横岳 2142m 角兵衛沢ノ頭 2600m 鋸岳 2685m
2004.7.10
晴れのち雷雨 単独(角兵衛沢ノ頭からパーティー行動) 釜無川林道ゲートから入山、鋸岳を経て戸台まで。 行動時間:17H32M
@釜無川林道ゲート0:17→(134M)→A第6堰堤2:31→(10M)→Bログハウス2:41〜47→(36M)→C富士川水源3:23〜52→(45M)→D横岳峠4:37→(34M)→E横岳5:11〜31→(17M)→F横岳峠5:48→(124M)→G三角点ピーク7:52→(122M)→・編笠山に向かい途中で引き返す→G三角点ピーク再び9:54→(5M)→H角兵衛沢ノ頭9:59〜10:02→(5M)→I角兵衛沢ノコル10:07→(45M)→J鋸岳10:52〜12:08→(22M)→K鹿窓12:30〜44→(45M)→L第2高点13:29→(25M )→M中ノ川乗越13:54→(122M)→N戸台川に降立つ15:56〜16:01→(22M)→O角兵衛沢分岐16:23→(86M )→P戸台ゲート17:49
@林道ゲート。「入山禁止」。付近の土地管理者は某建設業者のよう。 | @一般車両通行禁止。ゲート前の余地に停めた。 | A第6堰堤。小学生の名前が銘板に。 | Bログハウス。小屋内へは施錠。 |
B小屋の下が利用可能。 | C水源地への分岐 | C富士川水源。 | 田子浦高校と大昭和製紙の標識 |
D横岳峠 | E横岳山頂。 | EM大の標識は判読不能。 | E横岳。御料局の三角点。 |
F横岳峠再び。 | 途中から北岳側 | G三角点ピーク | G三角点ピークから編笠山への道形。 |
G三角点ピークから編笠山側? | H角兵衛沢ノ頭。 | I角兵衛沢ノコルから下。 | Jもうすぐ第1高点。 |
J鋸岳。山梨百名山の標柱。 | J標柱 | 小ギャップに向けて猛者パーティーに混ざって下降開始。 | 小ギャップへ下っている私。 |
小ギャップへの下降中。 | 薮山愛子さん下降中。岩慣れしておりしっかり体が離れている。 | K鹿窓 | 鹿窓の下から見上げる。 |
第3高点下のトラバース登中。 | L第2高点通過。 | 第2高点側から中ノ川乗越への標識の場所。 | M中ノ川乗越のガレ。 |
M中ノ川乗越を下から。 | 熊穴沢左岸には、降雨により小滝が出来ていた。 | N戸台川に降立つが、やや濁流。 | O角兵衛沢への分岐。(下流から撮影) |
戸台川左岸の道を行く。 | P戸台駐車場から見るゲート。 | P戸台駐車場 |
家を22:00出発。八ヶ岳南面道路を使い小淵沢インターの脇を通り国道20号線へ。そして釜無川林道に入りダートを進む。土木工事業者の建物の脇を通りさらに奥へ。すると林道を遮断するゲートが立ちはだかった。「入山禁止」の文字も大きく見える。なぜかその看板は行政のものではなく、ここの作業業者によるものであった。と言う事はこの先の林道は私有地となるのか・・・。「駐車禁止」の建て看板があり置く事を禁じられていたが、堂々その前に置く(23:50)。既に1台の車があり、その横に折りたたみ自転車が置かれていた。この人は自転車で入るらしい。すぐに準備をして0:15歩き出す。ゲート脇は、モンキーなら持ち上げられそうな感じであった。自転車なら楽々だろう。
鈴を鳴らしながら永遠と歩く。時折ヘッドライトに獣の目が反応する。足元に狸や鼬が姿を現す。どうも彼らは目がよく見えないらしく、鼻をしきりに使っていた。その距離1m。作業者が入っているので人の存在には敏感になっているはずだが、逃げないのが良く判らなかった。林道は途中で分岐するが、分岐した道が再び合わさる。その先も同じような分岐があった。5番堰堤の前には幾つもの飯場が見えた。川の左岸をしばらく行くと、目の前に大きな第6堰堤が見える。赤く塗られた補強の鉄パイプが美術造形品にも見えた。ここで道は行き止まりかと思ったら、その横にタイガーロープが張られ上に導いていた。かなりの急勾配で車はやっと登る感じであろう。堰堤の上には銘板が付けられ、半田小学校の生徒の名前がなぜか入っていた。道はここから少し狭くなり暗くなる。と言っても夜なので元々暗いのだが、樹木に覆われた道となった。途中1台の軽四を見える。よく判らぬがカメラ屋の名前の入った可動車であった。
