トマノ耳  1963.2m      オキノ耳    1977m       

 
2009.8.25(日)   


   曇りのち雨    同行者あり     のんびりハイキング           行動時間5H


@ロープウェー麓駅7:30→(13M)→A山頂駅7:43→(37M)→B熊穴沢避難小屋8:20〜23→(61M )→C肩の小屋9:24〜35→(6M)→Bトマノ耳9:41〜43→(11M)→Cオキノ耳9:54〜56→(21M)→D肩の小屋10:17〜50→(47M)→E熊穴沢避難小屋11:37→(42M)→F山頂駅12:19〜29→(13M)→G麓駅12:42


cyuusyajyou.jpg  gondora.jpg  start.jpg  tenjinbunki.jpg 
@谷川岳ロープウェー屋内駐車場。 @ゴンドラに乗り込む。 A登山開始。リフトは使わずに・・・。 天神峠分岐。
nobori.jpg  kouyouto.jpg  sancyougawa.jpg  kumaanazawa.jpg 
尾根に乗る。 尾根道と谷川岳山頂部。 往路ではガスが晴れ、なかなかの展望があった。 B熊穴沢避難小屋前では20名ほどの大パーティーが休憩中。
gasu.jpg  oosyouji.jpg  kananokoya.jpg  tomanomimi.jpg 
途中から後ろを振り返る。 大障子ノ頭側。 C肩の小屋もガスに包まれ。かなり強風。 Dトマノ耳。
ryousen.jpg  okino.jpg  katanokoyakaeri.jpg  koyanaibu.jpg 
稜線歩き。 Eオキノ耳到着。  F肩の小屋に潜り込む。  F小屋内部。売店側。
kudari.jpg  kumaanazawakaeri.jpg  heturi.jpg  cyoujyoueki.jpg 
沢山のハイカーが行き交う。 G熊穴沢避難小屋帰り。 帰りの鎖場トラバース。 H頂上駅に到着。


 
 6月の虫倉山に続き、看護婦(士)さんらを連れての第二弾企画。前回は酷い天気の中の行脚であったので、今回は楽しめるほどの天気になって欲しい。でも予報は下り坂で微妙な天気。よって今回も場所選びに苦労する事になった。やはり有名処の方が下山後に周囲に話がし易いらしく、それならと百名山に絞って場所を探す。草津白根、木曽駒、金峰山などが候補に上がり、最後に谷川岳が目についた。登り2時間くらいを目安にすると、どこも有効圏内。あとは皆さん上州の方なので、インパクトとしては谷川岳に軍配が上がる。下山後の職場での会話まで考慮に入れて場所選びをするこの優しさ、このままだとツアーガイドになれるかも・・・。


 最初は9月の予定であったが、私の都合で10月の後半になってしまった。10月は初冬でもあり、下手をすると寒気(さむけ)に当って山を嫌いになってしまう事も考えられる。一方晴れれば、そこには澄んだ空気があり紅葉と言うお膳立てがある。どちらかに転ぶかで明暗が分かれる季節でもあった。防寒用に最低限の帽子や手袋、一枚多めの上着を用意してもらってその日を迎えた。


 高速インターの入口駐車場に集合して、便乗して関越道を新潟に向ける。今日は総勢4名。車内が賑やかのまま水上インターを降りる。今日のこの辺りは濃霧注意報が出ていたが、予報に反して視界があり周囲の紅葉が綺麗に見えていた。土合の駅を過ぎ、ロープウェーの駅舎に到着。ここに屋内駐車場があるとは露知らず、今回は珍しついでに500円を払ってその中に停める。駐車場内の車はまばらで、そこに登山者が数えるほどしか居なく各々身支度をしていた。駐車場から山を見ると、かなりいい紅葉がある。本当は上にあがらずとも、紅葉を愛でるならここでいいのではないかと思えていた。3名の準備が終わり、2000円で往復チケットを買いゴンドラに乗り込む。


 頂上駅に着き乗り継ぎのリフトに誘われるが、ここまで楽をさせてもらったので、しっかりと歩きあげる事にする。なだらかな道は、虫倉山で鍛えた彼女らには、本当に楽に思えるようであった。その為か、談笑の声も大きく至極楽しそうであった。目指す山頂側は見えており、「あそこへ行くのですよ」と伝えると、「遠〜い」と返答が・・・。もっと短い距離でも良かったのか・・・。しかし、このルートの本番は、熊穴沢避難小屋から先の急登であり、現在は準備体操のようなものであった。


