松ネッコ
2110m 中双里 2110m
2022.9.16(金)
晴れ 単独 三鷹市施設よりの林道1580m地点より 行動時間:3H20M
@林道1580m地点5:37→(17M)→A破線路(林道幅)を跨ぐ5:54→(62M)→B甲信国境2030mに乗る6:56→(5M)→C松ネッコ7:01〜04→(23M)→D中双里7:24〜30→(18M)→E松ネッコ再び7:48→(60M)→F破線路帰り8:48 →(9M)→G1580m地点帰り8:577
@三鷹市施設側よりの林道を入り1580m地点より出発。 | @広い草付きの林道は車で走れそうだが・・・。 | すぐに崩落地があり通行不能 | 途中の工事銘板 |
谷のなかの中洲的尾根を進んだ。 | 途中に通せんぼするかのように有刺鉄線が流してあった。 | ケルンも見られた。 | A林道幅を跨ぐ。1650m地点の地形図に読める破線。 |
途中で1986高点の岩峰が見える。 | 南沢の右岸に獣道が続く。 | 南沢を見る。明るい場所を歩きたく沢へと降りてゆく。ただし段差が大きくしばらく降りられなかった。 | 1720m付近から南沢の中を歩く。 |
送電線下を通過。1750m付近。少し過ぎてから振り返っている。 | ゴツゴツだが大きな岩が無く歩き易い。 | 流れが出だすとナメ状な沢底となる。 | 黒い帯のような地層が沢底に見られる。 |
1810m。左俣の先はゲジゲジマークなので、右俣を選ぶ。 | 1810mの右俣の入口だけ高巻き風味に流れを巻いた。後は概ね沢底を伝う。 | 逆層スラブの緩斜面な沢 | 傾斜が緩く、ごつごつしているが伝い易い。ただし登山靴だと滑る。 |
1860m付近 | 1860m付近から振り返る。 | 1920mでは左俣を進む。帰路は右俣から降りてきた。 | 本日初めて「山旅ロガー」を使用してみる。便利。 |
1960m付近に湧出点があり、この付近が源流。 | 国境稜線直下。 | B2030m付近で国境に乗る。リボンがあった。 | C松ネッコ到着。 |
C標識はこれのみ。 | C新たに道標が建てられていた。 | 松ネッコから北に向かうと最初にある岩峰。東を巻く。 | 真新しいクマの糞が尾根上にあった。 |
綺麗な状態の三等点。 | 中双里直下。手前。 | 中双里は、東にゆるく回り込み、壁に当たったら西を巻いてゆく。 | 最後のここは抜けられず、抱いてあげてやる。 |
D中双里東側の展望場 | D中双里の中間岩峰上から北。 | D瑞牆山 | D小川山側 |
D八ヶ岳 | D北北東側 | D村営牧場(会員制キャンプ場) | D珍しい白い苔が見られた。 |
D岩の上には上がれず、大型犬はここまで。 | Dヤキソバパンと | E松ネッコ帰り | 松ネッコから50mほどは踏み跡が追えたが、その先は判らなくなった。 |
2030mの棚地形から北に下り、1980m付近で沢筋に入る。 | 1920m。右俣から降りてきた。往路は左俣を進んだ。 | 地形を判らずにこの沢を降りるのは、ごつごつしている様子からは怖い感じはする。往路に使っているので無問題。 | 1810mの帰り。 |
一人と一匹。陽射しが強くなり沢筋も暑くなってきていた。 | 深みで水浴び | 左右からの押し出しのある場所も。 | シラベの大木が塞ぐ場所もあるが、潜って通過可。 |
F1650mの破線路に乗る。ここからは北寄りに降りないと、高登谷湖側に降りてしまうので注意。僅かな角度差。 | 現林道終点地に戻る。 | G駐車スペースは十分量。 | 三鷹市施設よりの、林道入口にゲートがあるがしばらく閉められていないよう。 |
