越前岳 1504.2m
2011.10.16(日)
曇りのち快晴 同行者あり 十里木登山口より 行動時間3H8M
@十里木登山口8:00→(38M)→A馬ノ背8:38→(50M)→B勢子辻への下降点9:28→(6M)→C越前岳9:34〜53→(45M)→D馬ノ背10:38〜47→(21M)→E登山口11:08
@十里木登山口より。ガスの濃い中スタート。 | 展望台でも何も見えず。 | ヘリポート通過。鉄塔が風で唸っていた。 | 二つ目の鉄塔、反射板を通過。 |
A馬ノ背 | A二等点。 | A馬ノ背の標柱。 | 踏み跡の散乱する斜面。 |
B勢子辻への下降点分岐。 | C越前岳山頂 | C3Dな標識 | C二等点 |
Cガスが開け富士山が姿を現す。 | Cお地蔵さんがにこやかに出迎える。 | Cザ・ヤキソバパン | C駿河湾も見えてきた。 |
C富士山アップ | 途中から | D馬ノ背帰り。しばしベンチで昼寝。 | 駐車場へ向け下って行く。 |
E駐車場到着。好天に満車状態。 | E駐車場から見る斜面。ススキが輝く。 |
ここはリクエストされた山。計画時には、同行者に「愛鷹神社から周回しよう」と何度も投げかけたが、懇願届かず十里木口からのピストン予定となった。そしてその計画に沿って前日に狙ったものの、暴風雨に撤退した場所であり、この日は早々にリベンジとなった。予報では晴れ予報だったが、雨雲は昼ぐらいまで掛かっているようで、それ以降で快晴になるようであった。天気とこの先の行動時間(観光)を読んで、登山開始時間を決める。前夜からの宿は小山町の道の駅。そこから現地に向かうのだが、またまたガスに覆われた状況下で現地入りした。前日を髣髴するガス。ちょっとだけ暗い気分になる。それでも好天予報からだろう色とりどりのハイカーが周囲に居た。ここに集まって、別の場所に異動して行くパーティーも居て、間違いなく縦走組みだろう。「いいなー」なんて思いながら準備をする。雨具を着込んで完全防備。
登山口をスタートする。間隔の広い階段状の道。登りは良いものの、帰りが歩き辛そうな場所に思えた。僅かに上がると展望台があるのだが、この日のここはただの通過点。大きなアンテナ塔の脇を通過するのだが、ゴーともボーとも聞こえる風切り音が太くしていた。その上の円形の舗装された場所はヘリポートなのだろう。この僅か先にも二つ目の鉄塔があり、先ほどと同じような唸り音がしていた。雨具の中は次第にサウナ状態になる。外気から濡れる量より、発汗により濡れる量が上回って来た。サッと脱いでザックカバーの中に簡易的に放り込む。だんだんと晴れてくれれば良いが・・・。一歩一歩歩きながら、そんな思いを込める。
馬の背到着。三等点があり山頂標柱も埋まり、通過点のような場所であるがベンチもありで山頂の形態を成していた。ここを過ぎると、やや足場の悪い岩交じりの場所があり、その先からヤマボウシの繁茂する中を行く。足許には無数の赤い実がある。昨日の風でその全てが落ちたのだろうと思えるほどであり、何か宝石が散りばめてあるようで、目には綺麗に見えていた。ただしその綺麗な物を踏みながら行かねばならないのが相反する部分。それには踏んだ痕に見える、淫らな実の様子を見るのが嫌なのだった。足許を気にしつつ登って行く。なだらかなので、広範囲に踏み跡が広がる。それを整えるかのようにロープが張られているのだが、それ以上に訪れる人が多く、踏み荒らされてしまうのだろう。
山頂僅か手前には、勢子辻への分岐下降点がある。その道標は、トタン板を曲板機を使って曲げ凹凸を出し、そこにプラズマ加工をして文字を抜いている物であった。極めて人工的であるのだが、その色と作業者のレタリングが、とても現地にマッチしていた。「味がある」とはこんな標識を言うのかと思う。何処を触れても危険度は無く、簡素であるが作業者のセンスが良い。この分岐から僅かに進むと山頂だった。
越前岳山頂。おなじみの静岡県のお団子標柱もあり、立派な立体文字の標識も出迎えてくれた。樹林の中では、風を避けて休憩していたパーティーがちょうど出て行くところで、その空いたスペースで小休止。展望の良いであろう広見では風が強く、樹林帯の中でガスが晴れるのをじっと待った。何もしないで待っているのはけっこう長く、それでも5分ほどで願いが叶って富士山が姿を現した。しかし横に流れるガスがすぐに視界をなくす。そのいたちごっこが続き、次第に見える時間が長くなる。雨具を着込み、展望待ちの防寒となる。次第に駿河湾側も明けて来て、山肌にはとぐろを巻くような、うねるようなガスが動いていた。カメラを構えて待っていると、一人のハイカーが上がってきた。昨日の早朝、暴風雨の中、同じように駐車場で待機していた方であった。軽く挨拶を交わす。そうこうしている間にも経路の地形を考えていた。どうもここから見る富士は、越前岳の樹林が邪魔をしてスッキリしない。「そうだ、ベストポイントは馬ノ背だ」とこの時思えた。山頂を後にする。
降りて行くと、続々とパーティーが登ってくる。その中に、スタートを同じくしたパーティーがおり、その一人から、「あなたたち、楽しんでる?」と声が掛かる、サッと登りサッと降りて来ている行動が、山を楽しんでいないと見えるのだろう。「楽しんでますよ」と答えながら通過して行くのだが、本心はこんなに山を楽しんでいる人はいないと豪語したい。まあ、相手もこちらも自分目線ってことだろう。途中の2畳ほどの展望地から富士を眺める。だんだんと見上げるような角度にはなるものの、良い感じにガスが明けてきた。ただ、耳障りなエキゾースト音。富士スピードウェイからはここまで届かないだろうから、この好天に珍走団が湧き出しているようであった。折角の景色が、耳から邪魔をされる。
時間の経過毎に青空が広がっていた。馬ノ背に到着すると、予想していたすばらしい富士山の展望台。カメラを構える手が休まらない。すばらしきかなこの展望。しばしベンチの上で横になる。目を閉じるとススキの囁きが聞こえる。秋の声とでも言おうか・・・。鉄塔を右に見ながら下って行く。その先は気合を入れて、丸太階段の上を駆けて降りて行く。普通に降りたのでは歩幅が広く、やけに疲れる。それならと飛ぶように降りたら、けっこうに楽しかった。
駐車場に到着すると、淫らな珍走団がそこに居た。今度は視覚を邪魔をする。着替えをしていると空ぶかしを始め出て行った。これで精神衛生が保たれる。静かになった駐車場から、歩いてきた斜面を見上げる。陽射しにススキの穂が反射し、銀色に輝いていた。珍走団で淀んだ気持ちが洗われるようであった。