白首
790m
2022.2.12(土)
晴れ 単独 若宮地区より 行動時間:1H52M
@若宮地区510m付近6:30→(21M)→A林道終点6:51→(20M)→B主尾根に乗る7:11→(18M)→C白首790m岩峰7:29〜35→(15M)→D780m送電線鉄塔峰7:50〜52→(14M)→E林道終点帰り8:06→(16M)→F510m余地8:22
国道18号から「三ッ頭線」に入って行く。 | @標高510m。駐車したすれ違い余地。 | 上信越道を潜って北に。 | A林道終点 |
A巡視路標柱に「片道25分」と書かれている。 | 谷の左岸尾根に巡視路が切られている。 | 無積雪期ならハッキリと判るよう。 | 途中の細尾根 |
細尾根から白首岩峰 | 細尾根から鉄塔側 | B主尾根に乗る。760m地点 | 白首岩峰の南東側基部。 |
790m峰北東の岩壁下にある岩屋。 | 北東側から見る790m岩峰。 | 手前鞍部から見る最高所。 | 手前鞍部から五輪岩。 |
C790m岩峰(白首)上 | C上信越道 | Cコンクリートの杭が埋設されている、 | C南東斜面にも続いていた。 |
C南東側 | C南側に谷急山。 | C西側に山急山 | Cヤキソバパンと |
C赤ペンキが塗られていたよう。 | C絶縁テープを残す。 | C左に榛名山系。右に赤城山系。 | 南東に戻って行く。岩屋のある岩壁からの斜面。 |
790m峰の北側をトラバースして往復。 | 気の抜けない斜度が続く。残雪期は要アイゼン。 | 白首岩峰(左)を北から見上げている。登るならこの角度の一択。 | 基部の様子。このように二つの岩峰になっているが、地形図上は一纏めになっている。 |
D東側の780m峰。鉄塔ピーク。 | D妙義側 | 西側の780mピーク | 尾根からの下降点。特に道標は無い。巡視路は南に2mほどオフセットした場所に切られている。 |
細尾根帰り | E林道終点帰り | 上信越道北側に戻る。 | F駐車余地に戻る。 |
この日の歩数は8676歩。 |
エアリアマップの西上州を眺めていたら、裏面の北端にある山急山の東側に、「白首」なる場所が記載されていた。拡大して場所を割り出すと、五輪岩のすぐ東の790mピークで拾っているように見えた。最初は送電線が通過する780m峰なのかと見ていた。こちらの方が山らしい場所だから。しかしその西の、鞍部経ての西の高みでプロットしているようだった。
木曜に降雪があり、翌金曜日は晴れ予報だった。良い景色を求めるのなら建国記念日の金曜が最良だった。スキーをするなら間違いなくこの日決行であったが、薪集めと薪割りの予定日にしていたために、一日置いての土曜日に決行とした。
送電線が走っていることを思うと、南麓と東麓に巡視路があると想像できる。南麓を考察する。送電線ピークに突き上げる、林道(一車線表記)終点地からの尾根には、大岩のマークが見られる。抜けられるのか・・・。736高点のある南尾根は、細尾根に加え麓側の等高線が混みあっている。一方東を見ると、危険個所の無い安全そうな北東尾根が走っている。この見立てにより、当初は碓氷川側の原地区から西に入り、実線路のヘヤピンカーブである510m地点から取り付こうと考えた。でも南は林道が610mまで上がっている。アプローチが楽なのは南麓であり。まず南麓で行動してみて、上に抜けられなかったら東に転進しようと考えた。
いつものように経路のセブンでヤキソバパンとコーヒーを仕入れてから現地に向かう。国道18号の松井田地区では、外気温はマイナス1℃とさほど冷え込んではいなかった。トラックステーションの東側から別れる、林道三ッ頭線に入って行く。入っての最初にお堂の廃墟があるが、その前がアイスバーンだった。国道沿いに停めて歩こうかとも思ったが、雪面に見える轍が先に進んでいるので一か八かで車のまま登って行く。すると左側にポツンと一軒家が見え、轍の主はここに住まいしている方であった。以北に伝った形跡はなく、四駆に物を言わせ雪を掻いてゆく。がしかしリスクが増えて行くばかりでスリップして動けなくなったら笑いもの、そこにちょうどいいすれ違い余地がありエンジンを切る。標高は510m地点であった。
