団子沢山    1744.8m         


 2011.6.25(土)   


  雨時々晴れ    単独       桃の木温泉から時計回りに周回        行動時間5H16M


@桃ノ木温泉前4:35→(30M)→A藤尾堰堤銘板5:05→(23M)→Bドノコヤ峠への取付き点5:28→(5M)→C水場5:33→(52M)→Dドノコヤ峠北尾根上6:25→(26M)→E1683高点6:51〜53→(51M)→F団子沢山7:44〜53→(31M)→Gかんば平8:24→(13M)→H中池8:37→(17M)→I檜尾峠8:54〜56→(35M)→J大骨山東分岐点9:31→(19M)→K桃ノ木温泉登山口9:50→(1M)→L駐車場所9:51


sanwasoumae.jpg  entei.jpg  sawa.jpg  hujioentei.jpg 
@桃栄館の在った場所に駐車。 流れを右に見ながらしばし舗装路を行くと、バリケードが出てくる。 右岸から左岸へ移り、左俣へ。 A藤原堰堤の銘板。「土木遺産」
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昔の橋が半分になっていたり、石のバリケードがあったり。石を跨ぎ、そのまま進んで行く。 左岸側に枝道があるが、気にせず沢沿いを進む。 左岸側の道が大きく崩落。長さ20mほど。 Bドノコヤ峠に向かう山道の取付き点。道標は無く、目印はこの朽ちたハシゴ。
ushiro.jpg  roop.jpg  mizuba.jpg  mark1.jpg 
B取付き点から見る下流側。 ロープを流してある場所もあり。 C途中の水場には、コップも置かれていた。 視界が無いといやらしい斜面。踏み跡が薄く、ルートは赤布が導く。視界30mほどは欲しい場所。
douhyou.jpg  yokodure.jpg  douhyou4.jpg  onejyou.jpg 
途中には道標が4箇所ある。 九十九折から、トラバースルートになる辺りで、ルートが見出し難い。判り辛い場所で、目立つように赤ペンキがあるのだが・・・。 もうすぐ尾根に乗る。踏み跡はとても薄い。 D尾根に乗った場所。途中でルートを外したのか、合ってたのか、ドノコヤ峠より遥か上で尾根に乗った。ここには道標無し。
bunano.jpg  waiya.jpg  1683.jpg  oritekita.jpg 
高度を上げて行くと、綺麗なブナ林がある。 1683高点付近には、残置ワイヤーが目立つ。周囲はアセビの群落で、やや進路を邪魔する。 E1683高点。北東側で、少し展望あり。 1683高点西側。やや危険だが、北側の崖沿いを降りてきたほうが迷わない。南に寄ると地形が広い。
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最初の最低鞍部から北西側。 しばらく痩せ尾根や二重山稜地形。尾根を乗り換える場所もある。 途中の崩落地から先を望む。 ヤロク沢側の崩落地脇。この辺りは展望はいい。
yaseone2.jpg  dangominami.jpg hourakuchi.jpg  dangosaikou.jpg 
痩せ尾根が続く。 1667高点へ向けての崩落地。 ヤロク沢へ落ち込む崩落斜面。 F団子沢山最高点。
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F三角点の場所は、最高点の場所から僅かに北にある。 F苔生した三等点 F団子沢山から高谷山側。  団子沢山から北側の斜面。
1750.jpg  mark2.jpg  kanbadaira1.jpg  kanbadaira2.jpg 
途中の広い台地、1750m峰は、かなり気持ちの良い場所。幕営適地。 尾根上は、時折黄色い絶縁テープが見られる。  Gかんば平。っても、平ではない。  Gかんば平 
ookaramatuyama.jpg  nakaike.jpg  hinokiohe.jpg  che-n.jpg 
Gかんば平から、大唐松山。 Hここが中池で良いのか、高谷山への急登が始まるコル。 H登らずに檜尾峠へトラバースして行く。 足場の悪い場所には、チェーンが流してある。 
toraba1.jpg  toraba2.jpg  kaidan.jpg  hinokio2.jpg 
トラバースルート。 足場の流れやすい場所もある。この先から少々危険地帯に入る。 もうすぐ檜尾峠の場所で、要注意。付近のハシゴは朽ちていて踏み抜く場所もある。振り返り撮影。  I檜尾峠。芦安ファンクラブの立派な案内看板がある。周囲の道標は悉く齧られている。 
oohoneyama.jpg  kaitekisyamen.jpg  bunkimomonoki.jpg  bunkikarano.jpg 
I大骨山を示す方へ降りて行く。  広い尾根で、進路を注意する場所もあり。  J夜叉峠へと桃ノ木温泉への分岐。道標が全て見えなくなってきている。「桃」の字を唯一判読。  尾根上に九十九折の道が切られている。 
tozanguchi.jpg  tozanguchikara.jpg  qb.jpg  toucyaku.jpg 
K山和荘の僅か上に登山口がある。  K降り立った場所から見る山和荘。  キュービクルの向こう側の尾根を下って来た。最後の最後でルートが無くなったので、何処かでルートミスをしたよう。  L旧桃栄館前に戻る。 


