塩蔵   1958.5m             
   

 2009.1.31(土)   


   雨のち雪    単独    県道39号除雪最終地点(清水牧場分岐)から     行動時間:5H48M


@除雪最終地点6:14→(4M)→A牧場入口6:18→(170M)→B1896高点西9:08→(52M)→C稜線10:00→(20M)→D塩蔵10:20〜49→(11M)→E林道に出る11:00→(38M)→F牧場上部11:38→(24M)→G清水牧場分岐12:02



 
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@除雪最終地点(清水牧場分岐) A市営わさび沢牧場入口 1530m付近の渡渉失敗点 何度も渡る。
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1570m付近の斜面。 1896高点の南側をトラバースしてきた。 B1896高点の西側に乗り上げる。 1896高点西側の最低鞍部から西側。
syamen2.jpg  minamino.jpg  shiouzoukita.jpg  shiozouminami.jpg 
稜線への斜面。 C稜線に乗る(1970m付近)。 D塩蔵北側 D塩蔵南側
ski.jpg  shiozouhigashi.jpg  syamentocyuu.jpg  rindounidetabasyo.jpg 
D今日もフリーライド・オフ・リミッツ+ピュア・パフォーマンス D山頂から東に滑り降りる。 途中の快適なバーン E林道に出合う
rindounideru.jpg  touboku.jpg  jyunshiro.jpg  bokujyou.jpg 
E出てきた場所にある看板。  1450m付近の谷の倒木。水の流れも太い。  林道に出る手前にあった巡視路の標識。  F牧場に出る。 
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F牧場に出た場所から振り返る。  鉄塔の脇をスケーティングしながら滑り降りる。  G清水牧場分岐。除雪の山が出来ている。   


 

  

 本当は高山市側で登りたい山が浮上していたのだが、この日は大雨予報が出ており、峠越え(長峰峠を越えたかった)の雪のリスクを考え、長野側でゴソゴソと遊ぶ事とした。目指すは塩蔵。あまり聞きなれない名前であるが、野麦峠から鎌ヶ峰を目指す場合の通過点ピークである。野麦峠を挟んだ北側には「戸蔵」と言うピークもあり、付近には「蔵」の字の付いた山がちらほらとあるようだ。


 2007年2月、鎌ヶ峰を踏んだ時に抱き合わせで踏んでしまえばよかったのだが、スキー滑降の楽しみを優先させてしまい、残してしまっていた。当日のスキーは楽しく、判断には後悔はない。再び同じように滑れるかと思うと、今回の目標地にはワクワク感が湧いてくる。ただ天気は雨。ある標高で雪に変わるだろうが、水分量の多い雪は衣服が濡れて困る。さていかに・・・。


 おおよそのコースタイムは2007年時に掴んでいるので、焦って出かける必要はなかった。少しいつもよりスロースタートで3:00に家を出る。三才山トンネルに潜って松本に出て、158号を西進して行く。途中梓湖手前の入山隧道は、上高地側が通行止めで、全ての車を奈川側トンネルに通していた。行きはすんなり通れたが、帰りにハマリ、待つ事10分。出向く人は覚悟された方がいいだろう。県道26号を野麦峠に向かって進み、道標に従い県道39号に入り、除雪最終地点に到着。外に出ると雪は緩く、雨によりカキ氷にシロップをかけたような状態であった。すぐにシールにワックスをかけ、暖房を強めにして防水・着雪防止対策をとる。この状態では、今日は牧場内は滑りにならないとすぐに判断できた。スキーが主で出向くなら場所を変えるのだが、目的はあくまでも塩蔵を踏む事。迷う事無く準備を進める。


 さてヘッドライトでスタートする。除雪の山を乗り越えて、スキーを履いて39号を登って行く。すぐに牧場への入口が左にあり、そこには「市営わさび沢牧場」と書かれたプレートがあった。確かここは赤田沢牧場だったはずで、いつしか名前が変わったようであった。牧場へ進む道には、スノーシューのトレールがあり、それに伝いながら進んで行く。しかし今日は良く潜る。スキーを滑らすと言うよりは、長いカンジキを足に履いているような感じであった。1430m地点の送電線鉄塔の場所からは南寄りのなだらかな地形を行こうと思っていたが、現地はやや起伏があり、真っ直ぐ1518高点と結べず、やや北に膨らむようなコース取りとなった。時折39号線が見え隠れするが、今日は全く無視して縦横無尽にルートを選んで上がって行く。


