岩菅山        2295.3m        裏岩菅山        2341m          
         
                                  
                                 
                                                                                                      
  2022.6.18(土)


  晴れ    単独    聖平上登山口より     行動時間:4H57M


@登山口4:10→(82M)→Aノッキリ5:32→(29M)→B岩菅山6:01〜06→(37M)→C裏岩菅山6:43〜50→(33M)→D岩菅山帰り7:23〜38→(16M)→Eノッキリ帰り7:54→(73M)→F登山口9:07         
                                        


 
@ハイカーだけでなくネマガリダケ目的の方もいた。 @聖平上登山口 小三郎小屋跡分岐 折れた橋に積雪量が見える。
       
アライタ沢沿い アライタ沢渡渉 梅雨時期なので気にしていた通過点だが、泥濘地はそれほどでもなかった。 Aノッキリ
   
岩菅山を望みながら 岩菅山直下 B岩菅山 B唯一の山名表示。シンプルイズベスト。
       
B一等点 岩菅山から裏岩菅山への稜線。 心地いい稜線歩き。 尾根東面に残雪
       
雪が大好きで遊びだす。 C裏岩菅山 Cここの標識はこれのみ。 C左がニノコブ。右に中岳と烏帽子岳。
       
C焼額山 2260m峰の不動明王像。 D岩菅山帰り D祭事があるのか、小屋内にお神酒がデポされていた。
       
Eノッキリ帰り。 アライタ沢帰り アライタ沢で水浴び 小三郎小屋跡分岐。辺りはブナの新緑。
       
F登山口に戻る。駐車スペースが狭く路上駐車が長く延びていた。  




 土曜日早朝での志賀高原は風速8mの予報となっていた。晴れ予報の日であるが、朝は風が強い日。梅雨時期なので、雨の中に歩きたい気分でもあったが、降らないことを疎むことはなく、この風の強さを利用して岩菅山に挑むこととした。と言うのも、岩菅山には蚋が多い。山小屋がありトイレがあるせいなのかとも思っているが、その刺し虫である蚋は風があると姿を消す。

 
 岩菅山と言っても目指すは裏岩菅山で、行ければニノコブを経て中岳、そして烏帽子岳まで足を進められれば100点。しかしニノコブの密藪を分けるのは犬には無理なので、犬連れの場合は登頂できないだろう。すべて踏めれば全5座の2000m峰だが、犬連れでだと4座が無難なところ。2005年の深夜に一度歩いているが、濃いガスの中、登山道さえも見づらい中での行動で楽な行軍ではなかった。行きたいのは山々ではあるが、腱膜炎を思うと、辛くない安全圏内で遊んでおいたほうが無難との判断になった。裏岩菅まで。

 
 1時に家を出る。上信越道に乗ると、軽井沢手前のトンネル群の場所で、二つの大きな追突事故が見られた。一つはトラックが普通車に突っ込み後部がペチャンコになっていた。夜間に交通整理をする警官を横目に、明日は我が身とハンドルをしっかり握る。信州中野で降りて、登山口には3時半に到着。車中泊組がいるかと思ったが、1台置かれているだけであった。準備をしていると、エンジン音が伴ったヘッドライトがやってきて横に停まった。出てきた女性は愛犬家で、迷犬を愛でてくれた。この時、上でまた会うものと思い「ゆっくり歩いています」と告げ出発した。

 
 4:10聖平上登山口を歩き出す。整備されてからしばらく時間が経つ登山道ではあるが、さすが200名山の場所と言えよう歩き易さであった。湿気の多い登山道に、スパッツをしてこないことを少し後悔した。迷犬は構わずビチャビチャと進んでゆく。辺りの新緑は美しく、植生の大半はブナなので、色の統一感が奇麗さを後押ししていた。


 小三郎小屋跡分岐に出て水路脇を伝う。進んでゆくと水路に流れば無くなり空堀のようになり、そこが面白いのか迷犬はその中を歩いていた。そして最初の小谷を跨ぐところは、橋がクの字に折れていた。手前側は急角度の勾配がつき朝露で濡れていて滑るので、利用せず流れの中を通過してゆく。ここから5分ほどでアライタ沢本流を跨ぐ。こちらの橋は状態を保っていた。


 緩斜面歩きが終わり登山道風味が強くなる。ひと登りした先からまた平坦地が現れ、一番気にしていた泥濘地の通過は、意外と乾いていた。梅雨時期でもあり、ヌチャヌチャな状態を想像していたが、靴を汚さず各泥濘地を通過できた。左に沢音を聞きながら登ってゆくと、灌木の向こうに岩菅山の高みが見えてくる。ノッキリには残雪があり、雪の好きな迷犬は目ざとく見つけ雪に体を押し付けていた。


