高倉山  922.2m      

 
 2009.7.19(日)   


   曇り(小雨)      単独       林道高倉山線途中から         行動時間1H9M


@林道高倉山線771高点南5:00→(29M)→A910m手前峰5:29→(9M)→B高倉山5:38〜42→(15M)→C林道に降り立つ5:57→(12M)→D771高点南6:09


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R157途中から高倉山を見る。なかなか見栄えのする円錐形。 正面が白山自然保護センター。林道標識を左巻きするように登って行く。 自然保護センター上のチェーンゲート。 ゲートの所に長年置かれていた「通行止」の看板。現在は外され脇の草むらに。
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ゲートから白山自然保護センターを見る。 白山自然保護センターから、およそ3.1Km地点に分岐があり、本道を選ぶ。写真奥が高倉山。 林道高倉山線の終点の様子。最近は延長工事がされていない様子。 @771高点の南のカーブの場所から取付く。薄っすらと刈り払われている(左)。
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@登って行く尾根を見る。林道と平行するように尾根は行く。写真中央辺りの尾根で、道は明瞭に出てくる。 新しいリボンも残っていた。 この場所にしては立派な道形が続く。 900m手前にして、少し急峻地形もある。
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A910m手前峰。最初ここが山頂かと思ったが、まだ先。 小さな流れ(水溜り)を跨ぐ。この先は踏み跡は不明瞭。 B高倉山山頂。三角点周辺だけ植生が無い。黄色いのは私の雨具。 B三等三角点。四方にしっかり石が配置されている。
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B「HCV・IZQ」と書かれていた。 B金沢三角会のリボンも下がる。 B漕いで来た北側の様子。 下山途中。ガクアジサイ越しに白く林道が見えている。
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C林道が目の前だが、スリリングな崖の上。7〜8m程の高低差がある。 C林道に降り立つ。道の先に林道終点が見えている。 C降りてきた崖斜面。土留めのフェンスが張ってあり、それを掴みながら下った。 林道から見る手取ダム。みごとなロックフィル。 
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林道から白山側。生憎のガス。手前に白山瀬女高原スキー場。 林道から吉野谷の村落を見下ろす。写真では判らないが、肉眼では日本海も見える。 林道途中の沢。右の枯れ葉貯まりに長いタイガーロープが残っていた。上に行くのに使えそう。 D771高点南のカーブの場所に戻る。 


   

霊峰白山は誰しもが知っている名峰である。しかし、その白山の自然を守っている機関、「白山自然保護センター」の場所を知っている人は少ないのではないだろうか。R157号を白峰方面に向けて走ってゆくと、旧吉野村地内に入り、2.5万図名の「市原」地区を過ぎると、次にある木滑(きなめり)地区にそれはある。注意していると標識も上がっているので、そこを導いてくれる。ここに白山の自然の、総元締めと言えよう白山自然保護センターの本庁舎がある。

 

この庁舎を初めて訪れたのは11年ほど前。この時も高倉山を目指すために訪れた。しかし山腹を上がってゆく林道高倉山線は、その庁舎前から先は「通行止」の看板が掲げられ、進入出来ないようになっていた。こうなると躊躇してしまうのだが、夏道として通れないなら積雪期に行こうと思い立ち、2005年頃の積雪期に、再度足を踏み入れた。しかし日本海側から離れて5年が経過、太平洋岸側のフカフカの雪に慣れた足は、日本海側の重い雪に悲鳴を上げ、途中で断念。それ以降はスキーで上がる計画で居た。その計画も延びに延びて、今年の正月にスキーを持って出向いたのだが、あまりの悪天候に遂行できなかった。二度三度と予定が狂うと、踏んでやろうという登山意欲が湧いてくる。そして今回、積雪期ではないが北陸に出向く都合が出来、併せて狙ってみることにした。

 

