大平山   1824m            
   

 2009.2.14(土)   


   曇りのち晴れ    単独    福井原地区から     行動時間:6H31M


@福井原地区内林道途中6:26→(7M)→A福井原ゴルフ場6:33→(25M)→B尾根に乗る6:58→(29M)→C1116高点7:27→(38M)→・1259高点8:05→(28M)→・1352高点8:33→(89M)→D1730m肩10:02→(31M)→E大平山10:33〜11:09→(26M)→F1730肩帰り11:35→(52M)→G1116手前鞍部12:27→(12M)→H廃林道終点12:39→(6M)→I湯沢林道に乗る12:45→(5M)→J福井原ゴルフ場帰り12:50→(7M)→K駐車場所12:57


 
start.jpg  hukuihara.jpg  goruhujyou1.jpg  syamen.jpg 
@林道は雪が緩く進めず。適当な場所で余地に停める。 A福井原ゴルフ場。 Aゴルフ場の東側に上がってゆく道がある。 尾根へ向けて登って行く。雪が少ない。
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B尾根に乗った場所。 C1116高点付近。 尾根の様子。 針葉樹が整然と並んだ尾根斜面。
ribon.jpg  dakekanba.jpg  1730.jpg  kataniosaki.jpg 
この荷紐がマーキングとして散在していた。 ダケカンバの密生した場所。ガスが濃くなってきた。 D1730m付近の小ピーク。居心地はいい。 1730m付近から東側。
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1750m付近から尾根が密生しだす。 手前ピークには奇形の木が待っていた。 山頂標高点へのやせ尾根。 E大平山山頂。今日はSKI TRABのFREERANDO+DIAMIR EXPLORE。
ourogawa.jpg  higashigawa.jpg  yase.jpg  katahe.jpg 
E山頂から西側。 E一瞬ガスが取れ、東側の峰が見えた。 帰り、やせ尾根が終わった辺り。 1730肩へのなだらかな尾根。
tore-ru.jpg  tenkikaihuku.jpg  tenkikaihuku2.jpg  kudarisyamen.jpg 
F1730肩から滑走開始。 途中で天気回復。下界が見えるようになる。 振り返ると大平山の山容が見えた。 樹林を縫いながら下って行く。
oritekitaone.jpg  kakouten.jpg  tani.jpg  rindou.jpg 
少ない雪を繋ぎながら1200m付近まで滑り降りる。 G1116高点の手前鞍部から西に下る。 鞍部からの谷の様子。 H廃林道終点の様子。
rindoutono.jpg  syadou.jpg  kanban.jpg  goruhujyou.jpg 
H終点から降りて来た谷を見る。 I湯沢林道に出る。向こうに小屋も見える。 I廃林道入口の看板。 J福井原ゴルフ場まで戻る。
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K車に到着。  K歩いてきた林道。     


   

 13日深夜からは大雨の予報であった。気温予想も異常に高く、この状況下で雪山に向かえば、急な場所では雪崩れのリスクが伴う。しかし午後からは一転して晴れ間も出てくるようであり、降雪(降雨)の後の晴れ間なら見事な絵が見られると思い、またまた雪山を目指す事とした。

 

目的地は長野県高山村の大平山。ここは西側のなだらかな斜面を一度滑ってみたいと思っていた場所であった。この傾斜なら雪崩とは無関係で、今回の天気に適当な場所に思えた。不思議なのは殆ど山行記録が見当たらない。登っていない事はないだろうから、あまり登っても面白くない事の裏返しなのだろう。とりあえず自分の足で歩いて現地を感じて見ることする。

 

 0:15 すぐに上信越道に乗り長野を目指す。スキーヤーも少なければ物流のトラックの姿も少ない。車の流れで不景気が如実に見て取れる。更埴ジャンクションを上越に向かい、須坂長野東で降りて須坂の古い町並みを左右に見ながら山田温泉方面へ向かって行く。112号(大前須坂線)や湯沢林道が使えれば、大平山に対して最短の場所に車を上げる事も可能だが、今は冬季、さらには滑る事を目的に来ているので、取り付きは尾根末端の福井原の集落からとした。

 

 福井原の集落に入ると、少し地形図とは違う村道が入り組んでおり、何度も間違えながら目の前の道を探りながら進む。民家が切れた先は殆ど除雪はされておらず、突っ込んでみるが殆ど進めず。外気温は7度と高く、雪が緩い為であった。最初は地形図に示される「山の家」辺りまで進んでしまおうと思ったが、現地の雪の状態は、行く手を遮った形となった。先々週の八ヶ岳では深い雪の中を進めたので、少し自信を持っていたのだが、やはり雪質は重要であり自然の複雑さと面白さを感じる。そして現地で一番衝撃的だったのは、雪の少なさである。ここは志賀高原エリアと言えよう場所であるが、周辺の雪の様子は、まるで春の様相であった。それを目の当たりにして“スキーになるのか”と内心焦っていた。林道は山の家まで入れないので、手前のゴルフ場の案内板に従い進み、除雪最終地点付近からはバックで進み、適当な作業林道の余地に車を突っ込んだ。