目の前にログハウス出現。道はここで行き止まりとなった。小屋は綺麗で煙突の様子から中には薪ストーブもあるようであった。傾斜を利用した地下部はビバーク用に板張りになっており、使って良いとの文言が書かれていた。何の目的で建てられたのかは不明だが立派な小屋であった。小屋の前には水が流れ、感じのよい場所であった。少し休んでここから登山道。マーキングに従い川に下りる。川には幾つものマーキングが丁寧にされていた。それに伝いながら右へ左へ。思いのほかマーキングが散見された。
富士川水源分岐の標柱。ルートが判らずここを左に行ってしまい結局水源に行き着いてしまった。多分分岐のところで右側に行っているルートを辿るべきだったのだろう。でも水源の水は美味い。この美味しさを味わえただけでも間違えたのは損ではなかった。戻りながら分岐手前で左に道が上がっているようなので辿ってみた。先ほどまでのマーキングは無いので道を逸れてしまったことは確認できたが、なんとなく踏み跡は続いている。しばらくして草付きの所に出た。一瞬横岳峠なのかと思ったが先に傾斜はまだ続く。ここには1枚の標識があり登山道なのかと勘違いしたほどであった。ここから全く道を失ってしまった。しょうがないので藪漕ぎをしながら上を目指す。少しづつ夜が明け始めたのを幸いに明るい方向を目指して進む。かなり急峻になりザレ場の通過もあり、最後はシラビソの幼木をかき分けながら尾根に出た。登山道にぶつかり高度計から現在地を把握し、少し横岳峠より東に居る事が判った。そして登山道を下り4:37横岳峠到着。幕営者が多いのか空き瓶やゴミがかなり残っていた。
横岳峠から横岳方面には薄っすらと踏跡がある。なんとなくそれを辿りながら上を目指す。ガスがかかりだし付近の景色が見え辛い。道形は獣の足跡なの人間のものなのかしまいには判らなくなった。そして横岳山頂。M大学の青い標識がそこにあった。ブヨが異常に多い。トランシーバーを握っていると、腰や手、腕に幾つも刺されてしまった。虫除けスプレーをしても追いつかない状況であった。帰路は歩いてきた方向を見失った。見失いやすい山容であったので注意してマーキングを付けていたのだが、結果として用を成していなかった。左右にずれながら来た道を探す。このような山の場合はもう少しマーキングが必要であろう。自分の反省材料になる。
横岳峠再び。ここから辛い急登が始まる。高度計を見るとまだ標高差500mほどある。ここからどれだけ歩けばいいのか。富士川源流からのルートミスと横岳登行で結構に疲れていた。途中振り返ると、今ほど登った横岳が同じ標高に見える。さらには甲斐駒や北岳の雄姿も見える。それも短時間でガスに飲み込まれ、以後一度も見られなくなった。上にあがるに従い第1高点も見られたのだが、同じようにガスに包まれて行った。ヘロヘロになりながら稜線上部に上がる。すると分岐があり目の前の石には赤いマーキングがされている。ここを右に行くと鋸方面。今回は編笠山も狙っている為、三角点峰へ向かう。
三角点峰到着。予想外に狭いピークで、道はさらに先へ通じていた。ここでザイルをデポして、その道を辿る。歩きやすくは無いが道になっている。しばらく辿るが、かなり濃いガスに巻かれ出し視界が無くなった。踏み跡も途中で消え失せ、やや広い尾根上をどこを行けば適当なのか右往左往としていた。大体の方向は判るのだが、何度も地図と現地の様子を見ながらストップ&ゴーの繰り返しであった。磁石を使うのだが、どうも途中でおかしな動きをするようになった。磁場がおかしいのか判らぬが、これは自然が「今日は止めろ」と言っているような気がして、途中で編笠山は諦めた。珍しい撤退となるが、まー納得の撤退である。少し戻り顕著なピークの上で小休止、少し目を閉じると寝てしまいそうであった。周囲ではホシガラスが警戒音を出していた。
再び三角点峰へ。ザイルをザックに入れ、さー鋸岳へ。先ほどの分岐をこちらからだと左に進む。目の前に岩峰がある。これが角兵衛沢ノ頭となる。知らなければ通過点のような場所である。角兵衛沢を見下ろすとはかなりガレて居るのが判る。ここを今日は鋸岳で合流する薮山さんのパーティーが登ってくるのだが、まだ1時間ほどは早い。とりあえず今日の最高点を踏んでしまおうと先を目指す。アップダウンを2回ほど繰り返すと目の前がガスが切れピークが見えた。ここが第1高点で、難なく登り上げ鋸岳到着。誰も居ない山頂に一人陣取り儀式に入る。場所よろしく各方面からパイルであった。
