三叉峰        2825m      石尊岳        2810m       鉾岳        2800m  

  横岳旧本峰(大権現)        2826m    
 

         
                                  
                                 
                                                                                                      
  2022.8.26(金)


  雨のちくもり一時晴れ     単独     杣添尾根     行動時間:7H4M


@登山口3:27→(25M)→A北沢橋登山口(東屋)3:52→(166M)→B三叉峰6:38〜41→(9M)→C石尊岳6:50〜52→(9M)→D鉾岳7:01〜03→(5M)→E南進撤退点(鎖場)7:08→(27M)→F横岳奥の院峰南はしご場7:35〜41 →(4M)→G横岳大権現峰7:45〜8:01→(127M)→H北沢橋登山口帰り10:08→(23M)→I登山口10:31                                   
                                        


 
@杣添尾根登山口 A10月10日まで、県界尾根側から林道で北沢橋まで入れるとある。 途中のゲート A北沢橋の南八ヶ岳林道登山口。ここまで車が入れるよう。
       
2016年にスリップしてあばら骨を3本負った場所(渡渉点)。フェルトの滑り止めがされたようだが、また元に・・・。 新道が拓かれデッキも敷設されていた。 ハイマツの新道は、さながらツボ足のような歩行が続く。 雨が強くなり迷犬にも雨具を着させる。
   
途中から県界尾根側。左が前週の大天狗。 途中から三叉峰 分岐到着 B三叉峰。
       
B三叉峰から南側。 C石尊岳。大権現と彫られた石碑あり。 C石尊岳から北西 D鉾岳。愛染明王と彫られた石碑あり。
       
Eこの鎖場の高低差が大型犬には無理だった。日ノ岳は目と鼻の先。 鉾岳西側の鎖場は問題なく通過。 石尊岳再び。 三叉峰南のはしご場は、左側で登下降。
       
自分で場所を選びながら登っていた。 F横岳奥の院峰南のはしご場。ハイマツ帯や下巻きを試したがダメだった。はしごが無かったら通過できた。はしごが邪魔して上に飛び乗れなかった。 F残念そう。中型犬までなら、はしご下から抜けられる。 G旧本峰である横岳大権現峰で登頂とする。
       
G北側 G大権現から大同心 Gコロッケパンと 大同心や小同心以外にも、同心仕様の岩峰がたくさん見られる。
       
G大型犬には伝えなかった奥の院峰南面。 G晴れてきて、赤岳と阿弥陀岳が輝きだす。 G彼にとっての横岳はここ。 三叉峰下降点分岐帰り
       
帰路は新道を嫌い旧道(左)に入って行く。 管理しなくなったようで、大小含め5箇所で倒木が進路を塞いでいた。 倒木の場所は、う回路の踏み跡がある。 新道との合流点。旧道側は枝で塞がれていた。
       
シラビソの樹林帯の中は、登山道にも水を貯え・・・。 段差のある場所も水が溜まりグチャグチャのドロドロで、そしてツルツル(だった)。 枝沢の渡渉点帰り。 渡渉点の沢で水浴びする。
       
H北沢橋(東屋)帰り。仮設トイレも置かれている。 流れのあるゴーロ帯は涼やか。 フェンスゲート帰り。 このプレハブが杣添小屋となるのか・・・。
       
I登山口帰り I駐車場に戻る。  




 真行寺尾根の後に県界尾根を登り、川の字に次は杣添尾根が登りたくなった。地獄谷からツルネ東陵とか天狗尾根をまだ登っておらず、古道の未踏尾根がまだある中ではあるが、主稜線の横岳以南の岩峰群に対し杣添尾根を利用すれば、犬連れでもいくつかは踏めるんじゃないかと考えた。

 
 2016年にあばら骨を三本折りつつも登頂を果たした岩峰群。二十三夜峰は稜線上にある針のような突峰なので犬は無理。現地に行かずとも、野辺山から見上げてもそれが判る。よって日ノ岳まで、鉾岳、石尊岳、三叉峰の4座を目標とした。梯子場と鎖場が連続するエリアであり、進退は現地で判断とした。最悪でも三叉峰が踏めることは過去の踏査から判断できた。

