時前後であった。その後もちらほらとすれ違いをしながら下って行く。赤岳へのメインルートのようになったここにしては、あからさまに入山者が少なかった。全ては天候のせいだろう。

 半ズボンにビーチサンダル姿の若者がすれ違う。元気があっていいと思いつつ、ここにヒルが居たらと思ったら背筋が寒くなった。百名山の伊吹山も生息域になった。ここは半ズボンで歩ける場所で推移して欲しい。生息域は地質が大きく影響すると判ってきているようだ。快調にストライドを伸ばし南沢ルート入口に戻る。

 駐車場に戻り、着替えてから迷犬と一緒に駐車料金を払いに行く。女将が居り「あら黒ちゃん」と無表情で声をかけてくる。「ここにも犬いましたよね」と女将に言うと、「うん」と言うだけの無愛想。到着した車からの徴収で立っているので、会話していながら車に集中しているのだった。いろんな利用者が居り、それに対応していたら愛想など振りまいていられないだろう。その点娘さんは愛想がいい(笑)。




 
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