前週に杣添尾根で、迷犬をクマと判断させ女性パーティーを驚かせてしまった。有象無象は置いといて、驚かせたのは事実であり強く反省している。せっかくの楽しい登山に対し、短時間でも嫌な思いをしたに違いない。山でたばこの煙が漂って来た時には、私もそんな思いをするから。
最新の山と高原地図の「奥秩父2」を見ていないので判らない部分もあるが、エアリアマップと表現している頃の奥秩父2には、しっかり謝っている山がある。”Oh Sorry”と。山名事典では、少し謝っているナカソウリと表記されている。大双里沢が甲州側にあることから、エアリアの方が違う感じはするが、位置的には小川山の場所が大双里だと沢に対し合ってくるような気もする。松ネッコと併せての2000m峰2座の予定。
2005年の初登の時は、三鷹市の施設側から入り尾根ルートで1915高点に突き上げた。今回は沢ルートでアプローチしてみようと企てた。これは、2021年の12月に、高登谷川を詰めての谷ルートで中双里を狙う計画があり、この時は鹿よけ付きのゲートと村長の文言により撤退した。村営牧場側は会員制のエリアとなって一般者は入れなくなった。残す沢は南沢となり、尾根伝いではなく沢に拘って狙ってみることにした。
3:15家を出る。南牧村のセブンにはヤキソバパンがしっかり並んでいた。いつものようにコーヒーを啜りながら川上村に入って行く。相変わらず投光器が彼方此方で灯され収穫作業がされていた。道路を走る大型トラクターは、ヘッドライトが寄り目の為、近づいて初めて車幅が見えてくるのですれ違い時にドキッとする。信州峠に向かうように進み、三鷹市施設の案内看板に導かれ左折してゆく。
三鷹市の保養所前。17年前と同じようにゲート前に停めようと考えていたが、現地のゲートフェンスは開いていた。入ったはいいが閉められることもあるのでよく観察するのだが、開け放たれたフェンスの様子からは、しばらく閉められた様子が無かった。悪路なら引き返そうと思いつつダート林道へと入って行く。流れにより掘れた場所はあるものの、悪路と表現する状況でなく割とフラットだった。17年前の様子と異なり、現在進行形で利用している林道と思えた。往時の赤ペンキなどは全く目に入ってこない。
標高1580mで、新しい林道が延び谷を跨ぐように進んでいた。地形図の実線路は南東に進むところで、その実線路の林道はこの場所から枝分かれるように分岐し草付きになる。車で進めそうではあったが、嫌な予感がして止め、この場所に駐車する。余地は多く、傾斜を気にしなければ10台以上置けるような地形であった。ただし林業関係者が来ることを想定し、通過や仮置きの邪魔にならないような場所選びをした。
5:35スタートする。草付きの林道を進むと、4分程で林道が幅5m深さ2mほど崩落していた。歩きの判断は正解だった。その先の林道幅を進むもすぐに有耶無耶になり、地形図に描かれている以上には道が無いようであった。南沢のなかの中洲地形を登って行く。下草はあるが背丈は低く、気にしていた棘などは無く歩き易い。しかし自然の棘は無いが、人工的な棘があり、尾根筋を通せんぼするかのように有刺鉄線が流してあった。地面から150mm付近に在り、トラップのようであった。何のためのものなのか、通常なら獣に対するものなのだろうけど。
好事家が他にもいるようで、草地の場所にケルンが積まれている場所があった。人工物を見たのはここまでで、以降稜線までの間にマーキングを含め人工物は無かった。進んで行くと南から上がってきた林道幅を跨いだ。標高から追うと、高登谷湖側からの破線路のようであった。この辺りからは、北東の1986岩峰が木々に間に見え荒々しくかっこいい。