 
 1:20霧雨の西上州を出発する。Windy予想からは、3時以降の午前中は降られないで行動できそうであったが、ほか予報サイトは濡れる可能性を伝えていた。この日の経路は、南牧中学校の交差点で141号と別れた。ここからの道は広く快適で、前回に狭い道で苦労したのが嘘のようであった。石畳の分岐点からは別荘地内を上がって行く。本来なら、別荘管理の邪魔になるだろうからハイカーの車など入れたくないだろう。先に登山道が在って別荘開発が後からだからだろう、別荘管理側で専用の登山者駐車場を設けている。自治体と別荘開発側とで折り合いがついているって事だろう。

 
 平日であり駐車場には1台も見られなかった。杣添尾根に対しては、かなり痛い思いをした場所であり、迷犬が居なければ来なかっただろうと思う。これをトラウマとも言うのだが、現地に到着していながら、前向きな登山意欲が無いおかしな心持でもあった。南牧村も霧雨であった。Windyでは霧雨と予想していたので、ここまでは天気は予報通りであった。

 
 3:28ヘッドライトを点けてスタートする。登山口の立て看板には、県界尾根登山口からの林道が解放されており、東屋のある登山口まで車で入れると出ていた。10月10日までとあるので、まだ期間内であり迷う。ここからの時間を思うと、往復で1時間ほどの省力になることになる。ただもう、スタートしてしまっている。また車に乗って野辺山まで上がりダート林道を走ったら、計算は−60分+30分=−30分になるだろうと思えた。30分差くらいならとこのまま出発してゆく。まあ事前に調べておけば良かったのは言うまでもない。

 
 別荘地内の道を懐かしむように登って行く。夜であれば舗装路を使っても怒られなかっただろう。ただ登山者は別荘地内の道を歩かないよう注意書きがある。プレハブ小屋から左折して進むと、前回は無かったフェンスゲートが設けられていた。ここも鹿が多いことが判る。鹿だけを対象にしているようで下側には空間を持たせてあった。大型犬サイズでもその下から行き来はでき迷犬は進んで行った。開閉しやすい造りで世の中の門扉はみなこの仕様にして欲しいと思えた。流れのあるゴーロ帯を経て林道に上がる。左折して行き北沢橋を渡ると東屋のある広みに到着。車で入れるようにした為か、簡易トイレも設置してあった。そのトイレの向こうで二つの目が光っていた。鹿が居るようだった。ここに到着し気持ち脈が速くなる気がした。事故現場が近いのだった。

 
 南八ヶ岳林道の登山口から3分程進むと、北沢の支流を木橋で跨ぐ。跨いだ先の右岸がフェンス仕様の階段で、ここが事故現場であった。2016年の事故後に南牧村の観光課に電話して、次の被害者が出ないような対策をお願いし、電話口では対応するとのことだった。滑る足許の方は、フェルトを貼って対策したのが見える。がしかしその9割がたが剥げてしまって、この日も雨なのでツルツルだった。あともう一つ、単管パイプのブラケットのボルトが通過者側に飛び出ているのでここも指摘したが、こちらは以前のままであった。現地を歩き、あの日あの時の記憶が克明に蘇る。本来は誰のせいでもなく自分が悪いのだった。

 
 4時が近くなるも雨はやむ気配はなく、雨雲レーダーを時折見ながら降り続くことに対しての覚悟を決める。雨具を着込み
シラビソの樹林帯を登って行く。登山道は沢のようであり、スパッツが欲しいほどだった。苔の植生が多くなると、雨に濡れた各色のキノコが奇麗だった。段差のある場所が連続し、腿上げの動作が連続される。