前夜は金沢市内でたらふく食べて飲んだ。その後はテルメ金沢で温泉に沈没して、仮眠室で大の字になっていた。4時に目を覚ますと、アルコール漬けになった体がかなり重い。鏡を覗くと、そこには眼を赤くし腫れぼったい顔があった。“やばい、これでは・・・”しかし4時からは清掃時間で、風呂に入って酔い覚ましをすることは出来ず、顔を洗って直ぐにチェックアウトをする。そしてR8号からR157号と、黄色点滅の中を、羽があったら飛ぶかのような速さで現地を目指す。大門温泉センターが右に過ぎると、その先1キロほどで現地となる。

 

石川県の道標に従い、白山自然保護センターに向かってゆく。そして敷地内に入る手前から林道(舗装)は左上に向かって行く。この場所には林道の注意書きがあり、合併した白山市としての林道利用の注意書きがされている。要するに林道利用は自己責任と書いてあった。この林道入り口から40mほど進むと、両側に支柱として置かれている丸いコンクリート製の重石がある。そこに両端を絡めるようなチェーンが渡されている。以前は南京錠が付けられ、外せないようになっていたが、現在はそれが無く、簡単にフックを外すことが出来た。それとここに以前あった「通行止め」の標識が無く、周囲を良く探すと草の中にそれが横たわっていた。看板はこの状態になってからかなりの年月が経っているように見えた。少し頭の中を整理する。予定ではこのチェーンゲートの場所から、歩きあげるつもりで来ているのだが、この状況は車で進入できる状況である。そして進入は「侵入」に非ずと解釈出来る。通行止めの表示は無く、後ろめたいのはチェーンを外す行為であるが、白山市は林道への侵入を禁止していない。二日酔いの不良ハイカーは、答えは一つかのように、すぐさまチェーンを緩め車を林道に入れた。

 

 地形図からは771高点付近まで林道が上がっている。しかし現地を見上げると、高倉山の西側山腹を横切り、南側まで林道が延びているように見える。もしこのまま林道が伝え上に行ければ、5キロほど楽をさせてもらえることになる。ゆっくりと林道の上を高度を上げてゆく。舗装路は途中でダートとなるが、四駆でなくとも問題にならないほどに状態は良い。しかし、かなりクネクネとつけられており、走っている割にはなかなか着かない、そんな林道であった。少し崩落が進み、谷側の地盤が怖い所もあるが、大半は安心して走れる林道であった。

 

林道に入って3.1キロ地点で分岐となる。右下(東)に降りてゆく道はコンクリート舗装で、これも地形図通りに続くと思われる。真っ直ぐ進む道の方に進路をとり、分岐から1.7キロ地点で鋭角に折り返すように右上に林道が進む。地形図からは折り返してすぐに行き止まりだが、現地はさらに先に進め、ユンボがデポしてある場所を横目に、高倉山を巻くようにして南に進んだ場所で行止りとなっていた。この行止りから山頂までの直線距離は、カーナビで200m程と示していた。ただ地形図を見るとけっこうな急斜面。実際に見上げる斜面もやや厳しい傾斜に見え、近いもののここから取り付くのは止め、771高点付近まで戻る。

 

771高点南のカーブの場所は、かなり広く道が作られており、ここに車を停める事にした。小雨の中雨具を着込むと、すぐに昨晩のアルコールが汗として噴出すようであった。さて尾根に取付く。すると771側に、最近刈られた様な刃物跡があった。なんだろうかと不思議であったが、刃物跡が道となっていた。向かう方向はそちらではないのだが、南に10mほど入ると、そこには登山道と言える明瞭な道が現れた。適当な間隔で赤布も垂れており、人の気配がする。この山にこれほどの道があるとは想像しなかった。当然のように薮漕ぎの頭で来ているのだが、楽々歩ける現地に、ちと拍子抜けでもあった。周囲にはブナの幼木があり、その木肌が目を和ませてくれる。しかし伝ってきたこの道、明瞭なのは地形図の「高」と書かれている910m付近までで、その先は雑木の中に消えてしまう。