進んで行くと、右側に広く白い南沢の本流地形が見られた。流れは無く地下に潜っているようだった。なにか北アルプスの沢を思わせる景色に、自然と足を向けて行くが、右岸と沢とに段差があり、なかなか降りられずそのまま右岸を進んで行く。1720m付近でやっと沢の中に入る。秋だからか、流れは弱く程よい加減でリスクなし。沢床の岩も、大岩でなく踏んで進めるものばかりで危ない場所も無かった。似たような景色が続く中での位置確認は、途中の送電線で、潜ったところで1740mと確認できた。
送電線を潜った先からは、少し沢幅が絞られるようになる。この感じは、冬季に雪の積もった中に歩きたいと思えてしまう。これまでごろごろしていた岩が多かったが、この辺りからは沢底が逆層のスラブ状になっており、これまた階段状で伝いやすい。流れがあり滑るところもあるので、登山靴だと滑ることを考慮せねばならない。しばらくスラブ底が続き、足場を選ぶよう下を見ながら進むのだが、途中で沢底を南北に横断する黒い帯の地層が見られた。どれだけここの地形が歪んでいるのだろうと思う。積層で出来た筋が川底にある。
1810mで右俣と左俣に分かれる。左俣の先にはゲジゲジマークが待ち構えている。実際見ると、股の場所からは行けそうに見えるが、少し悩んだが右俣を選んで進む。相変わらず沢底はスラブ状で伝いやすい。標高が上がるに連れ角が立ってきている違いはあった。当然の動く岩はあるが、動いても回避できるように足の置き場を選び流れの中をジャブジャブと進んで行く、靴が浸るくらいの水量であり心地いい。
1920mで、また沢が別れる。松ネッコに対し寄せるように、ここは左俣を選んで進む。最近は、と言うより、犬連れをしだしてからの山行では、バリエーションルートが少なくガーミンのポケナビを持つことは無くなった。それでも携帯電話を持たないことはなく、携帯で使えるログアプリの「山旅ロガー」を入れ、今回初めて試用してみた。ポケナビより表示が大きいので、老眼が進んだ眼にはとても便利であった。進んだ左俣側に流れが続き、それが途絶えるのが1960m付近だった。途絶えるってのは表現が変で、南沢の流れ出す源頭がこの辺りであった。沢の形状が終わり岩の露出が無くなり、周囲は苔むした地形となる。薄い獣の踏み跡を拾うようにして高度を稼いでゆく。先にも書いたが、マーキング類の一切ない自然を楽しめる経路であった。
2030mで甲信国境に乗る。振り返り登ってきた場所を見るが、上から見下ろすと不安要素一杯に見えた。ここから水場までは10分くらいだろうと思う。国境上はマーキングがぽつぽつと続き、踏み跡もそれなりに追えた。そして急にシカの糞が増えた印象だった。そろそろ松ネッコ、高い場所を求めて顔を上げつつ進んで行く。
松ネッコ到着。15年前同様に木の杭が埋まっていた。私設標識が一つ見られるのと、県境稜線としての道標が設置されていた。それほどに利用者が多いのだろうか。国境線に道標がベタ打ちされたって事は無いだろうが、こんな場所での道標に若干の違和感を抱く。ササっと記念撮影をしたら北へと進んで行く。踏み跡はあるが、上を木々が覆っていたりして進みづらい場所がある。3分ほど進んだ場所に大岩が現れる。前回は直登したが、今回は犬連れなので東を巻いた。やや深めに踏み跡が見られた。浅めに巻くと北側が抜けづらい。
大岩の場所から3分。柔らかい残置物があった。大きなクマの糞で、硬化しておらず最近のもののようだった。迷犬がいち早くに見つけたのだが、それが無かったら気づかずに通過しただろう。居ることが判ったので、これまで以上に緊張感をもって進んで行く。そして2102.4高点に達して三角点を拝む。相も変わらずきれいな三等点だった。それほどに訪れる人が居ないってことになる。好事家のものだろうストックが忘れられていた。僅かに下って岩峰を見上げる。”あれっ犬が登れたんだっけ”と、ここに来て記憶があやふやになった。
