霞露ヶ岳 514m
2009.8.14(金)
晴れ 同行者あり 漉磯の峠側登山口より 行動時間1H42M
@峠側登山口5:28→(8M)→A林道分岐5:36→(40M)→B霞露ヶ岳最高点6:16〜23→(8M)→C三角点峰6:31〜33→(4M)→D登山道に出る6:37→(23M)→E鳥居(林道分岐近く)帰り7:00→(10M)→F登山口に戻る7:10
@登り口。左の標識には山頂まで3Kmとある。 | 歩き易い林道。 | A林道分岐箇所。ここは左に。 | 分岐から1分ほどで鳥居をくぐる。 |
残り1キロ表示だが、もっとあったような気も。 | アカマツとクヌギが絡み合っている。 | ホトトギスが綺麗に。 | 山頂直下で霞露ヶ岳神社の古い鳥居を見る。上への参道も古い。 |
B霞露ヶ岳最高点。展望なし。 | B山頂から北側。白くガスに巻かれているのが見えるだろうか。 | B西側から東を見る。 | B2.5mほどの高さの場所に付けられていた標識。 |
山頂を僅かに下ると大岩を擁した霞露ヶ岳神社がある。 | C三角点峰。二等点。 | C三角点峰から見る南側の展望。 | C三角点峰にも「霞露ヶ岳」と書かれた朽ちた標識が残る。 |
三角点峰の西側尾根の様子。葉が落ちればいいが、この時期は方向を見誤り易いような。 | Dピンクのリボンの場所で登山道と合流。 | E鳥居帰り。この先が林道分岐。 | F登山口に戻る。駐車スペースは日影。 |
宮城県は山田町、その山田湾に浮かぶように太平洋に突き出ている場所がある。一見島のように見えるが、首の皮一枚のように陸続きとなっている。その突き出た場所の最高峰が霞露ヶ岳となる。以前、長野の霧訪山を山名事典から見つけて訪問したが、今回もこの山を見つけた時は、そのときと同じようなワクワク感が湧いてきた。なんとも魅惑的な名前であり、そこからはいつもかも霧に包まれているような、そんな連想が出来る。場所が海の際だけに、青い海と、陸地の緑、そしてガス(霧)とで、その場所は荘厳な場所だろうと空想していた。
前夜、山田町地内でこの山の情報を聞くが、地元でもあまり登っている人は居ないようであった。まあ山登りは趣味であるから、その趣味を持たぬ人は登らないのは当たり前である。最後に「道の駅やまだ」の店長らしき人に話を聞くと、「明日の朝刊に『遭難』で載ってね」と笑いながら話してくれた。登った事があるようであり、それほどに楽な場所と言う事の裏返しだろう。
翌朝現地に向かう。現地までには道標は一切無いので、地形図を見ながらカーナビの現在地と見比べる。大浦地区で少し道が入り乱れているのでちょっと注意。そして周囲の民家が無くなり、左に海を見ながらの山道になると、その先は一本道となる。この場所にして綺麗な最近舗装されたような道となっていた。しかしそれも途中からダート林道に変わる。この先の漉磯地区には住まいしている方が居り、間違いなく現在進んでいる道が、ライフラインの道である事に違いない。それにしてもダート、そして狭い。
ゆっくりと重たい車を上げてゆくと、峠を手前にして人影が動いた。どうやら炭焼き作業をしている方が居るようであり、この先50mほどの間、道の両側には作業道具や生活道具が沢山置かれていた。先ほどの人はどうやらここで生活しているようであった。周囲には田んぼもあり、食物を自給している様子はあるが、見える家はバラックのようであり、田んぼ以外の部分からは生活感が無い。もう一つ不思議に思えたのは、ここから先は綺麗な舗装路であった。先ほどまでの荒れたダートがウソのような道と変わったのだった。ここを過ぎると山手(左)側に山道が入っている。しかし「入山禁止」の文字がある。その意味は周囲の赤松の植生ですぐに判った。マツタケ山なのである。もうそろそろ出る頃であり、ここからの入山は避けた。本来は海抜0メートルの入山口から登るのが順当に思っていたが、旅の予定がいくつも入れられているので、ここで長い時間を費やす事が出来ず、楽なルートをと、標高差のあまり無いルートを使う事にした。これは私と言うよりは同行者の要望でもあり、従うしかなかった。
入山禁止を左に見て(地形図の破線の場所とは違う様子)下り勾配になると、僅かに進むと、左側に「霞露ヶ岳 3km」の標識があった。距離的には海から登るルートとそう変わらない様子であるが、やはりここは高低差を重視してここから入山する事にした。駐車スペースも林道入口前に3台分ほどあり、程よい木陰で夏場でも涼しい駐車場となっていた。
スタート。林道は車で入れば良かったかと思うほどに状態がいい。それでも先ほど逢った住人の顔がすぐに浮かんでくる。ここも彼の仕事場のはず。山手側の斜面には、キャタピラーの付いた小さな運搬車が放置されていた。時折、青いプラスチックプレートが木に掛かっているのが見えた。何のマーキングなのかと不思議でならなかったが、ある場所でその答えはあった。木名の説明板であった。
