大岩        1590m                        
         
                                  
                                 
                                                                                                      
  2022.2.26(土)


  晴れ     単独     北麓公衆トイレから      行動時間:2H18M


@公衆トイレ7:00→(17M)→A1410m付近農道分岐7:17→(12M)→B谷の入口(鹿よけフェンス)7:29→(26M)→C南のコル7:55→(32M)→D大岩8:27〜37→(15M)→E鹿よけフェンス帰り8:52→(26M)→F公衆トイレ9:18 
                                   


 
川上村から見る八ヶ岳のモルゲンロート。 @公衆トイレからスタート。見える岩峰を東から巻きこむようにアプローチする。 農道を進む。 左に1720m岩峰。右に大岩。
       
A1410m付近の分岐で西に折れる。 久しぶりにスノーシューを履く。 B谷の入口。畑の周囲は鹿よけのフェンスが張り巡らされている。 谷の中には、右岸に道形が在るよう。
   
1490m付近 谷から北側。完全に岩山な景色。 途中に岩穴があり、ウサギが出入りしているのがトレースから判る。 コル直下。最後はけっこう急。
       
Cコルに到着。 Cスノーシューを外し、この先の岩場に備える。 コル西側の岩壁は伝えず、西側からのバンドでコル上に出る。(振り返り撮影) 2mほど上がった先は、ハングした岩壁だった。僅かに東に巻けば、岩登りできる人は上に抜けられる。ここに降りるなら要ザイル。
       
ダメもとで東に大きく巻いたら、抜けられそうな小谷が存在した。岩混じり。 岩壁の脇を登って行く。 岩壁の脇 振り返る
       
D大岩登頂。一畳ほどのスペースで高度感が強い。 D南側。 D南西(右に小川山) D西側
       
D絶縁テープを残す。人工物は皆無。 D西側の高み D北側の斜面 D西側から見る八ヶ岳。
       
Dメンチカツバーガーと D北の秋山地区側 D西側から見る最高所。 D川端下地区を見下ろす。 
       
D山頂に生えるのはマツのみ。 往路は、見える雪面を上がった。 登ってきて、この場所に来たら北側に進んだ方が楽。(振り返り撮影) 往路のトレールを戻って行く。
       
振り返る。谷をそのまま(南西)登るのではなく、やや西に登った方が最後が楽。  Eフェンス帰り。フェンスの向こう側は畑。  東から見る大岩。北尾根、北東尾根でもアプローチできるのかも。  サンふじで水分補給 
       
農道を戻って行く  北から見る大岩。北西尾根を使った場合は、右(西)の高みのアップダウンする場所で斜度が強そうに見えた。  F公衆トイレに戻る。除雪されていた。   




 国師ヶ岳よりの北尾根、金峰川と梓川に挟まれる尾根には長峰や雨降山があるが、その尾根筋の終わる場所に大岩1590m峰が存在する。川上村の千曲川沿いには、ここに似た高みがいくつもある。しかし名前が見えるのはここくらいで、凛々しい岩峰であり通る度に気になっていた。川上村地内でのエアリアマップに見える最後の未踏座に挑む。


 地形図を見ての通りゲジゲジマークだらけ。岩峰で間違いなく、弱点を探すのだが南からが唯一のルートと見えた。北西尾根、北尾根、東尾根も使えそうだが、痩せた感じがどうにも危険地帯が待っているように見えた。1590高点峰の南のコルに、東側よりの谷を使ってアプローチしようと考えた。そのコルから頂上までは40mの標高差、南からなら何とかなりそうで決行してみる。無積雪期での計画もあったが、標高こそあれど麓からの標高差は250mと公園山の類。少し負荷をつけて冬季の実施とした。


 4:30に家を出る。佐久はマイナス12まで冷え、好天予報日らしい朝の冷え込みだった。南牧村(みなみまきむら)のセブンに寄るも、ヤキソバパンが入手できずこの日の山行に不安を抱える。野辺山側に上がり川上村に入ると、車の外気温表示はマイナス15を示した。廻り目平に進むように、あちばけダムの東側より県道68号を離れる。坂道を登った先に、アンテナ塔を伴った公衆トイレが在り、10台ほど停められる駐車スペースがある。きちんと除雪されており、迷うことなく突っ込んだ。無積雪期は、農作業に関わる洗い場のようであり、東側には駐車はしない方がいいようだった。なお冬季はトイレは閉まっていた。


 7:00行動開始。目指す高みが南東側に待っている。暖かい車内からマイナス15の外気と凍てついた雪に触れ、迷犬の最初は冷たそうな足取りだった。除雪された道を1340高点まで進み、そこから南東に入る農道へと足を進める。ときおり200mmほど踏み抜くが、何とか歩ける硬さがあり進んで行く。進む先には烏帽子のような1720m峰が見える。当然1720高点峰も地形図で見ているが、大岩よりアプローチが難しそうに見えた。


 1410m付近で西側に分岐する枝道へと折れて行く。この辺になると、もうツボ足では進めずスノーシューを装着する。一度踏み抜き、腰まで埋まってしまった時もあった。谷の入り口を目指して畑の中の農道幅を進んで行く。その入り口の場所が近くなると、擁壁のように連なる鹿よけフェンスが見えてくる。通常はどこかに通用口が設けてあるが、ここの場合は山中に入る必要が無いようで、門扉のような場所は見当たらなかった。どうしようかと締結してある部分を見る。幸い柔らかいバン線で結わえてあり、握力を加え捻ると容易に外すことが出来た。フェンス1枚分は縦に2か所のみで留めてあり、二つ外してフェンスの向こう側に進む。