 
 No4の標高2500mを示す指導標は、やや高い位置に取り付けられている。冬を考慮した設置のようで、下を向いて喘ぎながら登っていると気づかないだろうと思えた。そろそろ森林限界であり、夜明け時刻になっても樹林の中で暗いままだったので抜け出したかった。そして2580m付近から、以前は無かった丸太の階段が現れだし尾根筋に進ませる道となっていた。こちらを新道とするならば、以前伝った旧道との分岐が判らないままこちらを伝ってしまっていた。暗かったせいもある。

 
 切り拓きの努力が見えるが、ハイマツの枝が残り歩き辛い。毛勝三山の、釜谷山から毛勝岳のハイマツの植生のように強固なものばかりで、切り拓くのにも大変だったろう事が判る。進んで行くと3畳ほどのデッキが現れた。2600mの指導標があり、先日登った大天狗のある県界尾根がよく見える。目指すジャンクションの三叉峰もこちらを見下ろしていた。デッキは雨を蓄えツルツルですり足で進んで行く。この先の尾根道は先ほど以上で、ツボ足をするかのようにハイマツの枝の間に足を降ろして進めなばならなかった。四つ足であるが、迷犬はさすがにここの通過は苦手のようで進度が落ちていた。雨脚は強くなる一方で、久しぶりに迷犬にも雨具を着させる。

 
 三叉峰到着。2016年に対し30分余計に費やしていた。もしかしたらデッキのある新道より北側山腹の旧道の方が早いかもしれない。外の雨具も濡れ、中のズボンも濡れ、足に纏わりついて腿上げをする負荷になっていたのもあるだろう。周囲のガスは取れつつあり、YahooやNiftyの予報はハズレで、Windyが当たりつつあった。ここから見る赤岳は、手前にある石尊岳と直線で結ばれているために格好がいい。さてその赤岳側に進んで行く。

 
 南牧村側の斜面に7頭のシカが縦列に歩いているのが見える。場所が急峻のために急ぐことが出来ずに、足場を確かめるようゆっくりと隊列を組んで進んでいる。それが為にじっくりと眺めることが出来た。三叉峰の南の梯子場は、梯子西側の岩壁にある細かなバンドを繋げるようにして降りて行く。梯子場が見えた時はドキッとしたが、迷犬は難なく自力で通過してくれた。そのまま進むと2810mの高みを登山道は通過する。そこが石尊岳。

 
 石尊岳には「大権現」と彫られた石碑がある。三叉峰の北、2829m峰は旧本峰であるが、現在は大権現としている。現地と名づけが合っていないのであった。石尊岳南で登山道は西に降ろす。冬道はそのままハイマツの中に続いている。2016年時はハイマツを分けて進んだが、犬を考慮して今回は西側経由とした。西に降りる場所に鎖場があるが、2箇所ほど微妙な通過点があったが、なんとか飛び降りてくれた。西麓から植生の無い赤ザレの筋を斜上してゆく。

 
 鉾岳には「愛染明王」と彫られた石碑がある。だからって愛染明王岳ではなく鉾岳であった。ここからの南側は切れ落ちており無積雪期はザイルが必要。夏道は西側斜面を巻いて、日ノ岳との鞍部に繋がっている。西に戻り南に行くと段差の大きな鎖場がある、旧道の草付きの道もその下にあるが、露岩を巻く場所の通過は犬は無理。そして今の正規ルートも大型犬を持上げるのは無理だった。胸くらいの段差なら何とかなるが、肩より上に抱えた動作のまま持ち上げることはさすがにできなかった。迷犬は飛び乗ろうと思ってトライするも、岩壁に全く歯が立たなかった。行くべき方向が迷犬にも判っているようだったが、引き返そうと言うと残念そうに踵を返した。

 
 日ノ岳もダメだったか・・・まあこれはしょうがない。人間様にも容易な場所ではないのだから。鎖場を登り返し石尊岳に戻り、北の梯子場は勝手知ったる場所のように迷犬は抜けて行った。そして三叉峰の分岐に戻る。雨は上がり、尚且つ涼しい中での行動なので迷犬も疲れていないようだった。ダメ元で横岳奧ノ院峰を狙ってみる。