 910mの先は、この場所にして水の流れがあった。標高が低いので、この時期にして残雪の融水とは思えず、やはり湧いているのではないかと思われた。湿地もあるようでなく、ほぼ山頂に近い場所での水の存在は不思議であった。その流れの小谷を跨ぎ、南東方向に雑木を分けて行く。先ほどまであれだけの道があったのだが、この先もどこかに道形があるはずと思って周囲を探すも、それらしい道は無かった。摩訶不思議。そして高倉山の山頂が近づくと、広い地形が、やや尾根形状になり伝いやすくなる。そこに踏み跡があるのだが、やはり先ほどとは比べ物にならないほどに薄い。北陸らしい植生で、僅かな薮漕ぎでも懐かしく、そして嬉しく感じる。

 

スタートから24分、円形状の2畳ほどの山頂に到着。三等三角点を中心に、四方に石が置かれていた。そして南側の木に白い絶縁テープが巻かれ、そこには「HCV・IZQ」とコールサインが書かれ、もう一本「金沢三角会」と白字で書かれたエンジ色のリボンが下げられていた。絶縁テープに書かれている日付が消えかかっているのだが、「2008.04.28」と読み取れる。この標高だと、4月末では残雪頼りではないだろうから、同じように少々薮を濃いで登頂したのだろう。道中の赤いリボンも同方のものだったのかもしれない。あと、絶縁テープにも三角点の記号が符ってあるところを見ると、全て同じパーティーでの設置品か・・・。いずれにせよ三角点に興味のある方に違いない。トランシーバーを握るが、流石に北陸、何一つ聞こえなかった。さて下山を考える。林道を楽して上がったので、時間は十分ある。往路は辿らずに南に降りて行ってみることにした。

 

南に進むと、そこには薄っすらと道がある。地形図を見ても林道との接点はないし、尾根を繋いで行くと、東南東に2.5キロの場所に白山中宮温泉スキー場の管理道路が尾根上に上がっている。このままの尾根伝いで、そこまで続いているのか。沢筋や枝分かれする尾根筋を見ても、道を造るに適当には見えず、スキー場側への道と見るのが、この時点では妥当に思えた。しかしいくら時間に余裕が出来たと言っても、今日そこまで行って道の把握をしているほどに時間は無く、先ほどの斥候で林道が西面にある事が判っているので、適当な場所から進路を西に変える。やや急峻を周囲の雑木を掴みながら下りて行く。ガクアジサイが花盛りで周囲に沢山咲いていた。暫く下ると、先の方に白く林道が見えてくる。俄かに喜ぶが、最後の最後で7mほどの崖と言えよう斜度のきつい場所となる。どうしようかと迷ったが、よくよく見ると崖斜面の土の中にフェンスが隠れていた。この流れ止めのフェンスを掴みながら降りる事にした。かなり細い針金構造であり、体を預けるには不安があるが、そこそこしっかりと斜面に噛んでおり、針金に指を入れながらゆっくりと降りて行く。しっかりと三点確保で、ここは時間をかける。フェンスが無かったら山頂へ戻るか、南へもっとズレねばならなかったような・・・。

 

林道に降り立つと、そこは終点から150mほど北側の場所であった。ここからは手取ダム側が良く見える。その左には白山瀬女高原のスキー場も見える。そしてその奥には、晴れていれば白山があるはずであり、今日は残念。ゆっくりと展望を楽しみながら緩やかに下る。吉野谷の田んぼの緑も美しく、旧鳥越村と小松市との境の山の向こうには、日本海も見渡せていた。標高が低い割にはなかなかの展望である。山頂から展望が無かった分、この林道歩きでその部分はカバーできていた。771高点が近づくと、途中水の流れがある斜面もあり、なぜかそこにはタイガーロープがかたまって残っていた。上を見上げるとナメ岩の繋がる沢ルート(短い)のような感じで、すぐ上には尾根が見えているようであった。

 

車に到着。1時間強のサウナ状態から開放され、林道上でスッポンポンになり着替えをし、林道を降りてゆく。林道に入れたおかげで山行時間は2時間くらいの短縮となった。今回簡単に登ってしまったが、下から登り上げたら、程よい日帰りハイクの場所となるであろう。でも山頂として展望の良い場所ではなく、やはり好事家しか訪れない場所となるか・・・。さあ次は、中宮スキー場から大瓢箪山でも狙おうか、石川の未踏峰も少なくなってきたが、まだまだ魅力のある山がいくつも残っているのだった。 


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