 
 団子の名前に魅せられ、気になりだしてから幾年。しかし地形図を見ると、周囲はゲジゲジマークのオンパレードで、アプローチがし易いと思われる東側斜面は複雑地形が多い。多くの藪屋は、高谷山とドノコヤ峠を結ぶように縦走しているのだが、なにか違うルートが開拓できないものかと悩みつつ推移していた。ヤロク沢と言う顕著な太い沢も入り、ルート取りは机上では出来るのだが、なにせその周囲にゲジゲジマークが蔓延っている。何度も地図を眺めながら、何度も等高線を読解していた。ザイルを持てば全ては解決するのか・・・ただそれだけなのか・・・。初めての場所に対してのパイオニア的行動には、緊張が高まる。地元山梨の雄である、山梨山の会の重鎮に情報を聞くも、やはり稜線情報しか得られなかった。こうなると益々行きたくなる。団子を目の前に置かれて、「待て」をさせられているような状況でもあるのだった。

 
 週末の天気は雨。ザイルを出すかもしれない場所において、「雨の中」は感心しないが、その雨に、より心して出向く事にした。1:13家を出る。既に雨が降っている。逃げも隠れも避けることも出来ない天気、これはこれで割り切れる。野辺山を通過し、韮崎に降りて行く。韮崎ではいつものセブンに立ち寄る。ここは品揃えが豊富で、ヤキソバパンが無い事がない。そして国道20号線を跨いで52号線に入り、六科交差点から県道20号に乗り芦安に向かう。山もシーズンインであり、市営駐車場に向かって行く車列が見られる。快調に追って来たヘッドライトは、桃ノ木温泉の分岐で私が左に進んだので、戸惑うようにスピードを緩め分岐で悩んでいたようだった。

 
 桃ノ木温泉に着く(4:00)と、大きな違和感。慣れ親しんだ桃栄館の姿はもうなく、対岸の山和荘しかないのだった。当初は、反時計回りを思っており、登山口を探しに山和荘の脇を進むも、いまひとつ入山口が見出せなかった。しっかりと案内看板があるのかと思ったが、それはなかった。地図を広げ作戦変更。先に御勅使川を詰めドノコヤ峠に突き上げ、時計回りで回ることにした。雨が降り続けは、川の増水もあるだろう。早めの通過は必須。そこまでは気にしなくてもいい川かもしれないが、色んなリスクは出来る限り回避する。夜がしっかり明けきるまでと、しばし仮眠を決め込む。最近、仕事疲れが取れなくなってきている。この僅かな仮眠が、山行の助けになる。それから、月曜日から肺の調子が悪くなっていた。ちょっと呼吸に支障がある。体は労わらないと・・・。

 
 20分ほど仮眠し、サンドイッチを口に入れながら登山靴を縛りだす。暑いが、雨具のズボンも履いておく。最後にザイルを確認し、沢沿いの林道を詰めて行く。歩き出すとすぐにスコールのような降雨。雨具の帽子だけを被り、羽織るようにして蒸れるのを防ぐ。堰堤の多い谷で、歩いて行くと必ず何処か一つ見えているような感じであった。御勅使川が三つ又になる場所からは、地形図通りの中央の谷に入って行く。ここで山手側に道が分岐しているが、気にせず本流に沿った道の方へ進む。するとしばしで、「藤尾堰堤」の銘板の場所になる。ここだけやけに手が加わった場所で違和感があり近寄ってみると、ここが「土木遺産」に選ばれていると言う事だった。奇しくもこの日(前夜)、小笠原諸島が世界遺産に決まった。そんなニュースをラジオで聞きながら来たので、「遺産」の文字はタイムリーなのだった。

