妙義山石門コース                                                                                                                                                                                                                 
  2023.3.19(日)


  晴れ    パーティー          行動時間:1H57M


@中之嶽神社駐車場9:45→(6M)→A石門コース登山口9:51〜53→(68M)→B第四石門展望所 11:01〜08→(25M)→C中之嶽神社奥社11:33→(8M)→D駐車場11:42

                                                                                                                                           


 
@快晴の登山日和。ヒルの出る前の僅かなタイミングに児童を連れていざ。 @不安と緊張の彼ら A石門コース登山口 A分かり易い絵図。
       
「かにのこてしらべ」から 第一石門の大きさに感嘆。 「かにのよこばい」鎖にセルフビレイをとりながら・・・。 前パーティーがかなり慎重で長らく停滞。
   
第二石門の「たてばり」 第二石門通過 「つるべさがり」は北斜面で、前日の雨が乾いておらず滑り易かった。 「片手さがり」。無事通過し安全地帯へ。
     
B第四石門前の石門広場は、休憩場所ではなくなってしまった。速やかに通過する場所となった。落石した大岩がそのまま。視覚的に注意喚起になる。 B第四石門。大砲岩側は彼らには無理なのでここまで。 B奇岩を眺める B休憩適地だが、「絶対に立ち止まらないでください」とある。
       
見晴台から第四石門側。 C中之嶽神社奥社 急階段の参道 中之嶽神社に降り立つ。
       
手水にバラ D駐車場に戻る     




 欧米人が子供に必ず釣りを教えるように、妙義の石門に孫を連れていってやるのを使命と思っていた。そしてその日がやってきた。雪解けからの梅雨前までが適期。そこを過ぎるとヒルが出没するエリア。大人なら通年いいが、秋以降では凍って子供には無理の場所になる。観光ルートのような場所ではあるが、けっこう賞味期間が短い場所に思っている。

 
 三百名山として、表妙義縦走路の鎖場は有名。それより有名なのが石門コースの
鎖場。以前は一本杉から金鶏山側の鎖場も伝えたが、山腹の道が出来てからは不通になってしまった。これら鎖の敷設は、国鉄の絡みと見聞きしているが、現在の妙義山の鎖場管理は富岡市と下仁田町と安中市と言うことになる。妙義山に対し、妙義町の自治体名が消えたのが寂しい感じもする。

 
 土曜日は冷たい雨が長く降り続いていた。孫らは土曜日にやってきたので1日停滞する。翌日は快晴で前日の雨が乾くのを考慮し、陽が上がってからゆっくりと現地に向かう。快晴無風、最高の登山日和だった。引っかかるのは岩が濡れている事。完全に安全側に振るなら中止なのだが、体験させてやりたいのが先にあり実行に移す。これをリスクヘッジが出来ていないと言うのかもしれない。

 
 妙義神社から旧有料を上がって行く。桜の里を過ぎ、石門コースの登山口が見えると、2パーティーが入山してゆくのが見えた。この好天に、長い通行止めが解除されたコースを楽しむハイカーであった。ヘルメットを被り、ギヤ装備のパーティーも見られる。久しく来ていないうちに、ここもそこまでの場所になったのか・・・。中之嶽神社の駐車場に入れる。鎖場が重ならないかと周囲のハイカーを探すが、幸い観光客ばかりであった。

 
 9:45出発。車道脇を旧アスレチック場まで歩いてゆく。横断歩道を渡り登山口へ。さあ開始。階段路を登って進み、最初は「かにのこてしらべ」。ここで児童らの状況を確認しようと思っていた。ここを怖がるなら、この先は無理。心配をよそに1年生の女児も自力で楽しそうに這い上がってくれた。ここを抜けると第一石門で、最初その自然美に児童は気がつかなかった。場所を教えてやると感嘆の声を上げた。気がつかなかったのは、予想以上の大きさに目で追えなかったのだった。見慣れないモノって事になる。

 
 さて第二石門の難所。前パーティーが詰まっており、ツアーなのか「かにのよこばい」でリーダーがカラビナの使い方のレクチャーをしていた。休憩しつつその様子を目で追ってゆく。リーダーともう二人は慣れた様子でスイスイと進んでいた。しかし最後の男性が・・・。支柱ごとにスクリューロックを締め直し進んで行くのでとてつもなく時間がかかっていた。こんな場合、煽り運転と同じになってしまうので、じっと我慢だった。男性はリーダーに対し2番手を行くべきだったろう。もしくはその前を。「たてばり」でも同じことであり、横ばいの途中で10分ほど停滞になった。