 
 2829高点の大権現を越えて行く。鞍部から登ると最初の梯子場。まず東のハイマツ帯に逃げ場はないかと探るがダメ。次に西に下巻きを試みるが、より危険になった。最後に梯子の場所をもう一度検討する。梯子の裏側と岩の間に空間があり、飛び越えられそうにも見えたが、大型犬では頭が閊えて無理のようだった。中型犬なら飛び乗って行けるだろう。4分ほど梯子下でゴソゴソやってみたが、やはりダメだった。引き返し、旧本峰である大権現の2829高点峰で迷犬においての横岳とした。少し佇んでいると晴れ間も見えだす。この稜線でもう少し格闘したいが、狙う場所はもう他に無かった。小同心をとも思ったが、奥の院峰南からでは無理で、残す行動は下山のみとなった。ここは電波がよく入りネット検索が容易であった。この先しばらくは降らないよう。迷犬の雨具を脱がし三叉峰へと登り返す。

 
 分岐点から直滑降的に下降し、帰路は旧道へと入って行く。よく踏まれた道で新道が出来た後でも伝っている人が居るよう。足跡が残っている場所も多かった。ルートが水平になると倒木が続き、大小5か所あった。チェーンソーで切るなどの登山道管理は止めたのか、利用者の踏み跡によるう回路が出来ていた。そして新道と合流する。合流点の旧道側は枝で塞がれていた。新道が主尾根に向け屈曲する場所で丸太階段が設置されていた。新道は遮るものが無いパノラマルート。暑い夏は旧道の方が断然楽だろう。

 
 急なルートをストックを利用しながら降りて行く。何度かスリップしバランスを崩した場面があったが、ストックのおかげで転倒を免れた。ストックがありがたい歳になってきたことを感じる。先ほどまでの雨を蓄えた登山道は、乾いている時よりかなり筋力を使う。途中の水たまりで水浴びを始めた迷犬、澄んでいようが濁っていようが水ならなんでもいいようだった。そろそろすれ違いが考慮できる時間になり、麓側に注意しつつ降りて行く。下からだとそうは思わないが、上からだととても見通しがいい。急峻な場所が多いからだろう。

 
 枝沢の渡渉点で、迷犬は水浴びをしてゆく。この沢、とても美的で絵になる。苔が多いからだろう。クールダウンして少し足が軽くなったのか、迷犬は少し前を進んでいた。そこに女性二人のパーティーが登って来て、うち一人がクマっと発し後ろへ逃げ出した。迷犬の首に巻いた蛍光色のリボンは、この頃には汚れ体毛と同化していた。熊に見えたのも無理はない。丁重に謝りすれ違う。一人は犬と気づいてくれたが、もう一人はクマに見えた事実。人それぞれってことが判る。服を着させていたら違っただろう。メジャールートを歩く場合においての落ち度であった。

 
 東屋のある登山口に戻る。車は無く、先ほどのパーティーは別荘地側から登ってきたことが予想できる。林道を経てゴーロ帯に入り、沢のようになった登山道をジャバジャバと進んで行く。フェンスゲートを開閉したら、プレハブ小屋が見えてくる。富士見岩が気になったが、寄らずに別荘地内へと入って行く。その別荘地内だが、週末利用者に対してか、平日はあちこちで建築・改築工事がされていた。手の入らなくなった別荘地も多い中、ここは作業者が入り維持管理されている現在進行形な別荘地であった。

 
 登山口に戻るも、駐車場に我が車しか見えない。先ほどのパーティーは何処からと思ったら私の車に近接して、向こう側に置いてあった。広いのだから寄せなくてもいいのに・・・と思った。並ぶのが好きな日本人の性なんだろうと思う。

 
 今回は、怪我無く降りてきたことが一番の収穫(笑)。




                                            戻る