 藤尾堰堤の先10分ほど進むと、ちょっと複雑な広見に出る。橋が半分無くなった状態で残って居たり、進路が大岩で塞がれていたり、谷の奥には真新しい堰堤も見える。何処に進めばいいか、立ち止まってしまうような場所だった。とりあえず、本道を進む事にした。石を並べて進路を塞いでいる方に進んで行く。そして左岸側に移り、やや勾配のきつい坂を行く。この途中に右手斜面に2つの道形が入っていた。これらは堰堤工事に使った道のようにも見えていた。伝えば上の方へ行けるかもしれないと、甘い誘惑もあったのだが・・・。

 
 半信半疑のまま、左岸の道形を伝いながら沢を詰めて行く。すると、目の前に大きな崩落地。流れで削られたと言うよりは、もともとの地形が弱かったようだった。幅8m、長さ15mくらいの崩落で、無理にトラバースせず、川の中に降りて再び登り返す。そしてこの場所から4分ほど進むと、その先がブラインドカーブのようになっていて先が見えなくなる。その手前右側斜面に、かなり古い朽ちたハシゴが掛かっていた。道標も無く、安易に高巻の道かと判断し伝ってみる。足を乗せると、バリバリと割れてしまうハシゴであった。テンションをあまりかけないよう、注意して這い上がる。すると、この先は高巻ではなく、山道となって上に続いていた。地図を確認すると、登って行く先には1683高点があり、目指す方向としては異存はない。驚いた事に新しいロープが流されている場所もあった。釣り師がここまでする訳はなく、頭の中で点線が破線となり、実線と繋がる。「これがドノコヤ峠への道なんだ」と・・・。ロープの場所の先に進むと、水の流れのある場所を通過し、そこにはステンレスのマグカップも転がっていた。これは益々現実味がある。折角なので喉を潤すと、その水の冷たくて美味しい事。伝う場合は、ここで水を得られるので、持って出る必要は無い。

 
 しかししかし、クネクネと上がっている九十九折の道は、廃道で間違いないようであり、かなり不明瞭。地形的な部分から不明瞭なのと、落ち葉が堆積していたりして、見出せない場所もあるのだった。そんな中に、赤布が適当な間隔でマーキングされている。山の斜面の中に、それを追いつつ進む感じであった。よって有視界でこそ有効で、ガスに巻かれたら、いやらしい場所となる。そして取付いて10分ほど登ると、人工的な鉄製の道標が現れた。半自動溶接機で肉盛りしたその文字は、「ドノコヤ峠」「芦安」と読み取れる。栂海新道のサワガニ山岳会は、レーザーの切り抜き標識で有名であるが、肉盛りは・・・。そう言えば、槍の北鎌への岩斜面途中にも有ったか・・・。目の前のそれを見つつ、そんなことを思い出していた。ここに道標があるのなら、入口にも在って欲しかったが、この存在でかなり勇気が湧いてきた。道の有無は体力にも大きく影響し、精神的にも楽になる。

 
 なにせ不明瞭。伝えるには伝えるが、獣道との差が判らないような感じ。そして九十九折から長いトラバースに変わる所で、進路が見えなくなり立ち止まる。遠くの木に目を凝らしながら探ると、西側に赤ペンキが見えた。ルートファインディングする楽しみがあると言えばあるのだが、道の無い場所ならまだしも、ある場所で見失うのは・・・。長い横ズレをすると、二つ目の道標があった。この先も九十九折を繰り返しながら、上層ほど横ズレが長い感じで道が切られていた。三つ目の道標で、小尾根を乗り越した感じになり、少しずつルートが南西側に進んでいるのが判る。周囲からはシカの警戒音が聞こえ、自然の中に居る感じが強くする。