 谷の中に入った格好となり、そこには東側から進んできているような林道幅が見られた。谷に沿ってウサギが進んでおり、そのトレースを追って行く。途中からシカのトレースも混じり、先ほどのフェンスが意味を成していることが判る。進路右(北)側には、東尾根の岩尾根が連なっている。コルが望めるような場所まで上がると、谷の南側に開口径600mmほどの穴が開いており、その穴にウサギのトレースが続いていた。斜度が強くなり九十九を細かく切りながら登って行く。ふかふかの雪で雪崩易く、スノーシューのヒールサポートは使わずに登って行く。


 コルに乗る。山頂側には見間違えようのない岩壁が見える。雪面が見えないので、無用の長物とスノーシューは脱いだ。机上では大丈夫だろうと思っていた残り40mの標高差は、ゲジゲジマークで記載して欲しい岩登りの場所だった。やはりヤキソバパンが入手できない時は何かが潜んでいる。簡単に登頂させてもらえないことが多い。思っていた南面が登れなければ、攻略の仕様が無いので撤退を考えた。その前に、せっかくここまで来たのだからと踏査を始める。


 まずコルから岩壁の下を西に進んでみる。ゲジゲジマークの場所は、五郎山の南面な感じで、かなりリスキーであるが登ろうと思えば行けそうな斜面だった。ただし犬は無理。そして行けそうと言うものの、常に滑落の危険がありそうだった。コル側に戻るのだが、戻る途中に北東側に斜上してゆく岩棚のバンドがあり登って行くと、先ほどのコルの場所より2mほど高い位置に登れた。がしかしそこから見上げる岩壁はハングしていた。少し東に回り込むと、岩登りができる人なら登れるだろうホールドの多い壁があった。ここも人間なら何とか行けるが犬は無理。わずかな距離なので迷犬をコルに残してとも思ったが、見ていない時に寂しくて動き出し、それが事故に繋がったら目も当てられない。最後は、まだ東側を見ていないので深く巻き込んで行ってみる。


 東面は勾配が強いせいで雪が落ちている場所が多かった。そこに一筋のルートが見いだせた。先ほどの南からの岩稜が終わる切れ落ちている場所があり、その下が伝って行けそうに見えた。けっこう急峻で迷犬は足を進めるのに苦労していたが、何回か持上げてやり上に抜けて行く。1570m付近からは西に進み、コルからの岩尾根に乗った格好になった。西側は切れ落ちているので注意しながら迷犬を進ませる。岩山らしく山頂部にはマツの植生しかない。そしてそれ以上の高みは無くなった。


 大岩登頂。最高所は1畳ほどで西側はストンと切れ落ちている。人工物は無く絶縁テープを残し、各方面の景色を撮影したら、安全地帯となる北側に足を進める。本当にマツしか生えていなかった。西側に高みがあり、こちらは藪山の山頂らしい場所となっていた。少し西に降りてみる。案外、北西尾根でもアプローチ出来たかもしれないと言う印象だった。マツが林立しているが、日差しの入る山頂で心地がいい。独立した岩峰な感じなので、周囲の見通しがいいし、この時季は周囲が銀世界なのも居心地の良さに繋がっていた。北尾根側にも足を進める。こっちも伝えそうに思えた。西も北も山頂部の緩斜面しか見ていないから、安易すぎる判断かもしれない。下りでその二つの尾根のどちらかにチャレンジできればいいが、冬季の今はリスクを増やすことになり、判っている往路で戻って行く。


 山頂からの最初は、往路は南の岩尾根だったが、下るにはザイルが欲しいような場所なので、東側に少し降りて行けそうな場所を探索してみる。すると南より安全に往路のトレースに戻れた。登りの場合、最後を北側に振って西進した方が安全通過できることが判った。急斜面が終われば、もう滑っても転んでも命に関わる心配は無くなり、直線的にスノーシューのトレース目指して降りて行く。犬の場合は、グリップしない状態が苦手のようで、グリセードーはしたがらなかった。スノーシューのトレースに乗っても、ツボ足のまま戻って行く。幾分か踏み固まっているのでツボ足でも負荷は少なかった。


 フェンスの場所まで戻り、通過後は元通りに締結しておく。この一帯は遮るものが無く、北側の秋山地区の民家から丸見えの場所であった。天気は快晴で、澄み渡る空と言うに相応しい青空で、照り返しの日差しも強くなってきていた。農道を戻って行くと、1340高点のある道路を、犬の散歩をしている人やウォーキングしている方が見られた。外気温はマイナス2くらいまでに上がってきていた。車通りも無く、静かな静かな秋山地区を歩き公衆トイレに戻る。


 振り返る。なんとか踏めた。無積雪期ならもう少し楽だったろう。ザイルを持って挑めば、北西尾根と北尾根とでの一筆書きも出来るだろうと思う。情報がない中でのパイオニア的行動となったが、なんとか抜けられる場所を見いだせ結果を出せた。尾根ルートの方は後に続く人に任せた(笑)。



 
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