笹子雁ヶ腹摺山 1357.7m 米沢山 11357m お坊山 1430m
大鹿山
1236.1m コンドウ丸 1392m 大谷ヶ丸 1643.8m
ハマイバ丸 1752m 大蔵高丸 1770m
2010.07.31(土)
曇りのち晴れ 単独 笹子峠から湯ノ沢峠へ抜ける。湯ノ沢峠からは自転車で笹子峠に戻る。 行動時間9H28M
@笹子峠登山口5:47→(58M)→A笹子雁ヶ腹摺山6:45〜48→(47M)→B米沢山7:35→(40M)→Cお坊山8:15〜18→(24M)→D大鹿峠8:42→(20M)→E大鹿山9:02〜04→(14M)→F曲り沢峠9:18→(23M)→Gコンドウ丸9:41〜43→(51M)→H大谷ヶ丸10:34〜40→(13M)→I米背負峠10:53〜55→(17M)→J天下石11:12→(32M)→Kハマイバ丸11:44〜47→(25M)→L大蔵高丸12:12〜14→(20M)→M湯ノ沢峠12:34〜37→(34M)→・国道20号13:11→(124M)→N笹子隋道15:15
青字は自転車での下り時間 青緑字は自転車に乗ったり押したりの時間
@笹子隋道 | @笹子峠登山口 | すぐにある天神祠 | 尾根に乗ったところ。緑の矢印側から登ってきた。 |
ツリガネニンジン | 鉄塔が近くなるとヤマユリの大輪が見られる。 | 独特な色で目を引くフジグロセンノウ。 | トラバース道は鉄塔の下を通過。 |
A笹子雁ヶ腹摺山 | A笹子雁ヶ腹摺山三等点。 | A中央に薄っすらと富士山の姿が見える。 | ここは道標に従い左(北)へ。 |
B米沢山 | Cお坊山 | Cお坊山から米沢山。 | お坊山の東側のベンチの場所から左側の草薮の中を降りて行く。 |
東峰側のルートとの合流点。北から南を見ている。 | D大鹿峠 | E大鹿山 | E大鹿山三等点。 |
Eここから新しい標識が見られた。左に小さな可愛い標識も見える。 | 大鹿山の東側分岐点。 | オッ立山北側の水平動。南に適当に上がれば、オッ立山を踏めたのだが・・・。 | F曲り沢峠 |
Gコンドウ丸 | 途中の防火帯。 | シモツケソウが一番目立っていた。 | ツワブキも咲き出し始め。 |
H大谷ヶ丸 | H大谷ヶ丸三等点 | I米背負峠。水は少し下らないと得られない。 | J天下石 |
ヤマオダマキ | ハマイバ丸下の大きなケルン。 | Kハマイバ丸(破魔射場) | Kハマイバ丸三等点 |
ウスユキソウとレブンウスユキソウのピンバッチ。 | ヒヨドリバナ | シモツケソウ | L大蔵高丸 |
L大蔵高丸から南側。 | L大蔵高丸から西側。 | M湯ノ沢峠 | M湯ノ沢峠避難小屋 |
M林道終点地のトイレと駐車スペース。 | M自転車に跨り・・・。 | 途中のカーブミラーで。 | N笹子峠側に戻る。 |
膝の傷がまだ癒えず、長ズボンを履くと擦れて痛い状態。こうなると、前回の尾瀬同様に半ズボンでも歩ける場所を選ぶ。と言っても、既に歩いた事のある場所を選ぶ訳ではないので、登山道がどのような状態かどうかなどは判らない。「ルートが地図に載っている」=「歩き易い」、そんな判断でしかなかった。そして今回は、笹子隋道から以北の未踏座を片付けることにした。笹子隋道から湯の沢峠まで抜けて、車道を戻ってくると、総長さは38キロを越えている。足では到底歩けないだろうが、自転車があれば可能か。やってみることにした。
1:20家を出る。路面は雨上がりの様相。今回も野辺山を通って須玉に降りて行くのだが、近い事を言えば、秩父から雁坂峠を越えて行った方が近い。なぜこちらを通るかと言うと、単純に好きだからである。この時期では、20度を気温が下回り、涼やかに通り抜けられる。そして信号が少なく、思ったほどカーブも多くない。それらを総合して、R141号を選んでいるのであった。須玉に下りたら中央道に乗って勝沼まで移動し、20号を僅かに大月市側に進み、景徳院入口交差点から天目山温泉側に進んで行く。「おい、笹子隋道からなのに、おかしいじゃねぇか」と言われるかもしれないが、デポする自転車を湯ノ沢峠に持ち上げる為に進んでいるのであった。六本杉橋の所から焼山沢真木線に入る。日中なら対向車が気になる細い林道だが、ヘッドライトで走る時間帯は快適。ただ、ここを自転車で駆け抜ける時間帯は日中。今はいいが、自転車に跨った時が心配であった。湯ノ沢峠登山口には1台のジムニーがあり、私のヘッドライトを眩しそうにしている御仁の姿があった。その前を通り過ぎ、峠に向かう長い林道を行く。前回訪れた時は砂利を敷き詰めた状態で、舗装工事中であった。それが仕上がり、快適な林道となっていた。