 
 四つ目の道標が見つかると、その先が落ち葉にかき消されてしまった。よく見れば何処かに道があったのだろうが、高度を落さぬまま、上げぬまま横移動。そして主尾根に乗る。そこはドノコヤ峠より、かなり高い場所。と言う事は、先ほどの道標からは、少し下る道があるのだろう。折角なので峠を拝んでいこうかと思ったが、峠マニアではないので目的の高みを目指して進む。尾根に乗った場所から、西側斜面に踏み跡があるのだが、伝って行くとあやふやになり、結局尾根頂部を伝うことにした。ブナの美しい斜面があり、それが終わるとアセビが出てくる。やや密生しており行く手を邪魔する。もうすぐ1683高点っていう所で、残置ワイヤーが多々見られるようになる。ここでも林業作業がされていた様子。やや密生した幼木を縫うように進んでゆくと、高みに到着。

 1683高点登頂。顕著なピークで、山の名前があってもいいほど。北東側に進むと、展望の良い場所もある。ここで完全に自分の位置を把握出来た。さてここからルート方向が変わる。西に進むのだが、斜面は広く、上手く次の尾根を拾えるか心配になってきた。方向性の判らない大海を泳いでいるような斜面。樹林帯で視界も得られず、どう進んでいるのかも判らず地形図を見直す。ここは北側には崩落地があり、寄り過ぎると怖いのだが、ルートとして明瞭なのは、その際。右に崩落地を見ながら進むと、次の尾根へと繋げるのが楽であった。最初のコルからは、痩せ尾根が続く。目指す先にも明るく大崩落地が見えている。団子沢山ももうすぐなのだが、その手前にある1667高点までがやや急峻で、太腿に堪える。右手には雲海に浮かぶ山々が見えている。雨は上がったが、いつまた降り出すのか・・・。次第に風が強くなってきていた。


 下草は無くとても歩きやすい。ここ一帯は2005年だったかにササ枯れが起こった場所。それからだいぶ経過するが、枯れた笹が残るばかりで、新しいのが生えていない。シカの食害もあるのだろうか。1667高点を過ぎて、僅かに急峻を駆け上がると、団子沢山の肩に乗る。ここからはなだらか地形。気持ちよい尾根道な感じで、そこにサラサドウダンツツジやヤシオツツジが咲いていた。快適も快適。これまではさほど濃くなかった踏み跡が、やや濃く見えている。獣のせいもあるだろうが、付近の下草の無さがそうしているのだろう。


 団子沢山到着。最高所は円錐形の場所で、大木が生えている。そこから北側に少し進んだ場所に三等三角点が埋まっていた。苔生したそれが、なんともいい感じ。樹林に覆われた山頂部であるが、木々の間からは、周囲展望はある。この先に目指す高谷山も見えていた。実際、もう少し難儀しての到着かと思ったが、意外や早くに着いた感じ。ここまで来てしまえば、ザイルを出すような場所もないであろうから、かなり気持的にも楽になるのであった。ヤキソバパンを齧りつつ、呼吸を整える。少し左肺が、パリパリと剥離感がある。癒着部分の関係か・・・。10分ほど休憩を入れ、北進を始める。


 降り始めは小さな谷形状の場所。そこにしっかり踏み跡が残っていた。時折マーキングもあるのだが、顕著な尾根のため、ほとんど地形に沿っていれば安心な場所であった。北側に進み、最初の高みが1750mのピーク。ピークと言うには広すぎるほどの山頂部であるが、ここがこの稜線で一番気持ちの良い場所であった。幕営には最高の場所。今ほど休憩したばかりなのだが、もう一度休憩したいような場所であった。団子沢山を過ぎてからは、それまでの赤布が、黄色い絶縁テープに変わり続いていた。二重山稜の場所もあるが、判りやすい地形で。「迷う」と言う言葉はここにはない。快適も快適。進む前を山鳥が駆けて行ったり、聴いたことのない野鳥の声も聞こえていた。


 1730mピークの山塊を進むと、目の前に人工物が見えてきた。それは「かんば平」と書かれた標識。熊に齧られてしまっているが、なんとか持ちこたえている。そしてここからの西側の展望が素晴らしい。雨池山から滝ノ沢頭山へのゴットリとした山塊があり、その中央部奥に大唐松山がちょこんと見えていた。「あの尾根伝ったんだよな〜」「あそこで危なかった」などと、目の前に見える立体絵に、懐かしい気分にさせられる。ここから見ると、雪が乗っているのと同じほどに地形が良く見えていた。生憎、北岳の方はガスの中に入ってしまっていた。