 1518高点からは南西のなだらかな地形を選ぶが、ここは水の流れが出ており、数度渡渉せねばならなかった。スノーブリッジが痩せている場所ばかりで、意を決して渡るも、最初から沈没。歩き出しから1時間ちょっとで、ブルーな気持ちになってしまった。今年は雪が少ないのか、もう少し谷が埋まっていても良い様に思うが、尾根を一本挟んだ南側の斜面にはこんな場所はなかった。これが自然と言えようか。これなら車道を伝って野麦峠からアプローチした方が無難だったか、そんな事も頭を過ぎった。


 さて次の問題が出てきた。目指す塩蔵の手前には、顕著な1896峰が立ちはだかる。これの右を巻こうか、左を巻こうか、はたまた直登しようか迷っていた。当初は1896の南側の谷を登れば良いと思っていたのだが、今日の流れのある谷の様子だとそれは出来ない。かと言って北側を巻くにも、谷形状はこちらと同じようにも見えた。一か八かで南の谷をつめる事とし、ただし、沢でなく1896高点を目指すように斜面を進む事とした。谷には相変わらず流れがあり、進みようがなく雪崩れそうな急斜面のトラバースもあった。牧場で楽させてもらった分、ここに来てのルートの悪さの反動は大きかった。

 
左下に谷を見ながら、キックターンを繰り返しながらトラバース気味に高度を上げてゆく。すると1830m付近で大きな崩落地にぶち当たった。斜面が抉り取られるように幅30mほどの深い筋が南北に出来ていた。ここは高巻きして回避したが、谷に近い位置でトラバースしていたら、通過できず谷に下るか、完全に意気消沈した事となったろう。幸いにも修正できる場所に居たので、高みを目指して上がって行く。そして1896高点を右に見て、少し西側に下った場所で、尾根に乗った形となった。目指す方向はガスが濃く視界がない。どんな斜面が待っているのか判らなかった。でも行くしかない。60mほど滑り降りて、最後の登り返し。最初はなだらかだが、後半になり等高線が詰まってくる。大きく左右に振りながらシール頼みで足を上げてゆく。登り上げた場所が塩蔵かと思っていたが、地図を見るとこの北側にある場所が塩蔵で、痩せ尾根の雪を崩すように滑り降りて行く。尾根上には黄色や赤のマーキングもあり、鎌ヶ峰人気が伺えた。


 塩蔵の山頂にはMLQのテープがあるかと思ったが、あるのはビニール荷紐のマーキングだけであった。スキーを脱ぎ、雪を踏み抜くと1mほど落ち込んだ。幸いにも風はなく、ヤキソバパンを食べながら休憩となる。ただ、防寒具が濡れたままで、なかなか内部の衣服が乾かない。グローブもしっかり濡れてしまい、これだけは持っていた予備に変更して対応する。さて滑降ルートを探る。往路を体験すると、同じ場所を滑るのは避けたい。ここは未知ではあるが1896高点の北側を滑る事とした。


 滑り出しから暫くはパウダーを楽しめる。下手糞なシュプールを描きながら、滑り降りると言うより、ずり落ちている感じでもあった。最初に林道に出た場所まではまずまずの滑りで、さすが道具としてのスキー快適さを味わえたが、この後が酷かった。次にある谷を滑り降りて行くと、ここにも水の流れが無数に出来ていて、数え切れないほどに渡渉が繰り返された。これなら滑らないでも39号を伝ったほうが良かった。1500mから下になると、さらに酷くなり、大きな倒木が谷を塞ぎ、スキーを脱いで高みに駆け上がらねばならない場所もあった。雪質もそうだが、殆ど滑りにならず牧場に辿り着く。しかしここからも緩斜面。自重では滑ってくれず、踵を開放してスケーティングしながら滑り降りてゆく。思い描いていたのは、もっと風を切るような滑りなのだが、今回はちと残念な結果となった。いい時もあれば、悪い時もある。これが自然の遊びであろうか。途中で自分のトレールに乗るとやや滑りやすくなり、緩やかに滑り降りてゆく。

 車に到着したのはちょうどお昼。もう1座ほど駆け上がれる時間であったが、翌日も山の予定があり、早々に帰路に着いた。

 今回は
終始ラッセル状態で、半泣きになりながら何度も撤退を思ったが、なんとか根性が勝り登頂に至った。楽に登るなら、もう少し雪の締まった時期が適当であろう。あとは通年流れが出ている谷なのか、今年が雪が少ないのか、渡渉さえ回避できれば良いコースなのだが・・・。

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