 熊穴沢避難小屋は休憩者で満杯。どこから湧いてきたのか、沢山の登山者が居た。この先は大パーティーの連続。最初のパーティーのザックには「名古屋」と書いてあり、遠方からの訪問者に流石百名山パワーと思える。登山道は完全に渋滞状態で、岩交じりの急登をストップアンドゴーを繰り返す。しかしラストに居るサブリーダーから前に居るリーダーに声がかけられ、これにより大パーティーを追い越す羽目に・・・。ギヤを変えて喘いで登っていた我がメンバーは、20人近くを急いで追い越さねばならなかった。かなりしんどそうに着いてくるのだが、渋滞のペースでちょうど良かったのだった。高度を上げてゆくと、次第にガスの中に入り風も強くなってきた。後を見ながら少しスピードを上げる。ゆっくりは寒さにつながり、少し体温を上げてもらうためでもあった。


 肩の小屋に到着し、流石に寒さに耐えられず小屋の影に隠れて雨具を着込む。この時にグローブを咥えながら着込んでいたら、一瞬気を抜い瞬間にグローブを風に持ち去られてしまった。あっという間に数十メートル飛んで、手の届かない彼方へ・・・。気に入っていたモノだったのに・・・。雨具を着込んだ皆の表情は硬い。まあこの天気ならこうなるのはしょうがない。「最後のアプローチですよ」元気づけ、山頂に向ける。


 30分前はしっかり見えていたのに、もうしっかりガスの中となっていた。トマノ耳に到着し、一応登頂を祝う。風も強い事から、メンバーに「ここで納得なら、これで降りますが、この先に最高峰があります」と言うと、「行けます。お任せします」と返って来る。そうこなくっちゃと先に足を進める。背中側のガスの中から登頂者の声が聞こえるのだが、トマノ耳の山頂部がそこにあることは判っていても、視覚上そこに何も見えないと三半規管が狂ったような不思議な気分になるものであった。


 オキノ耳到着。西側の石の影では、果敢にもストーブを出して食事をしている方が居た。強風の中、凄い努力である。早々に記念撮影をして、こちらは小屋に逃げ込むべく僅かな滞在で踵を返す。ハイカーの多くは、トマノ耳で降りてしまうのかと思ったが、意外やオキノ耳の方に歩いてくる。悪天ではあるが賑やかな稜線となっていた。


 肩の小屋に戻り、休憩室に入る。風が無いだけでこれほどに温かいのかと、小屋のありがたさを感じる。小屋内には「コンロ禁止」の表示があるものの、殆どの方が使っていた。最初、テルモスの湯で皆にコーヒーを入れていたのだが、「朱に交われば」とか「赤信号・・・」とかの世界に足を踏みいれ、私もストーブを出し、少しぬるいコーヒーを温めてしまった。そして軽い食事をして、体が少し温まったところで下山となる。


 小屋の外に出ると別世界。現実に戻される。すぐに体は冷され、悴む手で登山靴の紐を縛る。冷たい風が衣服の隙間を探すかのように入ってくる。今日のメンバーには、手袋と帽子必携を告げていたが、大正解であった。下って行くと、まだまだすれ違う方も多い。外国から訪れている方も見られ、自国語で挨拶をされていた。途中、「山頂まで行ってきたのですか」と聞く方が居た。普通に「ハイ」と言うと、「引き返してきちゃいました」と言う。無理をすることは無く、正解である。個々の力量で遊べばいいのである。さらに下って行くと、5名ほどのパーティーが踵を返すところであった。


 熊穴沢避難小屋は満員御礼。赤いトタン壁を伝って中に居る方の談笑が周辺に広がっていた。ここまでやや急な下りの連続で、メンバーは膝が笑っているようであった。なだらかなトラバース道を伝ってロープウェー駅舎を目指す。ガスの粒子は大粒になり、次第に雨になった。ここまで来れば、と良いタイミングで登って来られたと思えてしまう。途中で視界は15mほどとなった。後ろを歩くメンバーの姿も見えず、ガスの中から声のみが着いて来ていた。そして駅舎に着くと、ぞろぞろと凍えながら外に出てくる観光客。この視界では下手に動くとこんな場所でも遭難してしまう。本人達も察したのか、スロープを下ってすぐに戻ってくる方も多く見られた。下山するゴンドラは長蛇の列で、観光地としての谷川岳の集客力に驚かされる。ピンと張られたワイヤーロープをガチッと掴み、高速でゴンドラが降りて行く。高度を下げガスの下に出て紅葉が見えるようになると、一気に歓声が上がる。谷あいの登山道にはハイカーの姿があり、果敢にもゴンドラを使わずに降りてきている様子があった。


 麓の駅舎に戻ると、そこは観光客だらけ。賑やかさに刺激され、お土産を買い込み谷川岳を後にする。

chizu1.jpg          

                                         戻る