林道終点(4:30)。トイレ舎が山手側にあり、そこから黄色い明かりが洩れていた。駐車場には車は皆無。急いで自転車を降ろし、トイレ舎の雨どいに結わえ付ける。これが盗まれたら目も当てられない。ここからの帰りは24Kmくらいある。歩いて戻ったら、丸一日コースとなってしまう。したがって、盗まれないように念を込めて固く縛る。そして再び林道を下り20号に出て、今度は笹子峠に向かって行く。県道212号の最初は緩やかだが、なにせこちらも長い。車で走りながらここを登り上げるのかと思うと、少し計画が無謀だったかと思えてしまった。山歩きをせずに登るならいいのだが、登った後での自転車漕ぎで、この坂を登る自信が無かった。でも、もう向こうに自転車を置いてここまで来てしまった。後戻り出来ないのであった。東屋のある展望所を過ぎると、その先で笹子隋道が口を開けていた。心霊スポットとして有名なトンネル。確かにジメジメとして、なにか・・・微妙な感じ。登山口はトンネルから東屋側に40mほど戻った場所にあり、標識がしっかりと山道を示している。駐車スペースもトンネル脇に7台分ほどあり、そこに停めて準備をする。周囲からは終始人工的な音がしている。それが何の音かは判らなかった。ここで意外や雨が降ってきた。曇天模様と把握してきていたが、雨が降るほどとは思わなかった。
登山道から入山。入口には巡視路支柱があり、登山道と巡視路を兼ねている様であった。すぐにある天神祠に挨拶をするのだが、前回の事故もあって、より安全を願う。途中には巡視路らしいプラスチックの階段があり、非常に歩き易い。すぐに稜線に乗った形となるが、その場所の標識は、笹子駅側を示すものがねじ切られていた。廃道になったのか。ルート脇にはギボウシやツリガネニンジンなどの夏の花が出迎えてくれる。そしてガスの中から送電線の唸り音が聞こえてくる頃、周囲には大輪のヤマユリが姿を見せる。このヤマユリは送電線鉄塔付近のみに自生していた。途中で左からの尾根道と合流したので、自然とトラバース道を伝って来たようだった。合流後、急登を這い上がる。この先にある笹子雁ヶ腹摺山は、富士の展望の山。しかしガスの様子から全く期待は出来なかった。
笹子雁ヶ腹摺山。南側に辛うじて富士山のシルエットが見えていた。手前側に三ッ峠の山々が見えているのだろうが、同定が出来ないのが寂しい。山頂には山梨百名山の標柱が渋く残り、三等点も含め標柱類でニョキニョキとした印象のピークとなっていた。そのまま東進して次にある米沢山を目指すのだが、その米沢山とのほぼ中間点ピークで鋭角に左に進路をとる。道標があるので助かったが、無ければ明後日の尾根に入ってしまうところであった。ガスのたちこめる中、涼やかに歩いて行く。陽射しがあれば、この標高では暑くてたまらない。この時は快適な気温(22度)であったのだった。
米沢山。木に縛られた標柱がなんとも簡易的。展望は無く、僅かな滞在で山頂を後にする。8時を回りトクモリ付近通過で、日が差すようになってきた。ガスの中に太陽光線が差し込み、荘厳な雰囲気を楽しめる。あと、予想外なほどに夏の花が咲いている。一番にシモツケソウが多いのだが、この尾根でこれほどに楽しめるとは思っていなかった。気温もまずまず、コース選択は大正解?の様子。
