大鷹岩(鷹岩)
1020m
2022.12.30(金)
晴れ 単独 山室地区側の湯場橋より 行動時間:2H
@橋倉川への下降路分岐6:44→(1M)→A湯場橋6:45〜46→(8M)→B650m尾根に乗る6:54→(44M)→C970m峰7:38→(8M)→D南西側岩場基部7:46〜50→(3M)→E大鷹岩7:53〜8:01→(37M)→F橋倉川枝沢渡渉(山室地区南)8:38 →(6M)→G戻る8:44
@山室地区への分岐点南、橋倉川へ下る道の入口に駐車。下り路側はチェーンゲートあり。 | A湯場橋の南から斜面に取り付く。 | 急登も急登。すぐに脹脛が悲鳴を上げる。 | 林班の境。マーキングのある下の地面には杭が見られる。 |
B650mで尾根に乗る。 | A登ってきた北側を見下ろす。 | 700m付近。下草の無い快適尾根。 | 765m付近で、尾根の南側に続く道形が見られ伝う。 |
765mの尾根上には、小さな物置小屋があったような構造物が見られた。 | トラバース途中から尾根側を見上げる。大きな岩がある。 | 800m付近。南に進んでいる。 | 途中、バン線が谷側に流されていた。 |
860m付近。植林帯の南の際を登って行く。 | 890m付近。岩尾根を巻くように西側に道形あり。 | 900m付近。急登。 | 955m付近 |
C970m峰 | 大鷹岩の東斜面。中央右に見える石に、右のような矢印がされている。 | 道の場所を示すと言うより、林班の境を示しているよう。北を巻いたが、岩壁下で西側に戻る。 | 岩壁の南側を登って行く。 |
岩壁がコップ状になった場所。中央のチムニーが登れれば最高所はすぐ右側。 | 南西尾根へと向かってゆく。 | D南西尾根に乗り上げ、大鷹岩を見上げる。マーキング在り。 | 大鷹岩西峰。手前峰。 |
手前峰に杭あり。ここが山頂かと思うが、まだ先に続く。 | 手前峰から見る高反山 | 痩せ尾根の先(東)に最高所。 | E大鷹岩最高所 |
E大鷹岩の南側は、5畳ほどの広さがある。 | E大鷹岩から見る両神。 | E朽ちた祠が見られる。 | E南側から見る最高所。 |
痩せ尾根を西に戻る。 | 岩場を下りきり振り返る。落石多く要注意。 | 岩場下で待っていたのでご褒美。 | 大鷹岩の東側の谷を降りてゆく。960m付近。 |
920m付近。広い谷でしばらく明るい場所が続く。 | 尾根に乗り降りてゆくと、830m付近に保安林の看板あり。 | 700m付近から谷に入る。 | 700m付近から振り返る。伝って来たのは中央の尾根。 |
670m付近から、伝ってきた谷を振り返る。谷の中には林班のマーキングが見られた。 | 670m付近。山室地区に対する右岸側。 | F枝沢を渡渉。 | 「620」と読めるのは標高のよう。実際は610mくらいだった。 |
今は廃道となっている、山室地区への旧道に乗る。ゴミがたくさん見られる。 | 歩道林道との出合。入口はワイヤーで塞がれている。 | G戻る |
大鷹岩の場所は、高反山の北東位置、上野村と神流町の町村界。神流町は広くなり過ぎたので、旧中里村との村界尾根と言った方がピントが合い易いかもしれない。1996年版のエアリアマップでは「鷹岩」とあり、2018年版には「大鷹岩」と改名されている。「大」が付き、昇格したような感じである。逆だったらちょっと寂しいが、この出世魚のように改名された場所が気になっていた。
衛星画像でチェックすると、その名の通り岩峰であることがハッキリ判る。ネット上に先人の記録が読めないこの場所、どう攻めようかと頼みは地形図のみ。ゲジゲジマークが多いのが北麓と南東麓、一番無難なのは高反山からの尾根だろう。ただしアップダウンが大きい。次に二点鎖線が引かれる町村界尾根を、東麓の井出橋から伝おうとストリートビューを見たが、よう壁の上側に簡単に行けそうには見えなかった。非力なもので楽をしたいのは常、出来るだけ短距離で緩斜面をと探すと、北東尾根が使えそうに見えた。今年最後の山となるので、無理なく安全に登りたいのがコンセプト。本当にそうであれば岩峰など狙わなければよく、矛盾があるのだが・・・。