 進んで行くと、尾根上に東西に相似峰があり、ルートはその間を通っている。そこから下り込むと、中池と言われる場所で、高谷山へのルートと、その東にある松尾峠へ行くトラバースルートとの分岐点となっていた。トラバースルートの存在は知らず、当初は高谷山経由しか考えていなかった。情報のあるルートより、やはりここは知られていないルートを選びたい。急遽、高谷山は端折る事に決めた。トラバースし出すと、すぐにチェーンの流してある場所に出る。人の手が加わっているようであり、廃道では無さそうだ。しかし倒木なども多く、中盤から後半にかけてが荒れている。足場の悪い所もあり、慎重に通過して行った。そして目と鼻の先に松尾峠が見える場所にハシゴ場があり、ここがややこしい。エスケープルートのような踏み跡があるが、ロープも流してあり、正規ルートを伝った方が無難であった。ここのハシゴも朽ちてきており、体重をかけたら、2段ほど割れてしまった。


 松尾峠。峠と言うには狭い場所で、そこにある標識は、悉く齧られ折れていた。芦安ファンクラブの立派な道標もあり、周囲の概念図として安心できる表示になっていた。ここまで来れば後は・・・そんな気分にさせてくれた。しかし道標が折れているので、ここで桃ノ木温泉を示す道標はない。地面に石で押さえつけられた、「大骨山」の方へ降りて行く。ここからの最初は急峻斜面で、細かい九十九折が待っている。登りに使ったらさぞ疲れそうな場所で、ちょっと不明瞭な登路に思えた。それを下りきると、一転して快適尾根となる。ストライドを延ばしながら、いわゆる闊歩する感じ。分岐に書いてあったので気にしていたのだが、大骨山がよく判らなかった。途中の各ピークに立ち寄り確認もしたのだが、探しても道標はなし。見落としたのかも・・・。


 闊歩していると目の前に分岐が現れた。松尾峠の分岐なら情報を得ているが、1236高点下での分岐は情報を持たない。朽ちた道標が二つありどちらも判読不能。ここに来て焦る。もうすぐ到着かと思っていたが、ルート取りの仕方で大きく時間を変える。地形図を眺めても結論は出ず、もう一度道標を見ると、辛うじて「桃」の字が一方の道標に見えた。「助かった〜」。右の道が桃ノ木温泉への下降路で間違いない。「桃」が読み取れてなかったら、杣道かと思って左のルートに伝ってしまったかもしれない。となると、左がどうやら夜叉神峠への道のようだ。下降点分岐から降りて行くと、大きな九十九折の後、小尾根に乗って小さな九十九折で高度を下げてゆく。緑の間から山和荘の赤い屋根が見え出すと、ゴールも近い。

 何処に降り立つのか興味津々。しかし何処で外したのか、痩せ尾根の上でルートがなくなり、踏み跡程度の場所を7mほど降りて、フェンスの所に降り立った。そこには「夜叉神峠登山」と書かれた看板があった。これが朝に目に入っていたら、ここから入山したのだが、終わりよければ全て良し、今日は時計回りの周回で大正解。ここから登って団子沢山へは問題なく行けるが、そこから1683高点を経由して東側に降りて行くのは、難しい判断を伴う。おそらくザイルのお世話になっていただろう。往路は、山道を伝えたおかげで楽に稜線までアプローチすることも出来た。これを完璧と言うのかも。山和荘の脇を通過し、橋を渡り車に到着。途中ザーザー降りな時間もあったが、気持ちよく楽しく歩けた。


 濡れた衣服をそのままに、山和荘に行く。ここは、登山口と温泉が抱き合わせな場所。こんなに便利に使える場所はない。お湯も良く、女将も凄く綺麗。今日は全てに合格点。山はいと楽しや。


(注):電池切れにより、GPSでの軌跡は、全体の1/3ほどしか記録出来ませんでした。尾根以外の場所は適当にトレースしてあります。
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