 
 小3の児童を先頭に、こちらも初体験者にセルフビレイをレクチャーし進んで行く。私は安全環無しのカラビナを各人に渡していた(笑)。チムニーの中を進むのだが、これだけごつごつしていても足場が無いように見えるよう。すると鎖を握る腕力頼みになる。初心者の陥る罠であろう。靴のコバの使い方と、足場の見定め方を伝え上に見送る。そして1年生の女児を抱えるようにして這い上がって行く。さすがに1年生だと足場が上手に選べなかった。

 
 第二石門の後半は「つるべさがり」で、距離がある。みなを待機させ、小3をフォーローしながら一度下まで。大人に降りてもらったら、登り返し最後は女児を降ろして行く。雨上がりであり、乾いていれば使える西側のステップがツルツルだった。東側の土の詰まった場所も湿っており、中盤以降の傾斜が緩んだ場所の方が滑りやすかった。皆には手袋をするようにとさせていたが、自分は端折って行動していた。鎖を掴んでの最後の最後で、バランスを崩し鎖にフラれスリップ。女児を守った結果は、小指裂傷でしばらく血が止まらなかった。ぽたぽた垂れる状況に児童らが不安そうに見入る。「ほら、手袋をしないとこうなるんだ」と教えることが出来た。

 
 一番の危険個所が終わり、もう一つ「片手さがり」。先ほどのつるべさがりを体験すると、ここの難易度は低くなり、皆もう慣れた感じで足を降ろして行く。女児も鎖を掴みながら屈伸を使いながら足場に足を置いてゆく。習うより慣れろな感じであるが、短時間でだいぶ慣れてくれた。この時は言わなかったが、児童らは、鎖場がかなり怖かったと言っていた。途中で泣き言を言わなかったのは助かった。片手さがりを降りればもう、危険個所は無い。

 
 石畳のような階段路を上がって行く。以前(落石前)は上に東屋が見えたが、今は明るい空間が広がっていた。石門広場はどのように変わったのかと期待しながら登って行く。日差しが強く、初夏のような陽気になった。児童らはTシャツで行動していた。ちらほらと石門コースに入っているハイカーが目に入る。逆コースで辿る人も居るのだった。

 
 第四石門前の石門広場に到着。山手側にフェンスがされ、東屋は基部の丸太断面のみになっていた。そして大岩が置かれたままになり、それが為に危険な場所とアピールされている感じだった。注意書きがあり、「速やかに通過し、絶対に立ち止まらないで」とまで書いてある。休憩適地だった場所が、休憩できない場所になってしまっていた。大砲岩側から声がしている。面白い場所なので連れて行ってやりたいが、児童らには現地の段差は無理だろう。第四石門下から眺めるだけにした。

 
 石門南の展望場から南を見る。浸食で出来た岩塔を見て、「中国のよう」と声が上がる。
武陵源の事を言っているのだろう。中国に行かずとも、ここで似たように見えるのだから安いものである。中之嶽神社側へと進んで行く。途中の見晴台には、神社側から進んできた観光客が見られた。全く登山の格好をしていない人と展望場で交わる妙義ならではの面白い場所。大岩の上にあがると、先ほど居た第四石門が見下ろせる名前の通りの展望場であった。

 
 分岐から下り、しばらくした頃に老齢なご夫妻が登ってきた。かなり足許が怪しい。「子供の声がしたので、子供でも上がれるんだと思い上がってきちゃいました」と言う。見晴台まで行くのにまだ20分ほどかかりそうに見えた。当家のパーティーのせいで進ませてしまったようだった。心配になるくらいにヨボヨボと歩かれており、折角ここまで来たのだからと思い「引き返した方がいい」とは言えなかった。

 
 中之嶽神社奥社に到着。観光客で賑わっていた。急階段を降りて行く。コース最後のこの急参道は堪えるようであった。中之嶽神社に降り立ち観光客にまみれながら駐車場に戻って行く。この日に限ったことではないが、駐車場からの排気音が騒々しい。四輪や二輪、高級車や改造車が走りに来る場所でもあった。

 
 事故なく無事連れることが出来たので肩の荷が下りる。ここを体験しておけば、大概の鎖場は楽に思えるだろう。人生の中に起こる乗り越えなければならない事、児童らが避けて通らない人になればと思う。

                                                                                                                             戻る