スタートから8分ほど歩くと、分岐が現れる。どちらに進むのか迷う分岐だが、より高い方へと左側の道を進んで行く。するとすぐに古い鳥居をくぐる。ルート全体は、広く歩き易い道がほとんどだが、この先一部のみ、15mほどモシャモシャとしていた。半ズボンの同行者は、棘類のある野草で足に傷を作っていたようだ。
緩やかに高度を上げてゆくのだが、ここは驚くほどに菌類が多い。タマゴタケやホコリダケなど、菌類に疎い私には判別不能な多種のものが登山道周囲に見られた。それから常々の湿気(ガスによる)からか、樹木の成長がいいようで、目を引く大木が多いように見えた。310高点の南で尾根に乗った格好になると、気持ちよい北からの風を受けられるようになって、これまでのドンヨリとした暑さが一掃される。ただ海が近い場所であるが、その海を見下ろすほどに展望の良い場所はない。このまま一気に登り勾配で山頂へ向かうのかと思ったら、三角点峰を巻き込むように進むので、ここでのトラバース時にやや高度を下げつつ行く。このトラバースが始まる場所には、三角点峰への尾根入口にピンクのリボンが縛られていた。
三角点峰を南から巻いて、次が本峰なのだが、ここでもルートは南を巻き出した。てっきり直登するものと思っていたが、やや薄暗い樹林帯のトラバース道となる。その途中に霞露ヶ岳神社奥社があった。祠への参道は、石積みの古いもので、昔の状態が今も保たれていた。参拝は後回しにして、山頂を急ぐ。道を行くと海からの登山道と合流し、僅かに登り上げると山頂であった。
霞露ヶ岳の山頂には大きな行政の標識があり、狭い山頂でのこれは、かなり威圧感があった。なにかほかに標識が無いかと探すと、北側の木、2.5mほどの高さの場所に、黄色い文字の標識が結わえられていた。察するに残雪期での設置されたものかもしれない。山頂から北へも道が降りているので、少し伝ってみたが、展望の良い場所は見出せず、すぐに踵を返す。残念ながらこの山で海が見下ろせるような場所は無いのであった。
山頂から僅かに南に下ると、先ほどの奥社への踏み痕が続いている。行ってみると、大岩が御神体のような祠のような役割をしていた。沢山の剣が納められ、その錆びに、ここの古さを感じる。旅の安全を祈願して下山に入る。と言っても気になるもう一峰がある。そう、先ほど巻いてきた三角点峰である。514高点に設置せず、504.2に付けたと言う事は、おそらく三角点峰の方が展望があるのではないかと期待が出来るのであった。奥社の古い参道で登山道まで降りたら、すぐに登山道を離れて、三角点峰への尾根に乗り上げる。薄っすらと踏み痕があり、やや分けながら進んで行く。
三角点峰到着。案の定こちらの方が南側が開け、先ほどの山頂とは、展望に関しては雲泥の差であった。周囲の山々は下層にガスが垂れ込め、そこそこ荘厳な景色と言えるものであった。朝、道の駅側から見た時は、この山もガスに覆われていたのだから、これだけの展望を見させてもらえれば御の字であった。そして足許には二等点が鎮座しており、三等点くらいだろうと思っていた私には、嬉しい部分であった。展望が良いが、この山頂部も狭く長居は無用。下山に入る。速く無難なのは来た尾根を霞露ヶ岳の方へ戻る選択となる。しかし先ほどピンクのリボンを見ているので、西側の尾根にも踏み痕があるように見えていた。西進して行く。
三角点峰の西は、最初の3mほどがかなり濃い薮となり、それを抜けるとやや歩き易い場所が続く。伝いやすい尾根と言うよりは、やや広い地形なので、進むべき方向を見誤らないようにしたい場所であった。自然地形に沿って行くと、狙う方向より北側に寄っていってしまいそうな場所となっていた。南側に登山道があることを意識して南寄りに進むのがいいかもしれない。適当に斜面を降りてゆくと、ドンピシャでリボンの場所に出た。ここで登山道に乗り、大きなストライドで闊歩して降りて行く。
尾根から外れ南へのルートになると、また風が途絶え、モワッとした暑さが甦る。前夜飲んだビールが汗腺から噴出してくるようであった。鳥居が近くなると、青いプレートが散見できた。珍しい木もちらほらあり、それらを見つけては近づいて行き、プレートに書かれた名前で植物の同定をしつつ足を下ろして行った。もうこの辺りになると道の状態は超一級であり、ゴールが近い事が意識できる。
登山口に到着する。駐車スペースは相変わらず木陰になっており快適だった。今回辿ったルートも意外に距離があったので、海岸から登らなかった事をちと悔いたりもした。やはりここは海抜0mから登る山として面白みがあるのかもしれない。
帰りは陸前山田温泉に寄ってから、旅を続ける。
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