6:30歩き出す。積雪量は150mm〜200mmと言ったくらいで、ツボ足で進んで行く。すぐに地形図通りの分岐が現れ左を選ぶ。進んだ先で上信越道を潜るのだが、ここには「松井田妙義20」とプレートが取り付けられていた。トンネル内は広く明るく、いたずら書きもなく心地よく抜けられる。北に出て道なりに左折すると、その先で北に折れる林道が派生する。付近は間伐なのか、最近の伐採跡が見られた。北に登って行き、西進してゆく道の途中には大岩と大岩の間を通過するような場所があり、場所が違えれば名所になったような雰囲気だった。東進に変わり、最後の北進は谷にゆるく降りて行く感じで、610m地点で林道終点地となった。全て地形図通りだった。
林道終点地の延長線上に、求めていた巡視の道標が立っていた。なぜかそこに「片道25分」といたずら書きされていた。何を指して25分なのか、主語が無いので判らないが、こんないたずら書きをするのは山ヤが多く、バリエーションルートとして登られる場所なのかとも思えた。ただしこの場所から25分程を思うと、標柱に読める55番鉄塔の場所が適当だった。書いた犯人は、ハイカーか電力関係者か・・・。
黄色い標柱は見たものの、その先のルート取りが降雪により全く判らなかった。736高点のある南尾根に向けてズレてゆくのか、もしくは堰堤の並ぶ谷の左岸を登って行くのか。東側は植林帯で全く道の気配がなく、ここは左岸の尾根を登って行くことにした。大岩で行き詰ったら、西側の等高線が緩いので巻けるように思えた。尾根筋を判らないながら登って行くと、黒いプラスチックのステップが現れた。当てずっぽうではあったが、正解だったようで、左岸の尾根に巡視路があった。歩き易い歩幅のステップで、とても伝いやすい作道であった。その先の雪の溶けた尾根上では、ハッキリとそのステップが見られた。
問題の地形図上の大岩マークの場所であるが、上手に切り返しながらルートは抜けて行った。頂部に切れないので、尾根の西側を伝うようにしてあり、道幅が狭いので若干気を使う通過点ではあった。ここを抜けると細尾根が現れ、拳を天に突き上げたような大岩が西側に現れる。起立したそれは奇岩中の奇岩で、よく見ると拳に対しての腕首の部分が白かった。これにより、「白首」とはこの岩のことなのだと理解した。拳を頭に見立てても、首の部分がベルト状に白い。間違いないだろう。最高所には立派な松が見える。登頂できるのだろうかと眺めるのだが、見える東や南面は、アプザイレンしたら、着地点まで60mほどありそうに見えた。攻略するなら北側か西側で、白首の意味を理解したと同時に、発生した難易度の高さに戸惑った。この細尾根から東側を見るとこちらを送電線鉄塔が見下ろしていた。
尾根をそのまま780mピーク(西峰)に進むのかと思ったら、途中で西にトラバースしてゆく道となり、760m地点で主尾根に乗った。東を見ると、巡視路のステップは尾根のみ南斜面に続いていた。東側が目的地だったら容易いが、今日は西側が目的地。既に半分は見てしまっているので、まだ見ていない部分を確認し挑むかどうか判断せねばならなかった。一つ言えるのは、もう犬連れで登る場所ではなくなっていた事。
西進をはじめ、少し下って緩く登ると奇岩峰の基部で、そこから先は礫岩の壁で脆く全く登れそうにない。迷犬は道と思ったのか、そこから南に巻いている風化で出来たバンドを伝いだした。“違う”と制し北を巻き上げ始める。締まった雪でないのでラッセル状態。勾配が強いので人間なら何とか登れるが犬は無理だった。この時に西側にはキレットがあることが判った。細尾根から見た時は、西から一帯の岩峰のように見えたが、白首岩峰に上がるには、クライミング技術が必要だった。ここで、スマホで地形図を開き現在位置を把握する。790m高峰は、この白首岩峰と、キレットを挟んで西側の岩峰とを抱き合わせで描かれている。まあ別に描く方が難しいかもしれないが、現地の状態にやや目を瞑り、西側の岩峰に登る事にした。これにしたところで、行けるかどうかは判らないが、ここまで来たら白黒つけようと思い踏査でもあった。