お坊山。振り返ると、ガスの中に米沢山と笹子雁ヶ腹摺山が見える。このお坊山山頂から東に進むとベンチがあり、そこからルートは左側に降りている。この辺りが少し不明瞭。僅かだが、ここだけでも刈り払われていれば判りやすいように思う。東峰への分岐を右に見て、少しモシャモシャした中を進んで行く。ここがこうだと言う事は、秋頃がこの山の適期なのかも。あまり刈り払った様子はなかった。そして東峰側のルートと合流する。その東峰側のルートを見ると、けっこうにハッキリしている。もしやここは、トラバースルートの方が容易に歩けたのかも・・・。
大鹿峠を通過し、その先にある大鹿山に登り上げてゆく。しばらくトラバース道を伝い、途中の適当な場所から藪斜面を駆け上がり尾根に乗る。少し戻るような恰好で大鹿山到着。ここに来て山梨県の立派な標識を見ることとなった。以西の山にはまだ無く、ここ以東の山に設置してあった。空色の小さなかわいい標識もあり、これはこの稜線でここだけであった。少し日差しが出てきたので、立ち止まるとブユが纏わり付くようになった。ここまで少しのんびりと歩んでいたが、ブユを振り切る歩け歩けのスタイルに変更。景徳院への下降路を左に見て、その先の水平道を快適に進んで行く。ここで後の祭りなのだが、快適さに足を進めていたら、道の南側にある「オッ立山」に登るのを忘れてしまった。今日は地形図を持ち込まず、エアリアだけで対応していた。地図の折り目付近で見難い場所のピークだったのだった。当然のように通過時には気づいておらず、湯ノ沢峠で地図を見返して初めて気づいたのであった。
曲リ沢峠は広い涼やかな場所で、休憩するにはちょうどいい。そこからコンドウ丸に向けて登ってゆく。余裕があれば、再度曲り沢峠に下って、滝子山へとも思っていたが、そんな余力は出てこなかった。コンドウ丸は樹林帯の中のピークで、周囲展望は全く無し。でも、全ての場所が日影であり、この時期にしてはありがたいピーク。さあ次の大谷ヶ丸へとの標高差は200mほど。細かなピッチでコツコツと登ってゆく。ふと見ると足元にヒグラシの抜け殻が・・・。しかしまだこのエリアに入ってセミの鳴き声を聞いていない。そう、夏らしくないのだった。防火帯のような場所を過ぎ、この周辺はシモツケソウとツワブキが乱れ咲いていた。黒土の斜面を滑らぬよう注意しながら這い上がる。そこには足跡など無く、あまりここを歩く人は居ないようだった。
大谷ヶ丸。三等点が鎮座し、ここも周囲展望はほとんど無い。下りこんで行くと米背負峠だが、エアリアには「水」と書かれており、その場所を探す。目で探すと言うより耳で探すのだが、東側の30m下あたりで流れの音がしていた。そこへ行く下降路を探したが、らしい物はなし。あまりここで水を得る人は居ないのか。それより地図を見ると西側に水線が入っている。確実なのは西側か・・・。期待した水がなく残念だが、これもしょうがない。次の水場は湯ノ沢峠だが、そこももうここからは射程圏内。長いコースであり、最初はどうなるものかと思っていたが、なんとか歩いてこられている。そして天下石に着くと、この日はじめて人に出会う。ハイカーの一人が「大鹿からですか」と言う。南から来たのを見れば、普通そう思うのだろう。「笹子峠からです」と言うと、「パワフルだな〜」と。なんか久しぶりに聞く褒め言葉であった。ここからは、火が点いた様にたくさんのハイカーとすれ違うようになる。ここの標高が夏向きになってきている証拠かも。花畑の中の道を進んで行くのだが、このあたりは登山道が草に埋もれている場所が多い。通過者が多いのでこれ幸いなのだが、半ズボンだと蛇などが気になるのであった。ハマイバ丸手前の大きなケルンを経て、その先がハマイバ丸の山頂となる。
「破魔射場」、これが「ハマイバ」の元となる言葉であった。これを見た時、強く納得。“変な名前だな〜”と思っていた部分が全て払拭された。逆に良い名前に思えるから不思議である。既に通過して行った人の仕業か、三角点の場所に花が添えられていた。これじゃーお墓に・・・。こんな事に花を摘むのなら、自然のままに置いておいて欲しい。見ると、この先の登山道は刃物が入って綺麗に刈り払われていた。この先は、ウスユキソウやヒヨドリバナの白い花が目立つ。もう少し周囲展望があれば言う事は無いのだが、何度振り向いても富士山の姿はそこに無かった。植生保護の為のロープの間を進んで行く。お花畑の中なのだが、ススキなどの勢いがよく、いろんな花弁が葉に隠れてしまっているのが勿体無いように見えた。でもこれが自然。