 

 今日は緩斜面なので、一番長い板を用意してきた。尾根の植生が判らないのだが、木が密生していない事を祈りつつ、林道上にスキーを滑らせて行く。すると右側からの林道と合流し、そこには水かん施設のようなものがあり、そこから少し先に進むと「福井原ゴルフ場」があった。どんなゴルフ場なのかと思ったら、打ちっぱなしでもなく、一般ゴルフコースのミニチュア版のような敷地の広さであった。既に湯沢林道上に居るのだが、このまま進んでも尾根とは離れて行くばかりなので、早くに尾根に乗ってしまおうとゴルフ場の東端から上にあがっている道を伝い斜面に取り付く。しかし板を履いて登って行くものの、目の前の斜面はしっかり黒い。こんなに雪が少ないとは想定外であった。途中で板をザックに結わえて、雑木の枝を避けながら足を上げてゆく。どこまでこんな様子なのだろうかと、板を持って来ていることを少し悔いたりもした。

 

 尾根に上がった場所は、目の前に大岩がある場所で、そこで少し息を整えていたら、柞沢川側から乾いた発砲音がした。その音は谷あいなので響いているのか、かなり近い。向こうからこちらが見えているのではと思うほどの近接した場所からの音であった。よって鈴も鳴らさずに堂々と尾根を進んでゆくことにした。尾根の雪が安定した所で板を履く。ザックの板の重みから開放されたのと、雪面を沈まずに滑れるとで、格段に負担が軽減される。足に付けてこそスキーである。シールの力を借りて緩い斜面を上がって行く。

 

この先に1116高点がある。そこには「牧区」と書かれた白いプレートがかかり、境界線を示していた。そしてこの高点を乗り越えた先には鞍部があり、鹿の往来が多いのか、良く踏まれて土が見えていた。そこを良く見るとこの尾根上に道があるようにも見える。この先には大平山しかなく、そこへ向かう道なのか・・・。この先、土が見えている場所は皆無であったが、尾根上は意外や笹が少ない。笹が雪に埋もれている風でもなく、そもそも少ないのであろう。となるとあえて積雪期に狙わずとも、雪の無い時に普通に歩けるかもしれない。

 
1150m付近で、少し北側をトラバースしながら上がって行く。尾根上が少し急な場所で、板を履いて上がって行くにはちと酷であり、歩き易い北斜面をトラバースするように高度を上げてゆく。この先は別段問題になる場所はなく、緩やかな斜面が延々と続いている。ガスで視界が無いこともあるのだが、あまりにも同じ景色なので、ちょっとつまらない感じもある。喘ぎながら登るような場所だと下界の事を忘れられるのだが、このような緩斜面を坦々と登る場面は、次々に下界の色々が頭を過ぎる。それを考えながら居ると歩いている事を忘れてしまっており、ハッと我に返り歩いている自分を再確認する。脳と体がリンクしていない時間と言えよう。下を向きながら黙々と歩く。
 

1200mを越えるといつしか色褪せた荷紐を見るようになった。それがマーキング材と言うことはあからさまに判る。地形図を見ると北側には「山の家」からの道が途中まで入っており、尾根を挟んで北側も、ほぼ同じ経度に山道が入っている。そのどちらかを辿って上がった方のマーキングだったのかもしれない。ここに来るまでには無かったので、おおよそそんな推察が出来た。ただ尾根の南側には、林業関係者のオレンジ色の札も見られる。この札の設置が先ならマーキングは要らないだろうし、色褪せ方からして荷紐が先のような気もする。何はともあれ、かなりこまめに続いていた。相変わらず同じような緩やかな地形で、坦々と足を出してゆく。気温が高いとは言っていたが、だんだんと高度を上げてゆくと、それに応じて気温は低くなる。ガスった視界も寒さを感じさせ、人気の無さもそれに輪をかけていた。途中で防寒具をしっかり着込み、高度を上げてゆく。

 

1352高点は気づかずに通過、この先で少し尾根が広くなるので、その事を心配しており注意散漫。見通しの良い斜面ならいいが、ここは360度どこを向いても同じ景色、濃いガスの中だとちといやらしい場所になるだろう。適当にライン取りして緩やかに東に屈曲してゆく。景色が変わるのが1550m近辺。景色と言っても生えている植生が変わると言ったらいいか、針葉樹の林からダケカンバの林立する場所となる。ただ長くは続かず、再び針葉樹に戻る。相変わらず沈み込みは10センチほど。滑り難い緩斜面ではこの往路のトレールが滑走路となる。

 