鞍部から僅かに東寄りに進むと、行き止まりのように岩壁が立ちはだかる。そこから西に抜けられる高低差があり這い上がると、広い棚があり、既にここで十分展望がいい。今度は西巻きになるが、植生に隠れた部分は切れ落ちているので石伝いに進む。ここの通過は狭く、迷犬を一度上にあげて降ろしながら北進してゆく。そして次はやや段差のある岩登り。人間は問題ないが犬は無理で飛び乗れない。抱き上げてクリアーする。犬はここまで、この先は人間は行動できるが犬は無理。
中双里登頂。登り上げた東側に2畳ほどの広見があり展望場になっている。北側の岩に上がると、360度の展望が得られる。下に迷犬を待たせ這い上がる。7mほど北に最高所の岩がある。自分では一度踏んでいるので、今日はここまで。下に降りてヤキソバパンで朝食。下に雲海が伴うものの、各方面の有名座がハッキリクッキリと見えていた。この山頂部には白い苔が生えていて、それが花のようでとても奇麗だった。ここだけの内緒であるが、お花畑が好きな迷犬は、その上で寝ころんでいた。無事予定の2座を踏んだので往路を戻る。
抱き上げた場所の帰りは飛び降りてくれた。その先は記憶していたようで、上にあがってから下るようにして南に進んでいた。もうこれで危険個所は無い。岩峰の所は西巻きを試みたが密生で、やはり東巻きが順当だった。松ネッコに戻り、道標が指し示す高登谷湖側へと進んでみる。最初は道形もはっきりしていたがすぐに有耶無耶になり、幼木帯に入り込んでからはもう道形を探さず適当に進んで行く。途中に道標は無かったので上に在っただけのようだった。あと、以前にベタ打ちされたマーキングは、回収されたのか見られなかった。
往路の谷登りに対し、この尾根を伝うのがつまらなくなり、2030mの鞍部から北に降りて行く。そして1980m付近で谷の中に入る。枯れ沢であり、急峻ではあるが濡れてないので伝いやすい。そしてすぐに見覚えのある1920mの俣の場所となる。知っているのと知らないとでは、だいぶ気持ちが変わるもの。この先の地形は粗方記憶しているので不安はない。ただここで緊張を解くと怪我に繋がるので、緊張を維持したまま高度を下げて行く。下りの方が足の置き場には注意が必要で、登りより筋力を使うのだった。
1810mの又まで戻り、伝ってない左俣が気になり覗く。心地いい谷なので、もう一回伝う事があるかもしれない。左俣は次回のお楽しみ。夏の日差しになり、背中をジリジリ焼かれる感じ。迷犬は黒いのでさらに感じるようで、流れの深みに行って水浴びをしていた。復路は、往路より長く本流の中を伝ってみる。大きな倒木が在ったり、押し出しが在ったりはするが通れないところは無かった。そのまま進むと湖の方へ行ってしまうので、適当な場所で右岸に這い上がる。
破線路の林道を跨いだ先で、地形に逆らわないよう伝っていたら、徐々に南寄りになってしまった。少し地形に逆らうようにして北に振り進む。有刺鉄線の場所は見えているのか否か、迷犬は勢いよく通過し、鉄線をゆらゆらと揺らしていた。実線路の林道幅に戻り緩やかに伝って行く。
1580m地点に戻る。林道上のタイヤ痕を見るが、林道を入山した車は居ないようだった。「今は」となるかもしれないが、林業関係者は平日も入っていないようであった。
振り返る。高登谷川が伝えなかったことで、南沢の面白さを体験することになった。秋なので水量が少ない時期、季節によっては全く違った水量になるだろう。雪の落ち切った残雪期に伝ってみたい場所でもあった。別荘地の除雪があるので、冬季でも南沢利用ってのは有効かもしれない。