そうこうしているうちに釜無側から一人上がってきた。多分ゲートに居た沼津ナンバーの人だろうと声をかけたら予想通りであった。話を聞くと、途中で2度ほど迷ったらしいが、それでも7時間30ほどで到達している。そうこうしているうちに男性2人、女性2人が上がってきた。薮山さんのパーティーであった。久しぶりの再会であった。いつものように記念写真を撮り、持ち上げていただいた葡萄を頂く。さすが山梨の方。珍しいイチジクも良く冷えていて美味しかった。女性が居るとこの辺の気遣いがあり山行も違ってくる。この先、戻る事も予定していたが、薮山さんのパーティーの好意で戸台に一緒に下りて便乗させてもらうことになった。鋸岳は核心部の鹿窓を通ってこそ値がある。そう思っていたのでうれしい限りであった。小休止の後、ヘルメットを被り下山となる。雨が強く長居が無用であった。
しばらく道なりで小ギャップとなる。新設の鎖がキラキラ光っていた。先ほど山頂無線で情報を得ていたので鎖が新設されたのは知っていた。それもこの日の1週前の設置と言うから使い初めみたいなものだ。それを使い1番に下る。ここをザイル無しで上がるというが、上がれても降りられないだろう。この時の為にザイルを持ち上げて来たが出さずに済んだ。鞍部に下りると両側が切れ落ち、なかなかの高度感があった。再び登り上げ、ナイフリッジをまたぎ降りると、そこが鹿窓であった。ここから鹿窓を右に見ながら稜線に上がると第3高点に行けるらしいが今回は割愛。それと山梨側にシュリンゲが何本も見える。ここを伝いながら大ギャップに行くらしい。こうなると別世界である。ここも新設の鎖が流してあり、ザイルは無用。トップで下るが長さは40mほどはある。途中で腕力が無くなったら終わりである。鎖が長い事で、振れ幅も大きく常に落石があり要注意。ヘルメット携行は正解であった。
鎖を離したら踏み跡でしばらく下り、左側の鹿窓から降りてくる谷に注意しながら進む。踏み跡がいくつかに分かれるので間違いやすい。谷を挟んだ東側にバンドが見える。ここは2本目の下のバンドを使う。ザレタ場所のトラバースをしてバンドを辿り、次ぎの谷に入る。今度はこの谷を登る。かなりザレていて上からの落石も多い。10mほど上がったら右側に移る。すると登山道が続いていた。ここから登り上げると第2高点であった。雷雨の中の行動となり落雷を気にしながら短時間で通過。熊穴沢の道標に導かれ、草付きの九十九折を下る。この下りは落石も多発。パーティー歩行の時は要注意であった。
中ノ川乗越到着。この先に三ツ頭と烏帽子岳があるのだが、この時はそんな余力は残っていなかった。小休止の後下山となる。悪天であり心に余裕も無く、進むべき方向に道など全く見えてこなかった。リーダーの後を追いながら下るのみとなった。地図では破線ルートだがかなり不明瞭に感じた。リーダーも過去の記憶を辿りながら歩いているのが判る。それでも悪天がもたらしたご褒美と言うか、大雨が滝を作り自然の景観も楽しめる。それにしてもリーダーの足の速さ。流石に私も付いて行くのに精一杯であった。何を隠そうこのリーダーは、鋸岳の山梨百名山の標柱を持ち上げた方であった。樹林の中、沢と交互に現れる。中間地点には標柱があり、道があることを確認できるが、何か人工物が目に入ったのは全ルートの中でここだけであった。いくら歩いても下に着かない感じで、下りでありながら辛く感じていた。景色が一緒である事がそうさせているのだろうか・・・。
やっとの事で戸台川が見えた。しかしそこは濁流が流れ容易に渡れなかった。一番緩やかな場所を選ぶが、なかなか水圧があり気を抜くと足を掬われそうでもあった。膝まで濡らして川を渡り対岸の登山道に乗る。一度靴を脱ぎ靴下を絞る。そして心機一転靴を締めなおし、戸台へ向かう。緩い勾配の道で非常に歩きやすい。途中の河原には大きなケルン状の物が見えた。そこは焚き木跡が残り、どうもザイル祭りが行われる場所のようである。近くにタープが張られた場所があり、その先には岩屋のゲレンデがあった。この先に堰堤があり、手前で渡渉して堰堤を越えるとそこから車道が続いていた。車道は2箇所崩落し狭くなっていた。ここからは短いと思っていたが結構に長く、歩き疲れた頃に戸台駐車場到着した。
薮山さんの車に便乗させてもらい、まず仙流荘の温泉へ行く。そして高遠でそばを食べ、杖立峠を越え車のある釜無川のゲート前まで送っていただいた。おかげ様で無事周回が出来た。大先輩であるが、山の友とはありがたいものだとつくづく感じる。長い一日がやっと終わった。車に乗ったのが21:00。睡眠不足のため何度も仮眠をしながら、家に戻ったのが朝の4:00であった。これほどに睡魔に襲われたのは久しぶりであった。パーティー山行で気を使ったのと、蕎麦で腹が膨れたせいもあろう。何はとこあれ鋸岳を踏めた事はうれしい限りである。
以下に図示されている軌跡はかなり不確かです。おおよその参考までに。