一週前の降雪以降晴れの日が続き、奥多野の雪はだいぶ融けてしまったよう。橋倉川沿いの林道が凍ることを一番心配したが、山室地区があることから生活道路のはずで、滑り止めは置かれているだろうと踏んだ。あとは、ストリートビューの絵では、井出橋は若干の余地があるが、北東尾根側にはほぼ無く、駐車場所探しは現地ですることにした。
南牧村から湯ノ沢トンネルに潜って上野村に入る。日影に若干の残雪が見られるが、ほぼ無いに等しい状況だった。暖かければマダニが多いエリアなので、寒くなるのを待っての入山としたのだが、この時季に山体に雪が無いのは何年ぶりだろう。R299のメロディーラインを榛名湖や草津同様の遊び心と思っていたが、この曲選定は日航機事故と関係している事を最近になって知った。尾附地区から橋倉川沿いを上がって行く。地滑りがあったようで、井出橋下流は工事が続けられていた。
井出橋の現地を肉眼で見たが、その斜面はストリートビューで見た通りで、シカでも伝うのは厳しい斜面に思えた。北に登って行き、取付き予定点とした場所の橋は「湯場橋」と判った。現在の山室地区への道は、地形図の道より北にオフセットしており、地形図の道は廃道となっていた。そしてやはり駐車余地が乏しかった。生活道路を思うとすれ違い余地を潰したくない。湯場橋の70mほど南に、橋倉川へと下る道が分岐しており、その入り口にチェーゲートがあるのだが、その前に1台分の余地があった。使われないだろう道と判断し、チェーン前に停める。
6:44出発。北に登り、湯場橋の南西側斜面に取付く。斜度が強くかなり脹脛を酷使する場所であった。獣も伝わないようで道形は無かった。最近枝打ちがされたのか、地面には払われた枝が多かった。標高650m付近で尾根に乗り上げる。尾根の東側は痩せており露岩が見える。進んでも最後はザイルが無いと降りられない。林道があるので、一帯の東へ下る尾根はどこもそんな感じであった。あと、林班の界が多いのか、ピンクと青のリボンをたくさん目にするエリアであった。
765m付近で、西に向かう尾根に対し南西側に道形が見られた。ここには腕ほどの太さの丸太を使った木組みが残されていた。尾根から左に進むと、尾根側に高さ5mほど幅10mほどの大岩が見られた。道形は九十九を切りながら西側に進むのかと思ったが、そのまま南へ進むような感じで続いていた。途中には長くバン線が流してある場所もあり、ここも下草の無い綺麗な植林斜面であった。
860mで町村界尾根に乗る。上野村側は広葉樹、神流町側は植樹帯とクッキリと尾根で分れていた。西上州らしい下草の無い伝い易い尾根で、890m付近で露岩が現れるが、道形はその西側を巻いていた。巻き終えると急斜面が待っており、適当に九十九を切りながら高度を上げてゆく。950m付近では青いリボンが乱打状態で賑やかしい。970m峰を越えると、その先が目的の大鷹岩で、既に待ち構えている岩壁が見えていた。
960m鞍部から西進してゆくと、斜面上にある大岩に青と赤ペンキで矢印がされていた。それらが指す方向に道形は無く、林班の境を示しているもののようであった。ちなみにと、青で書かれている北側を巻いてみたが、すぐ上はもう大岩壁であった。その下を伝うようにして西進してゆく。岩壁の上が大鷹岩なので、何処か登れる場所はないかと具に見ながら進んでいた。真南辺りにはコップ状の岩壁があり、その中央あたりにチムニー状の場所があった。人間は行けそうだったが犬は無理だった。そのまま西に斜上してゆくと、大鷹岩の西に続く尾根に乗り、そこから北東側に青いリボンが上がって行っていた。ここも人間は行けるが犬は無理。西側の尾根に乗るとまともに北風を受け至極寒い場所であった。何処かに安全に登っていける場所はないかと、大鷹岩の西側斜面を降りて行ってみる。と言うのも、西側にもリボンが降りて行っていたからであった。しかし西側も北西側にも全く隙が無い鉄壁の要塞形状で、唯一抜けられるのが先ほどの南西位置からのアプローチだった。