そして本日最終ピークの大蔵高丸到着。ここにもいぶし銀の山梨百名山の標柱が立つ。少し西側の遠謀が利くが、ここから西側が見えても・・・。さあ後は湯ノ沢峠まで下るだけ。草原が終わると樹林帯の中になり、ここが涼やかで森林浴気分になる。高度を下げると笹薮の中の道となり、ここは風が通らないのでかなり暑い。そうこうしていると湯ノ沢峠に到着。林道側に向け下って行くと、避難小屋が見え、その先に駐車場が見える。かなりドキドキするのだが、はたして自転車があるのだろうか、という不安が大きくなる。“無かったらどうしよう”この場合も想定せねばならなかった。
トイレの裏側に行く。そこに自転車は「あった」。良かった。縦走をしてきた喜びより、自転車があった喜びの方が大きかったような・・・微妙な心境。次回はそんな心配をしないように鍵をかけよう。自転車を期待した理由には、この後の下りがあるからだった。20号まで一気に下れるだろうから、「風になる」様子を頭に浮かべ、それを楽しみにしていたのであった。駐車場には登山道整備の方が居られ、私が自転車を組み立てる様子をじっと見ている。なんか話しかけられれば答えるのだが、じっと見ていられると、こちらも黙ってしまい・・・。
さあダウンヒル。ダート林道を尻を滑らせながら微妙にドリフト走行。ただ、登ってくる車もあるので、慎重な運転が必要となる。フロントのサスペンションがフルに振幅してショックを吸収している。簡易的な折りたたみ自転車なので、いまひとつ乗り心地は良くないが、それでも「楽しさ」は感じる。ダート道が終わり、舗装路になると、マウンテンバイクとしてのブロックタイヤの音が、絶え間なく唸り音として響きだす。そしてカーブミラーに注意しながら、ぐいぐいとカーブを責めてゆく。楽しい。完全に風になっていた。見通しの良い直線では40キロは出ていたろう。狭い林道でのこの速さは、かなりの体感速度となる。小回りの良さゆえに、先を行く自動車を追い越したり・・・。
六本杉橋のところで215号に乗ると、道幅も広くなり、これまた快適に降りてゆける。たまに漕ぐ場所もあるが、ほとんど漕がずとも下ってゆける。自転車の持ち込みは大正解であった。しかし20号に出ると、流石に一級国道の車通りは激しく、脇に沿うように小さくなりながらしばらく下って行く。慣れないとこんな場所での自転車は非常に怖い。大和橋西詰交差点まで行かずに、手前を左折して日川を渡って212号に乗る。時計を見ると13:10。歩いて登る場合は峠まで2.5時間ほど。さあどこまで自転車で上がれるか・・・。
ギヤを適正にして漕ぎ出すが、なかなか続かない。座り位置が良く無いし、サドルも硬い。立ち漕ぎでしばらく進むが、その状態でづっと乗って行くことは無理。縦走した疲れが、漕ぐ余力を残してくれず、すぐさま押して歩く態勢になる。それでも何度か跨るが、続いて3分くらい。3分を過ぎるとまたまた自転車を押していた。通り過ぎてゆく自動車が恨めしく、背後からトラックなどが追い越してゆく時には、思わず右手を上げてヒッチハイクをしたくなっていた、でも、登りきってこそ今回の企画の価値がある。時間がかかっても自分の力で到達することが重要なのであった。我が根性の見せ所。途中、快走してくるサイクリストが挨拶をして行く。こんな山屋の私にでも、自転車がある事で同業者に見えているらしい。でも嬉しい事である。大粒の汗を流しながらの登りは続く。そして峠手前の東屋が見えた時は、思わずザックをほおりだして駆け寄り、ベンチで大の字になって寝てしまった。この時の気持ちよさたるや。なんか生きている充実感があるのだった。再びサドルに跨り、最後の登り。そして我が車が見えた時は。「これで終わった」と本当に安堵した。交通量の少ないこの道は、自転車でのトレーニングにぴったりの所と思えた。だからと言って、もう一度登りたいとは思わない場所である。
無事周回終了。明日は、場所を信州に移して飯綱山へ登る予定。連日の山、それでも全く飽きないのが不思議である。