 ノッキリから先は見通しが良くなり、岩菅山の高みを見ながら進むことが出来る。風予報の日であるが、あまり風がなかった。風が無いのはいいような悪いようなで、この状態では蚋を意識せねばならなくなった。向かう先に岩が多くなる。先をゆく迷犬がぴたりと止まった。すると向かいからソロの外国人が現れた。話を聞くと、切明から入山し避難小屋に泊まり、今ほど小屋を出発して聖平に降り、その後は雑魚川林道を伝うと言うから恐れ入った。ここまでの経路にクモの巣が張っていたので、先行者は居ないと思っていたが、切明からの縦走者がいたとは・・・。外国人のバイタリティーを思い知る。迷犬は梯子の登路をどう越えてゆくのかと見ていたら、一つ飛ばしでステップを利用し越えて行った。


 岩菅山登頂。石塔や石碑が信心の場所を示し、この山頂には私設標識が無いのがいい。北側にひっそりと埋まる三角点は一等点なのだが、苔が覆いだし刻みが判読でき辛くなっていた。2001年に初登頂した時は靄っていた。2005年は深夜で雨。今回初めて展望が楽しめる日の登頂であった。経路2時間、小休止を入れてから裏岩菅に向かう。


 裏岩菅側の稜線も見通しがよく、至仏山の山容を南から見ているような雰囲気であった。不動明王が置かれたピークも、何かしらの名前があるのだろう。アップダウンを繰り返しながら進む。尾根の東斜面には残雪が繋がり、帰りに迷犬を遊ばせようと企てる。裏岩菅が近くなると、尾根上にも残雪が残り、そこの通過では迷犬の雪との戯れようが微笑ましい。いつものようにお腹で滑って遊んでいた。


 裏岩菅山登頂。唯一の山名が書かれた看板は、退色して判読しづらくなっていた。北の稜線を見に、山頂から30mほど北に進む。切明に抜ける山波と、その右側に雪を多く纏った苗場山の姿があった。ヤキソバパンを迷犬と分かち合ったら往路を戻る。


 帰路は予定通りに雪と遊びながら戻って行く。ここまで歩いて、何処に余力が残っていたのかと思うほどに雪面を駆け回る迷犬。犬ならばこそで、猫ではこうはならないだろう。猫を連れて山歩きしている人を見たことがないが・・・。復路では、登山口で出会った夫妻に会うものと思っていた。しかし・・・。


 岩菅山に戻る。ちょうど登り上げた男性が居り、「夫婦のパーティーを見ませんでしたか」と聞くと、「見ていない」と返答があった。スワっ車上荒らしかとも考えてしまった。聖平上の登山口から入山し、岩菅山側に登らない利用者がこの時に考えられなかったのだった。避難小屋の中を覗くと、箱に入った日本酒が置かれていた。酒飲みには目の毒だろうデポ品であった。それはいいとして、風が無いので山頂に蚋が凄いことになっていた。迷犬の顔の辺りにも10匹ほど集まってきていた。岩菅山らしくていいが、刺された後の痒みを思うと、平気の平左ではいられない。そう思いつつもすぐさま頭を刺されてしまっていた。やみ雲に虫よけスプレーを噴霧する。展望を眺めながらゆったりと出来ればよかったが、それを許してくれなかった蚋であった。動いていないと刺されるので下山に入る。


 夫妻の姿を探しながら降りて行く。トレランの10名ほどのパーティーを最初に、ちらりほらりとすれ違いが増えて行った。カッキリから尾根を離れると、そこからの登山道脇にネマガリタケの芽が出ていた。ここで気が付いた。あの夫妻は山菜採りだったのかと。何処に向かったのかと不思議だったが、答えを見出し納得できた。泥濘地の通過では、ミニチュアダックスをノーリードで連れている女性が上がってきた。しっかりしつけされ飼い主に纏わりつくように登って行った。


 アライタ沢を跨ぐところでは、迷犬は軽い水浴びをしてゆく。この先の登山道には、大収穫なのか、大きなキスリング二つパンパンになっている状態でデポしてあった。持ち主の声は笹藪の中から聞こえる。そんな風景があちこちにあり、山菜採りも登山道を伝っていることが判った。小三郎小屋跡から降りて行き登山口を見ると、当然のように駐車場は溢れ、路上駐車の列が出来ていた。





 
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