犬が上がれないのなら岩壁の下まででいいとも思ったが、年度末の最後の山として登頂しないのもスッキリしない。さりとて岩に挑んで怪我をすれば元も子もないのだが、当初から踏査の意味合いも強く、行けるところまで踏査してみようと考えた。迷犬を岩壁下の木に繋ぎ、やや急いで岩壁を這い上がって行く。最初の1.5m程のみ三点確保な感じで攀じるが、その先は足のみで進めるような地形だった。ただし枯れた立木や、一番気になったのは動く石が多く落石が発生することだった。下には迷犬が居るのでこれにはかなり神経を使った。すぐに最高所に到達と思ったが、西側に手前峰があり、ここには境界の杭が打たれていた。その東側に高みが見え、手前には6mほどの痩せ尾根が控えていた。慎重に足を進め東側の高みに到達する。
大鷹岩登頂。岩の上であるが南側に5畳ほどの地面があり、そこから見る南側の展望がいい。鋸歯のような連なりで両神から赤岩への
山塊とすぐに判る。山名板こそ無いが、人工物はゼロではなく、朽ちた木祠の残骸が残っていた。おそらくは山室地区で崇めていた場所となろう。岩の上ではあるが、ブルブル足を震わせる場所ではなく登頂感のある山頂でのんびりできる場所であった。ただしこの時は下に迷犬を残しているのですぐに戻らねばならなかった。大鷹岩の上もしっかり区切られているようで、ここにもリボンが見られた。
痩せ尾根の西寄りが若干段差があるので注意する場所。有効着地点幅は300mmくらい。それ以外は崖下に・・・となってしまう。そして落石過多地帯。気を付けていても3つほど落としてしまった。全て南西側に落ちてゆくのだった。この南西側の下降は、安全通過ならザイルを垂らした方がいい。途中に立ち枯れの木があり、掴みたいけど掴めない場所がある。戻ってきた飼い主を見て、喜んでいる迷犬の姿があった。リードを引きちぎって追ってこないかと気にしたのだが、時間が長ければ無きにしも非ずだったろうと思う。
西尾根を風除けにして、岩壁の下でヤキソバパンを分かち合う。帰路は山室地区側に向かう谷筋を伝ってみる。上部は広く明るい快適斜面、そこに大量に落ち葉が堆積しているので雪面を歩いているかのように踵を入れながら降りてゆく。途中の植林帯内は少し東寄りを歩く。どこも斜度が強く、獣道も乏しく伝い辛い場所だった。小尾根を伝ってゆくと、830m付近には保安林の看板が在った。そのまま尾根筋を下ると二俣になり、その下側は沢筋となっていた。落ち葉の堆積があるので涸れ沢のように見えたが、僅かな流れがあり、当然のようにそれらが凍っていた。雪が無いからと安易に選んだが、流れが凍っていたわけで、かなり筋力を使う通過点だった。1回大きくすっ転んだ。この沢筋も境なのか、一連のマーキングが見らる場所もあった。谷なので何処からか流れ落ちてきたのかもしれないが・・・。
670m付近で谷地形が終わり、一帯は植林斜面となる。谷筋からの落石の為か、岩が多いのと倒木が多く歩き辛かった。すぐ北には橋倉川の支流があり、こちらが右岸となり、左岸側には山室地区への車道が見えていた。右岸が厄介だったので、渡渉して左岸へ移る。左岸側にはガードレールがされた新道の下に旧道があり、ゴミが沢山散乱していた。その廃道化した旧道を伝うと、橋倉川沿いの林道に出る少し手前には、旧道上でシイタケ栽培をしていた場所があった。舗装林道に乗り湯場橋を渡って下って行く。
振り返る。ザ・西上州の岩峰な感じの場所で、クライマーのゲレンデとしても面白そうな場所に見えた。ザイル不要でバリエーションハイクで登れる岩峰であり、若干のピリ辛要素がある部分では、南牧の碧岩などと雰囲気が似ている。今回登頂できてよかったことと併せて、西上州にはこんな場所があることを知ることができて良かった。ゲジゲジマークが多かったり、麓に等高線が密な場所が多かったりと、なかなか攻め辛そうな地形であり、経路が厳しい分の登頂感のある場所だろう。高反山と抱き合わせにしてはどうかと考えるが、アップダウンの多さからは脚力が必要になるだろう。
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