北斜面をトラバースしてゆく。かなり勾配があり、神経を使いながら水平移動してゆく。帰りのこともあるので、しっかりと踏んでトレースにしてゆく。小尾根を経て2回のトラバースをし、790m岩峰の北東側に達する。西に突き上げれば最短路だったが、滑落も考慮できる勾配であった為に、そのまま北に見える岩壁まで突き上げ、岩壁に沿うようにして西進してゆく。この岩壁にはビバークするにはおあつらえ向きな岩屋が見られた。そこは3畳ほどの空間だった。北側の鞍部までは膝上になるほどの積雪量がありラッセルして進んで行く。鞍部からの南進は両側が切れ落ちているような地形で、怖さ知らずを見ている方が怖いので、迷犬とはアンザイレンで登って行く。
790m岩峰に立つ。細い山頂部には、コンクリートの標柱が見られ、それが南東側の切れ落ちて行く斜面にも打たれていた。白い首の奇岩側には登れていないが、地形図上の同標高の高みには登頂した形となった。最高所の灌木に、赤ペンキが退色した痕が見られた。岩峰なので展望ピーク、特に北と東が開けている。その分、足が滑りでもしたらと怖さが伴う。榛名山を望むと、その右横に赤城山の山体が並ぶように連なっていた。ヤキソバパンを分ちあったら下山となる。
トレースを戻って行くのだが、白首の向こう側に出るまでは気を抜けない場所が続く。四駆の迷犬は、トレースの道が出来ているので、怖さ知らずで駆けるように進んで行く。実際に駆けられるほどバランスがいいのだろう。人間はと言えば、谷側にビビリながらゆっくりと進んで行く。途中、キレットが見える場所で次につながるよう観察する。凝灰岩のような岩肌でグリップは良さそうに見える。そこに細かい灌木も見られる。ソロでも這い上がれそうではあるが、確保はあった方がいいだろう。雪が乗っていたので、岩壁の全てを見られたわけではないが・・・。
尾根上の巡視路の下降点まで戻る。そのまま降りてもよかったが、気になったので東側の780m峰まで進んでみる。同標高の西峰の方は細尾根の通過点な感じの高みで、相対して東側は広く山頂らしかった。その中央部にデンと鉄塔が立っていた。鉄塔のために伐採されたって事もあるが、その鉄塔が無ければ登山対象の山としてもいいほどに展望が楽しめた。雪が無ければ、ここに繋がる他の巡視路の在りかも確かめられたが、全てを覆ってしまっていた。西に戻って行く。
下降点分岐から下り、細尾根の場所から再度白首岩峰を拝む。やはり拳を突き上げ、「ガッツだぜ」と力みなぎる感じ。上がぼてっとしているので、キノコのようにも男根のようにも見えるわけで、見え方は見る側の想像力で様々だろう。様々だけど首の所は白いのだった。往路で巡視路の判らなかった場所では、そこを探すように右往左往してみたが、やはり判らなかった。林道終点地側には、もしかしたらプラスチックのステップは設置していないのかもしれない。
林道終点に戻る。登りの負荷がもうないことを察しているのか、雪に寝転んだりし、遊びながら迷犬は戻って行く。雪は大好きなようで扱く楽しそう。それを見ているこちらも気分がいい。誰も来ない場所だからリードを解放させてあげられるが、2月末まで猟期でもあり、色は殆ど熊と同様なので注意は必要だった。トランシーバーを持って猟師の交信周波数を傍受し、信号強度から近い遠いを掴んだ時期もあった。スマホが突き抜けた利器となった今、もうトランシーバーを持つことはない。上信越道まで戻るとそこは、排気ガスの臭いが強く漂っていた。勾配の途中であるからだろうし、高速の周辺は少なからず環境が悪いのだろうと思えた。
トンネルを潜り南側に出る。雪は積もっているものの周囲は杉の植林地で、確か花粉の飛散のアナウンスもあったことを思い出す。意識すると目の辺りがやや痒く感じるから不思議である。花粉症ではないが、花粉症を感じないわけではない。駐車余地に戻る。