目の前にこんもりとした山頂らしき場所に上がる。ようやく着いたかと思ったが、ここは1730mの肩の場所で、視界があればこんなふうには思えず、まだ先の高みが目指せるだろう。ただこの稜線で、この場所が一番開けていて展望がいいかもしれない。そんな場所であった。この先は雪による起伏の多い尾根があり、だんだんと山頂が近づくに連れて植生が密になり、これまでの広い斜面がウソのように歩き辛くなる。板を履いていなければ尾根上でいいが、板があるので尾根上より北側を通過するように上がって行く。「大平山」と聞いて、山頂部も平らなイメージであったが、現地はやや荒々しい場所となっていた。そして1800mの西側の肩に上がると、奇形な怪獣のように見える木が出迎えてくれる。遠くからは、あたかも生物がそこに居るように見えるのであった。この付近、南側を見ると安山岩質の岩がゴロゴロしており、それにより高所に来ている感じがした。残り30mほどなのだが、その間のやせ尾根は非常に雪の付きが悪い。南側は切れ立って居り、北側も樹林で進みずらい。起伏の大きな雪庇を切り崩しながら忠実に尾根上を辿ってゆく。

 

大平山の標高点を取っている場所は、山頂としては狭く、3人も居れば一杯になるような雪の積もったピークとなっていた。今日は後半から晴れるわけであり、それを見越して来ているのだが、なかなか思うようにはガスが取れてくれない。それでも一瞬ガスが取れ、大平山の東にある顕著な高みが姿を現した。こんな目の前にこれほどの高さの山を見せられたのでは、ここでの達成感は薄いかも。自然のお膳立てのおかげか、ガスっていて良かったのかもしれない。それでも焼そばパンをほうばりながら、天候の回復を待つ。時折強い日差しがガス越しに降り注ぐが、そこまでであった。暫く待ったが晴れる様子が無く、諦め下山となる。

 

やせ尾根の雪を再び切り崩すように戻り、樹林密生帯はかなり北側を巻くようにトラバースして行く。今回の主なるコンセプトは、この尾根を滑って下りたいと言うものなのだが、現地で地図を見ながら思ったのは、北側の柞沢川へ滑り降りてしまっても良かったようにも思った。ただ福井原が近くなると殆ど滑りにはならないだろう。1770m付近でシールを剥がし、ずり落ちるように高度を下げてゆく。そして1730m肩まで水平移動をして、さあここから一気に下る。

 

斜度は、樹木が林立するにおいてとても適度で、これ以上急だったら、スピードに対して樹林間隔が無さ過ぎるだろう。軽い風を感じながら気持ちよく滑り降りてゆく。ただ湿気の多い溶け出したような雪であり、非常に重く板のコントロールはとても疲れた。雪の上のトレールを確認するように、それを縫いながら木をポールに見立てたシュプールを刻んでゆく。と言ってもそんなに綺麗なものではなく・・・。下り出して20分ほどすると、かなり日差しも出てきた。進行方向に、時折小布施の町が見下ろせるほどになった。微妙だがもう少し山頂で粘っていればよかったか・・・。まあこれも運、仕方ない。時間が経てば経つほど雪は重くなるだろうし、適当な時に降りて来たと思わねばならない。

 

1116高点手前までは一切の登り返しは無く、一気に下れる斜面であった。ただ私は一回の滑走がそう長続きせず、何度も休憩を入れながら降りて行く。今日の緩斜面、短い板では滑らず、長い板の選択は大成功であった。雪に繋がりながら1150mまで下り、その先から少し雪が薄くなるので、板は背負って下って行く。そして1116高点手前の鞍部からは、登り返さず、そのまま南側の谷を下って行く。例年ならこの一連の辿る場所も板を履いたまま滑れる場所であろう。今年は流石にそれは無理で、無理してやろうものなら、板の裏がガリガリになってしまいそうであった。重力の助けを借りて、大きなストライドで降りて行く。すると目の前に林道らしき場所が見え、そこは林道終点の場所となっていた。ただこの林道は、殆ど車通りなど無い廃林道に近い道形であり、使っているのは獣だけのようであった。見ると鹿の足跡が深く一本繋がって降りて行っていた。そこを追う様に狭い林道を行く。やがて目の前に小さなログハウス調の建物が見える場所で湯沢林道に乗る。振り返り伝ってきた廃林道を見るが、入口に長野県の看板があるものの、あまり目立たない入口となっていた。

 

林道を北に向かって行くと、ほどなく福井原ゴルフ場に到着。ここらら先は往路のトレールに乗って滑り降りる。気温が高いために、雪はぐずぐず。スケーティングをしながら下って行く。登山中発砲音がしたので、こちらの林道にも猟師が入っているかと思ったが、それらしい轍はなかった。2月とは思えない暑い日差し、今日は樹林帯の登下行だから良かったが、遮るものが無い場所だったら、さぞ暑かった事であろう。そんな事を思いながら車に到着。

 

どうも今回のルートは無積雪期でも狙える場所であるようだ。志賀高原エリアであり、笹を気にした降雪期の登行であったが、雪の中に見える笹はたいした量は無く、快適に歩けてしまうようにも思えた。山頂を近くして少し植生が密生となるが、問題となるのはそのくらいで、スキーで上がらないのならここも問題にはならない。山頂周辺は岩がゴツゴツとしており、晴れていれば見栄えのする場所だったのかも。山頂部は開けているので登山対象の山としての位置付けでいいだろう。

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